やりたい音をヤスタカらしく
Title:STEREO WORXXX
Musician:capsule
ここ最近、すっかり中田ヤスタカの実験場となったcapsule。ポップ方面でやりたいことはPerfumeで、その他のミュージシャンは「お仕事」(きゃりーぱみゅぱみゅはちょっとやっつけすぎるだろ・・・)というスタンスはかなりわかりやすいものを感じます。
こしじまとしこがすっかり楽器の一部となってしまってから久しいcapsuleですが、本作では、さらにそのスタンスが明確。彼女の全身像がジャケットにこそなっていますが、残念ながら彼女のボーカルが前に出てくる曲はほとんどありません。
こしじまとしこのファンには、否定的な意見もあるみたいですが・・・ただ、ポップ方面をPerfume、capsuleは中田ヤスタカのやりたい音、というスタンスが定まって以来、capsuleのアルバムの出来は飛躍的に上昇し、このアルバムは、capsuleのアルバムの中でも最高傑作ではないでしょうか?特に、「Feelin' Alright」から「In The Rain」の流れは最高。メドレーみたいに切れ間無く続く3曲なのですが、最初はビートの強いロッキンなエレクトロナンバーからはじまり、最後はハウス風のメロウな雰囲気のナンバーまで、様々な展開を見せながらも、あくまでもバックにポップなメロが流れるのも彼らしいところ。こしじまとしこのボーカルの非常に効果的に配置してあり、確かに前面で歌うことはないかもしれませんが、その存在感は十分に発揮されているのでは?
「Step on The Floor」はPerfumeっぽさも感じられる爽やかでキュートなポップナンバーですし、「Tapping Beats」はどこかK-POP風なエレクトロナンバー。「All The Way」はラテン風なナンバー。全体的には、前作「WORLD OF FANTASY」の要素をさらに推し進めたといった感じでしょうか。いろいろと中田ヤスタカのやりたいことをやりたいようにやっているなぁ、と感じられます。
ただ、どの曲も、しっかりとメロディーが感じられ、あくまでもポップな曲づくりをしているのも彼らしいところ。最後を締める「Transparent」には、ちょっと初期のフレンチポップ風な要素もまた、capsuleらしいといえるでしょう。個人的に、capsuleのアルバムの中で最高傑作!な1枚でした。
評価:★★★★★
capsule 過去の作品
FLASH BACK
MORE!MORE!MORE!
FLASH BEST
PLAYER
WORLD OF FANTASY
ほかに聴いたアルバム
SOMEWHERE OUT THERE/MONKEY MAJIK
アコースティックサウンドをベースに、爽やかな音を聴かせるMONKEY MAJIKの新作。楽曲は、洋楽テイストで垢抜けている感じがするのですが、アルバム全体としては野暮ったさを感じてしまうのは何故だ?似たようなタイプの曲が多く、マンネリ気味だから?それとも、サウンドにいまひとつヒネリがないから??
評価:★★★
MONKEY MAJIK 過去の作品
TIME
MONKEY MAJIK BEST~10years&Forever~
westview
typical affair/面影ラッキーホール
音楽ファンの間で高い評価を得ている昭和歌謡風ファンクバンド面影ラッキーホール。いわゆる「ダメ人間」のリアリティーを赤裸々に描いた歌詞も話題なのですが・・・・・・「Whydunit?」に続いて、彼らのアルバムを聴くのは2枚目なのですが、ごめんなさい、正直、全然おもしろいとおもえません。子どもを虐待死させてしまう母親の心境を描いた「ゴムまり」は確かにおもしろいと思ったのですが(ただ、何度も聴きたくなるような曲ではありませんが・・・)、浮気をテーマにした「セカンドのラブ」なんて、テーマも平凡ですし、内容もひねりがなくて面白みもありません。
個人的に彼らの歌詞がいまひとつ面白く感じられないのは、「ダメ人間」のリアリティーを描きながら、「描いただけ」といった感じなんですよね。そこから普遍的なテーマを導き出すわけでもないし、人間の本質を鋭く切り取っている・・・とも思えません。前作で感じた感想と同様、インパクトはあります。ただ、インパクトだけ、そういう印象を抱いてしまいました。
評価:★★★
面影ラッキーホール 過去の作品
Whydunit?
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