僕たちのヒット曲!その2
以前、このサイトで紹介した、日本における洋楽のヒット曲を網羅的に収録したコンピレーションアルバム。今回は、その後半。Vol.5~Vol.8を紹介します。
Title:僕たちの洋楽ヒットDELUXE Vol.5 1977-79
前回にも書いたのですが、全8作のうち、70年代後半が、楽曲が様式化してしまって、面白みがなくなったと思うのですが、Vol.5は、アルバム全体的には、無難なAORやいかにもな産業ロックが多く、BGMのように聴けてしまう内容で、全8作の中では、正直、一番つまらなかった・・・・・・。とはいうものの、一方では、ABBAの「Dancing Queen」のように、来るべき80年代を彷彿とさせるような、魅力的なポップナンバーもおさめられていて、そういう意味では、聴きどころも。次の時代への萌芽を感じられるオムニバスでした。
評価:★★★
Title:僕たちの洋楽ヒットDELUXE Vol.6 1980-82
80年代ポップスというと、最近はちょっとイメージが変わりましたが、一昔前は、軽薄なポップソングの時代というイメージがあり、かなり評価が低かった印象があります。確かに、その前の時代の70年代のロックやパンク、90年代のグランジと比べると、インパクトのあるメロディーばかりが目立つポップソングが主流だったこの時代。ただ、ともすれば「ベタ」とも言われそうな、この時代の底抜けに明るいポップソング、実は嫌いじゃなかったりします(^^;;
このアルバムでは、そんなMTVで最初に流されたPVということで、ある意味、80年代の幕開けの象徴として捉えられがちなTHE BUGGLESの「Video Killed The Radio Star(邦題:ラジオ・スターの悲劇)」も収録されており、まさに80年代らしいポップチューンにウキウキするようなオムニバス。一方では、70年代から続く、AORも多く収録しており、バランスが取れているような印象も受けました。
他にも、一体、日本で何人の人がカバーしたんだ?というほどのカバーの定番、BOYS TOWN GANGの「Can't Take My Eyes Off You(邦題:君の瞳に恋してる)」や、ちょっと意外なところでは、ある年代以上には懐かしい、フジテレビ系クイズ番組「なるほど!ザ・ワールド」のオープニングTRAMMPSの「Trammps Disco Theme」なんかも収録されていて、私くらいの世代でも、懐かしさを感じるようなナンバーが・・・。
評価:★★★★★
Title:僕たちの洋楽ヒットDELUXE Vol.7 1983-84
自分が、80年代ポップスが結構好きなのは、小難しいこと抜きのポップが好き!という好みの問題もあるのでしょうが、意識的なり無意識なり、この時代の音楽をリアルタイムで聴いていて、どこか懐かしさを感じてしまうから、というのもあるからでしょうか。ここらへんの年代になると、私も小学生。完全に物心がついた年代になってきます。
Duran Duranやら、WHAM!やらYESの「Owner Of Lonely Heart」やら、いかにも80年代!という曲が並ぶこの回。PRINCEやCYNDI LAUPERといった、80年代を代表するミュージシャンの曲もきちんと収録されており、その時代の空気を感じることが出来ます。ただ、例のごとく、大人の事情か、マイケル・ジャクソンにマドンナといった、80年代を代表するポップ・アイコンの曲が収録されていないのが残念なのですが・・・。ちなみに、AFTER THE FIREの「Der Kommissar(邦題:秘密警察)」にはラップみたいな部分が顔を見せ、次の時代の萌芽を、こちらにも感じます。
評価:★★★★
Title:僕たちの洋楽ヒットDELUXE Vol.8 1985-89
このシリーズのトリを飾るのがこの回。こちらもいかにも80年代的なa-haの「Take On Me」からスタートし、80年代らしい明るいポップソングが並びます。ROXETTEの「THE LOOK」なんかも収録されていたりして・・・懐かしい~。ROXETTE、ちょうど私が洋楽を聴き始めたころに流行っていて、実は結構好きだったんだよなぁ~。
ただ、この時期でおもしろいのは、次の時代、90年代のテイストを感じる曲がある点。例えばLOS LOBOSの「La Bamba」なんかは、どこかオルタナティヴなテイストを感じますし、SOUL II SOULの「Keep On Movin'」なんかも、どこか今風な雰囲気も?その一方では、EUROPEの「The Final Countdown」のような、産業ロックの極みみたいな曲もあったりして(笑)、ここらへんの雑多な感じもまた、ポップス音楽に勢いがあったんだなぁ、ということを感じます。
そんな来るべき次の時代への空気を感じつつ、このシリーズは終了。いやぁ、本当は個人的には次の90年代こそ、リアルタイムで聴いていた世代だっただけに、このシリーズの続きを聴きたいところなのですが・・・90年代も、やってくれないかなぁ。
評価:★★★★
そんな訳で、まさにボリュームたっぷり、おなか一杯になったシリーズ。懐かしい曲から、逆に今聴くと、新鮮味を感じる曲、スタンダードナンバーとして、すっかりおなじみの曲まで、バラエティーに富んだ楽曲の数々を楽しめるオムニバスでした。全8巻、すべて買うのは大変かもしれませんが、興味がある方は是非。たまには、バブルガムなヒット曲も楽しいですよ。
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