力強く、この世界で生きる
Title:MISOGI EP
Musician:GRAPEVINE
ここ最近のGRAPEVINEは、本当にはずれがないなぁ~。
前作「真昼のストレンジランド」も傑作でしたが、このたび発売された全6曲入りのミニアルバム「MISOGI EP」もまた、文句なしの大傑作に仕上がっていました。
まず1曲目のタイトルチューン「MISOGI」から、いきなりノイジーなギターのストロークが耳につく、アップテンポなロックンロールナンバー。全編、仏教用語がちりばめられている歌詞もユニーク。タイトルの「禊」が仏教用語ではなく、神道用語なのは、ご愛敬。
今回は、なぜかこの「MISOGI」といい、「ONI」や「SATORI」など、妙に日本的なタイトルなのがユニーク。また、前作に引き続き、歌詞が、リズム感を重視して、人に解釈を任せるような内容ではなく、比較的、テーマがつかみやすい、わかりやすい歌詞になっています。特に「ANATA」などは、ちょっとジャジーな、哀愁たっぷりなメロディーと、歌詞の世界が、妙に歌謡曲ちっくなのがユニークで、耳に残る作品になっています。
どの曲も、彼ららしい独特のグル-ヴを奏でている曲が並んでいます。ここらへんは、もうお家芸といった感じ。ただ、結成から20年近くが経過して、まったくそのリズムからマンネリを感じさせません。
今回のアルバムで最後を締めくくるのが「RAKUEN」。正確には、「RAKUEN」に取り消し線がついたタイトルなのですが、誰もが夢見るような「楽園」はない。いま、現実の世界こそが「エデン」なのだ、と、現実に対する力強い肯定を感じさせる歌詞が魅力的。単純な応援歌ではないのですが、力強い前向きな歌詞に感じました。
この曲に限らず、全体的に、現実社会を受け入れながらも、その中で力強く生きていこうとする姿を感じた今回のアルバム。そして、その力強さは、その演奏からも強く感じることが出来ました。
結成から20年近くが経過し、いまなお止まらない勢いを感じるバンドの、新たな傑作。本当に、すごいバンドだわ、彼らは。思わず聴き入ってしまった1枚でした。
評価:★★★★★
GRAPEVINE 過去の作品
TWANGS
MALPASO(長田進withGRAPEVINE)
真昼のストレンジランド
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