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2012年7月14日 (土)

COILらしさが凝縮

Title:カセットミュージック
Musician:COIL

オフィスオーガスタ所属のミュージシャンたちによるユニット、福耳の一員であり、その福耳にも多くの楽曲を提供している2人組宅録ユニットCOIL。昨年は、3枚のミニアルバムをライブ会場と通販限定で発売していましたが、久しぶりに一般発売でのアルバムがリリースされました。

今回のアルバムは2004年から2005年にかけて、ライブ会場限定で、カセットテープという形態で発売された作品をCD化してアルバムにまとめたもの。既に入手困難であるため、リアルタイムでカセットを入手できなかった方にとっては、とてもありがたい作品ということになりそう。

ラヴィン・スプーンフルならぬ「ラヴィン・フルーツフル~恋する果実~」やら、MOGWAIならぬ「MAGWAI」やら、タイトルだけで、ユーモラス感覚あふれる楽曲が並んでいます。ただ、ライブ会場限定で発売されていた作品なだけに、楽曲自体も、「売れる」ことを全く前提としていない、自由度の高い作品が並んでいます。

例えば、その「ラヴィン・フルーツフル~恋する果実~」は美しいメロディーを聴かせるフォーキーなポップソングかと思えば、「MUJINA」のような、非常にアバンギャルドな、エレクトロニカのインストナンバーやポストロック風の「J・B(ジングルベル)」みたいな曲があったり。「ヒア・カムズ・ザ・サンタ」みたいな、ヒットチャートも狙えそうな、軽快なポップナンバーがあったり、かと思えば、続く「きよしこの夜」は、おなじみのクリスマスソングを、浮遊感ある不思議な雰囲気でカバーしていたり。前述の「MAGWAI」はハードロック調だったり。

ユーモアさという側面でも、まるでTUBEのサマーソングみたいなタイトルの「嗚呼、夏休み 2005」なんかは、タイトルのイメージと異なり、陰気な雰囲気の曲だったりするのが、COILらしいひねくれさがとてもユニーク(笑)。当初はライブ会場のみで販売していた、あくまでもファン向けの作品ということもあり、彼らの好き勝手になっている感が強く出た作品になっています。

じゃあ、だからといって、熱心なファン以外には勧められないか、と言われれば、そんなことは全くなく、アルバムの大半を占めるのは、彼らのメロディーセンスがフルに発揮された、珠玉のポップソング。それだけに、小難しいアルバムでは決してなく、ファン以外に対しても、十分薦められる、ポップアルバムに仕上がっていました。

ある意味、COILのいろいろな側面をつめこんだ、という点では、むしろ初心者にこそお勧めできる作品かも??まあ、さすがに実験的要素で、少々引かれてしまい危険性も高いのですが(^^;;

評価:★★★★★

COIL 過去の作品
ギャルソン
Vitamin C
ソナチネ
ボサノバ
カフェラテ


ほかに聴いたアルバム

光の通り道/熊木杏里

デビューから、10年となる熊木杏里のニューアルバム。フォーキーな作風が心に染みるようなポップソング。前作「and...life」は、後半、ダレてしまったのですが、本作は、派手さはないものの、いい意味で安定感を感じ、最後まで楽しむことが出来ました。ここ最近、こういうタイプの女性シンガーソングライターが珍しくなってしまったような感が。それだけに、がんばってほしいところですが。

評価:★★★★★

熊木杏里 過去の作品
ひとヒナタ
はなよりほかに
風と凪
and...life

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