大化けした2枚目
Title:この声
Musician:高橋優
高橋優、大化けしました!!
高橋優というシンガーソングライターの曲をはじめて聴いたのは、前作「リアルタイム・シンガーソングライター」でした。メディアを中心にかなりプッシュされているシンガーで、どんなもんだろうか、とはじめて聴いてみました。
ただ、正直言って、前作は、あまりピンと来ませんでした。特に心に残るような歌詞もなければ、メロディーもさほど後に残らず。なんだ、完全に「ハイプ」か・・・ぶっちゃけて言ってしまうと、そう思ってしまいました。
ところが、最新アルバム「この声」を聴いて、彼に対するイメージが完全に変わりました。アコースティックなサウンドをベースに、彼の力強い声が響くこのアルバム。そこで描かれる世界で歌われる厳しい現実は、聴いた私の心に深く刻み込まれました。
特に序盤「蛍」「誰がために鐘が鳴る」「雑踏の片隅で」は、「2ch」あるいは「~なう」などといったネット用語をたくみに取り入れて「今の時代」を皮肉的な視点で厳しく切り取りながら、その一方で明日への希望を歌っています。
そしてそんな現実を歌いながらも続く「気ままラブソング」では文字通り、気ままなラブソング。現状を肯定しながら、その中での幸せを見つけていこうとするこの曲は、大変な現実の中にいきる私たちにとって、心に響くナンバーだと思います。
他にも、「一人暮らし」なんかは、タイトル通り、一人暮らし経験者にとっては、やけにリアリティーがあり、共感をおぼえそう。どの曲も1曲1曲、描写が妙にリアリティー。ただ、多くの曲に共通しているのが、日常に立脚した視点の歌詞で、現実を否定せず、平凡な生活の中で、希望を見つけようとするスタンスを感じられます。
この「ささいな日常の肯定」というスタンス、どこか斉藤和義に通じるものを感じます。その力強い歌声といい、等身大な歌詞の姿勢といい、もうちょっと肩の力が抜ければ、斉藤和義の後継者的な位置につけるだけのシンガーソングライターになれるかも?いや、2作目でグッとおもしろくなりました。これは、これからが楽しみです。
評価:★★★★★
高橋優 過去の作品
リアルタイム・シンガーソングライター
ほかに聴いたアルバム
guitarium/miwa
こちらは女性シンガーソングライターの2枚目。前作から大ブレイクしていたのですが、ちゃんと聴くのはこれがはじめて。イメージ通りギター主体のガールズロックがあるかと思えば、スカ風のリズムを取り入れたり、打ち込みを入れたり、ハードロック風のナンバーがあったりとバラエティー豊富・・・なのですが、変に様々なタイプの曲をやっているだけに、彼女の核の部分がいまひとつ見えてこないような。作風が豊かというよりもバラバラな印象を受けてしまいました。
評価:★★★
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