これからの氣志團は?
Title:蔑衆斗 呼麗苦衝音
Musican:氣志團
誤解をおそれずに言ってしまうと、氣志團というバンドは、「One Night Carnival」の一発屋だった、そう感じたベスト盤でした。
いや、もちろん売上という側面で言えば、彼らは決して一発屋ではありません。シングルはその後もコンスタントにヒットを飛ばしていますし、アルバムでも、ヒットを続けています。
ただ、氣志團というバンドのコンセプトは80年代のパロディー。暴走族風な田舎のヤンキースタイルも、80年代そのまんまですし、BOOWYや尾崎豊といったいかにも80年代的なミュージシャンをパロった曲こそが、氣志團というバンドの最大の持ち味であり、個性のはずです。
そして、そのコンセプトは、ある意味、「One Night Carnival」でひとつ集結しており、なおかつ完結しています。そのまんま尾崎豊な歌詞や、80年代風味をちりばめた歌詞は、その時代を知る人なら、聴きながら「ニヤニヤ」してしまうこと間違いなしの、これぞコミックソングの傑作といった名曲。氣志團の魅力が凝縮された1曲になっています。
そのため、それ以降の曲に関しては、正直、氣志團としての魅力を十分に出し切れているとはいえません。このアルバムに収録されている「結婚闘魂行進曲「マブダチ」」にしろ「愛 羅 武 勇」にしろ、彼らのヤンキーとしての側面だけ強調している作品であり、80年代のパロディーという側面は、ほとんど反映されていない、普通のポップスロックになってしまっています。
それでも氣志團というバンドは、それなりにいい曲を書いてしまっていたという点、かつボーカルの綾小路翔はもちろん、その他のメンバーも稀代のエンターテイナーだったという点から、その後も人気が持続していきます。しかし、彼らの本来の持ち味というのは、やはり「One Night Carnival」で、ある種、完結してしまっていたのではないかなぁ・・・ということを、このベスト盤を聴いてあらためて感じました。
ただ、だからその後の氣志團としての活躍はダメだ、とかいう訳ではありません。実際、その後の彼らの活躍についても非常に魅力的なものがあります。でも、それって、必ずしも、ヤンキースタイルの氣志團である必要性はないんですよね・・・。
実際、ここ最近の彼らに関しては、完全にマンネリ気味。最新作「木更津グラフィティ」は原点回帰的な作品になっていましたが、やはり二番煎じ気味な部分は否めません。それだけに、今後の彼らについて、どのような方向で活躍していくのか、注目していきたいところ。最高に楽しいステージを見せてくれる彼らだからこそ、このままで終わるとは思えないのですが・・・。
評価:★★★★
氣志團 過去の作品
房総魂~Song For Route 127
木更津グラフィティ
ほかに聴いたアルバム
それではみなさん良い旅を!/HiGE
HiGEの曲って、1曲1曲は結構カッコいいんだよなぁ。ヘヴィーでノイジーなギターリフにポップなメロディー。昔ながらもロックンロールを体現化したような作品はアルバムを聴いている時は魅力的・・・・なのですが、なぜかアルバムを聴き終わると、いまひとつ印象が薄い・・・(^^;;以前持っていた、HiGEらしい中毒性のある曲が皆無。個性の薄さが気になってしまったアルバムでした。
評価:★★★
HiGE 過去の作品
Chaos in Apple
テキーラ!テキーラ!the BEST
サンシャイン
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