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2012年4月19日 (木)

痛快で自由自在

今回紹介するのは、忌野清志郎の「瀕死の双六問屋」。もともと、1998年から2001年にかけて、「TVブロス」で連載されたエッセイ。彼が絵本以外では唯一といっていい、ゴーストライターやインタビューおこしではなく、自分で書いた本で、とても気に入っている一冊だとか。2000年に発売された単行本では、オリジナルのテーマ曲を収録したCDも付録としてついていました。その後、文庫本化され、こちらは今でも容易に入手できるのですが、付録のCDもつき、さらに2000年の単行本では未収録だった最終回も加えての、「完全版」だそうです。

このエッセイ・・・・仮に「エッセイ」と読んでいますが、一言「エッセイ」で片付けられない不思議な展開になっています。日々の出来事をつぶやいたかと思えば、社会派なエッセイもあり、かと思えば、小説がはじまって、その小説もフィクションかノンフィクションかわからない・・・小説、エッセイ、フィクション、ノンフィクションの壁が全くない、自由自在、彼の書きたいことが書き綴られている内容で、エッセイの枠組みにあてはまらないその自由さは、最初読んでいてとまどってしまいました。

しかし、最初はとまどいつつ読みすすめていくうちに、徐々に不思議な感覚を覚えてきました。それは、本を読んでいるにも関わらず、まるでキヨシローのアルバムを聴いているような、そんな感覚。この自由自在なエッセイの世界が、彼の音楽と、全くの地続きだったから、でしょうか。また、軽快な文体に、音楽的なリズムを感じたから、かもしれません。

そして、このエッセイを読んで、一番おもしろかったのは、彼の書く内容が、実に痛快だ、ということ。無責任なつまらない連中を「田舎モノ」と切り捨て、世の中で流行するJ-POPは、「つまらない」と一刀両断。そして、一番痛快なのは、彼の切り捨てる対象は、あくまでも彼自身の価値観によるもの、ということ。決して世の中の常識や法律に従って良し悪しを判断しているわけではなく、彼自身が「おかしい」と思ったものは、容赦なく切り捨てます。それは、彼の音楽と全く同じ。

「君が代」をパンクロック風にアレンジした曲を収録したアルバムが発売中止になったり、インディーシーンを皮肉った「ライブ・ハウス」を収録したアルバムが、インディーズからも発売中止になったり、このエッセイを連載している間に、彼をめぐっていろいろな事件が起こりましたが、そちらのエピソードもしっかりと収録されており、ここらへんの話も要チェック。

ちなみに付録CDで収録されている「瀕死の双六問屋」のテーマ曲が、これがまた、実に彼らしいブルースロックの名曲!キヨシローらしさがつまった作品で、文庫本を持っている方も、このCD目当てだけに購入しても損はないかも。

実に彼らしい、痛快で変幻自在なエッセイ集でした。あまりに自由すぎて、正直、連載時に読んでいたとしたら、内容がよくわからなくて混乱してしまったかも(笑)。まさに、忌野清志郎の「読む」アルバム作品ともいえる作品。ファンはもちろんですが、その内容に、ファン以外でも楽しめるエッセイ集だと思います。お勧め!

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