次の一歩に動き出した意欲作
Title:PORTAL
Musician:Galileo Galilei
Galileo Galileiのニューアルバムには、正直、かなりビックリしました。
Galileo Galileiといえば、auのCMソングが話題になったギターロックバンド。ポップなメロディーラインはインパクトがあり、それだけにヒットを記録したものの、「よくありがちなギターロックバンド」というイメージしか持ちませんでした。
しかし、このアルバム、1曲目の「Imaginary Friends」のイメージがガラリと変ります。エレクトロなリズムに、キラキラと輝くようなサウンド。ちょっと幻想的な雰囲気で、女性のコーラスが実に効果的。歌詞もあわせて、何かが始まるような希望を感じさせるナンバーです。
その後も、基本的に、エレクトロのサウンドとバンドサウンドを融合した感じの曲調。イメージとしては、後期スーパーカーあたりに近い方向性??90年代後半に、多くのギターロックバンドが、エレクトロ方面に走った時期がありましたが、そのイメージに近いかもしれません。
そんな中で「Kite」のようなギターロック色が強い曲や、「星を落とす」のようなシューゲイザー色が強い曲なども交えつつ、個人的には、やはりその1曲目と、同じく、ちょっと幻想的で、サイケな雰囲気をまじえつつ展開するラストナンバー「くじらの骨」が名曲だと思いました。
ただ一方で、「ああ、90年代にこのタイプのバンド、よくいたよなぁ」なんて思ってしまったり、Galileo Galileiだけが持っている何か、と言われると、まだ不足しているような感じも。というよりも、「普通のギターバンド」から、ようやく次の一歩を踏み出して、Galileo Galileiらしさを、より模索しだした意欲作といった感じがします。
そういう意味では、このアルバムだけ取ると、傑作、というにはちょっと物足りなさを感じる部分も。ただ、次の傑作に間違いなく繋がりそうな作品に感じました。次あたりはとんでもない傑作を産み出すかも・・・。そういう意味でも、彼らから今後、目が離せなさそうです。
評価:★★★★
Galileo Galilei
パレード
ほかに聴いたアルバム
Citizen Soul/People In The Box
パッと聴いてポップな雰囲気を醸し出しながらも、独特の世界観の歌詞と、複雑な楽曲の構成で、聴けば聴くほどはまってしまう彼ら。最初の「沈黙」も、ちょっと聴いた感じではポップなギターロックながらも、聴きすすめると、「あれ?」といった感覚に陥ってしまいますし、続く「親愛なるニュートン街の」も、不思議な雰囲気の歌詞が深読みできそう。最後の「汽笛」は、暖かい雰囲気のポップなメロが、素直に楽しめる作品。表面的なポピュラリティーと、その後ろにある奥深さが、さらに増したような作品です。本当に、1曲キラーチューンが出来れば、一気にブレイクしそうな感じもするんだけどなぁ。
評価:★★★★★
People In The Box 過去の作品
Ghost Apple
Family Record
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