幸福感があふれだす
Title:ULTRA
Musician:bonobos
去年の「Rock on the rock」ではじめてbonobosをライブで見まして。正直言って、予想以上に平凡なステージで(^^;;なんというか、bonobosのアルバムで感じたような、独特な浮遊感がほとんどない、普通のギターロックバンド、といった感じで。そんなこともあったので、このニューアルバムも、あまり期待していなかったのですが・・・。
しかし、これがまた、予想以上に素晴らしい内容でした!
一言でいえば、CDから、幸福感があふれだしそうな作品、といっていいでしょうか。
最初から最後まで、ハッピーな雰囲気がみちあふれているアルバムなんですよね。「リレー」からして、フリーなピアノとギターロックがとても祝祭色あふれる音を作り出していますし、続く「星の住処」も、ストリングスにホーン、ピアノやヴィブラフォン(?)まで加わり、にぎやかでとても楽しいナンバーになっています。
中盤「虹」のような、ピアノで幻想的な世界を描き出すナンバーや、ポップなメロディーを聴かせる「夕景スケープ」など、聴かせるナンバーもあるのですが、それらの曲も、のんびりとした雰囲気の中、満ち足りた気分にしてくれる楽曲。特に「あなたは太陽」などは、タイトル通りの讃歌。
「たとえばあなたが伝説の、孤独に旅する猿として
あなたが行くのはそのような
圧倒的な原野だろう」
という現実を描きながらも
「日だまりを行くといい、愛することに出会うといい
あたりまえの営みを、どうかあなたは続けてね」
「そこは光の苗床だ、そこは命の苗床だ
あなたの未来に祝福を
圧倒的な祝福を」
(以上 「あなたは太陽」より 作詞 蔡忠浩)
と歌い上げるこの曲は、ある意味、このアルバムを象徴する曲。そして最後は「Go Symphony!」で、最後の最後まで祝祭色あふれる曲が並んでいます。
最近は暗いニュースが多く、ともすれば後ろ向きになりがちな中、そんな現実の中でも、幸せを求めようとするこのアルバムは、今、多くの方に聴いて欲しいアルバムだと思います。はやりの前向きソングのように、根拠のない単純な前向き応援歌ではなく、曲全体にハッピーな雰囲気がありながらも、「あなたは太陽」のように、現実を踏まえた上での未来を歌うこのアルバム。bonobosの傑作だと思います。最後まで、満ち足りた気分になれる1枚でした。
評価:★★★★★
bonobos 過去の作品
Pastrama-best of bonobos-
オリハルコン日和
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