味わい深い7曲
Title:ラプソディア
Musician:山本精一
山本精一は、ソロやバンドなどで、数々の作品を発表していますが、そんな中でも、このソロ名義での最新作、かなり指折りの傑作かも。
基本的に、ジャンル的にはポップになるのでしょうか。淡々としたボーカルと、メロディーラインは、決して派手さはありません。かといって、パッと聴いた感じでは小難しさもなく、まず一度聴いて、難なく受け入れられるアルバムに仕上がっていると思います。また、アレンジも、ギター、ベース、ドラムスのバンドサウンド。そういう意味では決して難解な内容ではありません。
ただ、ドラムスの奏でる独特のリズム、重ねられるギターのサウンド。聴けば聴くほど、新しい発見があり、その世界に入り込んでしまう、そんなアルバムになっています。
「Mothlight」のサイケで幻想的な雰囲気も、とても魅力的ですし、「DISCORD」のハードロック風な分厚いギターノイズにも耳を惹きます。他にも、最後を飾る「ハルモニア」の哀愁あるギターのインストが個人的にはお気に入り。なにげに「淡々としている」と書いたメロディーラインも、「いつものうた」など、ちょっと切ないポップスが、2度3度聴くうちに忘れられなくなります。
わずか7曲ながらも、その1曲1曲が味わい深いポップスになっている傑作アルバム。何度も長く愛聴できそうな1枚です。
評価:★★★★★
山本精一 過去の作品
PLAYGROUND
PLAYGROUND acoustic+
ほかに聴いたアルバム
Sleepless Sheep/Salon Music
海外での評価も高い(らしい)、吉田仁と竹中仁見による2人組ユニット、Salon Musicの、なんと9年ぶりとなる新譜。昔の渋谷系の匂いをどこか感じるギターポップは、懐かしさと同時に、非常にキュート。シューゲイザー系の影響も感じられるギターサウンドは、好きな人にはかなり壺に入りそう・・・って、それは自分ですが(笑)。
評価:★★★★★
ちゃんとやれ!えんけん!/遠藤賢司
エンケン生誕65周年にリリースされた新譜。実はエンケンは、ライブを見たこともあるし、名盤名高い「満足できるかな」を聴いたことはあるのですが、リアルタイムでアルバムを聴くのはこれがはじめて。で、イントロを挟んで「俺が死んだ時」からガツンと来てしまいました。現役感あふれるロックサウンドは、下手な若い連中には負けない勢いが、いまなお感じられます。冗談抜きにして、そんじょそこらのロックミュージシャンじゃ、足元にも及ばないカッコよさがあります。
一方、それがガラッと変わるのは、「もうちょっとだけ頑張ってみようかな-2011年3月14日 月曜晴れ-」。タイトル通り、地震直後の心境を、ピアノにのせてぼそぼそと綴ったポエトリーリーディング的な曲は・・・正直、ちょっと重い・・・(^^;;いや、あの地震やその後の原発事故から感じた感情をそのまま綴った内容という意味で、非常にリアリティーはあるのですが。その後のアコギをベースに静かに聴かせるナンバーは前半とは対照的。ただ、静かに綴る作品には、はりつめた緊張感が感じられます。静と動、2つの側面に、彼のミュージシャンとしての奥の深さを感じる1枚です。
評価:★★★★
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