これが遺作になるなんて・・・。
Title:遠くは近い
Musician:yanokami
レイ・ハラカミ。日本のテクノ・ミュージシャン。彼の醸し出す柔らかい音色は、とても独特であり、多くの音楽ファンを惹きつけました。矢野顕子もそんな一人。2007年に、矢野顕子とレイ・ハラカミがユニットを組み、「yanokami」と名づけ、アルバムをリリースし、大きな話題となりました。
そんな音楽ファンに大きな衝撃が走ったのが昨年の7月。レイ・ハラカミ急逝。わずか40歳という若さでした。
しかし、レイ・ハラカミが残したトラックを基に、yanokamiのニューアルバムが発売されました。yanokamiとしての新作を制作途上での急逝だったそうで、残されたトラックに、矢野顕子のボーカルと、タブラ奏者u-zhaanの演奏を重ねる形で、アルバムが完成しています。
私も、レイ・ハラカミの音色に魅せられた一人なのですが、yanokamiとしての前作は、正直、矢野顕子とレイ・ハラカミの個性が、それぞれ孤立してしまい、ぶつかりあってしまって、アルバムとしての出来は、いまひとつ、という感想で終わってしまっていました。
しかし、今回のニューアルバムは、矢野顕子とレイ・ハラカミの個性が、見事に融合しあって、yanokamiとしての音を作り出していました。
ユーミンのカバー「曇り空」では、矢野顕子のボーカルとピアノ、そしてハラカミの音が重なりあうように融合し、ハラカミとも矢野顕子とも異なる音の世界を作り出していましたし、オフコースの「Yes-Yes-Yes」も、矢野顕子のボーカルと、レイ・ハラカミが作り出すトラックが、バラバラのように作用しながらも、絶妙なバランスの基にマッチしていました。
yanokamiとしての音を見事作り出した、本当の意味での1stアルバム、ともいえるかもしれない本作。それが、レイ・ハラカミにとって遺作になってしまうなんて・・・・・・本当に残念で仕方ありません。
評価:★★★★★
で、今回のアルバム、矢野顕子の部分を除いた、レイ・ハラカミのトラックのみを取り出したインストアルバムも同時に発売されています。
Title:遠くは近い-reprise-
Musician:yanokami
こちらは、事実上、レイ・ハラカミのアルバム。ただ、矢野顕子の声とピアノが乗ると、完全にyanokamiの作品になっているのに対して、レイ・ハラカミのトラックだけ聴くと、いつも通りのハラカミの音なのが不思議な感じ。ちゃんと、矢野顕子を意識しつつ、レイ・ハラカミとしての本質は全く変えない音作りをしていたんだなぁ、ということを実感できます。レイ・ハラカミファンは、こちらも必聴!
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
Trinity/CHEMISTRY
CHEMISTRYのニューアルバムは、CHEMISTRY名義の曲5曲に、川畑要ソロと、堂珍嘉邦ソロそれぞれ5曲ずつという構成。ソロに走り出すって、完全に解散目前ってことじゃん・・・(^^;;CHEMISTRY名義の曲は、今時のエレクトロ路線に走りつつも、メロウな曲をしっかり聴かせる主軸は変らず。川畑ソロも、基本的にケミの延長線上なのに対して、堂珍ソロは、サイケ調の曲やロック調の曲など、ケミとは違う嗜好が感じられます。曲の出来としては「・・・」な感じなのですが、方向性としてはおもしろい感じ。ただ、この方向性の違いが、「解散目前」という悪い予感が当る理由にならなければいいのですが。
評価:★★★★
CHEMISTRY 過去の作品
Face to Face
the CHEMISTRY joint album
regeneration
CHEMISTRY 2001-2011
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