2012年を代表する新人バンド
Title:ランドリーで漂白を
Musician:赤い公園
最近、大きな話題を集めている女性4人組ロックバンド、赤い公園。2月にミニアルバム「透明なのか黒なのか」をリリースしたばかりですが、それに続いて今回リリースされたミニアルバムは、その前作と、「対」になっている作品。「透明なのか黒なのか」は、彼女たちのダークな側面が強調された作品だったのに対して、本作は、彼女たちのポップな側面が強調された作品になっています。
今回の作品も10曲入りながらも、全16分程度。事実上、5曲入りのミニアルバムという形態になっている本作。その5曲は、いずれもポップな作風が特徴的。歌詞にしても、前作と比べるとストレートな作風が多く、非常にポピュラリティーある明るい作品という印象を請けました。パッと聴いた感じでは。
しかし、実際はどの曲も、一筋縄の単純なポップという訳にはいきません。例えば「ナンバーシックス」も、最初は軽快なポップかと思いきや、途中からギターサウンドが入り、さらに後半ではアカペラのコーラスが入る展開に。「よなよな」や「血の巡り」なども、基本的にギターロックなのですが、要所要所にひっかかりのある音を入れてきたりしていて、ストレートな、という訳にはいきません。
最後は、ピアノバラードの「何を言う」で締めくくり。ただ、美しいバラードナンバーかと思いきや、最後は「私は私を殺してやりたくなるのさ」という、強烈な歌詞と迫力あるボーカルで締めくくり。最後の最後まで、ゾクゾクとなるような展開を見せてくれます。
ただ、単純に複雑な展開だったり、ユニークな音を入れるだけならば、そんなに難しくはないでしょう。彼女たちが素晴らしいのは、これだけひねくれた展開を見せながらも、あくまでもポップとしてまとめあげている点。そのため、音楽として、非常に中毒性を感じられ、本当にあっという間にアルバムを聴けてしまいます(ま、実際、16分というあっという間の長さのアルバムなんですが・・・)。
前作「透明なのか黒なのか」の時の感想では、「今の段階では『よくわからない・・・』という部分が少なくないのが正直な感想」と書いたのですが、このアルバムがリリースされてはっきりといえます。彼女たちは、間違いなく2012年を代表するバンドだ、と。次回作も、非常に楽しみになってくる1枚です。
評価:★★★★★
赤い公園 過去の作品
透明なのか黒なのか
ほかに聴いたアルバム
NIAGARA TRIANGLE Vol.2 30th Edition/NIAGARA TRIANGLE
大滝詠一による1982年に発売されたナイアガラ企画の第2弾アルバムの、発売後30周年記念盤。本作では、大滝詠一の他、当時はまだ新人だった佐野元春と杉真理が参加しています。珠玉のポップスナンバーの連続なのは言うまでもありませんが、この時期、既に佐野元春の曲に、佐野元春らしさが感じられるというのが印象的。ちなみに、30周年このアルバムのトラック集が付いてきています。まあ、要はカラオケ。曲のトラックの魅力がわかる・・・のですが、さすがにこちらはコアなファン向けかな?
評価:★★★★★
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