エレクトロの枠組みを超えて
Title:TURBO TOWN
Musician:80kidz
約1年半ぶりとなる80kidzのニューアルバム。日本におけるエレクトロシーンの代表的なミュージシャンの一組・・・80kidzのいままでのイメージはそんな感じでした。しかし、最新アルバムでは、そのイメージからすると、ちょっと意外な印象を受ける作品になっていたかもしれません。
序盤から、エレクトロよりもロックテイストの強い曲調に「おや?」と思うかもしれません。そのロック傾向が顕著になるのが「Turbo Town」や「Big Bay」。ギターサウンドを前面に押し出した、バンドサウンドの色合いの濃い作品は、完全にロックのインスト。これだけ聴けば「エレクトロ」という言葉はおそらく出てこないでしょう。
ただ、その後はエレクトロ色の強いナンバーも多く、本人たち、インタビューなどでも「エレクトロの枠にとどまりたくない」ような話をしているのですが、確かに、エレクトロをベースとしながらも、エレクトロの枠に留まらない作風が目立っていたと思います。
とはいえ、このアルバムの中で、一番良いと思ったのが、「Dream City Dream」や「Esquire」のような、ロッキンエレクトロというか、ロックの要素を取り入れたエレクトロ。まあ、いままでの彼らの王道とも言えるような路線ですね。なんだかんだいっても、やはり彼らにとって、一番やりやすいのはこの路線なんでしょうか。
ただ、どんなジャンルに挑戦しようとも、基本的にリスナーの壺をついたサウンドという、彼らの魅力はそのまんま。正直「Lightwaves」や「I Shake」あたりは、壺をつくことを狙いすぎて、肝心のメロがちょっと陳腐では?とも思ってしまったのですが、やはりアルバム全体としては、直感的に気持ちよいよいなメロとサウンドを最後まで楽しめることが出来ました。
今回のアルバムは、よりロック寄りのサウンドに挑戦しようとしたため、アルバム全体としては、重厚な感じになり、聴いた印象としては、ちょっとトゥーマッチな感も。そういう意味では、前々作「THIS IS MY SHIT」、前作「WEEKEND WARRIOR」には及ばなかったかなぁ・・・という印象も抱いたのですが。ただ、それでも、このアルバムが傑作なのは間違いないと思います。聴いて、難しいことを考えず、気持ちよくなれる作品です。
評価:★★★★★
80kidz 過去の作品
THIS IS MY SHIT
THIS IS MY WORKS
WEEKEND WARRIOR
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