HIP HOPサイドはカッコよかったけれども
Title:Pink Friday:Roman Reloaded
Musician:Nicki Minaj
デビューアルバム「Pink Friday」が大ヒットを記録し、一躍話題の人となったアメリカの女性ラッパー、Nicki Minaj(ニッキー・ミナージュ)。そのデビューアルバムの時は、例によって、日本ではほとんど話題にのぼらなかったのですが、その後、徐々に日本でも知名度をあげ、この2ndアルバムでは、見事、日本でもベスト10ヒットを記録しました。もちろん、ビルボードチャートでは1位を獲得しています。
今回のアルバムは、オリジナルは19曲、国内盤ではボーナストラックを含めて22曲というフルボリューム。今回も、NasやDrake、Lil Wayneといった豪華な面子がゲストとして参加しています。
その新作の特徴は、前半と後半で雰囲気が異なること。前半はHIP HOPサイド、後半はエレクトロなダンスチューンやポップナンバーが中心という2部構成になっているみたいです。
個人的にも、前作「Pink Friday」が気に入ったため、かなり期待した今回のアルバム。前半のHIP HOPサイドについては、その期待に十分に応えてくれた出来だったと思います。音数を絞り込んだトラックに、タイトなリズムがインパクトを放つナンバー。「やばさ」を感じながらも、ポピュラリティーを兼ね備えた絶妙なバランスが印象的。2 Chainzをフューチャーした「BEEZ IN THE TRAP」や、Lil Wayneを迎えた「ROMAN RELOADED」あたりは、特にカッコよく感じました。
ただ、一方で、後半に関しては、正直、期待はずれでした。ポップなナンバーや、エレクトロなダンスチューンは、確かに耳障りのいい楽曲だったと思います。しかし、似たようなタイプの曲が多く、トラックもメロディーも正直平凡。「売り」を狙ったとは思わないのですが、悪い意味で、耳障りだけがいい、ベタな曲が多かったように感じました。
そんな感じで、前半だけなら文句なしの傑作だったのですが、後半で一気に失速してしまった感じ・・・。別にエレクトロなダンスチューンやポップナンバーも数曲だけならアクセントとして悪くないと思うのですが、後半、そんな曲ばかりの連続で、正直、少々飽きてしまいました。
HIP HOPサイドを聴く限りは、その勢いが衰えた感じはしないのですが・・・次回作は、前半みたいなカッコいい楽曲をもっと、是非!
評価:★★★★
Nicki Minaj 過去の作品
Pink Friday
ほかに聴いたアルバム
Fluorescence/Asobi Seksu
ボーカルYUKI CHIKUDATEの、ちょっとケルティッシュな、陽性のボーカルが印象的。突き抜けるような明るい歌声がインパクトがありつつも、シューゲイザー直系のノイズギターはあいかわらず。時に中盤からの、ファンタジックな雰囲気にボーカルがピッタリとマッチ。時折流れるシューゲイザー風なギターがほどよいインパクトを奏でていました。
評価:★★★★★
Asobi Seksu 過去の作品
Hush
F.A.M.E./Chris Brown
本作もビルボードチャートで1位を獲得するなど、アメリカで大人気のR&Bシンガー。楽曲は、今風のエレクトロポップといった感じ。ポップで聴きやすい反面、悪い意味で、アイドルシンガーみたいな平凡な楽曲は、正直、あまり面白みを感じませんでした・・・。
評価:★★★
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