新たなる一歩
Title:勘違い
Musician:安藤裕子
出産後、初となるオリジナルアルバム。昨年は、カバーアルバムのリリースがありましたが、オリジナルとしては、約1年半ぶりのニューアルバムとなります。
前作「JAPANESE POP」は、比較的、ストレートなポップス路線が多かったのに対して、今回は、新たな一歩を踏み出そうとする彼女の姿を感じます。特にタイトルチューンの「勘違い」、それに続く「エルロイ」は、安藤裕子のボーカルがひとつの楽器となっているような、サウンドに主眼を置いたような楽曲になっており、賛否はわかれそうながらも、新たな彼女の挑戦を感じます。
もっとも、中盤から後半にかけては、いつもの彼女らしい、メロディアスなポップチューンが続いていきます。「すずむし」は、タイトルもユニークながら、最初はしんみり聴かせながら、サビではいきなりダンスチューンになるという構成もユニーク。「お誕生日の夜」は、メロが切ないのですが、歌詞はやはりわが子に向けたメッセージでしょうか?母となった彼女の暖かさを感じさせます。
最後を締めくくる「鬼」はスケール感のあるポップナンバー。しかし、「お誕生日の夜」では「未来を伝えたくて」と歌ったり、この「鬼」でも「甘い未来を君に見せてあげる」なんて、歌詞があったり、未来という言葉を使ってくるあたりは、やはり子どもが出来た影響なのでしょうか?
序盤「勘違い」「エルロイ」は、新しい作風で、緊張感も感じ、最高傑作か??というくらいの出だしだったのですが、後半のポップな曲は、若干の失速気味の曲もあったりして、全体としては、「JAPANESE POP」の出来には至らなかったかなぁ。ただ、彼女の新たな挑戦も感じられ、そういう意味では、次回作への布石になったかもしれない作品。次はどんな一歩を歩みだすのか・・・楽しみになる作品でした。
評価:★★★★★
安藤裕子 過去の作品
クロニクル
THE BEST '03~'09
JAPANESE POP
大人のまじめなカバーシリーズ
ほかに聴いたアルバム
Tell Your World EP/livetune feat.初音ミク
タイトル曲がGoogle ChromeのCMソングとなり話題となった、同人音楽ユニットのミニアルバム。同じく同人音楽出身で人気を集めたsupercellが、初音ミクにこだわらず「人間」のボーカルを使って楽曲を作っているのに対して、彼の曲は、むしろ人口音声としての初音ミクをより押し出した形に。無機質な声は、CMソングとしてお茶の間に流れたのとは裏腹に、正直、ネットコミュニティーの世界を出て受け入れられるには難しいものは感じるものの、初音ミクにこだわったポップスの新しい形を模索しているとも感じる部分も。メロディーに関しては、ぶっちゃけ平凡だった前作「Re:package」よりも進化した感が。
評価:★★★★
livetune feat.初音ミク 過去の作品
Re:package
NATURALLY/清水翔太
清水翔太の特徴は、R&Bをベースにしながらも、ポップ色の強い曲が多く、このアルバムでも、小田和正をゲストに迎えた「君さえいれば」なんて曲もあったりもします。R&Bをベースにしながらも、ポップス志向という点では、平井堅と近いのかも。ただ、「Only me,Only you」は平井堅の「世界で一番きみが好き?」に似ている感じもするのですが、大丈夫?あと、「冬が終わる前に」は、完全に槇原敬之の「冬がはじまるよ」を意識している感じも。耳なじみやすいポップが並んでいて、比較的、万人にお勧めできるタイプのアルバムながら、もう一歩、清水翔太だけが持っているような個性が欲しい感じも・・・。
評価:★★★★
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