ポップス職人の名曲たち
Title:Best of HARD CORE POP!
Musician:堂島孝平
もうデビューから17年(!)。すっかりベテランの域に達したシンガーソングライター、堂島孝平。ベスト盤は、いままで何枚か発売されてきましたが、初となるオールタイムベストが発売されました。
堂島孝平というミュージシャンを一言で言えば、まさに「ポップス職人」という言葉が一番ピッタリくるでしょう。スカ風の「So She,So I-SAYONARA SKA-」、ニューソウル風の「それは一瞬の出来事だった」、ギターロックの「七月」など、バリエーション豊富な様々なタイプの曲を聴かせてくれますが、どの曲にも共通するのが、飛び切りのポップチューンという点。「銀色クリアデイズ」のように、大滝詠一はじめ、いわゆるナイアガラ周辺のミュージシャンからの大きな影響を感じる、ポップなメロディーを存分に楽しめる楽曲が並んでいます。
堂島孝平は、昔からアルバムはすべてチェックしていて、好きなミュージシャンの一人なのですが、こうやってベスト盤で聴いてみると、あらためて名曲揃いだなぁ、ということを実感できます。そんな中で、特に名曲だと思うのが「セピア」。タイトル通り、セピア色の風景が広がるような、とても切なく、そして暖かいナンバーです。そして、個人的にインパクトが強いのが「25才」ですね。実は私、彼と同じ年。リアルタイムでこの曲を聴いたのですが、まだまだ若いと思いながら、周りは徐々に結婚する人も増え、確実に「大人」になってくる微妙な年代。歌詞にとても共感できました。しかし、あれからもう10年ですか・・・(^^;;
ちなみに、アニメ版「こち亀」主題歌になった「葛飾ラプソディ」もいいですよね。作詞は彼ではないのですが・・・ほんわかとした雰囲気が下町と、「こち亀」の世界にマッチした曲調。逆の意味で印象的なのは、デビューシングル「俺はどこへ行く」で、曲調といい、歌詞といい、完全に尾崎豊を意識した感じ。当初、こういう方向で売ろうとしていたんだなぁ、という隔世の感があります。
2枚組でボリュームたっぷりなので、ちょっと堂島孝平の最初の1枚としては、手をつけずらいかもしれませんが・・・それでもポップス好きならチェックしてほしい、是非ともお勧めしたいベスト盤です。しかし、これだけ名曲が揃いながら、いままでブレイクしていないというのが本当に不思議・・・(提供曲のヒットはありましたが)。本当に、いいミュージシャンだと思うんだけどなぁ。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
ATOM ON SPHERE/ATOM ON SPHERE
FAKE?やOBLIVION DUSTで活躍するKEN LLOYD、元SBKのSHIGEO、Dragon Ashの桜井誠、そして元ビークルのケイタイモによるバンドのデビュー作。基本的にエレクトロなロックナンバー。目新しさはさほど感じませんが、いい意味でのわかりやすさがあって、聴いていて難しいこと抜きにして楽しめる心地よさがあります。なによりKENのボーカルによって、曲がグッと垢抜けたものになっています。メロディーもリスナーの壺を押さえていてなかなかよいですね。これからに期待の新バンドです。
評価:★★★★
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2012年」カテゴリの記事
- 私たちの身に染み付いたサウンド(2013.02.12)
- まだまだ現役!(2012.12.27)
- 素朴な曲が心に響く(2013.01.04)
- 懐かしい名前の復帰作(2013.01.05)
- 沖縄発世界一周?(2012.12.20)
コメント