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2012年3月13日 (火)

対照的な2枚

ほんのりとジャズをブレンドさせた、メロディアスで聴かせるポップスを届けてくれる大橋好規のソロユニット、大橋トリオ。今回のアルバムは、2枚同時リリースとなりました。

1枚目が・・・

Title:L
Musician:大橋トリオ

そしてもう1枚が・・・

Title:R
Musician:大橋トリオ

タイトルも「L」と「R」と対照的。ジャケット写真も対照的ながら、内容も対照的。それぞれゲストミュージシャンが参加した曲が1曲ずつ収録されており、「L」には、BONNIE PINK、「R」では秦基博が参加と、男女で対照的。どちらも10曲ずつが収録されていて、うち、2曲が2分足らずの実質、インタールード的なインストナンバー。ラストは、どちらも「Big Bang」で締められていますし(「L」は英語詞、「R」では日本語詞のバージョンで収録)、「Big Bang」以外に英語詞の曲が1曲ずつ収録されている、という点でも対照的です。

・・・とはいえ、おそらくそこまで厳密に、「対照的」につくられているわけでもなさそう。特に楽曲のタイトルを揃えるといった感じでも、曲調を揃えるといった感じでもなさそうですし、逆に「L」と「R」の楽曲を違った曲調にした訳でもなさそう。あえていえば、「L」の方が、ジャジーにしんみりと聴かせる曲が多いでしょうか?ただ、「R」でも聴かせるナンバーは並んでいて、そういう意味では、どちらから聴いても、また、大橋トリオにちょっと興味がある、という方は、まずどちらか1枚から聴いても問題はなさそうです。

そしてこれは、大橋トリオのこれまでの曲にも共通することなのですが、本当にいい曲を書くミュージシャンだよなぁ、ということをあらためて思いました。

まず第一にとてもバランスが取れています。基本的に「Be there」「ゼロ」のようにジャズをアレンジしたポップが多いのですが、一方では、「The Long Parade」のようなフォーキーな作品もあったり。かと思えば、「モンスター」みたいな、ストレートなポップスナンバーもあったりして、ポップスを主軸に、様々な作風の曲が並んでいます。

そして、どの曲も基本的にポップ。小難しさがなく、かといって過剰な「おしゃれ感」もなく、スノッブな雰囲気は皆無。かといって、流行のJ-POPのようなベタさもなく、そういう意味では、大人から若い世代まで、訳隔てなく楽しめそうなポップソングが並んでいます。

それぞれミニアルバムとはいえ、2枚揃えば、それなりのボリュームがあるこのアルバム。ただ、それだけのボリュームだからこそ、大橋トリオの魅力を存分に楽しめるアルバムになっていました。また、2枚のアルバムにすることによって、途中、ダレることもなく、最後まで楽しめます。そういう意味では、大橋トリオの様々な側面を見せつつ、それを飽きさせずに伝えるという意味では、ミニアルバム2枚というのは大正解なのかも。

評価:
L ★★★★★
R ★★★★★

大橋トリオ 過去の作品
A BIRD
I Got Rhythm?
NEWOLD
FACEBOOKII


ほかに聴いたアルバム

BEST! 2004-2011/土岐麻子

クリアなボーカルが特徴的で、数々のCMソングも歌っている女性シンガーソングライター土岐麻子のベスト盤。さわやかなシティーポップに、ちょっとジャジーな要素も加えて・・・というのは、上で紹介している大橋トリオに近い部分もあるような。全体的にちょっと薄味に感じる部分もあるのですが、一方で、そのクリアなボーカルと楽曲が絶妙にマッチしており、耳にしっかり残る曲も多く、彼女も「良質なポップ」を歌うミュージシャンとして、幅広く薦められそう。

評価:★★★★

土岐麻子 過去のアルバム
TALKIN'
Summerin'
TOUCH
VOICE~WORKS BEST~
乱反射ガール

playing the piano usa 2010/korea 2011-ustream viewers selection-/坂本龍一

2010年10月の全米ツアーと、2011年1月に行われた韓国でのライブからファンが選んだベスト盤。全編坂本龍一のピアノによる静かな演奏。「merry christmas mr.lawrence」や「tibetan dance」など、おなじみの曲も多く、熱心なファンじゃなくても最後まで楽しめそう。表情豊かな教授の演奏が、とても魅力的な1枚。

評価:★★★★★

坂本龍一 過去の作品
out of noise
UTAU(大貫妙子&坂本龍一)
flumina(fennesz+sakamoto)

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