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2012年7月

2012年7月31日 (火)

様々なアイディアを聴かせてくれるけれども

Title:DR DEE
Musician:DAMON ALBARN

再結成したblurや、現在、活動休止中のGorillaz、先日、アルバムを発売したRocketjuice and The Moonなどなど、様々なバンドで活躍を続けるデーモン・アルバーン。正直、様々なバンドやプロジェクトを立ち上げては、「喰い散らかしている」という印象も否定できないことはないのですが・・・。今回は、ようやくといっていいのか、初となる自己の名義でのソロアルバムがリリースされました。

とはいっても、通常のオリジナルではなく、この夏、ロンドンで上映されるオペラ「ドクター・ディー」のために書き下ろしたアルバムで、いわば「サントラ盤」になっています。

ただ、サントラ盤とはいっても、そこは彼のこと。いろいろなアイディアがつまった作品になっているのが特徴的でした。オペラらしい、クラシカルな楽曲があるかと思えば、アコースティックな作品、荘厳な合唱曲、ミュージカルのような作品。また、独特のリズムを聴かせるような作品があり、ここらへんの音楽性の豊富さは、さすが様々なバンドやプロジェクトで活躍を続ける彼ならでは、といった感じでしょうか。

でも・・・正直言ってしまえば、このアルバム、熱心なファンではなければ、ちょっとお勧めしがたい内容かも。確かにいろいろなアイディアはつまっているものの、目新しさはありませんし、ポップという側面からもどうも中途半端。まあ、ここらへんは「サントラ盤」なだけに、あくまでも元となるオペラありき、の作品と言ってしまえばそうなのですが・・・。その点を差し引いても、どこか突き抜けなさというか、あと一歩で傑作になりそうだったのに、という惜しさも同時に感じました。

あと一歩だったのに、いまひとつ突き抜けていない、という面では、先日発売されたRocketjuice and The Moonの作品と近い部分があるのかも、なんてことを思ったり。いろいろな意味で残念さを感じさせるアルバム。熱心なファン以外の方は、blurの新作(出るのか?)を待った方がよいかと。

評価:★★★

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2012年7月30日 (月)

彼らの新たな一歩か?

Title:僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ
Musician:モーモールルギャバン

前回の「赤い公園」に引き続き、こちらも話題の若手バンド。まあ、もう、これがメジャー3枚目となるのですが・・・。

もともと変態性の強い、強烈な歌詞と、そんな歌詞とは裏腹な(?)、クオリティーの高い音楽性が大きな話題となったバンド。前作「BeVeci Calopueno」では、歌詞の変態性は薄れたものの、音楽的には、強烈な個性を放ったアルバムでした。そして本作は、音楽的にもストレートなロックソングが増え、変態性が薄くなった印象を受けました。

ただ、一方、そんな中で、彼らのメロディーラインのセンスの良さを感じました。「MY SHELLY」や、タイトルチューンでもある「僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ」は、実にメロディアスな作風が印象的。ちょっとくるりっぽいかな?と思う部分もあるのですが(笑)、ソングライターとしての実力を感じさせる作品でした。

また、サウンドも、基本的にギターロック路線ながらも、シンセのラインなどは、ソウルミュージックぽさを強く感じさせますし、ソフトロック風の「それは悲しい唄のように」も秀逸(だけど、ちょっと空気公団っぽいような・・・)。雑食性な側面は相変わらずながら、バンドとしての足腰の強さを感じさせます。

歌詞も、若者の焦燥感を強く感じさせる内容が多く、例えば

「ワイルドな俺の運命(さだめ)いつも夜に震えて
叫ぶ唄声が響き渡る近所迷惑」

(「サノバ・ビッチェ」より 作詞 モーモールルギャバン)

「誰にも届かない今は 消えない自由を叫びたいよ」
(「僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ」より 作詞 モーモールルギャバン)

など、現実の中でもがちながらも前に進もうとする若者の姿を強く感じました。

そんな訳で、「変態性」という、いままでのモーモールルギャバンのイメージから離れて、ある意味、「裸」で勝負したともいえる作品。彼らの実力が、今まで以上発揮されたアルバムだったと思います。

ただ、私個人、いままで「クロなら結構です」以降の作品を聴いていたのですが、このアルバム、ちょっと物足りなかったかな、と感じた部分もありました。確かに、バンドとしてもメロディーセンスも、その実力を感じさせてくれましたが、一方では、メロにくるりっぽさだったり空気公団っぽさだったり感じた反面、いまひとつモーモールルギャバンだけが持っているような個性が薄かったような印象も受けてしまいました。

そんな中、唯一、歌詞も音楽的にも変態性が強かったのが「彼と彼女の日常」で、この曲は、モーモールルギャバンの個性を強く感じることが出来ました。それはやはり「変態性」という彼らの持ち味を超えるだけの違う何かが、まだ獲得しきれていないから、ではないでしょうか。

とはいえ、彼ら、高い実力の持ち主であることは間違いないと思いますし、このアルバムも、純粋にいいアルバムであることは間違いないと思います。これから、彼らがどのような路線を進んでいくのか・・・次のアルバムを楽しみに待ちたいところです。

評価:★★★★

モーモールルギャバン 過去の作品
クロなら結構です
BeVeci Calopueno

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2012年7月29日 (日)

2012年を代表する新人バンド

Title:ランドリーで漂白を
Musician:赤い公園

最近、大きな話題を集めている女性4人組ロックバンド、赤い公園。2月にミニアルバム「透明なのか黒なのか」をリリースしたばかりですが、それに続いて今回リリースされたミニアルバムは、その前作と、「対」になっている作品。「透明なのか黒なのか」は、彼女たちのダークな側面が強調された作品だったのに対して、本作は、彼女たちのポップな側面が強調された作品になっています。

今回の作品も10曲入りながらも、全16分程度。事実上、5曲入りのミニアルバムという形態になっている本作。その5曲は、いずれもポップな作風が特徴的。歌詞にしても、前作と比べるとストレートな作風が多く、非常にポピュラリティーある明るい作品という印象を請けました。パッと聴いた感じでは。

しかし、実際はどの曲も、一筋縄の単純なポップという訳にはいきません。例えば「ナンバーシックス」も、最初は軽快なポップかと思いきや、途中からギターサウンドが入り、さらに後半ではアカペラのコーラスが入る展開に。「よなよな」「血の巡り」なども、基本的にギターロックなのですが、要所要所にひっかかりのある音を入れてきたりしていて、ストレートな、という訳にはいきません。

最後は、ピアノバラードの「何を言う」で締めくくり。ただ、美しいバラードナンバーかと思いきや、最後は「私は私を殺してやりたくなるのさ」という、強烈な歌詞と迫力あるボーカルで締めくくり。最後の最後まで、ゾクゾクとなるような展開を見せてくれます。

ただ、単純に複雑な展開だったり、ユニークな音を入れるだけならば、そんなに難しくはないでしょう。彼女たちが素晴らしいのは、これだけひねくれた展開を見せながらも、あくまでもポップとしてまとめあげている点。そのため、音楽として、非常に中毒性を感じられ、本当にあっという間にアルバムを聴けてしまいます(ま、実際、16分というあっという間の長さのアルバムなんですが・・・)

前作「透明なのか黒なのか」の時の感想では、「今の段階では『よくわからない・・・』という部分が少なくないのが正直な感想」と書いたのですが、このアルバムがリリースされてはっきりといえます。彼女たちは、間違いなく2012年を代表するバンドだ、と。次回作も、非常に楽しみになってくる1枚です。

評価:★★★★★

赤い公園 過去の作品
透明なのか黒なのか


ほかに聴いたアルバム

NIAGARA TRIANGLE Vol.2 30th Edition/NIAGARA TRIANGLE

大滝詠一による1982年に発売されたナイアガラ企画の第2弾アルバムの、発売後30周年記念盤。本作では、大滝詠一の他、当時はまだ新人だった佐野元春と杉真理が参加しています。珠玉のポップスナンバーの連続なのは言うまでもありませんが、この時期、既に佐野元春の曲に、佐野元春らしさが感じられるというのが印象的。ちなみに、30周年このアルバムのトラック集が付いてきています。まあ、要はカラオケ。曲のトラックの魅力がわかる・・・のですが、さすがにこちらはコアなファン向けかな?

評価:★★★★★

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2012年7月28日 (土)

初のベスト10ヒットを記録

Title:
Musician:andymori

最も今、勢いのある若手バンドの一組、andymori。着実に人気を伸ばしており、このアルバムで、ついに初のベスト10ヒットを記録しました。(ただ、初動売上は、前作「革命」の方が上回ったみたいですが・・・)

基本的に、メロディーと歌詞を前面に押し出して聴かせる、シンプルなギターロックといった感じ。初期の作品は、もっとロックンロールのルーツ志向な部分も感じられ、今回も「3分間」みたいな、ロックンロールへの愛情をストレートに歌った曲もあるのですが、どちらかというとフォーキーな雰囲気のあるギターロック路線なのは、前作「革命」より、より明確になっています。

歌詞も、前作に比べて、よりシンプルでわかりやすく、前向きになった感じがします。どこか「死」というテーマ性も感じられた前作に比べて、今回は、アルバムタイトルも「光」であり、そのため、希望のある歌詞が多かったような印象を受けました。

また、そこで描かれている世界も、ある種の等身大。「彼女」みたいな、中学生で誰もが抱くような妄想を描いたような歌詞もありますし、友情をテーマとした「ジーニー」みたいな曲もあったり、親近感を持てる歌詞が多いのも特徴的に思いました。

要するに、いままで以上にとっつきやすいアルバム。それは、昔からのファンにとっては賛否がありそうですが、andymoriとしての個性はしっかり出ていましたし、味のある曲も揃っていたと思います。andymoriの活躍は、まだまだ続きそうです。

評価:★★★★★

andymori 過去の作品
ファンファーレと熱狂
革命

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2012年7月27日 (金)

最後の着うたチャートを制したのは?

今週の着うたチャート

2012年7月18日~2012年7月24日付チャート

先週もお伝えしましたが、今週付けのチャートで、様々な形態のダウンロード販売に対応するチャートを作成するため、ひとまず着うたチャートは休止だそうです。そんな最後の着うたチャートを制したのは、やはりあのミュージシャンでした。

ある意味、「出来すぎた話」にも思えるのですが(笑)、最後の着うたチャート1位は、着うたチャートの女王、西野カナ「GO FOR IT!!」でした。7月25日に発売されたシングルからの先行配信。相変わらずのラブソングながらも、爽やかでアップテンポなナンバーになっています。

2位は、先週まで4週連続1位を獲得したシェネル「ビリーヴ」が、2位をキープ。3位も、着うたではおなじみのソナーポケット「君と見る未来」がランクイン。8月1日発売予定のシングルからの先行配信。今回は、ピアノバラードナンバーになっています。そんな訳で、最後の着うたチャート、ベスト3は、実に着うたらしいラインナップになりました。

4位以下の初登場はまず9位、AKB48の渡辺麻友「大人ジェリービーンズ」がランクイン。こちらは、7月25日に発売されたシングルからの先行配信となります。そして10位にはカーリー・レイ・ジェプセン「コール・ミー・メイビー」がランクイン。この曲、現在、アメリカのビルボードチャートで1位を独走している、カナダ出身のシンガーソングライターによる楽曲。アヴィリル・ラヴィーンをさらにポップにしたような感じの、軽快なポップスロックといった感じで、日本でも受けそうな感じ。とりあえず、着うたチャートではベスト10ヒットとなりましたが、CDの売上も、今後上昇するのか?

他に、ベスト10圏外からの返り咲きとして、8位にいきものがかり「風が吹いている」が、先週の15位からランクアップ。6月19日付チャート以来、6週ぶりのベスト10入りとなりました。今週のシングルチャートでも3位に初登場しましたが、シングル発売にあわせてのランクアップ。ちなみに、この曲、NHKのロンドンオリンピック中継のテーマソングで、今後、テレビからバンバン流れてきそう。ロングヒットになりそうな予感もします。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週は、久々に1位が入れ替わりました。

今週1位は、桑田佳祐のベスト盤、「I LOVE YOU-now&forever-」が初登場1位を獲得。初回盤には、初CD化となるレア音源も収録されていて話題となった本作。初動売上は43万1千枚。直近のオリジナルアルバム「MUSIC MAN」の27万3千枚より大幅アップ。ただ、ベスト盤として前作となる「TOP OF THE POPS」の96万1千枚からはダウンしてしまいました・・・が、まあ、2002年リリースの「TOP OF~」と単純比較は出来ませんが・・・。初動で43万枚だと、ミリオン達成は、微妙なライン。果たして?

2位は、若手ロックバンドSEKAI NO OWARIの2ndアルバム「ENTERTAINMENT」がランクインです。「世界の終わり」名義だった前作「EARTH」は、初動6千枚、最高位15位だったのですが、本作は、初動売上6万枚と、なんと約10倍増の大躍進。ベスト3入りは、シングルを含めても初の快挙となりました。

3位は、残念ながら4週連続とはならなかった安室奈美恵「Uncontrolled」が先週から2ランクダウンでランクイン。とはいえ、いまだベスト3キープに、根強い人気を感じます。

さて、今週は1位2位とロックミュージシャンのアルバムが並びましたが、今週は、ロックミュージシャンのアルバムが目立つチャートになっています。

4位以下では、他に4位にMAN WITH A MISSION「MASH UP THE WORLD」が、9位にThe Birthday「VISION」がそれぞれランクインしてきています。

MAN WITH A MISSIONは、顔は狼、身体は人間というスタイルの5人組ロックバンド。シングル「distance」でベスト10ヒットを記録していますが、アルバムでのベスト10入りはこれが初。前作「Trick or Treat e.p.」は最高位15位、初動売上7千枚だったのに対して、本作は初動2万4千枚と、3倍強の躍進を記録しています。

The Birthdayは、前作「I'm Just A Dog」以来1年ぶりのニューアルバム。初動売上1万6千枚は、前作の初動1万5千枚より若干アップ。完全に安定した人気を感じます。

他の初登場は、6位にアイドルグループLead「NOW OR NEVER」がランクイン。ここ最近、シングルではベスト10入りしてきましたが、アルバムでは、なんと2003年のデビューアルバム「LIFE ON DA BEAT」以来のベスト10入りとなりました。でも、このアルバム、全4種発売で、すべてコンプリートした人の中から抽選で、撮影会に招待というイベント付き。アルバムで、それ、やっちゃいますか(苦笑)。まあ、前作「Feel The Vibes」の最高位44位、初動5千枚から、2万枚への4倍増は、複数枚買いによる影響だけとは思いませんが。

7位には、これがデビュー作となる女性シンガーGILLE「I AM GILLE.」が入ってきています。You TubeでAKB48の曲を英語詞でカバーした曲が評判を呼び、最初は正体を明かさず、謎のシンガーとて話題になりました・・・・・・という売り方なんですが、結局、正体は、TASHA geeとしてデビューしていた日本人シンガーだそうです・・・って、誰それ?元が有名じゃなければ、「謎」として隠す意味がないのですが(^^;;とはいえ、TASHA geeとしては、全くヒットしなかっただけに、一応、このプロモーションは成功した、ということでしょうか?ちなみに、このアルバムには、AKB48の曲をはじめ、洋邦のヒット曲のカバーを集めたアルバムになっています。

最後、9位にはテレビ東京系アニメ「NARUTO」で使用された曲をまとめた「NARUTO GREATEST HITS!!!!!」がランクイン。NICO Touches the WallsからOKAMOTO'S、supercellに遊助など、様々なタイプのミュージシャンの曲が収録されています。「NARUTO」関係のコンピレーションアルバムとして、前作「BEST HIT NARUTO」は初動2万枚だったのに対して、本作は1万6千枚とダウンしています。

アルバムチャートと、とりあえず最後となった着うたチャートは以上。来週からのチャート評は、従来どおり、水曜日にシングルチャートを、そしてアルバムチャートは木曜日にアップする予定です。そんな訳で、これからもよろしくお願いします。

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2012年7月26日 (木)

23年ぶり!

Title:THAT'S WHY GOD MADE THE RADIO
(邦題 ゴッド・メイド・ザ・ラジオ~神の創りしラジオ~)
Musician:THE BEACH BOYS

60年代、アメリカを代表するロックバンドとして一世を風靡したTHE BEACH BOYS。特に、1966年にリリースした「PET SOUNDS」は、ロック史上に残る名盤として、今なお、多くのリスナーに愛され、また、ビートルズの「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」に大きな影響を与えたことでも知られています。

もともとは、その「PET SOUNDS」を作り上げ、ビーチボーイズの音楽的な核となるブライアン・ウィルソンはじめとしたウィルソン兄弟を中心に活動をしていたものの、ブライアンの精神上の問題から脱退し、カールやデニスといったオリジナルメンバーの相次ぐ早世で、バンドは事実上の分裂状態だったのですが、このたび、ブライアンを含めて残ったメンバーが再集結したことで大きな話題となりました。

そして発売されたのが今回のニューアルバム。オリジナルとしては1992年の「Summer in Paradise」以来、20年ぶり、ブライアン参加のアルバムとしては、1989年の「Still Cruisin'」以来、実に23年ぶりとなるニューアルバムとなりました。

今回のアルバム、久々にブライアンが参加したことにより、どんな音を聴かせてくれるのか、大きな期待が集まりました。「ボーイズ」を名乗りながらも、メンバー全員、とっくに還暦を彼らですが、特にブライアン・ウィルソンに関しては、全く「楽隠居」といった感じではありません。実際、2008年にリリースされた「That Lucky Old Sun」は高い評価を受け、当サイトの洋楽年間ベストでも4位とするほど、個人的にも気に入った傑作でした。ともすれば、この歳になってなお「脂がのっている」そう表現できるほどの活躍ぶりを感じさせます。

そして、この待望のニューアルバムでしたが、美しいメロディーラインとコーラスワークがとても魅力的。THE BEACH BOYS健在!を感じさせるアルバムだったと思います。ただ、その一方で、やはりあくまでも60年代のビーチボーイズの延長なんだな、ということも同時に感じました。

それはブライアンの最近のソロ作と比べると、このアルバムは、ある種の懐古的な雰囲気を感じてしまうからです。よく言えば、かつてのファンにとっては懐かしさを感じるアルバム。悪く言ってしまえば、今を反映していないアルバム。つまり、あくまでも昔、ビーチボーイズのファンだった人たちに対してつくられたアルバム、ということを感じてしまいました。

まあ、もちろん、今回の再結成も、ある種同窓会的なノリはあるのでしょうし、そういう方向性も悪くはないかと思います。実際、オールドファンにとっては、感涙モノの出来ではないでしょうか。ただ、最近ビーチボーイズを知った若いファンが、最初の1枚として手に取る分には、正直どうかなぁ・・・とも感じてしまいました。

とはいえ、爽快なポップサウンドは相変わらず。夏には来日公演も予定されていて、実は私も行く予定なのですが、それも非常に楽しみ~♪今後はコンスタントに活動するのでしょうか、それとも・・・。ともあれ、ビーチボーイズが好きという方なら、文句なく要チェック。ただし、一度も聴いたことない・・・という方は、過去の作品から、どうぞ。

評価:★★★★

THE BEACH BOYS 過去の作品
SMILE

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2012年7月25日 (水)

またまたジャニーズ系vsAKB系

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のシングルチャートは、またもやジャニーズ系とAKB系のトップ争い。結果、1位を獲得したのはNEWSのニューシングル「チャンカパーナ」でした。山下智久、錦戸亮が脱退した後、初となるシングルで、前作「Fighting Man」以来、1年8ヶ月ぶりとなる新作となります。楽曲は、昔ながらの歌謡曲といった感じ。初動売上24万4千枚は、その前作の15万枚から大幅アップ。ただし、こちらは、CDの販売形態が5種類+スペシャルボックスという形になり、かつ、スペシャルボックス購入者にはイベント抽選特典があるとかで、その影響が大きそう。

それに続いたのは、AKB48の派生ユニットフレンチ・キス「ロマンス・プライバシー」。楽曲的には、平凡なJ-POPといった感じなのですが・・・。初動売上8万5千枚は、前作「最初のメール」の13万3千枚より大幅ダウンしてしまいました。

3位初登場は、いきものがかり「風が吹いている」。初動売上は2万9千枚で、前作「ハルウタ」の3万5千枚からダウンしてしまいましたが、この曲、タイアップがNHKロンドンオリンピックテーマソング。当然、今後、テレビから嫌というほど流れてくると思われ、今後のロングヒットが予想されます。でも、いきものがかりって、NHKがらみのタイアップが多いような・・・。

さて、続いて今週の4位以下ですが、今週は、声優系が多く目立つチャートになりました。4位に人気女性声優花澤香菜「初恋ノオト」、7位に、同じく人気声優谷山紀章と、作曲家でギタリストの飯塚昌明によるバンドGRANRODEO「RIMFIRE」、さらに8位に人気女性声優小倉唯「Raise」がそれぞれランクインしています。

花澤香菜は、シングルはこれが2枚目。前作「星空☆ディスティネーション」はROUND TABLEの北川勝利作曲、プロデュースでしたが、本作は、中塚武が作曲、プロデュースを手がけています。4位は、前作の最高位7位よりアップしましたが、初動売上1万4千枚は、前作の1万5千枚より若干のダウンとなってしまいました。

GRANRODEOは、アニメ「黒子のバスケ」オープニングテーマ。90年代のビートロック王道そのままといった感じのポップスロックナンバー。初動売上1万2千枚は、前作「Can Do」の1万枚よりアップ。2010年にリリースした「ROSE HIP-BULLET」以来3作ぶり2作目のベスト10ヒットとなりました。最後、小倉唯は、これが本人名義で初となるシングル。アニメ「カンピオーネ! ~まつろわぬ神々と神殺しの魔王~」エンディングテーマ。マイナーコード主体のアップテンポなハードロック風ナンバーというのは、アニソンの王道といった感じですね。

まだ初登場は続きます。

5位は韓流。女性シンガー、IU「You & I」が入ってきました。前作「Good Day」に引き続き、どこか90年代のガールズポップを彷彿とさせるようなポップチューン。初動売上は1万4千枚で、デビューシングルである前作の2万1千枚からダウン。

で、6位は日本のアイドルグループ。LinQ「シアワセのエナジー」がランクイン。福岡のローカルアイドルグループだそうです。雰囲気は、AKB48みたいな感じですが、Wikipediaを見ると、Perfumeをモデルとしているとか。その割に、トランスアレンジの平凡なJ-POPのこのナンバーは、Perfumeの音楽性からはかなり離れちゃっている感じが。前作「さくら果実」の初動9千枚に対して、初動売上1万2千枚で、初のベスト10ヒットとなりました。

最後、9位にはヴィジュアル系バンドbaroque「メロウホロウ」が入ってきています。前作「ザザ降り雨」から2ヶ月連続リリースとなる新作。初動売上は1万枚で、前作から変らず。もう、完全に固定ファン向けって感じなんでしょうか。

今週のシングルチャートは以上。着うた&アルバムチャートは金曜日に~。

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2012年7月24日 (火)

「トリビュートアルバム」ではありません。

Title:KING OF SONGWRITER~SONGS OF KIYOSHIRO COVERS~

5月2日、忌野清志郎の命日にリリースされたカバーアルバム。若手ミュージシャンからベテラン勢まで、RCサクセションやキヨシローのソロでの名曲の数々を、カバーしています。

今回、数多くのミュージシャンがカバーしていますが、まず感じたのは、それぞれのミュージシャンが、あくまでも自分たちのスタイルにあてはめてカバーをしている、という点でした。そのため、例えばマッキーの「スローバラード」は、完全に槇原敬之の曲になっていましたし、ゆずの「金もうけのために生まれたんじゃないんだぜ」は、ゆずの曲になっていました。

ただ、それぞれのミュージシャンが自分たちのスタイルにあてはめてカバーをしても、全く原曲の魅力が損なわれることがありません。それって、やはり原曲の歌詞とメロディー自体が、非常に魅力的だからなんでしょうね。キヨシローって、曲自体だけではなく、その歌い方やパフォーマンス、スタイル全体を含めて高く評価されてきていますが、このアルバムで、あらためて彼のソングライターとしての才能を再認識しました。

そう考えると納得がいくのがこのアルバムのタイトル。最初、ちょっと違和感があったのが、彼は、「キング・オブ・ロックンロール」みたいな呼ばれ方をすることは聞いたことあるのですが、「キング・オブ・ソングライター」という呼ばれ方って、あまりされていないような印象を受けます。でも、このアルバムを聴いて、このタイトルが納得しました。確かに、彼はソングライターとしても、邦楽界のキングであるんだな、ということを認識したからです。

実際、企画者の意図としても、キヨシローのソングライターとしての側面に焦点をあてたカバーアルバムみたいで、彼の楽曲はあくまでも「素材」として使ったカバーを目指していて、トリビュートアルバムを意図した作品ではないみたいです。そのため、本来、彼を語る場合ははずせないようなミュージシャンは参加していませんし、逆に、一見、彼とは関係のなさそうなミュージシャンが参加しています。ただ、それは、むしろキヨシロー本人との距離が遠いほど、楽曲を、純粋な「素材」として調理できる、と考えたからでしょう。

そう考えると、非常におもしろいカバーアルバムだなぁ、ということをあらためて感じました。実際、アマゾンの評価などを見てみると、熱心なファンには評判が悪いみたいです。確かに、カバーの出来として、すべてが良い出来には感じませんでした。ただ、あまりキヨシロー本人のパフォーマンスと比較せずに、一歩離れたスタンスで見て楽しむべきアルバムのように感じました。

ちなみに、個人的には、いつものせっちゃんのスタイルで、力強さを感じさせる斉藤和義の「エンジェル」や、おもいっきりキュートなガールスポップに仕上げた住所不定無職の「JUMP」が良かったなぁ。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

Gray Ray&The Chain Gang Tour Live in Tokyo 2012/奥田民生

昨年から今年にかけて行われたライブツアー「Tamio Okuda Tour 2011-2012 “おとしのレイら”」のうち、東京4公演について、ライブが行われた当日に、その日のライブをCD化し、会場で発売する、という企画が行われました。ここ最近、話題となったライブCDの「売り方」で、今後ももっともっと増えていきそうな予感がします。このライブアルバムは、そんなライブCDの中からベストアクトを収録し、また、当日、収録できなかったアンコールの音源を収録したもの。当日、買いそびれたファンにとっても、買ったファンにとっても、そもそもライブに行けなかったファンにとってもうれしいアルバムになっています。

内容については、言うまでもありません。いつもの奥田民生らしい、飄々とした感じがしながらも、迫力あるロックを聴かせてくれたり、ダンサナブルなロックンロールナンバーで楽しませてくれたり、ミディアムナンバーではしっかり聴かせてくれたり。ライブミュージシャンとしても、その実力を実感できるライブ盤でした。

評価:★★★★★

奥田民生 過去の作品
Fantastic OT9
BETTER SONGS OF THE YEAR
OTRL

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2012年7月23日 (月)

青春パンクの元祖??

Title:LOST&FOUND
Musician:JUN SKY WALKER(S)

80年代後半から90年代前半にかけて、バンドブームを代表するパンクロックバンドとして一世を風靡したJUN SKY WALKER(S)。1997年に解散をしたものの、2011年に再結成。1月には再録ベストを発売しましたが、続いて、16年ぶりとなるオリジナルアルバムがリリースされました。

今の若手パンクバンド、特に一時期ブームになった青春パンクといわれるバンドの、ルーツ的な存在としては、90年代、同じく一世を風靡したブルーハーツがよくあげられています(まあ、彼らとよくある「青春パンクバンド」とは、天と地の差だと思うのですが・・・)。ただ、青春パンクバンドとして、ストレートなルーツに感じられるのは、むしろ彼らの方に思います。前向きな歌詞やポップなメロディーラインは、2000年代の青春パンクバンドに通じるところを感じられます。

16年ぶりとなる新作も、16年前と変らないジュンスカ。タイトル曲でもある「LOST&FOUND」の前向きな歌詞は、いい意味でも悪い意味でも、青春パンクバンドや、あるいは最近のJ-POPの歌詞に通じるものを感じます。

ただ、最近のバンドと、彼らのこのアルバムでひとつ大きな違いを感じます。それは、今のバンドが前向き応援歌しか歌わないのに対して、彼らは、このアルバムの中でも権威に対して中指を突っ立てているような楽曲を歌っている点。例えば、最近のロックフェスブームを皮肉った「ロックフェス」や、アメリカに依存する日本を皮肉った「依存BABY」など。こういう「反権力」も、パンクとして手垢がついてしまっている、と言われればそうなのかもしれませんが、ここらへん、最近のバンドにはない気骨を感じました。

アルバム全体の出来としては決して悪くありません。楽曲はメロディアスでインパクトもあるし、勢いもあります。また、ベテランなだけに安定感もあります。ただ、正直、再録ベスト「B(S)T」でも感じた、同窓会的雰囲気というか、90年代の活動をそのまま再現したような内容は、これ1枚ならいいのですが、これを継続されるとちょっと辛いかも。

ジュンスカみたいなパンクって、やはり「若者の叫び」であり、年齢と大きくリンクする部分があります。例えばヒロト&マーシーのように、ずっとパンクを続けれこれば、年齢とともに味が出てきて、決して年齢に縛られない魅力を感じることが出来ると思います。ただ、彼らみたいに、途中の活動が中抜けして、再結成となると、どうしても彼らの年齢と楽曲の間のギャップが目だってしまうのが、辛い印象を受けてしまいました・・・。

これ1枚だったら、これはこれで「アリ」だと思うのですが、今後、継続して活動を続けていくのならば、ちょっと辛くなりそうだなぁ。やはり四捨五入して50歳のバンドにとっての「パンク」というのを聴かせてほしいなぁ、と思います。まあ、個人的に、最近の90年代再結成ブームには、素直にうれしく思う反面、微妙に感じる部分も多いのですが・・・。

評価:★★★★

JUN SKY WALKER(S) 過去の作品
B(S)T


ほかに聴いたアルバム

マンパワー/□□□

うーん、ここでも何度か紹介していて、感想も書いてきているのですが、やっぱり□□□(クチロロ)って、苦手かも(苦笑)。なんか狙いすぎ感が鼻をつくというのか・・・。また、今回のアルバムは、タイトル通り、「人の生の声」をテーマにしたようなアルバムになっているのですが、楽曲の中に登場する人物が、「東京に住む一般的な若者たち」ばかりがフォーカスされていて、その枠組みにあてはまらない、私みたいな身にとっては、どうも疎外感を抱いてしまいました。

評価:★★★

□□□ 過去の作品
TONIGHT
everyday is a symphony
CD

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2012年7月22日 (日)

日本への強烈なメッセージ

Title:B級映画のように2
Musician:田我流

最近、歌詞にしろサウンドにしろ、より強烈なメッセージや個性を感じられるミュージシャンが出てくるのって、ロックよりもHIP HOPのような印象を受けます。日本にしろ、アメリカにしろ。ってことは前にも書いたような気がするのですが、また、今の日本に強烈なメッセージを放つ1枚のアルバムがリリースされました。

そのアルバムを産み出したのは、田我流(でんがりゅう)。山梨県を拠点に活動するHIP HOPユニットstillichimiyaのメンバーで、このユニット名も、山梨県一宮町が、周辺町村との合併により消滅してしまうことに反対して活動を開始したことからつけられた名前だとか。それだけでも彼らの強いメッセージを感じることが出来ます。

特に強烈なのが、中盤から後半にかけての社会性の強い楽曲。「Resurrection」では「国は民を守らない」とストレートな批判をした上で、私たちに対しての強いメッセージを放っていますし、「Straight outta 138」では、政治家からメディアまで、この日本の病巣をバッサリ、ストレートなメッセージで切り捨てています。特に後半では、反原発に対してのメッセージが印象的。

67年前のボロ負けで終わったあの戦争を
やつらの夢それが原発だ間違いねー
だからもうとっくの時代遅れ
死にぞこないじじいのノスタルジー
立たなくなったチンポの代わりの
シンボルだそれが原子炉

(「Straight outta 138」より 作詞 田我流, ECD)

とある意味ユーモラスを交えた視点で、反原発を高らかに唱えています。確かに、原発に対して無条件で推進しようとしているのって、中曽根だったり石原慎太郎だったりして、この視点も納得なのかなぁ(笑)。

インタルード的に入っている「愛のテーマ」では、反TPP論で一躍知名度をあげた中野剛志氏の演説がサンプリングされていて、このメッセージもかなり強烈でした。

社会派の曲以外では、基本的に、若者の日常をリアリティーもって切り取っているのが特徴的。特に「ロンリー」では、テーマ的には、「ここではないどこかへ」という、J-POPですっかり陳腐になってしまったテーマながらも、若者の心境をするどくきり取った内容で、手に垢がついた内容ながらも、非常にリアリティーある歌詞になっています。

ただ、このアルバムが素晴らしいのは、そんな社会に対する批判や、若者の現実をリアルに切り取りながらも、その向こうに希望を感じさせるメッセージを歌っている点。特に「あの鐘を鳴らすのは、、俺」では、タイトル通り、自分の力で、明るい未来をつかみとろう(・・・文字にすると陳腐な感じがするけど)とする、力強いメッセージソングになっています。

もともと、彼の所属するstillichimiyaは、地元一宮町への愛情から産まれたグループ。このアルバムも、日本や日本人に対して、厳しい批判を繰り広げる内容になっていますが、その先には、ふるさと日本への心からの愛情を感じました。

ただ、リリックからの強い印象と比べて、トラックやラップ自体は特に目新しさは感じられず・・・といった感じ。ラップは、これだけの内容なだけに、言葉を丁寧に綴っている印象はあったのですが。まあ、もっとも、このリリックからは、それをおぎなってあまりあるパワーを感じたのは間違いないんですけどね。

東日本大震災以降の日本については、数多くのミュージシャンがそれぞれのスタンスで曲をつくってきましたが、これだけストレートで、強烈なメッセージを放ったミュージシャンは少ないのではないでしょうか。それだけ、強力なパワーを感じさせる1枚でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Schwarzenegger/[Champagne]

このアルバムで、初のベスト10ヒットを果たした4人組バンドの3rdアルバム。基本的には、「よくいるタイプのオルタナ系ギターロックバンド」という印象を受けたのですが、正統派のギターロックから、アコースティック、パンク、ガレージ、ストリングスを入れた作品など、バリエーションもあり、メロもポップで、ベスト10ヒットを記録するのもわかる感じが。

評価:★★★★

Chronology[2005-2010]/Sound Horizon

アルバム毎に物語を作る・・・というイメージがあっただけに、ベスト盤をこんなに早い段階でリリースするのは、ちょっと意外でした。ただ、フルボリュームの内容で、あれだけ音を詰め込んだアレンジの曲が続くのは、最初はよかったのですが、最後まで聴きとおすのはちょっとしんどかった・・・。

評価:★★★

Sound Horizon 過去の作品
Moira
Marchen

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2012年7月21日 (土)

誠実さを感じるドリームポップ

Title:Bloom
Musician:Beach House

Beach Houseは、アメリカの2人組ポップ・デゥオ。アメリカの著名な音楽評論サイトピッチフォークで9.1点を獲得したことでも話題になりました。

で、そんな話題の最新作。聴いてみた訳ですが、私自体、Beach Houseのアルバムを聴くのはこれがはじめて。楽曲のタイプとして、一言で言うと、ドリームポップにカテゴライズされることになるのでしょうか。シンセなどで分厚くデコレートされた、幻想的なアレンジが、非常に耳を惹きます。まあ、ちょっとひねくれた言い方をしてしまうと、いかにもピッチフォークが好みそうな・・・とも思ってしまいましたが(^^;;

ただ、ドリーミーなサウンドにつつまれた曲といっても、彼らの曲は、「歌」があくまでも前に出ていることが大きな特徴に感じました。このタイプのミュージシャンによくありがちな、サウンドにうもれてボーカルも楽器のひとつになっている、ということもなければ、非常に高音のボーカルにより、その声も幻想的な雰囲気に一役かっている、ということもなく、あくまでもメロディーラインをなぞりながら、しっかりと「歌」を歌っているスタイル。そういう意味では、ドリーミーなサウンドが特徴的ながらも、本質的には、王道のポップス路線を歩んでいる、と言えるかもしれません。

とはいえ、優しいボーカルに、ミディアムテンポのメロディーは、ドリーミーなアレンジにもピッタリマッチ。決してインパクトがあったり、派手なメロディーではないものの、聴いていていい意味で安心できる良質なポップソングを形づくっています。その優しい歌声と、メロディーラインには、ついつい聴き入ってしまいました。

圧巻なノイズで、独特の音の世界観を聴かせるとか、究極の美メロで魅了するとか、そういう感じではないのですが、とても誠実さを感じる良質なポップソングがつまったアルバム、といった感じでしょうか。ポップス好きにはお勧めしたい1枚です。

評価:★★★★★

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2012年7月20日 (金)

どちらも歌姫強し!

今週の着うたチャート

2012年7月11日~2012年7月17日付チャート

なんと、4週連続の1位を獲得しました!

今週の1位は、日本を中心に活動するロサンジェルス在住の女性シンガーChe'Nelle(シェネル)の「BELIEVE」。ついに4週連続1位を獲得。アルバムチャートでもニューアルバムが好調な彼女。着うたの枠組みに囚われず、本格的にブレイクか?

2位は、最近、テレビによく出てくる、タメ口キャラで話題のファッションモデル、ローラ「Memories」がランクイン。映画「劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ キュレムVS聖剣士 ケルディオ」主題歌という好タイアップで、楽曲は、意外と正統派なバラードナンバーで、テレビで見るイメージとは異なる印象が。ただ、シングルチャートでは初登場14位に留まり、残念ながらベスト10入りは逃しています。

3位には、今週のシングルチャートで4位にランクインしてきたケツメイシ「LOVE LOVE Summer」がランクインしてきています。

4位以下では、他に初登場が2曲。まず6位に、先週のシングルチャートで1位を獲得した、韓国のアイドルグループSS501のメンバー、キム・ヒョンジュン「HEAT」がランクイン。また、8位には、今週のシングルチャートで2位だった、ガールズバンドSCANDAL「太陽スキャンダラス」が、それぞれランクインしました。

最後に、ベスト10返り咲きが1曲。9位にAKB48「真夏のSounds good !」が、先週の11位からランクアップ。6月19日付チャート以来、4週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。

さて、今週の着うたチャートは以上なのですが、ちょっと残念なニュースが。

有料音楽配信ウィークリーチャートの休止について

という訳で、このチャート、あと2週で休止だそうです。確かに、今の日本では相変わらず着うたが強いものの、チャートにiTunes Storeの結果も反映されていないし、徐々にダウンロードの現状からかけはなれているのも事実。どれだけのチャートが出来るのかは不明ですが、とりあえずは、CDシングルチャートが単なるアイドルの人気投票となってしまった今、どれだけヒットを反映したチャートがつくれるのか、期待したいところです。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

なんと、3週連続で1位!

今週1位は、安室奈美恵「Uncontrolled」が先週に引き続き1位獲得。これで、3週連続1位を獲得となっています。やはり強いですね~。で、それ以上に強かったのが、2位。Che'Nelle「Believe」が先週の3位から、なんと順位を上げてきました。売上も、先週の2万8千枚から2万7千枚とほぼ横バイという結果に。ロングヒットを予感させる売れ方で、着うたシーンでの人気から、CD媒体への売上につなげてきた、西野カナに続くレアケースとなりそうな予感が。

初登場最高位は3位。人気声優ユニットスフィア「Third Planet」がランクイン。初動売上2万1千枚は、前作「Spring is here」の1万6千枚からアップ。アルバムでは、3作目にして、初のベスト3ヒットで、ベスト3入りは、シングル、アルバム通じて初となっています。

5位には、韓国の男性アイドルグループSUPER JUNIOR「Sexy, Free & Single」が、先週の20位からランクアップして2週目にしてベスト10入り。こちら、韓国盤のアルバムで、タイトルナンバーの日本語バージョンは、8月22日にシングルでリリース予定になっています。

6位は、藤井フミヤ「Life is Beautiful」がランクイン。前作「F'sシネマ」は14位という結果だったので、ベスト10入りは、2008年にリリースした「F's KITCHEN」以来2作ぶり。ただ、初動売上1万4千枚は、「F'sシネマ」から横バイで、低水準の今週のチャートに助けられた感じ。余談ですが、このアルバムのプロモーションで、最近、よくテレビにフミヤが出ているんですが・・・・・・ビックリするほどふけちゃってますね(^^;;なんか、急に皺が増えた感じが。特に、彼の場合、童顔で、いままで実年齢より下に見られていただけに、ふけだすと、よけい目立っちゃうんですよね・・・。

7位には、着うたチャートではよく名前を見かける、仙台を拠点として活動する女性シンガーNoaのベストアルバム「Noa's LOVE」がランクインです。ベスト10ヒットは、2009年にリリースした「LUCY LOVE -SEASON II-」以来2作目。オリジナルとして直近の「N」は、最高位18位、初動7千枚に対して、本作は1万枚とアップしています。

初登場最後は9位。4人組ロックバンドBase Ball Bear「初恋」が入ってきています。9千枚は、前のフルアルバム「新呼吸」の1万2千枚からダウン。ミニアルバムという形態が影響したのか?

今週の着うた&アルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に~。

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2012年7月19日 (木)

「堂島孝平×A.C.E」を率いての新作

Title:A.C.E
Musician:堂島孝平

堂島孝平のニューアルバムは、「堂島孝平×A.C.E」によるニューアルバム。「堂島孝平×A.C.E」のメンバーは、ボーカルの堂島孝平に、NONA REEVESの小松シゲル(Dr.)、奥田健介(G)、そして、元SUPER BADで、今は様々のミュージシャンのサポートで活躍している鹿島達也(B)の4人組となるバンドです。

今回のアルバムで、まず特徴的なのは、シンプルな4ピースバンドでの曲づくりをメインにしたからでしょうか、かなりソリッドでシンプルな音づくりをしているなぁ、といった曲づくりをしている点。音の隙間の多いようなバンドサウンドで、公式サイトのアルバム紹介でも「ニューウェイヴ、ポストパンクのサウンドスタイルにも通じる、自由自在な「痛快感」」と紹介されていますが、特にポストパンク的な部分が、堂島孝平のイメージからすると、ちょっと意外な感じにもして、特に印象に残りました。

ただ、基本的なメロディーや歌詞の世界は、いつもの堂島孝平。軽快なポップソングの「ギミラ!ギミラ!ギミラ!」に、先日発売されたベスト盤にも収録されていた「ハヤテ」、ちょっと切ない「赤と白」など、彼らしい、珠玉のポップソングが並んでいます。個人的に一番気に入ったのが「ベランダでベルリラ」で、学生時代の音楽系の部活の風景を思い出される歌詞が印象的。ノスタルジックで、切ない印象すら受ける歌詞とメロがとても印象的な曲でした。

他にも印象的だったのがユーモラスな「センタッキ!」。タイトル通り、洗濯機をそのまま歌ったファンクナンバー。まさに歌詞のリズムだけを取り出したユーモラスなナンバーで、最近で言えば、在日ファンクっぽい感じの楽曲。アルバムの中でも、ちょうどよいインパクトになっています。

全編40分弱というちょうどよい短さや、シンプルなサウンド、また、他にもタイトル曲「A.C.E」みたいなエレポップがあったりと、バラエティーもある展開で、最後まで飽きさせることなく、珠玉のポップを聴かせてくれたアルバムでした。彼もそろそろベテランの域に入るミュージシャンなのですが、全く瑞々しさを失いませんね~。ポップス好きなら、無条件でお勧めしたい傑作です。

評価:★★★★★

堂島孝平 過去の作品
UNIRVANA
VIVAP
Best of HARD CORE POP!


ほかに聴いたアルバム

カジツ/Qomolangma Tomato

新メンバー加入後、初となる、約3年ぶりのニューアルバム。基本的にシンプルなギターロックなのですが、シンプルなだけに、奥深さを感じるバンドサウンドと、独特なボーカルの声色に、時折ポエトリーリーディングを混ぜる手法が、彼らにしかない世界観を作り出している感じが。いままでのアルバムは、成長の途上といった印象だったのですが、徐々に、彼らの個性を確立しつつあることを感じさせる1枚。

評価:★★★★★

Qomolangma Tomato 過去の作品
Limelight Blue on the Q.T.
camouflage

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2012年7月18日 (水)

一転、新譜にアイドル系は少なめ

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

先週、先々週と、アイドルの新譜が多くランクインしてきましたが、一転、今週の新譜は、アイドル系以外が目立ちました。

ただし、1位はアイドル。おなじみ東方神起「ANDROID」が1位獲得。今風のエレクトロダンスチューン。初動売上は15万2千枚。前作「STILL」の13万8千枚からアップ。前々々作「Superstar」の15万8千枚の水準に戻してきました。

で、2位3位も初登場でしたが、いずれもバンド系。2位はSCANDAL「太陽スキャンダラス」。まあ、彼女たちも半分以上アイドルみたいなものですが・・・。夏らしいアップテンポで爽やかなポップスロック。初動売上3万1千枚は、前作「HARUKAZE」の2万5千枚よりアップ。伊藤園「Stylee Sparkling」のCMソングとなっています。

そして3位はflumpool「Because...I am」。こちらはシャープ「au AQUOSPHONE CL IS17SH」CMソングと日テレ系「スッキリ!」テーマ曲のダブルタイアップ。こちらもポップなギターロック。ただし、初動売上2万8千枚は、前作「Present」の3万3千枚からダウン。ここ数作、3万枚前半の初動売上で推移していただけに、ちょっと気になるダウン。

続いて、4位以下の初登場ですが、まず4位にケツメイシ「LOVE LOVE Summer」が入ってきました。約1年ぶりのシングルで、ベスト盤発売後、初となるシングル。avex移籍第1弾シングルって、彼らもavexに移籍したんですか。彼ららしい、爽やかで、ちょっとユーモラスなサマーチューン。初動売上2万枚は、前作「こだま」から横バイ。

6位には人気声優茅原実里「ZONE//ALONE」がランクイン。テレビアニメ「境界線上のホライゾンII」オープニングテーマ。初動売上1万1千枚は、16位に終わった前作「Celestial Diva」の6千枚より大幅アップ。ベスト10入りは、前々作「TERMINATED」以来。ストリングスを効果的に使ったダイナミックなアレンジの作風で、アニソンらしい楽曲といった感じ。彼女は、楽曲により売上が上下していて、ベスト10ヒットは、固定ファンによるというよりも、タイアップ効果によるところが大きい模様。

今週は、初登場はもう1曲。7位にゴスペラーズ 「It's Alright ~君といるだけで~」がランクインしています。初動売上1万1千枚は、前作「BRIDGE」から横バイ。あいからずの美しいコーラスラインを聴かせてくれますが、基本的には夏らしい、爽やかで明るいポップチューン。コーラスを聴いて一発でゴスペラーズとわかる作品になっており、いい意味での安定感を感じさせてくれます。

今週のシングルチャートは以上。アルバム&着うたチャートは金曜日に~。

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2012年7月17日 (火)

懐かしい名前から新進気鋭のバンドまで

Title:代沢時代~Decade of Daizawa Days~

私が20代半ばで、今よりももっと、下北近辺で活躍しているギターロックバンドを聴いていた頃、「おもしろいギターロックバンドがいるな」と思えば、大抵はDAIZAWA RECORDS所属でした。

・・・・・・まあ、「典型的な下北系って感じでつまんないな」ってバンドも、大抵はDAIZAWA RECORDS所属だったんですが(^^;;

下北沢のインディーレーベル「UKプロジェクト」の傘下レーベル、DAIZAWA RECORDS。タイトル通り、2001年に発足し、昨年でちょうど10周年となったのですが、それを記念したレーベルコンピが発売されました。

Syrup16gやSPARTA LOCALSといった懐かしい名前から、これからに期待の、新進気鋭のミュージシャンまで17組が名前を並べたコンピ。これぞ、DAIZAWA RECORDSの歴史だ!というには、若干物足りない気もするのですが、それでも下北インディーロックのコンピとしては、とても豪華な顔ぶれになっています。

今はなき、Syrup16gやSPARTA LOCALSは、やはりいいなぁ~、とあらためてしんみりしつつ。ただ、全体的には、どうも絶賛できない部分も。悪くはないんだけど、よくありがちで、今ひとつ突き抜けていない・・・と、下北系のインディーロックバンドに、よく感じてしまう感想を抱いてしまう曲もチラホラ。自由度も高いけれども、いい意味でも悪い意味でも洗練されていない、良くも悪くも「インディーズ」だなぁ、と感じてしまいます。

とはいえ、THE NOVEMBERSなんかは、非常に独特のギターサウンドを出しており、おもしろさを感じましたし、若手組で一番良かったのが、きのこ帝国。以前から名前だけは知っていたのですが、これでもかというほどの幻想的なシューゲイザーサウンドは、個人的に壺。一気にはまってしまいました。

そんな訳で、昔のバンドに懐かしがるもよし、新たなバンドを発掘するもよし。下北系ギターロックバンドが好きなら、間違いなく抑えておきたい1枚。良く言えば若くて自由、悪く言えば、学生ノリの延長な部分を感じるんですが、そうういう「インディーっぽさ」もまた、大きな魅力なんですよね。ここに参加しているバンドに、好きなバンドが1、2組あれば、間違いなくはまるコンピだと思います。

評価:★★★★


猫PACK2/黒猫チェルシー

で、彼らもDAIZAWA RECORDSの親レーベル、UKプロジェクト出身なんですよね。「猫PACK」に続いて、いわゆる彼らの初心者向け企画盤的アルバム。全編、ガレージロックの曲が6曲。「猫PACK」と同じく、6曲だけでは、「初心者向け」といっても、全貌がわかりにくいのでは?正直なところ、あまり印象に残らず・・・。

評価:★★★

黒猫チェルシー 過去の作品
All de Fashion
猫Pack
NUDE+

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2012年7月16日 (月)

2枚の傑作アルバムとは異なる魅力が

Title:EP's 1988-1991
Musician:My Bloody Valentine

1988年にアルバム「Isn't Anything」、1991年に「Loveless」と2枚のアルバムをリリース。そのサイケデリックで甘美なフィードバックノイズで、多くのロックリスナーをとりこにし、「シューゲイザー」と呼ばれる音楽のジャンルに絶大な影響を与えたバンド、My Bloody Valentine。その後、事実上の活動休止状態となり、「伝説のバンド」と化していたのですが、2008年にまさかの復活。フジロックにも来日し、大きな話題となりました。

そして今年、その2枚のアルバムがリマスターされて、再発売されたのですが、それと同時にリリースされたのがこのアルバム。このアルバムは、タイトル通り、1988年から1991年の間にリリースされたEPを集めた音源。いまとなっては入手がかなり困難になってしまった貴重な音源を収録しており、ファンとしては、待ちに待ったコンピレーションアルバムといったところです。

このEP集が非常におもしろいのは、「Isn't Anything」と「Loveless」という2つのアルバムでは捉えきれないマイブラというバンドの広い音楽性を捉えているところでしょう。クリエイション移籍後初となるEP「You Made Me Realize」では、フィードバックノイズの嵐に、一般的なマイブラらしさを感じるのですが、どこかガレージパンクっぽかったり、爽やかなポップソングになっていたり。クリエイション移籍前のマイブラは、シューゲイザーとはほど遠い、サイコビリ色の強いバンドだったそうですが、最初期から「Isn't Anything」への間の音楽性の模索を感じられて、非常に興味深い内容になっています。

その後の「Feed Me With Your Kiss」EPや「Glider」EP、「Tremolo」EPなど、2枚のフルアルバムの前にリリースされたEPは、アルバム収録曲もありつつ、マイブラのイメージを保ちながらも、アルバムとは微妙にベクトルが違う楽曲なんかも入っていたりして、ここらへんも、アルバムではおさまりきらない彼らの世界が垣間見れるのがとても楽しいところでしょう。

個人的におもしろかったのが、「Instrumetal No.2」「Instrumental No.1」と名づけられた2つの曲。「Isn't Anything」のLP盤のファーストプレス5,000枚にのみつけられた激レア音源なのですが、「Instrumetal No.2」では、ブレイクビーツの要素も取り入れたHIP HOP的なナンバーで、ケヴィン・シールズの興味が、この方向もあったことを伺わせつつ、ひょっとして、マイブラがそのまま活動を続けてたら、こちらの方向に進んでいったのかも?と想像してしまったり。あるいは「Instrumental No.1」は、荒々しいインディーロックに、ひょっとしたら、こちらの方向に進んでいたかも?なんてことも想像したり。かなり実験的な作品なだけに、想像力が膨らんでしまいます。

ファンならば、絶対に聴くべきアルバム。ファン以外ならば、まず2枚のアルバムを聴いてから、になるので、お勧め度は低いのですが・・・。ただ、このアルバムで、2枚の傑作アルバムに至る過程を想像できたり、あるいは、もし活動休止しなければ、マイブラが進んでいた方向を勝手に(笑)想像できたりして、ファンとしては、たまらないアルバムでした。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

AWESOME AS F**K(邦題:最強ライヴ!)/GREENDAY

「21st Century Breakdown」発売後に行われたライブツアーからハイライトを収録したCD音源と、2010年1月のさいたまスーパーアリーナでのライブの模様をおさめたDVDのついたライブ盤。国内盤の場合、歌詞にまで字幕がついているのがうれしいところなのですが、歌詞カードを読んで、一応、どんな内容かは知っていたのですが、ライブ映像を見ながら、歌詞の内容がわかると、なんか、すごく反権力的に煽った内容だなぁ、ということをあらためて感じます。つーか、これ、歌詞の内容をわかるかわからないかで、ライブの印象がかなり異なりそうな。そういう意味で、言葉の壁を強く感じました。

評価:★★★★

GREEN DAY 過去の作品
STOP DROP AND FALL!!!(FOXBORO HOTTUBS)
21st Century Breakdown

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2012年7月15日 (日)

ポップなスカパラの集大成

Title:Walkin'
Musician:東京スカパラダイスオーケストラ

ここ数年、すっかりポップス路線に舵を切ったスカパラ。その方向性には賛否がわかれました。まあ、さすがに、もう、ポップス寄りに否定的なファンは離れてしまった感はあるのですが・・・。

フルアルバムとして前作となる「WORLD SKA SYMPHONY」では、奥田民生、Crystal Kay、さらに斉藤和義という、豪華なゲストミュージシャンが目立った作品でした。それに対して、本作も多くのゲストが参加。ただ、今回は、あまりゲストを前面に押し出した、という感じではありません。うち、上原ひろみと菊地成孔は、以前のミニアルバム「Goldfingers」にも収録されていた曲ですしね。

しかし、そのゲストが、EGO-WRAPPIN'の中納良恵に、FISHBONEのAngelo Moore、さらには、ヨーロッパや中南米などの非英語圏で絶大な支持を得ているMANU CHAOが参加(日本でも昨年、フジロックに参戦し、話題となりました)。ヒットチャートの王道系といった感じではありませんが、かなり豪華なゲストが話題となっています。

ただ、ゲストは比較的「通好み」な雰囲気があるのに対して、アルバム全体としては、かなりポップな作品になっている印象を受けます。映画「ワンピース」の主題歌にもなった「Break into the Light~約束の帽子~」という、メロがインパクトのある曲が事実上の1曲目になっており、それ以降も、基本、スカをベースにしながら、十分、ヒットチャートで戦えるような、ポップな曲が続きます。

ただし、ただ単純にキャッチーなメロの曲、という訳ではなく、「Hungry Beast」みたいに怪しげなナンバーがあったり、中納良恵がボーカルを取るメロウなポップチューン「縦書きの雨」などバリエーションが豊富。上原ひろみのピアノがアクセントとなっている「水琴窟-SUIKINKUTSU-」など、ゲストがいい味を出しており、非常にバリエーションのある内容になっていました。

ポップに舵を取ったスカパラに関しては、賛否が分かれるものの、このアルバムは、そんな現時点でのスカパラの集大成のアルバムのように感じます。だからといって、ポップになって離れていってしまったかつてのファンも是非、という感じではないのですが・・・ただ、このアルバムが傑作であることは間違いないかと思います。これからも、ますますの活躍を予感させてくれる、彼らの実力を感じさせてくれた1枚でした。

評価:★★★★★

東京スカパラダイスオーケストラ 過去の作品
Perfect Future
PARADISE BLUE
WILD SKA SYMPHONY
Goldfingers
HEROES
Sunny Side of the Street
on the remix


ほかに聴いたアルバム

淡雪/遊佐未森

2年半ぶりとなるニューアルバム。独特の雰囲気は相変わらずながらも、全体的にポップな曲調。ただ、後半になればなるほど、より幻想的な雰囲気の曲が増え、その音の世界がよりクリアになった印象が。自分が高校生の頃から変らないスタイルなのですが、マンネリさはあまり感じず。やはり、個性的な強い世界観を持ったミュージシャンは強いですね。

評価:★★★★

遊佐未森 過去の作品
銀河手帖
Do-Re-Mimo~the singles collection~

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2012年7月14日 (土)

COILらしさが凝縮

Title:カセットミュージック
Musician:COIL

オフィスオーガスタ所属のミュージシャンたちによるユニット、福耳の一員であり、その福耳にも多くの楽曲を提供している2人組宅録ユニットCOIL。昨年は、3枚のミニアルバムをライブ会場と通販限定で発売していましたが、久しぶりに一般発売でのアルバムがリリースされました。

今回のアルバムは2004年から2005年にかけて、ライブ会場限定で、カセットテープという形態で発売された作品をCD化してアルバムにまとめたもの。既に入手困難であるため、リアルタイムでカセットを入手できなかった方にとっては、とてもありがたい作品ということになりそう。

ラヴィン・スプーンフルならぬ「ラヴィン・フルーツフル~恋する果実~」やら、MOGWAIならぬ「MAGWAI」やら、タイトルだけで、ユーモラス感覚あふれる楽曲が並んでいます。ただ、ライブ会場限定で発売されていた作品なだけに、楽曲自体も、「売れる」ことを全く前提としていない、自由度の高い作品が並んでいます。

例えば、その「ラヴィン・フルーツフル~恋する果実~」は美しいメロディーを聴かせるフォーキーなポップソングかと思えば、「MUJINA」のような、非常にアバンギャルドな、エレクトロニカのインストナンバーやポストロック風の「J・B(ジングルベル)」みたいな曲があったり。「ヒア・カムズ・ザ・サンタ」みたいな、ヒットチャートも狙えそうな、軽快なポップナンバーがあったり、かと思えば、続く「きよしこの夜」は、おなじみのクリスマスソングを、浮遊感ある不思議な雰囲気でカバーしていたり。前述の「MAGWAI」はハードロック調だったり。

ユーモアさという側面でも、まるでTUBEのサマーソングみたいなタイトルの「嗚呼、夏休み 2005」なんかは、タイトルのイメージと異なり、陰気な雰囲気の曲だったりするのが、COILらしいひねくれさがとてもユニーク(笑)。当初はライブ会場のみで販売していた、あくまでもファン向けの作品ということもあり、彼らの好き勝手になっている感が強く出た作品になっています。

じゃあ、だからといって、熱心なファン以外には勧められないか、と言われれば、そんなことは全くなく、アルバムの大半を占めるのは、彼らのメロディーセンスがフルに発揮された、珠玉のポップソング。それだけに、小難しいアルバムでは決してなく、ファン以外に対しても、十分薦められる、ポップアルバムに仕上がっていました。

ある意味、COILのいろいろな側面をつめこんだ、という点では、むしろ初心者にこそお勧めできる作品かも??まあ、さすがに実験的要素で、少々引かれてしまい危険性も高いのですが(^^;;

評価:★★★★★

COIL 過去の作品
ギャルソン
Vitamin C
ソナチネ
ボサノバ
カフェラテ


ほかに聴いたアルバム

光の通り道/熊木杏里

デビューから、10年となる熊木杏里のニューアルバム。フォーキーな作風が心に染みるようなポップソング。前作「and...life」は、後半、ダレてしまったのですが、本作は、派手さはないものの、いい意味で安定感を感じ、最後まで楽しむことが出来ました。ここ最近、こういうタイプの女性シンガーソングライターが珍しくなってしまったような感が。それだけに、がんばってほしいところですが。

評価:★★★★★

熊木杏里 過去の作品
ひとヒナタ
はなよりほかに
風と凪
and...life

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2012年7月13日 (金)

着うた、アルバムどちらも先週と1位は変らず

今週の着うたチャート

2012年7月4日~2012年7月10日付チャート

着うたチャートは、これで3週連続、1位2位が動きませんでした。

1位は、日本を中心に活動するロサンジェルス在住の女性シンガーChe'Nelle(シェネル)の「BELIEVE」で、これで3週連続1位を獲得。今週、アルバムチャートでもニューアルバムが上位にランクインしてきています。なお、その影響か、彼女の曲がもう1曲「Baby I Love You」が、先週の21位から8位にランクアップ。昨年の11月15日付チャート以来のベスト10返り咲きとなります。

また、少女時代「PAPARAZZI」がこちらも3週連続で2位に、3位は桑田佳祐「愛しい人へ捧ぐ歌」が、先週の10位からランクアップしています。

4位以下ですが、今週は初登場がわずか1曲。それも、かなり懐かしい名前なのですが、伊藤由奈「Precious」が、今週9位にランクイン。2006年のヒット曲ですね。映画「LIMIT OF LOVE海猿」の主題歌で、映画「BRAVE HEARTS 海猿」公開の影響で、こちらもランクアップしてきた模様。

他に今週は、ベスト10圏外からのランクアップ曲が2曲。4位に東方神起「ANDROID」が先週の28位から、6位にACE OF SPADES「WILD TRIBE」が先週の11位から、いずれも初登場から2週目にしてベスト10入りです。

東方神起は、7月11日にリリースされたシングルからの先行配信。ACE OF SPADESは、ボーカルにEXILEのTAKAHIRO、ギターにGLAYのHISASHI、ベースにあのTOKIE嬢、そしてドラムスにTHE MAD CAPSULE MARKETSのMOTOKATSU MIYAGAMIという、豪華なんだけど、なんでこの組み合わせ?というバンド。8月22日にシングル発売予定なのですが、それに先駆けての配信となっています。楽曲は、バンドサウンドは、確かにヘヴィーでカッコいい感じなのですが、メロディーはベタなJ-POPといった感じ・・・。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週は、比較的新譜の少ないアルバムチャートになりました。

まず1位は、安室奈美恵「Uncontrolled」が先週に引き続き、2週連続1位を獲得。強さを見せ付けました。また、先週2位のGReeeeN「歌うたいが歌うたいに来て 歌うたえと言うが 歌うたいが歌うたうだけうたい切れば 歌うたうけれども 歌うたいだけ 歌うたい切れないから 歌うたわぬ!?」が2位にとどまり、1位2位が先週と変らず、という結果になっています。

ベスト3のうち唯一の新譜が3位。Che'Nelle「Believe」がランクインです。着うたではご存知、ロサンジェルス在住のシンガーながらも、基本的に活動の拠点は日本という彼女。初動売上も2万8千枚で、カバーアルバムである前作「Luv Songs」の1万枚を大きく上回りました。今週の着うたチャートでは、1位を獲得したのをはじめ、ベスト10に2曲をランクインさせていますが、アルバムチャートでも見事ベスト10入りしてきました。

4位以下の初登場は、まず4位。男性アイドルグループw-inds.「MOVE LIKE THIS」が入ってきています。初動売上は2万2千枚。オリジナルとしての前作「Another World」の1万9千枚からアップ。直近で発売したベスト盤「w-inds. 10th Anniversary Best Album-We dance for everyone-」「w-inds. 10th Anniversary Best Album-We sing for you-」の1万5千枚も上回る、好セールスとなりました。

9位には、アメリカの人気R&BシンガーCHRIS BROWN「Fortune」がランクインしています。アメリカでは絶大な人気を誇る彼ですが、前作「F.A.M.E.」は最高位25位、その時の売上が4千枚という、日本では散々な結果になったのですが、このアルバムでは初動9千枚と倍増。初のベスト10ヒットとなりました。

最後、10位には、テレビアニメ「黒子のバスケ」のドラマCD「TVアニメ『黒子のバスケ』CDドラマシアター 第一ゲーム たまにはいいと思いますよ」がランクインしてきています。

今週の着うた&アルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に~。

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2012年7月12日 (木)

幻想的な世界

Title:valtari(邦題:ヴァルタリ~遠い鼓動)
Musician:Sigur Ros

メンバーに、次々と子供が出来たことにより、活動休止状態となっていたシガー・ロス。その間、時間を持て余したヨンシーによるソロ活動があり、アルバムもライブも絶賛を集めましたが、本体、シガー・ロスも活動を再開。約4年ぶりとなるニューアルバムが完成しました。

アコースティックなサウンドがメインとなっていた前作「残響」から一転、今回の作品は、非常にアンビエントな作風に仕上がっています。美しく、静かなピアノの音色や合唱、また、サンプリングした音も、実に幻想的な雰囲気になっています。

今回のジャケット写真は、蜃気楼か何かでしょうか?遠くに、浮遊するかのような船の姿が、どこか現実ばなれした印象を与えるのですが、今回のアルバムも、そんな聴いているだけで、どこかに飛んでいってしまいそうな、神秘的で、幻想的な空気を存分に感じられます。

ただ、このアルバム、幻想的な作品ですが、そんなに難解さは感じられませんでした。ゆっくりと椅子かソファーに腰掛けながら、目をつぶって、このアルバムを聴けば、すんなりと耳に入ってきて、心の奥に溶け込んでくるような、そんなアルバムに感じます。確かに、真新しさ、斬新さという面では、少々劣る部分があるのかもしれませんが、聴いていて、アルバムの世界にどっぷりとつかれる作品であり、間違いなくリスナーの心に届いている傑作だと思います。まずは何も考えず、この世界にひたりたい、そう感じた1枚でした。

評価:★★★★★

Sigur Ros 過去の作品
Með Suð Í Eyrum Við Spilum Endalaust(残響)

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2012年7月11日 (水)

ベスト5はアイドル系の新譜

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

先週もアイドル系が多かったチャートでしたが、今週のシングルチャートもベスト5全てがアイドル系。それも初登場となっています。

まず1位。韓国のアイドルグループSS501のメンバー、キム・ヒョンジュン「HEAT」が獲得しました。初動売上18万3千枚は、前作「KISS KISS」の10万枚より大幅アップ。ただし、これは、CDを5種類すべて購入すると、先着でさいたまスーパーアリーナのライブへ招待されるなどの複数枚買いを誘う戦略が功を奏した影響とみられます。もう、シングルチャートは、いかにファンに複数枚買いをさせるかの勝負になっていますね(苦笑)。

ちなみにこの曲、作詞は稲葉浩志、作曲は松本孝弘というB'zメンバーによる楽曲提供。ただ、楽曲はB'zっぽいというよりも、90年代のビーイング系っぽい雰囲気。なお、公式サイトなどでは盛んに「B'zが楽曲提供するのは初」とうたっていますが、坪倉唯子に(B.B.クイーンズの女性ボーカリストですね)「GO-GO-GIRLS」という曲を提供しているので、「初」というのはどうなんでしょうか?

2位はジャニーズ系、山下智久「LOVE CHASE」が入ってきました。フジテレビ系アニメ「トリコ」主題歌。MONKEY MAJIKプロデュースによるユーロビート調のナンバーが、ちょっと韓流っぽい雰囲気。複数枚買いでイベントに参加できるなど、こちらも露骨なプロモーションを展開しましたが、初動売上は11万8千枚。前作「愛、テキサス」の12万6千枚を下回り、チャートでも2位に終わる惨敗となりました。

3位はモーニング娘。「One・Two・Three」がランクイン。ちょっと今風のエレクトロっぽいナンバー。初動売上は10万枚で、前作「恋愛ハンター」の4万1千枚から大幅アップしています。これは、今回、握手会参加券付きで販売したものの、握手できるメンバーがランダムに決められていて、お目当てにあたるまで複数枚買わざるを得ない戦略によるところが多い模様。つーか、ベスト3共に露骨な複数枚買い戦略ってのはどう考えても正常な状況じゃあないと思うんですが、それで初動売上を2枚以上に押し上げるモーニング娘。は、まだまだ根強い人気があるんだなぁ、とポジティブに捉えられる反面、もう、そういう言われるがまま複数枚買いをいとわない、コアなファンしか残っていないんだ・・・とも思ってしまいました。

4位はavexの女性アイドルグループSUPER☆GIRLS「プリプリ SUMMERキッス」がランクイン。初動売上7万1千枚は、前作「1,000,000☆スマイル」の3万6千枚から大幅アップ。こちらも、もう特典が多すぎてわけわからなくて、公式サイトでは一覧表にまでなってしまっています。ただ、前作も多くの特典がついていたので、大幅増は、イトーヨーカドーのCMタイアップ効果もあったのかも。

そして5位も韓流男性アイドルグループ、2PMと2AMのコラボレーションユニット、2PM+2AM ‘Oneday' による「One Day」が入ってきています。初動売上は5万4千枚。2AMの直近シングル「電話に出ない君に」の1万6千枚は大きく上回りましたが、2PMの直近シングル「Beautiful」の14万1千枚は大きく下回ってしまいました。

アイドル系の初登場はここまで。6位7位は、アニソンが並んでいます。テレビ東京系アニメ「ゆるゆり♪♪」のオープニング七森中☆ごらく部「いぇす!ゆゆゆ☆ゆるゆり♪♪」が6位、「100%ちゅ~学生」が7位にそれぞれランクインしています。

初登場はあと2曲。8位にはSAKEROCKのメンバーであり、俳優としても活躍している男性シンガーソングライター星野源「夢の外へ」がランクイン。資生堂アネッサ2012CMソングで、初動売上2万5千枚は、前作「フィルム」の1万5千枚から大幅アップ。確実に人気を伸ばしています。

そして最後9位には、TakamiyことTHE ALFEE高見沢俊彦のソロシングル「ULTRA STEEL」が入ってきています。初動売上1万5千枚は、前作「黄金龍王」の1万6千枚からほぼ横バイ。テレビ東京系「ウルトラマン列伝」主題歌。彼らしい、ドラマチックな曲調は、特撮の主題歌にもピッタリマッチしている感じが。

今週のシングルチャートは以上。着うた&アルバムチャートは金曜日に~。

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2012年7月10日 (火)

宇宙船ミッチー号

Title:銀河伝説
Musician:及川光博&THE FANTASTIX

先日のワンマンライブの時には、まだ聴いていなかったミッチーのニューアルバム。遅ればせながら、ようやく聴きました~。いやぁ、これが楽しいのなんの!今回のアルバムは、宇宙をテーマとしたコンセプトアルバム。9曲入りなのですが、うち、1曲はイントロ、もう1曲(?)はミニドラマ(コント?)なので、事実上、7曲入りというミニアルバム。ただ、短い内容の中で、ミッチーの魅力がしっかりとつまった作品のように感じました。

よくよく考えれば、例えば彼の代表曲に「悲しみロケット2号」という曲がありますし、宇宙とミッチーというのは、イメージ的にもむすびつきやすい感じ。そういう意味では、宇宙というコンセプトを全面的に前に押し出した今回のアルバムも、イメージ的には何ら違和感ありません。

楽曲も、まさにミッチーらしい曲がつまっていて、王道のJ-POP的な「この宇宙にあなたは一人しかいない。」や、ファンキーな「今夜はファンタスティック!!」に、ディスコチックな「イケナイ関係」、昔のヒーローモノのテーマ曲を彷彿とさせるようなユーモラスな「怪傑ミッチーのうた」なんかも、彼らしい遊び心あふれる曲といった感じでしょうか。

最後の「星空ダイアモンド」は爆風スランプのカバーなのですが、リズムから感じられるファンクの要素といい、それでいて、あくまでもポップなメロといい、ミッチーの曲といっても違和感がないカバーに仕上がっていて、アルバムの中でも全く不自然さがありません。この選曲センスもさすがです。

全30分程度という短さなのですが、王道ポップあり、ファンクあり、ディスコあり、ヒーローモノあり、ハードロックあり、真面目な曲からユーモラスな曲まで、いろいろな側面からミッチーらしさを凝縮している作品でした。ミッチーといえば、今年3月まで、ドラマ「相棒」に出演していて、その知名度はグッと上がったと思うのですが、残念ながら、CDセールスにはあまり結びついていない模様・・・でも、このアルバムを、「相棒」でミッチーを知った方に聴いてもらえば、ミュージシャン及川光博の魅力もよくわかるのでは?30分程度の長さも、最初の1枚としてはちょうどいいし。お勧めです。

評価:★★★★★

及川光博 過去の作品
RAINBOW-MAN
美しき僕らの世界
喝采


ほかに聴いたアルバム

Tomorrow/岡本真夜

かつて大ヒットした彼女の代表曲をタイトルとした新作は、東日本大震災を受けてリリースされた作品。もともと「前向き応援歌」が多かった彼女ですが、今回のアルバムでは、よりその傾向が顕著に。そういう意味では、良くも悪くも彼女らしいアルバムで、大いなるマンネリといった感じも。ただ、震災被害に対して、「涙の数だけ強くなれるよ」という歌詞は、ちょっと違うのでは?と思わなくもないのですが・・・。

評価:★★★

岡本真夜 過去の作品
seasons
Crystal Scenery II
My Favorites
Close To You

KATHARSIVILIZATION/DOES

DOESの新作は、いままでのイメージがグッと変わりました。いままで、比較的暗い雰囲気の曲が多かったのに対して、カラッと明るいポップなナンバーになっています。そのため、最初聴いた時は、耳を惹きますし、前向きでわかりやすい内容ながらも、最近のJ-POPみたいな単純な「応援歌」になっていない歌詞も、印象に残ります。ただ、いかんせんいままでのアルバム同様で、メロがちょっと平凡で、インパクトがあるだけに、最初は惹き付けられるものの、徐々に飽きてしまう感が・・・。

評価:★★★

DOES 過去の作品
SUBTERRANEAN ROMANCE
THE WORLD'S EDGE
SINGLES
MODERN AGE
FIVE STUFF

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2012年7月 9日 (月)

TOKYO No.1 SOUL SETの良さがつまった作品

Title:Grinding Sound
Musician:TOKYO No.1 SOUL SET

途中、ベスト盤や、コラボ曲集などの企画盤のリリースはあったものの、アルバムとしては、3年ぶり。ちょっと久々となる、TOKYO No.1 SOUL SETのニューアルバムがリリースされました。

これは、一番最近聴いた「TOKYO No.1 SOUL SET」がらみの作品が、渡辺俊美のソロプロジェクトTHE ZOOT16のベスト盤だったからかもしれませんが、渡辺俊美のラテン調の哀愁あるボーカルと、BIKKEのラップの組み合わせは、やはり最高だなぁ、ということを感じます。特にTHE ZOOT16は、ちょっとくど過ぎるように感じたので、そういう意味でも、TOKYO No.1 SOUL SETは、もちろん川辺ヒロシのトラックによるところも少なくないのでしょうが、本当にバランスのよいユニットであることを、あらためて実感しました。

特に今回は、ちょっとマンネリ気味にすら感じた前作「Beyond The World」を払拭するかのように、バラエティー溢れる作風になっているように感じました。ダンサナブルな「Runaway」や、歌謡曲ばりの「アナタヲ」など、哀愁たっぷりのメロディーは相変わらずなれど、1曲1曲、それぞれの曲に個性があり、最後まで飽きずに楽しめます。

さらに、そんな曲の中で、特に目立つのがアコースティックな「春は、今、、」。わが子の成長を、親の目線から描いたこの曲は、とても暖かみを感じ、笑顔になるようなナンバーでした。逆に「Sound Of Love」は、都会の中で孤独を歌ったナンバー。この曲もこの曲で、都会で一人暮らしをしてみた身としては、心に強く残る楽曲になっていました。ここらへん、暖かさも寂しさも、人の心をしっかり描きながらも、どこか優しさを感じさせるのが、彼ららしいところですね。

TOKYO No.1 SOUL SETの良さが、よくあらわれている傑作だったと思います。前作が、ちょっといまひとつだっただけに、心配していたのですが、そんな心配、全く不要だったみたいですね。まだまだ、これからも名曲をつくってくれそうです!

評価:★★★★★

TOKYO NO.1 SOUL SET 過去の作品
No.1
Beyond The World
Best Set
全て光


ほかに聴いたアルバム

歌窈曲/一青窈

一青窈の新曲は、全編、歌謡曲のカバー。ちあきなおみの「喝采」や、奥村チヨの「終着駅」など、歌謡曲は歌謡曲でも、まさに「昭和歌謡!」といった感じの曲が並んでいます(中島みゆきの「時代」や「竹田の子守唄」は、「歌謡曲」といってしまっていいのか微妙な気もしますが)。で、この昭和歌謡って、ねちっこい一青窈のボーカルに、思った以上にはまっているんですよね。まあ、突飛なアレンジはなく、原曲の新たな側面を発見できるカバーというのはなく、原曲の良さに助けられている面も否定できないものの、逆にシンプルなカバーにしたからこそ、原曲の良さがよく出ているカバーアルバムでした。

評価:★★★★★

一青窈 過去の作品
key
花蓮街

夢の続き/古内東子

古内東子の新作は、これぞ古内東子ワールド!といった感じ。あいかわらず片想い&失恋のオンパレードで、悲しい女心を歌い上げる内容は、はっきりいってしまえばマンネリなんですが、もう彼女は、一種の「芸」になってきているなぁ。大いなるマンネリといった感じか。

評価:★★★★

古内東子 過去の作品
IN LOVE AGAIN
The Singles Sony Music Years 1993~2002
Purple
透明

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2012年7月 8日 (日)

7月の新譜に先立ち・・・

Title:The Lost Tape
Musician:50 Cent

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7月に待望のニューアルバムのリリースを発表した、アメリカの人気ラッパー、50 Cent。それに先立ち、ミックステープを発表しました。というわけで、さっそくダウンロード。このミックステープも、発表後すぐにダウンロード数が20万件を突破するなど、根強い人気を見せ付けています。

今回の作品は、彼を発掘した恩人であるEMINEMや、Snoop Doggなども参加した豪華な作品。50 Centといえば、ハードな作風と思わせつつも、実は意外とポップな作風が楽しめる、というイメージがあるのですが、このアルバムも、まさにそんなイメージ通りの作品。ヘヴィーな作品に、HIP HOPらしい「ヤバさ」を感じつつも、アルバムを通して聴くと、意外とポップで聴きやすいという印象を強く受けました。

特に、序盤は、かなり暴力的な雰囲気を感じさせる作品(いや、日本語詞がわからないので、本当に「暴力的」なのかはわからないのですが)。特にEMINEMが参加した「Murder One」など、タイトルその通り、かなりの危なさを感じさせる曲でした。

ただ中盤は、「I Aint Gonna Lie」「Complicated」などメロディアスな感触の曲が多く、かなり聴きやすい展開に。その後も、楽曲ごとに、バリエーションあるトラックと、意外とポップな作品が並び、とても聴きやすい1枚だったと思います。

全15曲入りながらも40分程度という短さも、曲のテンポがよくなり、かつ、アルバム全体としてまとまりがよくなっていたように感じます。そういう点でも、非常にバランスの良さを感じます。7月のアルバムも期待できそうなミックステープでした。

ダウンロードは、こちらのサイトから出来ますよ~。

評価:★★★★★

50 Cent 過去の作品
War Angel LP
Forever King

BEFORE I SELF DESTRUCT(ビフォア・アイ・セルフ・デストラクト~自我崩壊の日)


Rolling Papers/Wiz Khalifa

で、こちらもアメリカで人気のラッパーの作品。全米2位の大ヒットを記録したそうです。先日聴いたミックステープがよかったので、こちらも聴いてみました。確かに、ミックステープでも、ポップでメロウな作品が多かったのですが・・・ちょっとこのCDまで行くと、ベタすぎというか、ポップス寄りすぎないかなぁ?「Taylor Allderdice」ほどは、楽しめなかったなぁ、といのが正直な感想。

評価:★★★

Wiz Khalifa 過去の作品
Taylor Allderdice

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2012年7月 7日 (土)

踊る分には楽しそうですが

Title:Wonderland
Musician:Steve AOKI

日本でも人気のDJ、Steve AOKIの、初となるオリジナルアルバム。人気レーベルDIM MAKのオーナーでもあるそうなのですが、もともとは、アメリカでレストランチェーン「BENIHANA」を成功させた実業家青木廣彰のご子息だそうで、正真正銘のおぼっちゃまですね。

楽曲は、全編エレクトロ。かなりビートの強いサウンドの曲が多く、フロアで聴くと、自然に身体が動き出しそうな感じ。壺をついたサウンドは、小難しさ一切なし。WeezerのRivers Cuomoを迎えたロックテイストの強い「Earthquakey People」やら、ゲーム音楽っぽい雰囲気の「Livin My Love」、他にもラップが入ったりハードコア風の曲があったりと、どちらかというと比較的、ロック寄りかな?誰でも素直にはまれる楽曲ばかりだと思います。

ただ、全体的にはオーバーアレンジ気味。ある意味、音の分厚さで勝負している感じ。最初はこの分厚さが心地いいものの、アルバム1枚聴くと、徐々にくどくなってきて、最後の方は、ちょっと胸焼けしそう。味の濃いラーメンや、脂っぽい料理みたいな感じ。フロアで踊りながら聴く分には気にならないのかもしれませんが、CDで1枚聴ききるには・・・ちょっとおなかいっぱいになってしまいました。

評価:★★★


ほかに聴いたアルバム

The Most Incredible Thing/Pet Shop Boys

Pet Shop Boysの新作は、イギリスのサドラーズウェルズ劇場で公演されたクラッシック・バレエ「The Most Incredible Thing」に使用された音楽をまとめたサントラ盤。そんな訳で、雰囲気としては映画のサントラ盤と似ているわけですが、そこはさすがポップス職人Pet Shop Boys。映画のサントラにありがちな、「映画の中でもマッチしているけど、曲だけ聴くと・・・」ということはなく、しっかりとポップスのアルバムとして機能しています。さすがに、バレエありきのインストなので、ファン以外にはお勧めしにくいのですが、Pet Shop Boysの魅力はしっかりつまっているだけに、ファンなら、間違いなく聴くべし。

評価:★★★★

PET SHOP BOYS 過去の作品
Yes
ULTIMATE PET SHOP BOYS(邦題:究極のペットショップボーイズ)

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2012年7月 6日 (金)

どちらも「歌姫」が1位

今週の着うたチャート

2012年6月27日~2012年7月3日付チャート

着うたチャートは、1位2位、先週から変らず、でした。

1位は、日本を中心に活動するロサンジェルス在住の女性シンガーChe'Nelle(シェネル)の「BELIEVE」が2週連続で1位を獲得。2位は、今週のシングルチャートでも2位だった少女時代「PAPARAZZI」がこちらも2週連続で2位となっています。

3位は、着うたチャートではおなじみの男性R&BシンガーKG「もっと愛したかった」がランクイン。6月27日に発売されたシングルからの先行配信。今回は、なんと珍しく、女性シンガーを擁さない形でのリリース。同じ形でのリリースとなった前作「キミノヒカリ」は最高位50位という散々な結果になってしまいましたが、今回は、「君じゃなきゃ duet with 安田奈央」以来のベスト3入り。なぜ、順位にここまで変動が出てくるのかは不明なのですが・・・。

4位以下の初登場は・・・まず5位。今週のアルバムチャート1位になった安室奈美恵のニューアルバム「Uncontrolled」収録曲「ONLY YOU」がランクイン。これからの夏場にピッタリの、爽快感あるナンバーになっています。

6位には、こちらも今週のアルバムチャート2位にランクインしたGReeeeNのアルバム収録曲「pride」が入ってきています。ABC朝日放送の「夏の甲子園応援ソング」。GReeeeNらしい、前向き応援歌・・・ってか、いつも通りすぎて、マンネリ気味な感が。

8位には、川田まみ「Borderland」がランクイン。川田まみはアニメやゲームに数多くの楽曲を提供している音楽クリエーター集団I'veのボーカリスト。この曲はアニメ「ヨルムンガンド」主題歌として5月30日にシングルリリースされていますが、その時は最高位12位に終わりました。トランシーなロック調ナンバーで、ダイナミックな曲調の、アニソンらしいナンバーになっています。

今週はベスト10からのランクアップ曲がもう1曲。10位に桑田佳祐「愛しい人へ捧ぐ歌」がランクイン。7月18日に発売が予定されているベスト盤「I LOVE YOU-NOW&FOREVER-」に収録されたナンバーで、「ドコモthaksキャンペーン」CMソング。彼らしい、切ない雰囲気のラブバラード。先週、15位に初登場しましたが、2週目にしてベスト10入り。アルバムも大ヒットしそうですね。


今週のアルバムチャート

http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週の1位は、相変わらずの強さを誇る歌姫が獲得。

今週1位は、安室奈美恵「Uncontrolled」が獲得。初動売上は29万2千枚。コラボ曲を集めた企画盤だった前作「Checkmate!」の25万2千枚よりは大幅アップした、好調の滑り出しとなっています。ただ、残念ながら、純然たるオリジナルの前作「Past<Future」の初動33万1千枚は下回る結果になりました。

2位はGReeeeNの新譜がランクイン。その名も「歌うたいが歌うたいに来て 歌うたえと言うが 歌うたいが歌うたうだけうたい切れば 歌うたうけれども 歌うたいだけ 歌うたい切れないから 歌うたわぬ!?」・・・・・・。ちなみに、世界には上がいて、世界一長いアルバムタイトルは、アメリカのシンガーソングライターFIONA APPLEのこちら。ちなみにリンク先本文4行目の太字の部分がすべてタイトルです。邦題は「真実」と見事なまでに略されちゃっていますが(^^;;日本一の記録は不明だったのですが、ひょっとしたら、これが日本一になるのか?

ただ、売上面では最近苦労している彼ら。このアルバムも、初動売上9万枚と、前作「塩、コショウ」の42万5千枚から大きくダウン。直近のベスト盤「いままでのA面、B面ですと!?」の25万5千枚からも大きくダウンする結果となりました。

そして、最近、すっかり暑くなって来ましたが、3位にはTUBEのニューアルバム「SUMMER ADDICTION」が今年もランクイン。前作「RE-CREATION」に続くベスト10ヒットで、初動売上2万7千枚も、その前作の2万5千枚から若干アップしています。

続いて4位以下の初登場では、5位に今年限定で活動再会しているPRINCESS PRINCESS「THE REBIRTH BEST~再会~」がランクイン。彼女たちの代表曲をニューミックス&リマスタリングしたベスト盤で、1996年、解散直後のベスト盤「The Greatest Princess」以来のベスト10ヒットとなりました。

7位には、アメリカのロックバンドTHE OFFSPRING「DAYS GO BY」がランクイン。初動売上2万枚は、オリジナルとしての前作「Rise and Fall, Rage and Grace」の5万枚からは大きくダウンしてしまいました。ちなみに、本国アメリカでは、初登場12位という結果に。若干、人気が日本先行になってきている感じが。

9位には、テレビ東京系アニメ「夏目友人帳」の主題歌を集めた「夏目友人帳 主題歌集」が入ってきています。LONG SHOT PARTYや中孝介といったミュージシャンの曲も収録されています。

最後10位には、ヴィジュアル系バンドViViD「INFINITY」が入ってきました。こちらは、メジャーとしては初となるアルバム。初動売上は1万5千枚。インディーズ時代のアルバム「THE ViViD COLOR」は最高位32位、初動売上3千枚だったので、こちらからは大幅にアップ。ただ、直近のシングル「REAL」が、初動2万枚ということを考えると、少々寂しい結果になっています。

今週の着うた&アルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に~。

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2012年7月 5日 (木)

最後の置き土産

今年2月、突然の解散を発表したGO!GO!7188。残念ながら、解散発表後、ラストアルバムの発表もなく、ライブも行われませんでしたが、3月にリリースされたライブ盤に続き、置き土産となる2枚のアルバムが発表されました。

Title:カップリング ベスト オブ ゴー!ゴー!
Music:GO!GO1788

もう1枚は、iTunes Storeでの、配信限定でのリリースとなっています。

Title:レア コレクション オブ ゴー!ゴー!
Musician:GO!GO!7188

Rare_gogo

この2枚、アルバム未収録曲をまとめた、いわゆるB面ベストなのですが、ちょっと面倒なのが、その収録曲。「カップリングベスト」の方は、シングルのカップリング曲のうち、アルバム未収録曲を販売順に並べていますが、「レアコレクション」も、収録曲がほぼかぶっている内容になっています。

ただ、「レアコレクション」には、「カップリングベスト」に収録されていないシングルタイトル曲「むし'98」と、カバーアルバムに収録されていた「心の旅」、また「C7」「こいのうた」のライブバージョンが収録。逆に、「カップリングベスト」に収録されている「できもの」以降のカップリング曲は未収録となっています。

まあ、おそらく「カップリングベスト」は文字通り、カップリング曲でアルバム未収録曲を素直に収録し、結果、アルバム未収録になってしまった「むし'98」を「レアコレクション」にまわして、逆に、(おそらく)容易に入手可能な最新のシングルのカップリングをはずした、ということでしょうか?結果、すべて聴くには、両方のアルバムを購入しなくてはいけなくなってしまっています・・・が、配信限定の「レアコレクション」は、曲毎に購入も出来るため、「カップリングベスト」未収録曲だけ買う、という手もあるかも(4曲で1,000円になります)。

さて、アルバム未収録曲のカップリングをおさめたこの置き土産ですが、正直、アルバム未収録とは思えないほどの名曲揃い。まあ、「パンク」「太陽」「ロック」など代表曲の別バージョン、ライブバージョンなども収録されているのですが、「パパパンツ」は、もともと、デビュー直後にカセットテープでのみ発売された、最初期の代表曲ですし、「らくだの涙」も、彼女たちらしい、ちょっと切ないロックナンバーが耳に残ります。

個人的には、GO!GO!7188はデビュー直後にはまりまくっていて、「竜舌蘭」あたり以降は、以前ほどはまらなくなってしまったため、カップリングで聴いても、初期のナンバーに特になじみがあり、また、荒削りな部分はあるものの、迫力と緊張感のある初期のナンバーの方が、後期のナンバーよりもいいなぁ、とは、あらためて思います。

ただ、後半のナンバーも、ポップで耳なじみのあるメロは相変わらず。「YOMEとして2008」のような、ユーモラス(で、非常に個人的)なナンバーも彼女たちらしいといったところ。いや、正直、ベスト盤に勝るとも劣らない名曲揃いの作品だと思います。

もっとも、「カップリングベスト」は、アルバム未収録曲とはいえ、既発表曲ばかりなので、シングルを買わなかったファン向け。プラス、「レアコレクション」で、曲毎に買えばいいかと。ただ、「はじめての1枚」としても十分お勧めできる出来だと思います。カップリング曲をおさめただけですが、「ベスト」という表題が嘘ではないアルバムです。

評価:
カップリング ベスト オブ ゴー!ゴー! ★★★★★
レア コレクション オブ ゴー!ゴー! ★★★★

GO!GO!7188 過去の作品
虎の穴2
2マンTour 徹子のHair+Open Night Family~夜明けの家族
アンテナ
Go!!GO!GO!Go!!
アコースティック大作戦!!アコースティック・ライブ・ベスト
ラストライブ オブ ゴー!ゴー!


ほかに聴いたアルバム

11/cali≠gari

2009年に「消費期限付」として活動を再開し、その後、再度、活動休止したものの、2012年に活動を再開。その後、初となるオリジナルがリリースされました。全体的にはバランスがよく、聴きやすい感触を抱きます。ただ、まとまっていて、ぶっ飛んだところが少なかったような。もっとも「初恋中毒」みたいに、普通のポップスロック風でも、その実、どこか狂っていたり、要所要所で一筋縄ではいかないところを感じられるのが彼ららしいところ。

評価:★★★★

cali≠gari 過去の作品
10
cali≠gariの世界

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2012年7月 4日 (水)

アイドルが目立つチャート

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

アイドル系がシングルチャートを席巻するようになって久しいのですが、今週はアイドル系が特に目立つチャートに。ベスト10のうち、8枚がアイドル系のシングルとなっています。

そんな中で1位はKAT-TUN「TO THE LIMIT」。「スズキ ソリオ バンディット」CMソング。ラップを取り込んだ、HIP HOPっぽい出だしも、今では特に珍しくもなくなってしまいましたね。初動15万6千枚は、前作「BIRTH」の19万3千枚より大きくダウン。ただし、今回は通販限定の「スペシャル盤」の販売があったため、その影響もあったかも。もっとも、前々作「RUN FOR YOU」は初動15万1千枚だったので、その影響はどこまでなのか微妙なのですが。

2位は少女時代「PAPARAZZI」がランクイン。今回も、軽快な、エレクトロ調のダンスチューン。初動売上9万2千枚は、前作「MR.TAXI」の10万枚よりも若干ダウンしています。

3位にはももいろクローバーZ「Z女戦争」が入ってきました。最近、AKB48のライバル格として、急激が人気が高まってきている点、メディアでも取り上げられるようになってきた彼女たち。最新シングルはティカ・αこと相対性理論のやくしまるえつこが手がけた楽曲で、ある意味、昭和歌謡的な雰囲気のある王道アイドルソングですが、歌詞とメロは、どこか相対性理論らしさが。初動売上は「猛烈宇宙交響曲『無限の愛』」の3万9千枚から6万7千枚に大きくアップ。ただ、販売形態が、前作の2種類から4種類に増えた影響も。

4位には、韓国の男性アイドルグループB1A4「Beautiful Target-Japanese ver.-」がランクイン。K-POPブームも一段落した感がある中、いきなり上位にランクインしてくるのは久しぶりな感じも。軽快なポップチューンは、いかにもアイドルといった感じのナンバー。初動売上は3万2千枚。1月にリリースしたミニアルバム「Let's Fly」は最高位25位、4千枚だったので、今回は、それよりも大幅にアップ。

初登場続いては7位に真野恵里菜「Song for DATE」が入ってきています。アレンジは、今風のエレクトロなのですが、メロは90年代のガールズポップを彷彿とさせる感じが。初動売上は1万1千枚で、前作「ドキドキベイビー」の1万2千枚からほぼ横バイ。ここ数作、1万1千枚前後で横バイ傾向が続いています。

8位には、AV女優らを中心に結成されたアイドルグループ恵比寿マスカッツ「親不孝ベイビー」がランクイン。初動売上は、前作「ハニーとラップ♪」の6千枚から大幅アップの1万1千枚。初週売上1万枚を超えないと罰ゲームなるイベントがあったみたいで、その影響か?

そんな訳で、初登場の6曲に加えて、5位に前田敦子「君は僕だ」、9位に関ジャニ∞「愛でした。」がランクインしており、計8曲のアイドル系が目立つチャートになっています。

そんな中、孤軍奮闘したのが10位にランクインしてきたスキマスイッチ「ラストシーン」。映画「臨場 劇場版」のイメージソングとなるこの曲は、彼ららしい、しんみりと聴かせる暖かいラブソング。ただ、初動売上9千枚は、前作「晴れときどき曇」から横バイ。前作はアルバム先行シングルだったことを考えると、アルバム先行でない本作で9千枚というのは、ちょっと厳しい結果になっています。

今週のシングルチャートは以上。着うた&アルバムチャートは金曜日に~。

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2012年7月 3日 (火)

エレクトロ路線回帰!

Title:UFABULUM
Musician:SQUAREPUSHER

SQUAREPUSHERの前作「SHOBALEADER ONE-d'DEMONSTRATOR」では、いきなりバンドを結成。ロック志向の作品を作り、ファンの間に賛否両論をまきおこしました。(全体的にはあまり評判は良くなかったみたいですが・・・)

SQUAREPUSHERどこへ行く?とばかりに心配され、久々にリリースされた新譜は、まさに彼らしさが戻ってきた、ともいえるエレクトロ路線。特に1曲目「4001」は、細かいビートが強烈な作品で、ファンにとってはうれしくなってくるような作品ではないでしょうか?

全体的には、かつてのエレクトロニカテイストよりも、ポップス路線が強くなった感じでしょうか?「ENERGY WIZARD」みたいな、スペーシーなポップスナンバーもありつつ、「DRAX 2」「DARK STEERING」みたいにエッジの効いたビートを聴かせつつ、アルバム全体としては、とても聴きやすい内容になっていたと思います。

ある意味、様々なジャンルに手を伸ばしていた彼が、久しぶりにファンの期待に沿ったような作品をリリースした、といった感じでしょうか。そういう意味では、安心して聴ける作品だったと思います。

ただ・・・作品として楽しめたものの、特に斬新なアプローチがあった、といった感じではありませんし、絶賛できるほどの作品だったか、と言われるとちょっと微妙。いい意味でも悪い意味でも期待に応えすぎてしまった感があって、ちょっと平凡といわれれば平凡な感じも・・・。ファンなら、チェックして損はない作品だとは思いますが・・・。

評価:★★★★

SQUAREPUSHER 過去の作品
Just a Souvenir
SHOBALEADER ONE-d'DEMONSTRATOR

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2012年7月 2日 (月)

若手とベテラン

今日は、アメリカのHIP HOPミュージシャンが最近リリースしたミックス・テープ2本を紹介。どちらも無料ダウンロードで聴ける作品なので、興味がある方は、是非。

Title:Dreamchasers2
Musician:Meek Mill

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まずは新進気鋭のラッパー、Meek Millのミックステープ。Meek Millは、昨年、人気ラッパー、リック・ロスのMaybach Music Groupと契約を結んで話題となったラッパー。このミックス・テープは、人気サイトで、半日で200万DLを突破するなど、その人気ぶりが話題を呼んでいます。

比較的、音数を絞り込んだタイトなトラックが印象的。Rick Rossや、こちらも最近話題のDrakeなども、豪華なゲスト陣も大きな魅力。ヘヴィーなラップを繰り出すナンバーもあるのですが、全体的には、メロウな雰囲気の聴きやすくポップにおさめられているのが特徴的。「Use To Be」「Take U Home」みたいな聴かせる歌モノや、ピアノのメロが哀愁を奏でる「Big Dreams」みたいな曲もあったりして、トラックはそれなりにカッコいいと思うし、ヘヴィーなラップに一種のやばさを感じる部分もあるのですが、あくまでもポップで聴きやすい内容。この傾向が、最近のアメリカのHIP HOPシーンの流行なのかなぁ?

ちなみに、ダウンロードは、こちらのサイトから。

評価:★★★★

Title:The Wigh In
Musician:DMX

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で、こちらは90年代初頭から活躍する、ベテランラッパーDMX。近日中に発売を予定している、久々のニューアルバム「Undisputed」の前哨戦としてリリースされたミックステープです。(でも「Undisputed」、当初の発売予定は6月でしたが、まだ販売されていませんね・・・)

全11曲入りなのですが、1分を超える曲は7曲だけ。全23分程度なので、事実上のミニアルバムともいえる作品。ただ、彼の特徴である、犬の叫び声みたいなしゃがれた声のラップが、冴えまくっています。「Where I Wanna Be」にしても「On the Frontline」にしても、女性ボーカルのコーラスと対比させるようなDMXのラップが、トラックやボーカルがメロウでポップなだけに、より凶暴に聴こえて、とにかくカッコいい!「Shit Don t Change」ではSnoop Doggが参加し、Dr.Dreがプロデュースということでも話題になっています。

最後の「Wright Or Wrong」も、ちょっとベタともいえるトラックが高揚感を煽ってとにかくカッコいい。来るべきニューアルバムも楽しみになってくるようなナンバー。わずか23分ですが、それだけ内容の濃い作品でした。

ちなみにこのアルバムも、こちらのサイトからダウンロード可能なようです。

評価:★★★★★

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2012年7月 1日 (日)

歌は世につれ・・・

「歌は世につれ世は歌につれ」。歌謡曲でよく使われる、ある意味、陳腐な決まり文句です。ただ、実際、時代の状況と、曲のヒットというのは密接に結びついているもの。確かに、時代を超えた名曲、というものもありますが、その時代だからこそ売れた曲というのもあり、それだけに、本来、過去のヒット曲をその時代から切り離して評価する、というのは、出来ないのかもしれません。

ただ、残念ながら、最近のいわゆる「ロックの歴史」的な本や、ロックのディスクガイドで、その曲がヒットした時代の状況について語られている本はあまりありません。そんな中、今回紹介する広田寛治「ロック・クロニクル」は、現代史の観点からロックの歴史を切り取った力作。公民権運動や、ベトナム戦争に対する反戦運動と、ロックという音楽が、密接に結びついていたことを、詳しく書いてあり、単純なロックの歴史を知るということではなく、現代史の本としても興味深く読めた一冊でした。

著者の切り取り方にもよるのかもしれませんが、60年代や70年代は、確かに若者が、ロックという音楽を通じて、社会に関わり、そして大きな影響力を行使していたんだなぁ、ということを感じます。ロックンロールの黎明期には、ロックンロールを、黒人の音楽で下品なものと忌み嫌われていた大人たちと、黒人という差別感情を抜きに、カッコいい音楽を聴きたい若者たちの攻防が、とても生き生きと描かれており、ワクワクしました。また、ある程度、ロックが社会に認められてきた60年代後半から70年代にかけて、公民権運動やベトナム反戦運動とロックが密接に関わり、ロックを通じた若者たちの力で、世の中が徐々に良くなってくる展開に、一気に読みすすめることが出来ました。

ただ、80年代以降に関しては、評価が定まっていないということから、記載が事実だけを羅列しており、簡潔になっているのですが、ある意味、70年代以前と同様に、「反戦・反権力・平和活動」みたいな、リベラルな観点から記載されているため、少々、ロックの歴史という点からは、その流れがわかりにくかったように感じます。特にこの時代、内省的な側面をテーマとするようなバンドが増えてくる中、70年代以前のロックと社会との関係性をベースとしては、ロック史を捉えられなかったのでしょうか。一方では、ミュージシャンのチャリティー活動については、必要以上に書かれているような感じがして、チグハグなイメージがありました。

そして現在。ロックという音楽は全く元気がありません。特に、社会情勢という観点からすると、世の中の情勢が複雑になりすぎて、60年代や70年代みたいな、ストレートな主張が、なかなか受け入れられづらかったりするからでしょうか。思えば、70年代、ロックミュージシャンは世界平和を叫び、世の中のひとたちが手を取り合い、国境のない社会を作り出そう、と歌いました。しかし、皮肉なことに、21世紀の現在、国境のない社会を作り出そうとしているのは、「グローバル化」を標榜する大企業であったりします。

しかし、音楽と時代の流れというのは、今でも密接に結びついているように感じます。例えば日本。現在、AKB48が爆発的な人気を獲得しています。個人的にAKB48が好きではありません。それは、AKB商法というCDの売り方もそうなのですが、例えば「総選挙」だの「公式ライバル」だの、彼女たちにまつわる「物語」を、すべて仕掛ける側が作り出して、ファンはそれにのっかるだけ、という必要以上の「わかりやすさ」がどうも好きになれない大きな要因だったりします。ただ、現在、複雑化してしまった社会だからこそ、逆に、こういう「わかりやすさ」が求められているのかもしれません。そういう意味では、今なお、ヒット曲と時代性は密接にリンクしているのでしょう。また、ロックリスナーとしては、現在、その時代性とロックがあまりリンクしていないというのに、寂しさも感じました。

ちょっと話は反れてしまいましたが、そんなロックを現代史の観点から詳細に描いた本。かなり分厚い1冊ですが、読み応えありましたし、非常に立体的な観点から、ロックという音楽について学べることが出来た1冊でした。ロックや、あるいはポピュラーミュージックが好きで、昔のヒット曲やミュージシャンの曲を聴くようなリスナーであれば、必読の1冊だと思います。

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