1年たった今でも・・・。
東日本大震災から1年が経ちました。
しかし、いまでも多くの方が避難生活を続け、原発事故も終息が見えません。ただ、震災に関する報道はまだ多いものの、残念ながら、一時期、あれだけ多かった被災者に向けたチャリティー活動は、最近、耳にすることが少なくなってしまったように思えます。
そんな中、昨年、震災後、いち早く被災者への支援目的でコンピレーションアルバムをリリースしたOTOTOYで、震災からちょうど1年後の先日3月11日、新たなコンピレーションアルバムがリリースされました。それも11枚!以前、このサイトでも紹介した「Play for Japan」の新シリーズで、今回も数多くのミュージシャンたちが参加しています。
ダウンロードサイト 日本復興コンピレーション・アルバム『Play for Japan 2012』
Title:Play for Japan 2012 vol.1
今回のコンピレーションアルバムの冒頭を飾るのが、気仙沼出身の畠山美由紀による「わが美しき故郷よ」。先日、リリースされた同タイトルのアルバムにも収録されているナンバーの、朗読部分と音楽の部分をまとめた内容で、ふるさと気仙沼への想いを読み込んだ詩には、非常に心うつものがあります。
他に、ソウル・フラワー・ユニオンやmama!milkなどが参加しているこのコンピ。全体的には、ジャズの要素を取り込んだ楽曲が多くまとめられていました。
ソウル・フラワー・ユニオンの「スイミング・プール」ももちろん良かったのですが、沖縄音楽と中国風の音楽の融合がユニークな、寺尾ブッタfeat.仲宗根忍の「唐船ガール」や、ガレージ、サイケ、フリージャズ、ノイズなどの要素が混合された、画家の「十三月」などが良かったです。
そんな中で、一番インパクトがあったのが、レ・ロマネスクの「Yokozuna~The King Of Sumotori~」。タイトル通り、相撲取りのことを歌った歌なのですが、チープな打ち込みに、歌謡曲風のメロがなんともユーモラス。なんでも、フランスを中心に活動していて、向こうでは大人気の日本人だとか・・・全く知りませんでした(^^;;でも、これはおもしろいなぁ・・・。
評価:★★★★
Title:Play for Japan 2012 vol.2
the telephonesの石毛輝が参加しているこちらのコンピは、エレクトロやポストロック系のミュージシャンが多かったかな?中盤には、フォークロック系のメロに、骨太なバンドサウンドを聴かせてくれるミュージシャンも並んでいました。
そんな中で、良かったのが、まずハンサムケンヤという、「自分で言うか」的な名前のミュージシャン(笑)。野山で遊びまわる、子どもたちの夏休みを描写した「フィルムケース」が、暖かい雰囲気のポップスで、ノスタルジーを誘います。
他には、メロはフォーキーながら、シューゲイザー風のノイズギターが印象的なひらくドアの「休み明けの季節」や、美しくも幻想的な雰囲気が、シガーロスを彷彿とさせるCalmloopの「Darkness to Lightness(For requiem)」なども耳を惹きました。
評価:★★★★
Title:Play for Japan 2012 vol.3
で、続くVol.3。こちらは、全体的に、アバンギャルドなポップソングが多く収録されていました。
この中で一番おもしろかったのが、SUGAI KENの「荷葉-Kayou-」。いわゆるエレクトロなのですが、自然の音を模したようなサウンドが印象的で、独特な音の世界を作り出していました。
タイトルが皮肉めいていてユーモラスだったのが高野P介の「あなたがリツイートしても原発はとめられない」。Twitterが大きな話題となった今回の震災ですが、ただ呟くだけでは世の中は変えられないという、強烈なメッセージが耳に痛いナンバー。楽曲は、エフェクトのかかったピアノとボーカルが、まるで水の中で演奏しているかのような、不思議な雰囲気をかもしだしている、夢の中にいるかのようなナンバーになっています。
他に、力強いバンドサウンドが印象的なPLAY DEAD SEASON「no idea」や、同じくパンキッシュなインディーギターロックがインパクトのあるLimited Express(has gone?)「we love this country like banana」、スパカあたりを彷彿とさせるエレポップソングnyarin「誰が為に音楽は鳴り響く」が印象に残りました。
評価:★★★★
そんな感じで、魅力的な曲がたくさん収録されているコンピなのですが・・・ただ、ちょっと気になったのが、1年前のコンピみたいな、メジャーどころの参加が少なかったところ・・・。前回の作品では、1枚に2、3組は、多くの方が知っているようなミュージシャンが参加していたのですが、今回の作品では、すべてあわせても、そんなミュージシャンが数えるほど。あえてメジャーどころに声をかけなかったのかもしれませんし、そこらへんの事情は不明なのですが、ちょっと寂しくも感じました。
そのため―この手のコンピにこういう感想は野暮なのですが―全体的な曲の良さは、正直、1年前の「Play for Japan」より、一歩劣るような感じがしました。いまひとつ、と感じる曲も少なくありませんでしたし、アルバムを聴いてみたい!と思えるようなミュージシャンも、前作に比べて少なかったです。もちろん、参加したミュージシャンに対して、こういうことを言うのは、少々失礼にあたるかもしれないのですが・・・・・・。
とはいえ、1枚1,000円ですし、上にも書いた通り、魅力的な楽曲もたくさんありますし、チャリティーということを抜きにしても、十分楽しめるアルバムだと思います!震災後、1年経った今でも、なおかつ多くの支援を必要としている東北のためにも、前回と同様、チャリティーをしながら、こちらも楽しめるという、とてもステキな企画。みなさんも是非!
ダウンロードサイトは、こちらから。
以前のPlay for Japanの感想はこちら
Play for Japan Vol.1~Vol.3
Play for Japan Vol.4~Vol.6
Play for Japan Vol.7~Vol.10
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