相変わらずの無国籍な彼ら
Title:ITALIAN GARDEN
Musician:クレイジーケンバンド
今回のアルバムのタイトル「ITALIAN GARDEN」とは、もともとは横浜・本牧にあったアメリカンバーの老舗の名前だそうです。アメリカの雰囲気が漂っていたこのバーには、多くの米軍兵だけではなく、日活のスターも集まっていたとか。そして、このバーこそ、クレイジーケンバンド発祥の地、だそうです。アメリカンバーなのに「イタリアン・ガーデン」。うーん、なんか、この古き良きアメリカテイストが漂いながらも、なぜか「イタリアン」という無国籍さが、彼らの音楽と通じるところがある・・・のか??
ま、そんな「無国籍」というネタは私が勝手に思いついたこじつけなので、そういう訳でもないのでしょうが、アジアンテイストという共通軸があった前作「MINT CONDITION」と比べると、今回は、彼ららしい「無国籍」さがよりストレートに出たアルバム、そう感じました。
タイトルそのまま「マカロニ・イタリアン」という1曲目は、ギター小野瀬雅生によるギターソロナンバーで、タイトル通り、西部劇の世界ですし、「京都野郎」は、タイトルとは異なり、パーカッションがどこかラテン風味。「夏っ子」は、メロウなスウィートソウル風ポップ。「女のグランプリ」は、トランペットの音が哀愁たっぷりの、ベタベタなムード歌謡曲だよなぁ。
古き良きアメリカの香りと、ディープなソウルと、アジアンテイストと、昭和歌謡曲と、等距離を保ちつつ、絶妙な、CKB流ポップを作り上げているのは相変わらず。今回の作品は、彼らの原点である場所をタイトルにしたからか、原点回帰・・・・・・って感じじゃないですね。いい意味で、いつも通りのクレイジーケンバンド(笑)。その魅力は相変わらずです。
また、今回は、芸能界のドン、堺正章と組んだ「そんなこと言わないで」みたいな、ポップ路線の楽曲も(ただ、この曲も軽快な歌謡ポップの絶品!)あったりして、彼らの音楽的な懐の大きさも感じられます(もっとも、堺正章も、日本音楽史に名前の残る、列記としたミュージシャンだったのですが)。
ただ、ここ最近、「アルバムを出せば必ず最高傑作」だった彼らですが、前作「MINT CONDITION」に続き、最高傑作か、と言われるとちょっと微妙かなぁ。「勢い」という点では、前々作「ガール!ガール!ガール!」の頃が最高潮だったような気もします・・・。
とはいえ、このアルバムも、ファンにとっては十分満足できる傑作だったのは間違いないと思います。今回も、80分近いフルボリュームのアルバムながらも、最後までダレルことなく聴けるのはさすが。まだまだ、彼らの活躍は続きそうです。
評価:★★★★★
クレイジーケンバンド 過去の作品
ZERO
ガール!ガール!ガール!
CRAZY KEN BAND BEST 鶴
CRAZY KEN BAND BEST 亀
MINT CONDITION
Single Collection/P-VINE YEARS
ほかに聴いたアルバム
THE OCRACY/BACK DROP BOMB
約4年ぶり、久々となるBACK DROP BOMBのニューアルバム。典型的なミクスチャーロックといった感じで、最近だと、逆に珍しくなってしまったような印象すら。楽曲によって、それなりにバリエーションを入れているものの、正直、取り入れ方もわかりやすすぎる感じもして、ピンとこなかったなぁ。在日ファンクを迎えた最後の「READY ON THE GROUND」はよかったと思うのですが・・・。
評価:★★★
BACK DROP BOMB 過去の作品
VENOMETEORIC
THE BDBEST
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