等身大の女の子
Title:チャットモンチーBEST~2005-2011~
Musician:チャットモンチー
昨年、突然飛び込んできた、ドラムス高橋久美子脱退というニュース。学生時代からの仲間が結成というイメージがあっただけに、メンバーの脱退というのは驚きでしたが、それ以上に驚いたのが、新メンバーを加えず、さらに福岡晃子がドラムスに転向し、2ピースバンドとして活動を再開した点でした。新しいメンバーを入れて、和を乱されるよりも、2人だけで活動を続けていった方が良い、という判断なんでしょうね。
そんなチャットモンチーの3人組だった時代の作品をまとめた初のベスト盤がリリースされました。デビューアルバム「chatmonchy has come」の1曲目「ハナノユメ」からスタートし、最後は、最新アルバム「YOU MORE」からの「バースデーケーキの上を歩いて帰った」まで、発売順に並んでおり、まさにチャットモンチーの歴史を知ることの出来るアルバムになっています。
チャットモンチーといえば、ストレートなギターロックにポップなメロという、王道のギターロック路線も大きな魅力なのですが、やはり彼女たちらしさの大きな要素となるのは歌詞でしょう。彼女たちの歌詞って、すごくバランスの良さを感じるんですよね。いわゆる女の子の本音を綴っているのですが、変に垢抜けていなく、かといって、変に田舎っぽさもなく、日本全国にどこにでもいそうな女の子の姿を、上手く描いています。
これも、東京といういろいろな情報があふれる大都会ではなく、徳島で生まれ育った彼女たちだから書けるのでしょうか。また、下手に女性らしさを売りにするわけでもなく、かといって、中指突っ立てて、女性らしさを中に隠してしまうわけでもなく、そういう意味でも非常にバランスの良さを感じます。
徳島出身の彼女たちならではといえば、「東京ハチミツオーケストラ」。東京の街を蜂の巣に、働く人たちを働き蜂に、そして東京の魅力を蜂蜜に例えた東京の街の描き方は、地方出身の彼女たちだからこそ出来る作品。そういえば、「東京」について歌うのって、大抵、東京意外の人だよね・・・。
正直、ここ最近の作品になると、この歌詞の世界がちょっと垢抜けてきちゃっている部分もあるかな?とも感じさせるのですが、「バースデーケーキの上を歩いて帰った」みたいに、歌詞の発想自体がかわいらしい曲は、まさにチャットモンチーの真骨頂でしょう。
チャットモンチーは、基本的に作曲はギターボーカルの橋本絵莉子が手がけているものの、作詞の面で高橋久美子の貢献も大きかったのも事実。それだけに、彼女脱退後、彼女たちのこの歌詞の世界がどう変化するのか、気になる部分も多いのですが・・・ただ、2ピースバンドとなって、まだまだ走り続けるチャットモンチー。これからの活躍に期待したい、とりあえず一区切りのベスト盤でした。
評価:★★★★★
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