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2012年3月

2012年3月31日 (土)

ボーカリストとして成長を続ける

Title:POWERS OF TEN
Musician:YUKI

YUKIの第2弾となるベスト盤。前作「five-star」からたった5年しか経過しておらず、その間にリリースされたアルバムも2枚のみ。そういう意味では、ベスト盤のリリーススパンとしては、ちょっと短すぎるんじゃないか?とも感じるのですが。

前作「five-star」の時にも同じことを書いたのですが、YUKIというシンガーは、ソロデビューから今日に至るまでに、本当に大きく進化したなぁ、ということを感じます。

デビュー当初の彼女には、正直痛々しいものがありました。いわゆるサブカル系のミュージシャンを露骨に目指し、ガレージロック路線に走ったり、エレクトロ路線に走ったり。目的が見えすぎていて、痛々しいものがありました。

しかし、徐々に肩の力が抜け、徐々に彼女のボーカリストとしての個性を生かした曲を歌いだし、ジュディマリとも違う、ソロシンガーYUKIとしての個性を見事に確立した・・・・・

・・・のが、前作「five-star」あたりの彼女。

その後、アルバムを2枚リリースしたわけですが、さらに成長を遂げた彼女を感じることが出来ます。

なんというか、ここ最近のアルバムに関しては、曲全体にスケール感が増し、かつ、ボーカリストとしての余裕を感じるんですよね。

今回のベスト盤では、ソロデビュー後、はじめて録音した未発表曲「MY HAND」と、新曲「世界はただ、輝いて」「大人になって」が収録されています。この3曲を聴きくらべると、YUKIの進化がわかり、なかなか興味深いです。

「MY HAND」は、パンキッシュな歌い方がまんまジュディマリ。いや、ジュディマリの中でも、もっとパンク色が強かった、ブレイク前後に近い感じすらします。若々しさがある一方で、どこか刺々しさも感じます。

一方、最新ナンバーについては、彼女のロリータボイスを生かしつつも、大人としての包容力を感じさせます。もちろん、好みの問題はあるでしょうが、純粋に大人のボーカリストとして成長を遂げたことを強く感じることが出来ると思います。

すっかり「元ジュディマリ」という肩書きが不要になってきた最近の彼女。ソロになってからの彼女の活躍は、素晴らしいものがあります。まだまだこの人気は続いていきそうですし、彼女もボーカリストとして、まだまだ成長しそうな予感も。これからも彼女の活動からは目を離せなさそうです。

評価:★★★★★

YUKI 過去の作品
five-star
うれしくって抱きあうよ
megaphonic

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2012年3月30日 (金)

貫禄の1位&まさかの2位

今週の着うたチャート

2012年3月21日~2012年3月27日付チャート

やはり強いミスチル。圧巻の2週連続1位です。

そんなわけで、先週に引き続きMr.Children「祈り~涙の軌道」が2週連続の1位を獲得。相変わらず強いですね。2位には初登場、元NEWSの山下智久「愛、テキサス」でした。シングルチャートではAKB48渡辺麻友を僅差でかわして1位となりましたが、着うたでは2位に留まっています。また、3位には西野カナ「SAKURA,I love you?」が先週の2位からワンランクダウンながらもベスト3に留まりました。

4位以下の初登場は、まず今週のシングルチャートにも登場した2枚がランクイン。4位に安室奈美恵「Go Round」、そして7位にKARA「スピードアップ」が入ってきています。先週のシングルチャートでは、KARAが2位、安室奈美恵が4位という結果でしたが、着うたチャートでは順位が逆になっています。

そして、先行配信組では、10位にナオト・インティライミ「愛してた」が入ってきています。28日に発売したシングルの先行配信。前作「君に逢いたかった」は着うたチャートで2週連続2位を獲得していますから、ちょっと不調な出足。シングルチャートではデイリー初登場6位発信で、こちらは2作連続のベスト10入りも狙える位置につけています。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週のアルバムチャートは、衝撃が走りました。

今週は、浜崎あゆみのニューアルバム「Party Queen」が発売される週。当然、こちらが1位を獲得するもの・・・と思っていたのですが、蓋を開ければ、なんとデイリー初日から、Janne Da Arcのyasuのソロプロジェクト、Acid Black Cherry「『2012』」が1位を獲得。そのまま走り続け、なんと、浜崎あゆみを下し、週間チャートで1位を獲得してしまいました。

浜崎あゆみのオリジナルアルバムとしての前作「Love songs」は初動18万枚。昨年リリースしたミニアルバム「FIVE」が12万7千枚。対するAcid Black Cherryは、前作「Q.E.D.」は7万8千枚。当然、今回も浜崎が・・・と思いきや、「『2012』」が11万7千枚とアップさせたのに対して、「Party Queen」が9万7千枚と大幅にダウン。まさかのAcid Black Cherry首位獲得となりました。

浜崎あゆみは、以前「GUILTY」でもコブクロのアルバムに負け、2位に終わっていますが、あの時は、コブクロに勢いのあった全盛期。一方、Acid Black Cherryは人気はあるとはいえ、一部の固定ファンの支持に留まる印象が。それだけに、浜崎あゆみが負けたというのは、ひとつの時代の終わりを感じさせます・・・。

続く3位には、TEAM H「LoungeH ザ・ファースト・インプレッション」が入ってきています。一瞬、AKBがらみの派生ユニットか?と思いきや、日本でも人気の韓国人俳優チャン・グンソクが友人のDJ BIG BROTHERと組んだユニットによるミニアルバムだとか。ただ、初動は2万9千枚。チャン・グンソクのソロシングル「Let Me Cry」の初動11万9千枚からは大きく下回りました。

4位には、男女混合ダンスユニットAAA「Another side of #AAABEST」がランクイン。タイトル通り、昨年リリースされたベスト盤「#AAABEST」に収録されなかった曲の中から、ファン投票で選ばれた曲を収録したアナザーベスト的なアルバム。初動2万9千枚は、その「#AAABEST」の6万6千枚から大幅ダウンですが、アルバムの性質から考えれば、こんなところでしょうか。

6位にランクインしてきたのが清水翔太の4枚目となるアルバム「Naturally」。前作「COLOR」の7位から順位こそあげましたが、初動売上は3万9千枚から1万8千枚と約半減。前々作「Journey」以来、急落傾向が続いており、厳しい状況になっています。

7位には、どちらかというと着うたチャートでおなじみの、沖縄出身の女性シンガーBENIによるカバーアルバム「COVERS:」が入ってきています。JUJUのカバーアルバムがヒットを飛ばしたので、そこにあやかりたいといった感じなのでしょうか?初動売上1万7千枚は、直近のアルバム「Fortune」の1万2千枚を上回りましたので、思惑通りといった感じでしょうか。ただ「ロビンソン」や「もう恋なんてしない」とか、26歳の彼女の選曲に、ちょっと思えない感じもするのですが・・・。

続く8位に入ってきたのがSCL Project(natsuP)feat.VanaN'Ice(神威がくぽ・KAITO・鏡音レン)名義のアルバム「LAST COLOR」。こちらは、動画サイトなどへの投稿で人気を得たnatsuPが、男性ボイスのボーカロイドを使い、架空のビジュアル系バンドを結成したという設定でリリースしたアルバムだそうです。

最後9位は、人気アニメ「マクロスF」の登場キャラクター、シェリル・ノームの歌を担当し、一躍ブレイクした女性シンガーMay'n「HEAT」がランクイン。これで3作連続ベスト10入り。シンガーとしても一定の人気を確保してきましたが、初動売上は、前作「If you...」の1万8千枚から1万2千枚にダウンしてしまいました。

今週の着うた&アルバムチャートは以上!チャート評は、また来週の水曜日に~。

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2012年3月29日 (木)

戦前の大衆文化のパワーを実感

そんな訳で、戦前のジャズを取り上げた、「ニッポン・モダンタイムス」シリーズ。とりあえずは、オムニバスアルバムを聴いてみました。

Title:Swing Time 1928-1941

まずは日本コロンビアからリリースされたオムニバス。序盤に並ぶ、二村定一の曲が、とても楽しく、耳を惹きます。特に、「アラビヤの唄」「あほ空」は、シンプルなメロディーが、今でも思わず口ずさんでしまいそうな、普遍性を持っており、とても魅力的。どちらも大ヒットした曲なので、どこかで聴いたことある方も多いかも。「あほ空」は、今でも時々使われる「狭いながらも楽しい我が家」という常套句の元ネタだそうです。さらにこの「あほ空」は、アメリカの「My Blue Heaven」を日本に輸入、翻訳した曲で、元曲はアメリカでも大ヒットを記録しており、あのロックンロールの元祖的存在のファッツ・ドミノもカバーしており、さらにそのカバーとして、Norah Jonesもカバーしていたりします。アメリカの大衆文化というと、戦後に一気に押し寄せたというイメージがあるのですが、実際は、戦前も、アメリカの大衆文化は日本にもちゃんと伝わっていたんですね。

さらに「百萬円」という曲がかなりユニーク。「探偵!ナイトスクープ」に取り上げられて話題になったそうですが、まさにエログロナンセンスという歌詞は、今聴いても、かなりインパクトがあります。

他には、おなじみのをスウィング調にアレンジしてとてもユニークな「もしもし亀よ」があったり、ジャズのスタンダードナンバー「Sing Sing Sing」は、当たり前ですが、ちゃんとスウィングした演奏には、戦前の日本のジャズバンドとしての実力も感じます。また、「お祖父さんの時計」は、あの有名な「大きな古時計」。戦前には全く違う訳詩でヒットしていたみたいですね。こちらも、今聴くと、歌詞に違和感があるのがユニーク。

また、「つもりつもりだ」は、戦時下の時代性を感じさせる歌詞。「~をやったつもりでがんばろう」的な歌詞なのですが、どこかユーモラスで皮肉的な要素も感じられ、暗い時代の中、みんなで出来るだけ明るくがんばっていたんだなぁ、ということを感じさせます。

評価:★★★★

Title:SWING GIRLS 1935-1940

こちらはテイチクから販売された、女性ボーカリストの曲をあつめたオムニバス盤。冒頭を飾る川畑文子の大人の色気を感じさせるボーカルがとても魅力的。調べたところ、もともとアメリカ出身の日系人で、ブロード・ウェイの舞台にも立ったことがあるとか・・・実は、かなりとんでもない経歴の持ち主の実力派なんですね。今聴いても、そのボーカルはとても魅力的です。

魅力的といえば、続くチェリー・ミヤノのボーカルもとても魅力的。どこか舌ったらずなボーカルで、どこかチャイルディッシュなところが、とてもかわいらしい雰囲気。「ニッポン・スウィングタイム」によると「容貌、キャラともにフィギアスケートの浅田真央選手に似た少女」だそうで、歌声からもなんとなく納得。今ならいわゆる「萌え」の対象になりそうかも(笑)。

その他、全体的にタンゴ風の楽曲が多かったような印象が。しんみりと、しっとりとしたボーカルで聴かせるような楽曲が多かったのも、大きな特徴でしょうか。

評価:★★★★

Title:Sweet Voices~ニッポンのスウィング・エラ~KING&TAIHEI collection 1934-1942

で、こちらがキング・レコード盤。正直言うと、この3組の中では、一番印象が薄かったかもしれません(^^;;ただ、それでもこちらも、戦前のジャズシーンの勢いがわかる曲が並んでいます。個人的に印象的だったのが、長谷川顕で、ユーモラスなコミックソングが3曲。コミックソングの方が、ともすれば時代の空気をそのまま反映していて、後世に聴くと、意外と楽しめたりするのが不思議。

あと、このアルバムには、「ダイナ」「青空」など、ヒット曲がいろいろなミュージシャンによってカバーされ、複数収録されたりしていますが、その聴きくらべも魅力的。特に最後を飾る宮下昌子の「ダイナ」は、軽快なデキシーランド・ジャズが耳を惹くアレンジが印象的でした。

評価:★★★★

そんな訳で、戦前のジャズソングを網羅的に楽しめるオムニバス盤を3枚聴いてみたのですが、今聴いても、意外なほど本格的にジャズを演奏しているのがビックリ。よくよく考えれば、戦前は鎖国していたわけではないので当たり前なのですが西洋の、特にアメリカの文化が戦前から、きちんと日本の大衆文化に入り込んできていたんだなぁ、ということを感じさせます。

また、ユーモラスなコミックソングをはじめ、軽快なポップスの数々は、戦前が、決して「軍靴の響き」と言われるような暗い時代ではなかったんだなぁ、ということに気がつかされます。もちろん、ジャズというジャンルは、戦前の大衆文化の一側面でしかないわけで、それだけで全ては推し量れないのかもしれませんが、戦前の一般人のパワーを垣間見れた感じすらしました。

ジャズだけではなく、タンゴとかハワイアンなども多いのも印象的で、哀愁あるメロディーが日本人には受けていたのでしょうか?どちらも今の日本では、あまりヒットしないジャンルなだけに、ちょっと意外な印象も。

楽曲によっては、ムード歌謡や、バリバリの歌謡曲路線になっていて、やはり日本人は、どうしてもこちらの路線に走ってしまうのね、と思ったりもしたのですが、全体的には、洋楽テイストの強い、いわば「バタ臭い」楽曲が多く、ここらへんの曲は、ある意味、今の私たちの耳にも十分違和感なく楽しめると思います。「戦前の」と身構えなくても、今の感覚で、とても魅力的なポップソングが並んでいた作品でした。個人的には、この3枚の中では「Swing Time」が一番楽しめたかなぁ。最初、このオムニバス盤3枚だけ聴く予定だったのですが、予想以上によかったので、その後、同じシリーズの他の作品も聴きはじめてしまいました。そちらの方の感想は、また近いうちに!

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2012年3月28日 (水)

韓国系が目立つ中、強いジャニーズ

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週の1位はジャニーズ系のアイドルグループKis-My-Ft2の3枚目のシングル「SHE!HER!HER!」が1位を獲得しました。

初動売上19万2千枚は、前作「We never give up!」の24万5千枚より大きくダウン。3作連続1位獲得ですが、デビュー作より、31万6千枚→24万5千枚→19万2千枚と順調に右肩下がり中。もっとも、販売形態が、前作の通常盤含めて5種類から、本作の3種類と減少した影響もあるのでしょうが。

2位は、韓国の女性アイドルグループKARA「スピードアップ」がランクイン。アルバム先行だった前作「ウィンターマジック」の7万8千枚から初動売上は若干回復して9万9千枚。ただ、前々作「GO GOサマー!」の11万3千枚には及ばず、10万枚にも突破できませんでした。

3位は、先日、前田敦子引退が話題となったAKB48がらみ。DiVA「Lost the way」が入ってきています。映画「ウルトラマンサーガ」主題歌で、一昔前の小室系フォロワーが書いたような雰囲気の曲。初動6万5千枚は、前作「Cry」の5万6千枚よりもアップ。メンバーが4人から10人に一気に増えたそうですが、その影響か?ただし、デビュー作「月の裏側」の(販売形態の違いはありますが)7万4千枚には及ばず。

続いてはベスト10以下の初登場。まずは4位に安室奈美恵「Go Round」がランクインです。本人が出演しているコーセー「ESPRIQUE」CMソング。初動売上4万6千枚は、前作「Sit! Stay! Wait! Down!」の7万7千枚より大きくダウンしてしまいました。爽やかなポップチューンだけども、いまひとつ彼女らしさに欠け、エッジが効いていない感が売上減少の要素になったのかな?

5位には、2010年に活動を再開し、昨年はアルバムをリリースしたLUNA SEAの、(CD媒体としては)11年4ヶ月ぶりとなるニューシングル「THE ONE -crash to create-」をリリースしました。なんとこの曲、1曲23分にも及ぶ大作。20分以上のシングルというと、1993年にリリースされたX JAPANの「ART OF LIFE」を思い出します(こちらはアルバム扱いらしいですが)。どうもヴィジュアル系バンドというのは、大掛かりな方向性に傾きがちみたいで。初動売上は2万3千枚。11年4ヶ月前のシングル「LOVE SONG」の13万7千枚から大きくダウンしていますが、当時とシングルの市場が全く異なるため、あまり参考にならないかと。2011年にリリースしたアルバム「LUNA SEA」は(セルフカバーアルバムでしたが)初動1万7千枚だったので、そちらよりは上昇しています。

そしてここからは韓国系が並んでいます。

6位には、韓国の女性アイドルシンガーIUの日本デビューシングル「Good Day」が入ってきています。90年代のガールスポップを彷彿とさせるようなポップナンバー。韓国のテレビ番組と思われる映像をYou Tubeで試聴したら、曲の合間に図太い男性ファンの合いの手が入っていたんですが、こういうのってアジア共通なんでしょうか?昨年リリースされた、日本プレデビューアルバム「I □ U」は初動7千枚で15位に終わりましたが、今回は初動2万1千枚で、初のベスト10ヒットに。

そして8位には、男性アイドルグループ超新星から、ユナクfrom超新星「Again」が入ってきています。しんみりと歌い上げるバラードナンバー。ただ、さすがに超新星の直近シングル「君だけは離さない」の初動3万5千枚には大きく及ばず、1万8千枚に留まっていますが、ソロとしては健闘といった感じか?

日本のアイドル系では、ハロプロ系アイドルBerryz工房「Be 元気<成せば成る!>」が9位に入ってきています。軽快でちょっとユーモラスなアイドルポップ。初動1万5千枚は、前作「ああ、夜が明ける」の1万6千枚からダウン。ここ最近、2万2千→1万8千→1万6千→1万5千と減少傾向が続いているのが気になるところ。

最後、10位には、フジテレビ系バラエティー「ピカルの定理」で、渡辺直美が演じるキャラクター白鳥美麗名義のシングル「ピカル 恋がしたい」がランクイン。この手のコントのキャラクターのシングルは、よくあるケースなのですが、女性お笑いタレントの単独ベスト10入りははじめてのケースだそうです。ってか、この曲に1万4千人も買っちゃうんだ(笑)。この「ピカルの定理」、土曜日の深夜番組なんですが、今度、ゴールデンに進出するんですよね。深夜番組のままの方がいいと思うんだけどなぁ。

そんな訳で新譜ラッシュだったシングルチャートは以上。着うた&アルバムチャートは金曜日に!

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2012年3月27日 (火)

戦前のイメージがちょっと変わりました。

「ジャズはアメリカの進駐軍が日本に持ってきた」

この本の冒頭の出だしですが、現在においては、一般的なジャズのイメージとして、このように思われることが少なくありません。しかし、実際には戦前、既にジャズは日本に入ってきており、かつ、社会現象的なブームにまでなったことがあるそうです。音楽ライターの毛利眞人氏による著書「ニッポン・スウィングタイム」は、そんな戦前の日本のジャズシーンを、丹念に掘り起こした力作でした。

もともとは、おととしの11月に販売された書籍。販売当初から、書店でその存在は知っていたものの、読んでみるまでには至らず、興味を持ったのは、昨年、日本経済新聞の文化面で著者の活動が紹介されてから。その後、昨年より、著者が企画監修する「ニッポン・モダンタイムス」というCDシリーズが発売され、その内容に興味を惹かれたことから、音源を聴くと同時に、是非、本も読んでみたい、と思い、おくればせながらこの本を手に取ることにいたりました。

文章は、難しい音楽理論の話は抜きでわかりやすく、丁寧に調べられた内容の充実さから、音楽的な興味もさることながら、戦前の文化史、庶民の歴史という面からも、とても興味深い内容だったと思います。

特に戦前、アメリカの音楽がリアルタイムで日本にもたらされていたと言う点、よくよく考えれば、鎖国していた訳ではないし当たり前なのですが、なんとなく「戦前の日本=暗い」という中で見過ごされていた事実。この本を読んでいるうちに、大正から昭和1桁にかけての日本には、生き生きとした明るい暮らしがそこにあったんだなぁ、ということを感じ、戦前のイメージがちょっと変わった感すらありました。

また、この本でも中心的に取り上げられている戦前の人気ジャズシンガー二村定一氏に関して、新聞の記事で著者は、J-POPの源流と語っていました。確かに、日本では、戦後、日本的で泥臭い「歌謡曲」の流れに対して、西洋音楽の要素を取り入れた音楽の流れが別にありました。それが、時代により、「ニューミュージック」と呼ばれたり、最近では「J-POP」と呼ばれたりして、日本的な歌謡曲とは、つかずはなれずの状態で、ある意味、日本の音楽文化の両軸を担ってきた、というイメージがあります。

この本を読むと、その構図は戦前も同様で、非常に日本的な流行歌や浪花節などと対比する形で、バタ臭いジャズという音楽が流行していた、という構図があったんだあぁ、というが実感できます。つまり、ジャズという音楽は、今でいうところのJ-POP的な存在であって、だからこそ、二村定一は、J-POPの源流、という意味になるのでしょうか。

他に、戦前でも多くの本場のミュージシャンが来日していた事実や、多くのインディーズレーベルがあって、シーンを形作っていた点など、戦前も活発なミュージックシーンが日本にもあった、という点は、非常に興味深く感じました。

音楽の本としてだけではなく、歴史の本としても、とても興味深い1冊。この本を読むと、自然に戦前のジャズにも興味が出てきました。そんな訳で、上にも書いた「ニッポン・モダンタイムス」シリーズでリリースされたCDを何作か、聴いてみたわけですが・・・その感想は(あしたはシングルチャート評なので)明後日に!

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2012年3月26日 (月)

デビュー当初から一貫したスタンス

Title:BEST HIT AKG
Musician:ASIAN KUNG-FU GENERATION

かなりベタなタイトルも、ある種彼ららしい、アジカンことASIAN KUNG-FU GENERATIONの初のベスト盤。

アジカンといえば、言わずと知れた、日本を代表するパワーポップバンド。へヴィーでノイジーな、オルタナ系のギターサウンドに、ポップなメロディーラインというスタンスは、デビュー当初から現在に至るまで、基本的に一貫しています。

今回のアルバムは、デビューアルバム「崩壊アンプリファー」に収録されていた「遥か彼方」から、最新シングル「マーチングバンド」まで、シングル曲を中心に、発売順に収録されています。ただ、彼らのスタンスは、デビュー当初から決まっており、非常に安定感があります。また、デビュー時からそのスタイルを確立されており、デビュー当初、いきなり高い人気を評判を集めたのですが、その理由もあらためて納得できる内容でした。

ただ、とはいっても、あらためて聴くと、やはりデビュー直後の方が、勢いがあったなぁ、とあらためて感じてしまったのが今回のベスト盤。初のフルアルバム「君繋ファイブエム」の冒頭を聴いた時、思わず「ゾクゾク」と震えが来たのを今でも覚えているのですが、そのアルバムにも収録されている「アンダースタンド」「君という花」は、今聴いても、ゾクゾクっとくるような勢いが感じられます。

そこらへんの楽曲のダイナミックさは、残念ながら、ここ最近の楽曲では感じられません。悪い意味でも、安定してしまった感も否めないのですが・・・。とはいうものの、「新世紀のラヴソング」の歌詞は、非常に印象的で、名作だと思いますし、最近の曲は、シングルでもミディアムテンポで聴かせる曲も増え、単純に勢いだけではなく、バンドとして成長した彼らも感じることが出来ます。

野球に例えるならば、デビュー当初は若さにまかせてストレートとスピードだけで勝負していたものの、ここ最近は、スピードは出なくなってきたものの、徐々に技巧派に転換してきたような・・・そんな印象も受けたベスト盤。そういう意味では、これからの活躍も楽しみになってくる1枚でした。

評価:★★★★★

ASIAN KUNG-FU GENERATION 過去の作品
ワールドワールドワールド
未だ見ぬ明日に
サーフ ブンガク カマクラ
マジックディスク

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2012年3月25日 (日)

最後を飾るライブベスト

Title:東京コレクション
Musicisn:東京事変

今年2月29日の日本武道館ライブを最後に、その活動に幕をおろした東京事変。その最後のアルバムとして発売されたのが、このライブベストアルバム「東京コレクション」でした。

「ベスト盤嫌い」を公言している椎名林檎だけに、東京事変が解散しても、ベスト盤のリリースはありませんでした。その変わり発売されたのが、このライブベスト盤。過去のライブから選曲した楽曲は、ベスト盤の変わり、といったところでしょうか。

選曲がユニークなのが、最初に新曲「三十二歳の別れ」からスタートし、選曲は、ほぼ発売と逆。演奏自体も過去に遡る形式をとっています。

また、ベスト盤といっても、みなさんおなじみのヒット曲は収録されておらず、その他にも、これは、といった曲も収録されておらず、選曲に関しては、不満に感じる方も多い模様。ここらへんの意図は不明なのですが、過去の東京事変のライブは、1度しか行ったことないので、ここらへんの事情は測りかねます。ただ、ライブ音源として、後に残したい、という作品を選んだ結果、という感じなのでしょうか?

ライブ盤としては、東京事変唯一のものですし、選曲に賛否はあるとはいえ、東京事変の楽曲を網羅的に収録したアルバム、ということで、いまさらながら東京事変を聴こうという方にとっては、文句なしの1枚・・・・・・と言いたいところなのですが、正直、ライブアルバムとしても、ちょっと微妙な感じも。いろいろな音源をバラバラに収録していて、かつ、発売とは逆順に収録しているため、ライブの臨場感はいまひとつ。音もあまり良くないように感じられ、ライブバンドしての彼女たちの魅力が、存分に発揮されていないようにも感じました。

ただ、こうやって発表とは逆順に聴くと、やはり初期に比べて、最近の曲の方が、バンドとしてのまとまりを感じられ、かつ、バンドとしての音の幅も広くなった感じが。もともと、プロのミュージシャンが集まったバンドでしたが、バンドとして確実に成長していったんだなぁ、ということを感じます。特にラストは「夢のあと」で締めくくられていますが、ピアノの弾き語りからはじまり、椎名林檎の歌を聴かせながら、途中、バンドサウンドが入るというスタイルは、1曲目「三十二歳の別れ」と対になっており、おそらく、この2曲を対比させることにより、バンドの歩みをより鮮明にしようとしたのでは?

正直、東京事変の解散に関しては、以前も書いたとおり、プロ集団が集まったバンドの解散ということで、バンド幻想みたいなものも抱いておらず、あまり残念な印象は強くなかったのですが・・・このライブ盤を聴くと、この先の東京事変も聴きたかったな、そんな印象も受けました。もっとも、彼らにとっては、この1曲目が、完成形だったのかもしれませんが。

評価:★★★★

東京事変 過去の作品
娯楽
スポーツ
大発見
color bars

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2012年3月24日 (土)

力強く、この世界で生きる

Title:MISOGI EP
Musician:GRAPEVINE

ここ最近のGRAPEVINEは、本当にはずれがないなぁ~。

前作「真昼のストレンジランド」も傑作でしたが、このたび発売された全6曲入りのミニアルバム「MISOGI EP」もまた、文句なしの大傑作に仕上がっていました。

まず1曲目のタイトルチューン「MISOGI」から、いきなりノイジーなギターのストロークが耳につく、アップテンポなロックンロールナンバー。全編、仏教用語がちりばめられている歌詞もユニーク。タイトルの「禊」が仏教用語ではなく、神道用語なのは、ご愛敬。

今回は、なぜかこの「MISOGI」といい、「ONI」「SATORI」など、妙に日本的なタイトルなのがユニーク。また、前作に引き続き、歌詞が、リズム感を重視して、人に解釈を任せるような内容ではなく、比較的、テーマがつかみやすい、わかりやすい歌詞になっています。特に「ANATA」などは、ちょっとジャジーな、哀愁たっぷりなメロディーと、歌詞の世界が、妙に歌謡曲ちっくなのがユニークで、耳に残る作品になっています。

どの曲も、彼ららしい独特のグル-ヴを奏でている曲が並んでいます。ここらへんは、もうお家芸といった感じ。ただ、結成から20年近くが経過して、まったくそのリズムからマンネリを感じさせません。

今回のアルバムで最後を締めくくるのが「RAKUEN」。正確には、「RAKUEN」に取り消し線がついたタイトルなのですが、誰もが夢見るような「楽園」はない。いま、現実の世界こそが「エデン」なのだ、と、現実に対する力強い肯定を感じさせる歌詞が魅力的。単純な応援歌ではないのですが、力強い前向きな歌詞に感じました。

この曲に限らず、全体的に、現実社会を受け入れながらも、その中で力強く生きていこうとする姿を感じた今回のアルバム。そして、その力強さは、その演奏からも強く感じることが出来ました。

結成から20年近くが経過し、いまなお止まらない勢いを感じるバンドの、新たな傑作。本当に、すごいバンドだわ、彼らは。思わず聴き入ってしまった1枚でした。

評価:★★★★★

GRAPEVINE 過去の作品
TWANGS
MALPASO(長田進withGRAPEVINE)
真昼のストレンジランド

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2012年3月23日 (金)

やはり強い、ミスチル。

今週の着うたチャート

2012年3月14日~2012年3月20日付チャート

ミスチルは、やはり着うたチャートでも強いですね。

今週の1位はMr.Children「祈り~涙の軌道」。4月18日リリース予定のシングルからの先行配信。映画「僕等がいた」の主題歌に起用されています。相変わらず、強いですね・・・。シングルチャートでもヒットが期待されます。

2位は、先週まで2週連続1位だった西野カナ「SAKURA, I love you?」がワンランクダウン。ちなみに西野カナは今週、「たとえ どんなに・・・」がいきなり47位から9位にランクアップ。1月17日付チャート以来、9週目のベスト10返り咲きをしています。いまひとつ、急なランクアップの理由が不明だったのですが・・・なぜ?また、3位には、福山雅治「生きてる生きてく」が、先週4位からワンランクアップでベスト3入りです。

さて、4位以下ですが、今週も比較的初登場は多め。

6位には、21日にリリースされたシングル「スピードアップ」との両A面曲、KARA「ガールズ パワー」がランクイン。爽やかなアップテンポなナンバーなのですが、良くも悪くも、よくありがちなJ-POPみたいな感じ。

7位は絢香「The Beginning」。2月1日にリリースした、同タイトルのアルバムからの配信となります。

そして8位には、きゃりーぱみゅぱみゅ「CANDY CANDY」がランクイン。こちらは、4月4日リリース予定のシングルからの先行配信。本作も、中田ヤスタカプロデュースによる作品。前作に続き、シングルチャートでもヒットとなるか?


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

全員卒業が発表されたアイドルグループのラストアルバムが1位獲得です。

今週1位は、AKB48の姉貴分的グループで、この3月に全員卒業が発表されているSDN48「NEXT ENCORE」が獲得しています。とりあえずこのメンバーにしては最初で最後となるアルバム。初動売上は4万8千枚。先週のシングルチャート2位になった「負け惜しみコングラチュレーション」の初動7万4千枚を下回りましたが、あまり複数買いが期待できないアルバムチャートなので、この程度でしょう。

ちなみに今週、AKB48関係では、6位にSKE48 Team KII「ラムネの飲み方」がランクイン。こちらは彼女たちの公演会場で歌われる、劇場公演オリジナル曲を収録した公演CDと呼ばれるものだそうで、公演CDがベスト10入りするのは、はじめてのことだそうです。

2位は、いきものがかり「NEWTRAL」が、まだまだ強いですね。3週目にして2位をキープ。3位は、女性ソロシンガーmiwaの2枚目となるアルバム「guitarium」がランクイン。1位を獲得した前作「guitarissimo」より順位こそ落としましたが、初動売上は4万枚で横バイ。固定ファンを早くも獲得した模様。

4位には、同人音楽のミュージシャンとして人気を誇るlivetune feat.初音ミク「Tell Your World EP」がランクイン。livetune単独名義のオリジナルとしては「Re:package」以来、3年7ヶ月ぶりという、かなり久々となっています。初動売上は3万2千枚で、その「Re:package」の2万枚からアップ。一時期に比べて人気に一段落ついた感のある初音ミク関係ですが、まだまだ根強い人気があることを示す結果になりました。

5位には、韓国の男性アイドルグループ2PM「2PM BEST~2008-2011 in Korea~」が入ってきています。タイトル通り、韓国で発表されたヒット曲を収録したベスト盤。ただ、全韓国語詞なのが、一部のコアなファン向けだったのか、初動売上は、前作「REPUBLIC OF 2PM」の5万枚から大きくダウンの2万9千枚に留まっています。

ちなみに韓国系は、今週もう1組。女性アイドルグループのAFTERSCHOOLの、日本でビューアルバム「PLAYGIRLZ」が8位にランクインしています。初動売上は1万6千枚。直近のシングル「Rambling girls」は初動1万2千枚だったので、まあ妥当な感じか。

7位には、GACKT率いるバンドYELLOW FRIED CHICKENz「YELLOW FRIED CHICKENz I」が入ってきています。YELLOW FRIED CHICKENz名義では初となるアルバム。初動売上は2万枚。GACKTの直近のオリジナル「RE:BORN」が1万9千枚で、その他にファンクラブを通じての販売が大きかったそうですが、それと比べても、そこそこ健闘といった感じでしょうか。

9位には、男性シンガーソングライター高橋優「この声」がランクインです。レコード会社やラジオ局などのかなり強烈なプッシュが目立ちます。奇をてらわず、メロディーや歌詞で勝負するスタンスが、広い層の支持を得られるという狙いからでしょうか。ただ、初動売上は1万3千枚と、前作「リアルタイム・シンガーソングライター」からほぼ横バイ。残念ながら、あまりファン層拡大に至ってはいません。

最後10位にはオリジナルでは5年ぶりとなるm-floの久々の新譜「SQUARE ONE」が入ってきました。ちなみに豪華ボーカリストが参加しているそうですが、ボーカルは一切非公開になっており、気になる方は、一度聴いてみては?ただ、初動売上は前作「COSMICOLOR」の7万7千枚から一気に1万2千枚にダウン。かなり厳しい結果になっています。

今週の着うた&アルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に~。

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2012年3月22日 (木)

1年たった今でも・・・。

東日本大震災から1年が経ちました。

しかし、いまでも多くの方が避難生活を続け、原発事故も終息が見えません。ただ、震災に関する報道はまだ多いものの、残念ながら、一時期、あれだけ多かった被災者に向けたチャリティー活動は、最近、耳にすることが少なくなってしまったように思えます。

そんな中、昨年、震災後、いち早く被災者への支援目的でコンピレーションアルバムをリリースしたOTOTOYで、震災からちょうど1年後の先日3月11日、新たなコンピレーションアルバムがリリースされました。それも11枚!以前、このサイトでも紹介した「Play for Japan」の新シリーズで、今回も数多くのミュージシャンたちが参加しています。

ダウンロードサイト 日本復興コンピレーション・アルバム『Play for Japan 2012』

Title:Play for Japan 2012 vol.1

Play_for_japan2012_1

今回のコンピレーションアルバムの冒頭を飾るのが、気仙沼出身の畠山美由紀による「わが美しき故郷よ」。先日、リリースされた同タイトルのアルバムにも収録されているナンバーの、朗読部分と音楽の部分をまとめた内容で、ふるさと気仙沼への想いを読み込んだ詩には、非常に心うつものがあります。

他に、ソウル・フラワー・ユニオンやmama!milkなどが参加しているこのコンピ。全体的には、ジャズの要素を取り込んだ楽曲が多くまとめられていました。

ソウル・フラワー・ユニオン「スイミング・プール」ももちろん良かったのですが、沖縄音楽と中国風の音楽の融合がユニークな、寺尾ブッタfeat.仲宗根忍「唐船ガール」や、ガレージ、サイケ、フリージャズ、ノイズなどの要素が混合された、画家「十三月」などが良かったです。

そんな中で、一番インパクトがあったのが、レ・ロマネスク「Yokozuna~The King Of Sumotori~」。タイトル通り、相撲取りのことを歌った歌なのですが、チープな打ち込みに、歌謡曲風のメロがなんともユーモラス。なんでも、フランスを中心に活動していて、向こうでは大人気の日本人だとか・・・全く知りませんでした(^^;;でも、これはおもしろいなぁ・・・。

評価:★★★★

Title:Play for Japan 2012 vol.2

Play_for_japan2012_2

the telephonesの石毛輝が参加しているこちらのコンピは、エレクトロやポストロック系のミュージシャンが多かったかな?中盤には、フォークロック系のメロに、骨太なバンドサウンドを聴かせてくれるミュージシャンも並んでいました。

そんな中で、良かったのが、まずハンサムケンヤという、「自分で言うか」的な名前のミュージシャン(笑)。野山で遊びまわる、子どもたちの夏休みを描写した「フィルムケース」が、暖かい雰囲気のポップスで、ノスタルジーを誘います。

他には、メロはフォーキーながら、シューゲイザー風のノイズギターが印象的なひらくドア「休み明けの季節」や、美しくも幻想的な雰囲気が、シガーロスを彷彿とさせるCalmloop「Darkness to Lightness(For requiem)」なども耳を惹きました。

評価:★★★★

Title:Play for Japan 2012 vol.3

Play_for_japan2012_3

で、続くVol.3。こちらは、全体的に、アバンギャルドなポップソングが多く収録されていました。

この中で一番おもしろかったのが、SUGAI KEN「荷葉-Kayou-」。いわゆるエレクトロなのですが、自然の音を模したようなサウンドが印象的で、独特な音の世界を作り出していました。

タイトルが皮肉めいていてユーモラスだったのが高野P介「あなたがリツイートしても原発はとめられない」。Twitterが大きな話題となった今回の震災ですが、ただ呟くだけでは世の中は変えられないという、強烈なメッセージが耳に痛いナンバー。楽曲は、エフェクトのかかったピアノとボーカルが、まるで水の中で演奏しているかのような、不思議な雰囲気をかもしだしている、夢の中にいるかのようなナンバーになっています。

他に、力強いバンドサウンドが印象的なPLAY DEAD SEASON「no idea」や、同じくパンキッシュなインディーギターロックがインパクトのあるLimited Express(has gone?)「we love this country like banana」、スパカあたりを彷彿とさせるエレポップソングnyarin「誰が為に音楽は鳴り響く」が印象に残りました。

評価:★★★★

そんな感じで、魅力的な曲がたくさん収録されているコンピなのですが・・・ただ、ちょっと気になったのが、1年前のコンピみたいな、メジャーどころの参加が少なかったところ・・・。前回の作品では、1枚に2、3組は、多くの方が知っているようなミュージシャンが参加していたのですが、今回の作品では、すべてあわせても、そんなミュージシャンが数えるほど。あえてメジャーどころに声をかけなかったのかもしれませんし、そこらへんの事情は不明なのですが、ちょっと寂しくも感じました。

そのため―この手のコンピにこういう感想は野暮なのですが―全体的な曲の良さは、正直、1年前の「Play for Japan」より、一歩劣るような感じがしました。いまひとつ、と感じる曲も少なくありませんでしたし、アルバムを聴いてみたい!と思えるようなミュージシャンも、前作に比べて少なかったです。もちろん、参加したミュージシャンに対して、こういうことを言うのは、少々失礼にあたるかもしれないのですが・・・・・・。

とはいえ、1枚1,000円ですし、上にも書いた通り、魅力的な楽曲もたくさんありますし、チャリティーということを抜きにしても、十分楽しめるアルバムだと思います!震災後、1年経った今でも、なおかつ多くの支援を必要としている東北のためにも、前回と同様、チャリティーをしながら、こちらも楽しめるという、とてもステキな企画。みなさんも是非!

ダウンロードサイトは、こちらから。 

以前のPlay for Japanの感想はこちら
Play for Japan Vol.1~Vol.3
Play for Japan Vol.4~Vol.6
Play for Japan Vol.7~Vol.10

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2012年3月21日 (水)

ベスト3は男性アイドルグループが独占

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週は、東方神起「STILL」が1位獲得。

前作に引き続きしんみりと聴かせるバラードナンバーとなった新作。ここ2作、初動売上が急落傾向にありましたが、初動13万8千枚は、前作「Winter~Winter Rose/Duet -winter ver.-~」の12万9千枚からアップ。前々作「Superstar」の15万8千枚には大きく及ばないものの、なんとか下げ止まりました。

2位は、「ワイルド アット ハート」がワンランクダウンながらも2位をキープ。3位も男性4人組アイドルグループLead「Wanna Be With You」がランクイン。初動売上2万3千枚は、久々のベスト10ヒットとなった前作「HURRICANE」の1万6千枚よりアップ。なんと3位は自己最高位!例のごとく、初回盤4種類+通常盤というスタイルの影響もあるのでしょうが、ここに来て、人気アップは驚きです。

ちなみに今週は、男性アイドルグループがベスト3を占めるチャートとなりました。男性アイドルグループは、他にフジテレビ系バラエティー「クイズ!ヘキサゴンII」から誕生したアイドルグループ、サーターアンダギー「タカラモノ」が8位にランクインしています。初動売上は、前作「君が辻」の1万3千枚からほぼ横バイの1万2千枚。島田紳助引退後初となるシングルで、握手会などの宣伝効果もあったものの、この数字は健闘といったところか?

他に初登場は・・・まず4位に氷室京介「IF YOU WANT」がランクイン。もともと昨年の12月に配信限定でリリースした曲をCD化した新曲。初動売上は、前作「BANG THE BEAT」の2万8千枚からダウンの2万1千枚。ただ、配信の方も、着うたチャート最高位26位と奮わなかったので、配信先行の影響は限定的か。氷室京介のファン層は、やはり配信よりもCDというファンが多い感じそう・・・。

5位にはTHE ALFEE「生きよう」が入ってきました。毎年おなじみの大阪国際女子マラソンのテーマ曲で、震災の影響を受けてつくった曲だそうです。初動売上1万9千枚は、前作「LET IT GO」の2万3千枚よりダウン。「メリーアン」以降続く、ベスト10連続記録を46作に伸ばしていますが、初動売上は減少傾向が続いています。もっとも、今の低水準のシングルチャートでは、この記録はまだまだ続きそうですが。

7位は、KARAの妹分的存在の韓国の女性アイドルグループRAINBOW「ガナガナGO!」。アイドル性を前に押し出したようなポップソングですが、初動売上1万3千枚は、前作「マッハ」の1万5千枚よりダウンと、減少傾向が続いています。

最後は、人気声優水樹奈々が歌うアニメ「戦姫絶唱シンフォギア」のキャラクターソング風鳴翼名義の「戦姫絶唱シンフォギア キャラクターソング3(絶刀・天羽々斬)」がランクインです。初動売上1万1千枚。同じ「戦姫絶唱シンフォギア」のキャラクターソングでは水樹奈々と高山みなみが歌うツヴァイウィングの曲が初動1万3千枚だったので、それよりは若干ダウンしてしまっています。

今週のシングルチャートは以上。着うた&アルバムチャートは金曜日に~。

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2012年3月20日 (火)

シンプルなだけに奥が深い

Title:うたびこ
Musician:青葉市子

若干22歳。現在、一部で大きな話題となっている、女性シンガーソングライター青葉市子。以前から名前は知っていたのですが、今回、はじめて音源を聴いてみました。

演奏は、クラッシックギター1本のみ。それに彼女の歌が重なるだけ、という非常にシンプルなもの。ただ、クラシックギターの演奏は、アルペジオがメインながらも、とても複雑なメロを奏でていて、シンプルながらも、音の世界の広がりを感じます。今回、「裸足の庭」というインストナンバーもありましたが、決して派手さなく、高度なテクニックをみせつけるという感じではないものの、その演奏にはグイグイと惹かれるものがあります。

一方のメロディーもとてもシンプル。淡々としたメロを、彼女の美しくも細いボーカルで歌われると、ギターの奏でるメロと一緒に溶けてしまいそうなそんな印象があります。こちらも、美メロというようなポップスではないものの、決して複雑でも難解でもない、シンプルなメロが大きな魅力に感じました。

そして、一番印象に残ったのが歌詞の世界。ラブソングでは、時としてエロティシズムな内容をさらりと歌い上げ、あまり歌詞では取り上げないような言葉も、さらっとその世界の中に加えてしまうバランス感覚もとてもユニーク。さらに、若干22歳とは思えないような、独特の視点からの歌詞も印象に残ります。例えば、「奇跡はいつでも」の

「失うものは さよならの代わりに
あなたの好きな 世界を連れてくる
そうだとしたら 素敵な事でしょう」

(「奇跡はいつでも」より 作詞 青葉市子)

という歌詞は、とても印象に残りました。

メロ、歌詞、アレンジ、いずれも強いインパクトのある歌手ではありませんし、決して「売れ筋」の音を出しているわけでもありません。かといって、難解で、マニア向けかといわれると、それも違います。非常にシンプルな楽曲は、わかりやすそうでもあれば、実は複雑で奥が深い。一度聴くだけでは、なかなか味わえないものの、2度3度聴くうちにはまっていってしまう、それが彼女なのではないでしょうか。

広い層に薦められるシンガーだとは思うのですが、とっかかりは正直、あまり良くないかも。とにかく、2度3度聴いて、ゆっくり味わいたいなぁ・・・そう感じる傑作でした。

評価:★★★★★

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2012年3月19日 (月)

等身大の女の子

Title:チャットモンチーBEST~2005-2011~
Musician:チャットモンチー

昨年、突然飛び込んできた、ドラムス高橋久美子脱退というニュース。学生時代からの仲間が結成というイメージがあっただけに、メンバーの脱退というのは驚きでしたが、それ以上に驚いたのが、新メンバーを加えず、さらに福岡晃子がドラムスに転向し、2ピースバンドとして活動を再開した点でした。新しいメンバーを入れて、和を乱されるよりも、2人だけで活動を続けていった方が良い、という判断なんでしょうね。

そんなチャットモンチーの3人組だった時代の作品をまとめた初のベスト盤がリリースされました。デビューアルバム「chatmonchy has come」の1曲目「ハナノユメ」からスタートし、最後は、最新アルバム「YOU MORE」からの「バースデーケーキの上を歩いて帰った」まで、発売順に並んでおり、まさにチャットモンチーの歴史を知ることの出来るアルバムになっています。

チャットモンチーといえば、ストレートなギターロックにポップなメロという、王道のギターロック路線も大きな魅力なのですが、やはり彼女たちらしさの大きな要素となるのは歌詞でしょう。彼女たちの歌詞って、すごくバランスの良さを感じるんですよね。いわゆる女の子の本音を綴っているのですが、変に垢抜けていなく、かといって、変に田舎っぽさもなく、日本全国にどこにでもいそうな女の子の姿を、上手く描いています。

これも、東京といういろいろな情報があふれる大都会ではなく、徳島で生まれ育った彼女たちだから書けるのでしょうか。また、下手に女性らしさを売りにするわけでもなく、かといって、中指突っ立てて、女性らしさを中に隠してしまうわけでもなく、そういう意味でも非常にバランスの良さを感じます。

徳島出身の彼女たちならではといえば、「東京ハチミツオーケストラ」。東京の街を蜂の巣に、働く人たちを働き蜂に、そして東京の魅力を蜂蜜に例えた東京の街の描き方は、地方出身の彼女たちだからこそ出来る作品。そういえば、「東京」について歌うのって、大抵、東京意外の人だよね・・・。

正直、ここ最近の作品になると、この歌詞の世界がちょっと垢抜けてきちゃっている部分もあるかな?とも感じさせるのですが、「バースデーケーキの上を歩いて帰った」みたいに、歌詞の発想自体がかわいらしい曲は、まさにチャットモンチーの真骨頂でしょう。

チャットモンチーは、基本的に作曲はギターボーカルの橋本絵莉子が手がけているものの、作詞の面で高橋久美子の貢献も大きかったのも事実。それだけに、彼女脱退後、彼女たちのこの歌詞の世界がどう変化するのか、気になる部分も多いのですが・・・ただ、2ピースバンドとなって、まだまだ走り続けるチャットモンチー。これからの活躍に期待したい、とりあえず一区切りのベスト盤でした。

評価:★★★★★

チャットモンチー 過去の作品
生命力
告白
表情
Awa Come
YOU MORE

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2012年3月18日 (日)

ポップス職人の名曲たち

Title:Best of HARD CORE POP!
Musician:堂島孝平

もうデビューから17年(!)。すっかりベテランの域に達したシンガーソングライター、堂島孝平。ベスト盤は、いままで何枚か発売されてきましたが、初となるオールタイムベストが発売されました。

堂島孝平というミュージシャンを一言で言えば、まさに「ポップス職人」という言葉が一番ピッタリくるでしょう。スカ風の「So She,So I-SAYONARA SKA-」、ニューソウル風の「それは一瞬の出来事だった」、ギターロックの「七月」など、バリエーション豊富な様々なタイプの曲を聴かせてくれますが、どの曲にも共通するのが、飛び切りのポップチューンという点。「銀色クリアデイズ」のように、大滝詠一はじめ、いわゆるナイアガラ周辺のミュージシャンからの大きな影響を感じる、ポップなメロディーを存分に楽しめる楽曲が並んでいます。

堂島孝平は、昔からアルバムはすべてチェックしていて、好きなミュージシャンの一人なのですが、こうやってベスト盤で聴いてみると、あらためて名曲揃いだなぁ、ということを実感できます。そんな中で、特に名曲だと思うのが「セピア」。タイトル通り、セピア色の風景が広がるような、とても切なく、そして暖かいナンバーです。そして、個人的にインパクトが強いのが「25才」ですね。実は私、彼と同じ年。リアルタイムでこの曲を聴いたのですが、まだまだ若いと思いながら、周りは徐々に結婚する人も増え、確実に「大人」になってくる微妙な年代。歌詞にとても共感できました。しかし、あれからもう10年ですか・・・(^^;;

ちなみに、アニメ版「こち亀」主題歌になった「葛飾ラプソディ」もいいですよね。作詞は彼ではないのですが・・・ほんわかとした雰囲気が下町と、「こち亀」の世界にマッチした曲調。逆の意味で印象的なのは、デビューシングル「俺はどこへ行く」で、曲調といい、歌詞といい、完全に尾崎豊を意識した感じ。当初、こういう方向で売ろうとしていたんだなぁ、という隔世の感があります。

2枚組でボリュームたっぷりなので、ちょっと堂島孝平の最初の1枚としては、手をつけずらいかもしれませんが・・・それでもポップス好きならチェックしてほしい、是非ともお勧めしたいベスト盤です。しかし、これだけ名曲が揃いながら、いままでブレイクしていないというのが本当に不思議・・・(提供曲のヒットはありましたが)。本当に、いいミュージシャンだと思うんだけどなぁ。

評価:★★★★★

堂島孝平 過去の作品
UNIRVANA
VIVAP


ほかに聴いたアルバム

ATOM ON SPHERE/ATOM ON SPHERE

FAKE?やOBLIVION DUSTで活躍するKEN LLOYD、元SBKのSHIGEO、Dragon Ashの桜井誠、そして元ビークルのケイタイモによるバンドのデビュー作。基本的にエレクトロなロックナンバー。目新しさはさほど感じませんが、いい意味でのわかりやすさがあって、聴いていて難しいこと抜きにして楽しめる心地よさがあります。なによりKENのボーカルによって、曲がグッと垢抜けたものになっています。メロディーもリスナーの壺を押さえていてなかなかよいですね。これからに期待の新バンドです。

評価:★★★★

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2012年3月17日 (土)

どちらも2週連続

今週の着うたチャート

2012年3月7日~2012年3月13日付チャート

今週のベスト3は、揃って先週から変わらず。

1位は西野カナ「SAKURA,I love you?」、2位Ms.OOJA「Be...」、そして3位GReeeeN「ミセナイナミダハ、きっといつか」と、1位から3位まで、先週から全く同じ結果となっています。

初登場最高位は、4位、福山雅治のニューシングル「生きてく生きてく」がランクイン。3月28日発売予定のシングルからの先行配信。映画「ドラえもん のび太と奇跡の島~アニマルアドベンチャー~」主題歌になっています。

7位には、ヴィジュアル系バンドムック「ニルヴァーナ」が入ってきています。シングルチャートでは13位に終わりましたが、着うたチャートでは見事ベスト10入り。TBS系アニメ「妖狐×僕SS」オープニング曲。エレクトロなダンスチューン。シングルとしての前作「アルカディア」でも、DASHI DANCEと組んでいて、今、エレクトロ方面に興味が向いているということなのでしょうか。

初登場が多かった先週からうってかわって、今週の初登場はこの2曲のみ。ただし、その分、ベスト10圏外からのランクアップや返り咲きが目立ちました。

6位には、タレント上地雄輔のミュージシャン時の名義、遊助「Baby Baby」が先週の11位から6位にアップ。シングルチャートでは今週4位にランクインしましたが、着うたでは2週目にしてベスト10入りしてきました。

同じく2週目にして26位から8位にランクアップしてきたのが、韓国のアイドルグループ東方神起「STILL」。こちらは3月14日に発売されたシングルからの先行配信。来週のシングルチャートでも上位ランクインが予想されます。

そして返り咲きがAI「ハピネス」。先週の新曲ラッシュに追い出されるような形で19位にランクダウンしていましたが、今週、10位に順位が上昇。2週ぶりのベスト10返り咲きとなっています。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週は、2週連続であのユニットが1位獲得です。

今週は、いきものがかり「NEWTRAL」が今週も8万3千枚を売り上げ、2週連続で1位を獲得。安定した強さを見せつけています。

初登場で最高位は、2位。JIN AKANISHIこと赤西仁の「JAPONICANA」がランクイン。2月に、女優黒木メイサとの突然の結婚を発表し、大きな話題となった彼ですが、そんな中でリリースされた新作。初動売上は、昨年12月に発売された「TEST DRIVE featuring JASON DERULO」の10万8千枚から大きくダウンの6万9千枚。「TEST DRIVE」は事実上のシングルなので、単純比較は出来ないのですが・・・結婚報道がマイナス要素に働いたか?

3位には、女性4人組バンドSCANDALの初のベストアルバム「SCANDAL SHOW」が初登場。初動売上4万2千枚は、オリジナルとしての前作「BABY ACTION」の3万7千枚からアップ。ただし、ベスト盤ということを考えると、さほど健闘とはいえない感じも。

さて、今週も4位以下に新譜が並ぶ新譜ラッシュとなっています。

まず4位には、沖縄出身の男女5人組バンドHY「PARADE」がランクイン。約2年2ヶ月ぶりというインターバルを経てのリリースとなりましたが、初動売上は、前作「Whistle」の8万2千枚から急減の2万4千枚。2003年のアルバム「Street Story」以来、初登場2位以上をキープしていましたが、今回はベスト3もキープできず。似たようなミクスチャー系ロックバンドが苦戦する中、彼らも例外ではありませんでした。

続く5位には、Perfumeや、最近ではきゃりーぱみゅぱみゅのプロデュースでおなじみの中田ヤスタカ率いるユニット、capsule「STEREO WORXXX」が入ってきています。ただこちらも、初動売上は前作「WORLD OF FANTASY」の2万枚からダウンの1万5千枚。ここ数作、右肩下がりの状況が続いています。確かに、Perfume人気は続いているものの、中田ヤスタカへの注目は、一時期ほどではなくなったからなぁ・・・。

6位は、韓国のアイドルグループBIG BANGの韓国リリースのアルバム「ALIVE」が、発売日の関係で、先週、ベスト10圏外にランクインしていましたが、今週、ランクをあげてベスト10入りです。売り上げは9千枚で、直近の「THE BEST OF BIG BANG」の3万枚から大きくダウンですが、熱心なファンしか買わなさそうなので仕方ないでしょう。日本版の「ALIVE」は3月28日にリリースが予定され、こちらは上位に食い込みそうです。

7位には、MONKEY MAJIK「Somewhere Out There」がランクイン。前作「ALIVE」は、前々作「TIME」の初動5万枚から8千枚に急落した厳しい結果になりましたが、本作は初動9千枚と若干アップし、なんとか下げ止まり。とりあえず、固定ファンはついた模様です。

8位には、女性アイドルグループ9nine「9nine」が入ってきています。ドラマやCMでも人気の川島海荷も参加しているグループ。3年8ヶ月前にリリースした前作「second 9」は、ベスト100にも入らない結果に終ったのですが、本作は、一気に順位をあげ、アルバムでは初のベスト10入りを果たしています。

初登場最後は、10位、BUCK-TICK「CATALOGUE ARIOLA 00-10」。デビュー25周年を記念してリリースされたベスト盤で、レコード会社毎に2作同時リリース。こちらは、Ariola Japan所属時代の曲を集めたベストで、同時に、ビクター、マーキュリー時代の曲を集めた「CATALOGUE VICTOR→MERCURY 87-99」もリリースされており、こちらは惜しくも11位。売り上げも、8,486枚と8,190枚と僅差。ただ、昔の曲を集めたベストよりも、最近の曲を集めたベストの方が売れるというのは、バンドとしてはまだまだ現役で、新たなファンがついているという意味で健全ですね(ただ、単純に、過去に何枚もベスト盤をリリースしている影響かもしれませんが・・・)。ただ、直近のオリジナル「RAZZLE DAZZLE」の2万3千枚より大きくダウン。ベスト盤としての前作「CATALOGUE 2005」の初動1万2千枚よりもダウンしています。

初登場は以上ですが、今週、由紀さおり&ピンク・マルティーニ「1969」がランクアップ。ベスト10に返り咲きです。ただ、売上は9千枚から8千枚にダウン。低水準のチャートに助けられた形になりました。

今週の着うたチャート及びアルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に~。

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2012年3月16日 (金)

これが遺作になるなんて・・・。

Title:遠くは近い
Musician:yanokami

レイ・ハラカミ。日本のテクノ・ミュージシャン。彼の醸し出す柔らかい音色は、とても独特であり、多くの音楽ファンを惹きつけました。矢野顕子もそんな一人。2007年に、矢野顕子とレイ・ハラカミがユニットを組み、「yanokami」と名づけ、アルバムをリリースし、大きな話題となりました。

そんな音楽ファンに大きな衝撃が走ったのが昨年の7月。レイ・ハラカミ急逝。わずか40歳という若さでした。

しかし、レイ・ハラカミが残したトラックを基に、yanokamiのニューアルバムが発売されました。yanokamiとしての新作を制作途上での急逝だったそうで、残されたトラックに、矢野顕子のボーカルと、タブラ奏者u-zhaanの演奏を重ねる形で、アルバムが完成しています。

私も、レイ・ハラカミの音色に魅せられた一人なのですが、yanokamiとしての前作は、正直、矢野顕子とレイ・ハラカミの個性が、それぞれ孤立してしまい、ぶつかりあってしまって、アルバムとしての出来は、いまひとつ、という感想で終わってしまっていました。

しかし、今回のニューアルバムは、矢野顕子とレイ・ハラカミの個性が、見事に融合しあって、yanokamiとしての音を作り出していました。

ユーミンのカバー「曇り空」では、矢野顕子のボーカルとピアノ、そしてハラカミの音が重なりあうように融合し、ハラカミとも矢野顕子とも異なる音の世界を作り出していましたし、オフコースの「Yes-Yes-Yes」も、矢野顕子のボーカルと、レイ・ハラカミが作り出すトラックが、バラバラのように作用しながらも、絶妙なバランスの基にマッチしていました。

yanokamiとしての音を見事作り出した、本当の意味での1stアルバム、ともいえるかもしれない本作。それが、レイ・ハラカミにとって遺作になってしまうなんて・・・・・・本当に残念で仕方ありません。

評価:★★★★★

で、今回のアルバム、矢野顕子の部分を除いた、レイ・ハラカミのトラックのみを取り出したインストアルバムも同時に発売されています。

Title:遠くは近い-reprise-
Musician:yanokami

こちらは、事実上、レイ・ハラカミのアルバム。ただ、矢野顕子の声とピアノが乗ると、完全にyanokamiの作品になっているのに対して、レイ・ハラカミのトラックだけ聴くと、いつも通りのハラカミの音なのが不思議な感じ。ちゃんと、矢野顕子を意識しつつ、レイ・ハラカミとしての本質は全く変えない音作りをしていたんだなぁ、ということを実感できます。レイ・ハラカミファンは、こちらも必聴!

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Trinity/CHEMISTRY

CHEMISTRYのニューアルバムは、CHEMISTRY名義の曲5曲に、川畑要ソロと、堂珍嘉邦ソロそれぞれ5曲ずつという構成。ソロに走り出すって、完全に解散目前ってことじゃん・・・(^^;;CHEMISTRY名義の曲は、今時のエレクトロ路線に走りつつも、メロウな曲をしっかり聴かせる主軸は変らず。川畑ソロも、基本的にケミの延長線上なのに対して、堂珍ソロは、サイケ調の曲やロック調の曲など、ケミとは違う嗜好が感じられます。曲の出来としては「・・・」な感じなのですが、方向性としてはおもしろい感じ。ただ、この方向性の違いが、「解散目前」という悪い予感が当る理由にならなければいいのですが。

評価:★★★★

CHEMISTRY 過去の作品
Face to Face
the CHEMISTRY joint album
regeneration
CHEMISTRY 2001-2011

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すいません

多忙のため、着うた&アルバムチャートは、明日、アップします。
ご了承ください。

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2012年3月15日 (木)

超ベテランバンドのラスト

Title:Ciao!
Musician:ムーンライダーズ

昨年いっぱいで、無期限の活動休止に入ったムーンライダーズの、現時点でのラストアルバム。1975年の結成以来、コンスタントに活動を続けてきた、超ベテランバンドの突然の活動休止には、多くの音楽ファンが驚かされました。

・・・・・・とはいっても、実はムーンライダーズのアルバムは、名盤と誉れ高い、あの「火の玉ボーイズ」しか聴いたことなかったりして(^^;;リアルタイムで聴くのはこれがはじめて。鈴木慶一のソロは聴いていましたし、ムーンライダーズのステージは、2度ほど見たことあるのですが・・・。

これがはじめてのムーンライダーズになってしまったのは、漠然としたイメージなのですが、良質なポップスを書くものの、全体として地味な、通向けのベテランバンドというイメージがあったから。ただ、そのイメージは、このアルバムで打ち砕かれました。

バンドサウンドをベースに、ホーンなど様々な音を取り混ぜてにぎやかな「who's gonna be reborn first?」や、メロは人なつっこいものの、ヴォコーダーを使ったボーカルがユニークな「ハローマーニャ小母さん」、サイケちっくな「折れた矢」、妖艶なストリングスのメロも含めて、ちょっと怪しげなハードロックテイストの「弱気な不良 Part-2」など、バラエティー豊かで、かつ、実にアグレッシヴ。ベテランならではの安定感が、良くも悪くも作用している部分はあるものの、マンネリとは無縁の現役感がしっかりとあふれだしていました。

で、一応のラストアルバム、ながらもそこに悲愴感みたいなものは皆無。また、ラストアルバムにありがちな、妙な気負いだったり、逆に、バンドの内部がバラバラ、といった感じもなく、他のアルバムを聴いていないのでなんともいえないのですが、「いつも通り」といった印象を、はじめて聴いた私でも受けるアルバムだったと思います。

また、最後も、壮大に聴かせる「ラスト・ファンファーレ」という、いかにもなナンバーで締めくくり・・・と思わせておいて、ラストは、軽快で楽しいギターロックナンバー「蒸気でできたプレイグランド劇場で」で終わるというのもいい感じ。ただ、

「この劇場 取り壊されて
どこかに 移転することはないです」

「このステージは
終わるんだ これで」

(「蒸気でできたプレイグランド劇場で」より 作詞 鈴木慶一)

という最後の締めくくりの歌詞は、無期限の「活動休止」とはいえ、これでムーンライダーズがおしまい、といっているような感じもあり、寂しい感が強く残ります・・・。

ともかく。一応のラストアルバムとはいえ、「終わった」感はほとんどなく、はじめて聴いた私でも十分に魅力を味わえるアルバムでした。30年以上続けたバンドを、なぜいまさら活動休止とするのか、その理由は不明ですが、残念な限り。これを機に、過去のアルバムも聴いてみようかなぁ。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

SONGBOOK/アンジェラ・アキ

NHKで放送中の「アンジェラ・アキのSONG BOOK in English」。洋楽の有名曲の歌詞を翻訳し、かつ、自分たちの言葉で日本語カバーをする、という番組だそうです。この番組の中で、彼女が披露した曲6曲と、これまでにカバーした洋楽の日本語カバーを収録したカバーアルバムです。

誰もが一度は聴いたことあるような有名曲を、日本語でカバーしていますが、歌詞は、彼女の解釈による意訳。で、意訳は決して悪くはないのですが・・・なんとなく、元の曲のリズムに乗っていないような印象が。オリジナルのイメージが強いためかもしれないのですが、歌詞のイメージにひっぱられすぎていて、それを曲に乗せるという面が、後手にまわってしまっているような印象を受けてしまいます。

彼女の歌自体もしっかりと聴かせてくれますが、良くも悪くも万人が聴いて楽しめるような感じ。歌の上手さには文句ないのですが、癖のないカバーは、こちらも良くも悪くもNHK向きといった感じ。アルバム自体は楽しめたのですが、特に新しい発見というのもなく、楽しめたのも、彼女のカバーだから、というよりも、オリジナルがもともと持っていた魅力による点が強いような・・・。

洋楽の有名曲を日本語でカバーというスタンスは非常におもしろく感じたのですが、正直それだけで終わってしまっていたような感じがします。そういう意味では、NHKの番組のサントラ的な役割を出なかったなぁ。個人的には、歌詞だけではなく、曲自体にも、彼女なりの解釈が欲しかったのですが。

評価:★★★

アンジェラ・アキ 過去の作品
ANSWER
LIFE
WHITE

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2012年3月14日 (水)

やはり圧倒的な強さ

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週の1位は、「ワイルド アット ハート」が獲得。フジテレビ系ドラマ「ラッキーセブン」主題歌。初動売上は、55万枚。自己最高を記録した、「果てしない空」以降、徐々にダウンしていて、人気のピークは超えた感もあったのですが、本作は、前作「迷宮ラブソング」の53万枚からアップ。「果てしない空」の57万2千枚は下回ったものの、初動売上を回復し、まだまだ強さを見せつけています。

さて、先週に引き続き、ジャニーズ系 vs AKB48系の構図となった今週のチャート。とはいえ、今週は嵐の圧勝だったですが・・・2位には、AKB48のお姉さん的ユニットSDN48「負け惜しみコングラチュレーション」がランクイン。初動7万4千枚は、前作「口説きながら麻布十番 duet with みの もんた」の6万7千枚からアップ。3月いっぱいで「全員卒業」を表明している彼女たちですが、初動アップはその影響でしょうか。

3位には、EXILEの弟分的なボーカルグループ、三代目J Soul Brothers「Go my way」がランクイン。前作「リフレイン」の2位から順位こそダウンしましたが、初動売上は5万4千枚から6万8千枚に回復しています。

4位以下も、今週は初登場がズラリと並んでいます。まず4位は遊助ことタレント上地雄輔の「Baby Baby」。今回は、レゲエ調の楽曲で、ちょっとケツメイシっぽい?初動売上4万3千枚は、前作「一笑懸命」の4万6千枚から若干ダウンながら、人気は安定してきています。一発屋的人気に思っていただけに、この安定ぶりはちょっと意外かも?

5位は、アイドルグループももいろクローバーZ「猛烈宇宙交響曲『無限の愛』」がランクイン。アニメ「モーレツ宇宙海賊」主題歌で、ゴシック調というか、オペラ調というか、かなり荘厳な盛り上がりが特徴的なナンバー。最近アルバムが「第4回CDショップ大賞2012」に選ばれるなど、注目度を集めています。ただ、初動売上は、大幅にアップとなった前作「労働讃歌」の3万9千枚から横バイ。最近、高まってきている露出が、まだファンの増加に結びついていない模様。

6位には、先週の着うたチャートで1位を獲得した、着うたの女王、西野カナ「SAKURA,I love you?」がランクインです。あまりにベタすぎて、逆に少なくなってしまった桜ソングにいまさら挑むとは・・・。しかし、別れた恋人を思う歌詞なのですが、普通、この手の桜ソングって、例えば、ふたりの思い出に桜が大きく関わってきたりするのですが、この歌詞に関しては、ふたりの関係に桜が全く関係なく、サビで唐突で桜が登場してきて、すごくこじつけ感が否めません(苦笑)。ただ、初動3万3千枚は、前作「たとえ どんなに・・・」の2万8千枚から若干アップ。桜効果か??

7位、8位には、フジテレビ系アニメ「ギルティクラウン」のオープニングとエンディングテーマが並んでいます。7位はオープニングテーマ、作中に登場するミュージシャンEGOIST名義の「The Everlasting Guilty Crown」、そして8位には、同人音楽から人気を集めたsupercell「告白」がそれぞれランクインです。どちらもsupercellが手がけています。supercellの初動売上は同じく「ギルティクラウン」主題歌だった「My Dearest」から横バイの2万8千枚。EGOISTは、打ち込みにストリングスを用いた、かなりダイナミックなナンバー、一方、「告白」は女性ボーカルのポップスロックナンバー。どちらも、女性ボーカルで、ロック志向という点が共通項か?

そして最後、9位には、韓国の人気アイドル、イ・スンギの日本デビューシングル「恋愛時代」がランクイン。メロウなバラードナンバーは、いかにもな甘い雰囲気の楽曲になっています。

今週のシングルチャートは以上。着うた&アルバムチャートは金曜日に~。

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2012年3月13日 (火)

対照的な2枚

ほんのりとジャズをブレンドさせた、メロディアスで聴かせるポップスを届けてくれる大橋好規のソロユニット、大橋トリオ。今回のアルバムは、2枚同時リリースとなりました。

1枚目が・・・

Title:L
Musician:大橋トリオ

そしてもう1枚が・・・

Title:R
Musician:大橋トリオ

タイトルも「L」と「R」と対照的。ジャケット写真も対照的ながら、内容も対照的。それぞれゲストミュージシャンが参加した曲が1曲ずつ収録されており、「L」には、BONNIE PINK、「R」では秦基博が参加と、男女で対照的。どちらも10曲ずつが収録されていて、うち、2曲が2分足らずの実質、インタールード的なインストナンバー。ラストは、どちらも「Big Bang」で締められていますし(「L」は英語詞、「R」では日本語詞のバージョンで収録)、「Big Bang」以外に英語詞の曲が1曲ずつ収録されている、という点でも対照的です。

・・・とはいえ、おそらくそこまで厳密に、「対照的」につくられているわけでもなさそう。特に楽曲のタイトルを揃えるといった感じでも、曲調を揃えるといった感じでもなさそうですし、逆に「L」と「R」の楽曲を違った曲調にした訳でもなさそう。あえていえば、「L」の方が、ジャジーにしんみりと聴かせる曲が多いでしょうか?ただ、「R」でも聴かせるナンバーは並んでいて、そういう意味では、どちらから聴いても、また、大橋トリオにちょっと興味がある、という方は、まずどちらか1枚から聴いても問題はなさそうです。

そしてこれは、大橋トリオのこれまでの曲にも共通することなのですが、本当にいい曲を書くミュージシャンだよなぁ、ということをあらためて思いました。

まず第一にとてもバランスが取れています。基本的に「Be there」「ゼロ」のようにジャズをアレンジしたポップが多いのですが、一方では、「The Long Parade」のようなフォーキーな作品もあったり。かと思えば、「モンスター」みたいな、ストレートなポップスナンバーもあったりして、ポップスを主軸に、様々な作風の曲が並んでいます。

そして、どの曲も基本的にポップ。小難しさがなく、かといって過剰な「おしゃれ感」もなく、スノッブな雰囲気は皆無。かといって、流行のJ-POPのようなベタさもなく、そういう意味では、大人から若い世代まで、訳隔てなく楽しめそうなポップソングが並んでいます。

それぞれミニアルバムとはいえ、2枚揃えば、それなりのボリュームがあるこのアルバム。ただ、それだけのボリュームだからこそ、大橋トリオの魅力を存分に楽しめるアルバムになっていました。また、2枚のアルバムにすることによって、途中、ダレることもなく、最後まで楽しめます。そういう意味では、大橋トリオの様々な側面を見せつつ、それを飽きさせずに伝えるという意味では、ミニアルバム2枚というのは大正解なのかも。

評価:
L ★★★★★
R ★★★★★

大橋トリオ 過去の作品
A BIRD
I Got Rhythm?
NEWOLD
FACEBOOKII


ほかに聴いたアルバム

BEST! 2004-2011/土岐麻子

クリアなボーカルが特徴的で、数々のCMソングも歌っている女性シンガーソングライター土岐麻子のベスト盤。さわやかなシティーポップに、ちょっとジャジーな要素も加えて・・・というのは、上で紹介している大橋トリオに近い部分もあるような。全体的にちょっと薄味に感じる部分もあるのですが、一方で、そのクリアなボーカルと楽曲が絶妙にマッチしており、耳にしっかり残る曲も多く、彼女も「良質なポップ」を歌うミュージシャンとして、幅広く薦められそう。

評価:★★★★

土岐麻子 過去のアルバム
TALKIN'
Summerin'
TOUCH
VOICE~WORKS BEST~
乱反射ガール

playing the piano usa 2010/korea 2011-ustream viewers selection-/坂本龍一

2010年10月の全米ツアーと、2011年1月に行われた韓国でのライブからファンが選んだベスト盤。全編坂本龍一のピアノによる静かな演奏。「merry christmas mr.lawrence」や「tibetan dance」など、おなじみの曲も多く、熱心なファンじゃなくても最後まで楽しめそう。表情豊かな教授の演奏が、とても魅力的な1枚。

評価:★★★★★

坂本龍一 過去の作品
out of noise
UTAU(大貫妙子&坂本龍一)
flumina(fennesz+sakamoto)

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2012年3月12日 (月)

ASHの歴史

Title:THE BEST OF ASH
Musician:ASH

イギリスのオルタナ系ギターロックバンド、ASH。この手のバンドは、個人的に、洋楽にはまった一番最初がオアシスだったということもあり、思いっきり壺です。ただ、よくよく考えると、難しいこと抜きに、ポップなメロディーとノイジーなギターサウンドが楽しめるバンドというのは数少なく、パッと思いつく限りでは、彼らとマニックスくらいかなぁ。もっと言えば、マニックスは、メロディーとアレンジこそストレートなギターロックだけども、歌詞は社会派な歌詞が多く、そういう意味では、難しいこと抜きにポップなメロディーが楽しめる、という意味では、彼らASHが一番かもしれません。

彼らは過去にも「Intergalactic Sonic 7"s」というベスト盤を出していて、これが2作目。今回は、初期の作品から、配信先行でリリースされて話題となった「エー・ゼット・シリーズ」の曲まで網羅。それが発表順に並んでいて、ASHの活動を総括的に把握できるベスト盤になっています。

基本的に、ポップなメロディーが主体となっているのは、初期から最近の作品まで変らないのですが、あらためて聴くと、時代により、少しずつそのスタイルを変えている彼らの姿を再認識できます。初期の作品は、よりギターサウンドがヘヴィーになっており、骨太なサウンドを展開していましたが、その後、ポップ志向がより強くなってきます。その後は、今度はサイケなサウンドを取り入れたり、ストリングスを取り入れたり、あるいは打ち込みのサウンドを取り入れたりと、曲の幅を積極的に広げてきています。

ただ、個人的に一番好きだったのは、やはりアルバムも大ヒットした「Free All Angel」期の楽曲。具体的に言えば「SHINING LIGHT」「BURN BABY BURN」あたりの曲ですね。シンプルなギターサウンドに、メロディアスなポップソングが載っかかった、いい意味で、一番聴きやすいナンバー。一番勢いも感じられますし、やはり今から聴いても、このあたりがピークだったよなぁ、と思ってしまいます。

とはいえ、最近のナンバーまで、リスナーを魅了するポップなギターロックが並ぶベスト盤。ASHの入門盤としてもピッタリの1枚です。ちなみに輸入盤ではDVD付も。ただし、PAL方式のようなので、日本のDVDプレイヤーでは再生できないかもしれませんが・・・。

評価:★★★★★

ASH 過去の作品
A-Z Vol.1
A-Z Vol.2


ほかに聴いたアルバム

LOUD/RIHANNA

RIHANNAのニューアルバムは、前作同様、エレクトロなチューンが多い一方、R&B色は薄くなり、全体としては、ポップス寄りになった作品。ただ、前作同様、レゲエの要素を入れたり、感情たっぷり歌い上げる作品もあったりと、バラエティーは豊富。リスナーの壺をついたポップなメロディーがあるため、万人が最後まで楽しめそうなポップスアルバムになっていました。

評価:★★★★

RIHANNA 過去の作品
Rated R(R指定)

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2012年3月11日 (日)

ハイプな側面も否定はできませんが・・・。

Title:BORN TO DIE
Musician:LANA DEL REY

このアルバムにも収録されている「Video Games」が大きな話題となり、一躍「時の人」となった、アメリカのシンガーソングライターによる、デビューアルバム。このアルバムは、全英チャートで1位、ビルボードでも2位を記録するなど、大ヒットを記録した一方、人気テレビ番組「サタデイ・ナイト・ライヴ」のパフォーマンスが酷評されるなど、いろいろと話題になっているシンガーです。

ジャケット写真を見てもわかるとおり、イメージとしては、古き良きアメリカの、典型的な白人女性という感じ。日本人から見ても、いや逆に日本人にとっては、まさにステレオタイプな白人女性像といった感じ。楽曲的にも、彼女のしっとりと、色っぽく歌い上げるメロウな曲調は、一種の郷愁を醸し出している感じがします。

最近、Adeleをはじめ、女性シンガーの活躍が目立ちますが、彼女もご他聞にもれず、欧米では大ヒットを記録しています。ただ、このアルバム、無条件で大絶賛できるか、といわれるとちょっと微妙な部分も。全体的にしんみりと聴かせる楽曲が多く、それは彼女のボーカルの特徴を生かしているのですが、さすがにアレンジ含め似たタイプの曲が多く、最後はちょっと飽きてしまいました。

また、そのアレンジも、微妙に今風の音づくりを意識しているような・・・無駄なエフェクトも多く、ちょっと中途半端な感じが。もっとシンプルにするか、もっと作りこんでダイナミックにするか、どちらかのほうがよかったのでは?ちょっとどっちつかずな感じが気になります。

ただ、そこらへんの点を差し引いても、彼女の魅力的なボーカルは、一聴の価値のあるものだと思います。どこかセクシーさ、色っぽさと、かわいらしさ、甘さ、さらに女性としての力強さを同居させたボーカルは、思わず聴きいってしまいますし、曲にバッチリはまった場合は、その声から、耳がはなせなくなります。まさに、話題となった「Video Games」などは、その最たる例でしょう。

他にも、その「いかにも」なミュージシャンイメージなど、作られた部分も多いだけに、2作目3作目と続けるか?という懸念もあるのですが、個人的には、そこらへんのプラスマイナスを考慮した上で、十分楽しめるアルバムだったと思います。やはりそのボーカルはとても魅力的ですし、マイナス面を考慮した場合、次回作どう進んでいくのか、とても気になる部分でもあります。「Video Games」を試聴して気に入ったのなら、チェックしてみて損はない、かも。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

I AM...WORLD TOUR/BEYONCE

タイトル通り、2009年から2010年にかけて行われた「I AM...WORLD TOUR」の模様を収録したライブアルバム+DVD。一応、ライブアルバムにDVDがついて・・・みたいな形みたいですが、メインになるのは間違いなくDVDの方。各地のライブのいいとこ取りをしてつなげているのですが(日本のライブの模様も収録!)、パワフルなダンスには思わず釘付け。つーか、めちゃくちゃカッコいいんですけども!!以前、デスチャのライブに行ったことがあるのですが、その時よりもパワーアップしてませんか??

選曲は、デスチャ時代の曲もやってくれているのはうれしいですね。いろいろな会場を繋ぎ合わせているのですが、自然に繋がっているため、あたかも1本のライブを見ているような感覚になります。合間合間にドキュメンタリーがはいるのですが、旦那であるJAY-Zに会える日を待ちわびる、とてもかわいらしい姿がおさめられていたり、プライベートな彼女の姿と、ステージ上の彼女の姿のギャップがまたおもしろかったりします。

オリジナルアルバムよりも楽しめたかもしれないライブアルバム。次の来日ツアー、絶対に行かなくては!

評価:★★★★★

BEYONCE 過去の作品
I Am...Sasha Fierce

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2012年3月10日 (土)

「聖地」で録音された名曲の数々

Title:THE FAME STUDIOS STORY 1961-1973

アメリカはアラバマ州、マッスルショールズにあったレコーディングスタジオ「FAME」。数々の名曲を生み出して来た、サザン・ソウル好きにとっては、「聖地」のような存在、だそうです。今回紹介するアルバムは、そんなフェイム・スタジオで録音された曲をまとめた3枚組みのアルバム。数々のサザン・ソウルの名曲がおさめられています。

・・・とはいっても、私自身、ここ数年、ようやくソウル・ミュージックにはまってきたバリバリの初心者。正直言って、そんなに詳しい訳ではありません。ただ、そんな私でも当然知っているOTIS REDDINGやARETHA FRANKLIN、WILSON PICKETTのような、有名所から、名前も明らかになっていないようなシンガーの曲まで、このアルバムには、まさに彩り様々のミュージシャンたちが参加しています。

また、楽曲にしても、もちろんサザン・ソウルが中心ながらも、ファンク色の強い曲や、どちらかというと、ノーザン・ソウルっぽい曲、バリバリのブルースや、曲によっては、ブラックミュージックの色合いが薄いポップスなど、こちらも彩り様々な楽曲が並んでいます。

DISC1ももちろん聴かせる曲がたくさん入っているのですが、個人的には、DISC2以降、どんどんとはまっていきました。まずDISC2に入っているARETHA FRANKLIN「I NEVER LOVED A MAN(THE WAY I LOVE YOU)」。もう、圧巻の一言。その迫力といい表現力といい、強弱のインパクトのつけかたといい、名曲揃いのこのアルバムの中でも別格。さすが女王・・・といった感じでしょうか。ただ、女性ボーカリストといえば、「TELL MAMA」が収録されているETTA JAMESも負けていません。力強いボーカルが、強烈なインパクトを与えています。

他にもDISC2では、これでもか!というほどのあま~いボーカルを聴かせてくれるSPENCER WIGGINS「ONCE IN A WHILE(IS BETTER THAN NEVER AT ALL)」が魅力的。そのスウィートボイスに、男でもおもわず聴きほれてしまいそう。

続くDISC3も魅力的な曲がたくさん。まず、LOWELL FULSONのファンキーなブルースナンバー「LADY IN THE RAIN」に心ひかれ、続くWILSON PICKETTがソウルフルに歌い上げる「HEY JUDE」のカバーは、楽曲本来の新たな魅力を浮き上がらせている名カバー。CANDI STATION「I'M JUST A PRISONER(OF YOUR GOOD LOVIN')」では、ちょっとかすれた彼女の歌声にひきつけられます。

他にも、本当に、魅力的な名曲たくさん。フルボリュームの内容ながらも、最後まで飽きない、充実の内容になっています。ちなみに、ケースはハードカバーで、中にはカラー写真で、各楽曲の紹介が。さすがに英語版では読めないので、私は国内盤を購入すると、この英語のライナーツノートの和訳が載っています。国内盤だと、5,000円以上するので、なかなか手を出しづらいのですが・・・それでも十分お釣りのくる内容だと思います!ソウル好きには文句なしにお勧め!!

評価:★★★★★

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2012年3月 9日 (金)

新譜ラッシュ

今週の着うたチャート

2012年2月29日~2012年3月6日付チャート

着うたの女王、やはり堂々の1位獲得です。

1位は西野カナ「SAKURA,I love you?」が獲得。出た!桜ソング!(苦笑)といった感じなのですが・・・。3月7日に発売予定のシングルからの先行配信です。

2位は、先週3位のMs.OOJA「Be...」がワンランクアップ、3位には、先週1位を獲得したGReeeeN「ミセナイナミダハ、きっといつか」が2ランクダウンながらも、ベスト3キープです。

さて、4位以下なのですが、今週は、着うたチャートでは珍しく新譜ラッシュとなっており、5位から9位まで新譜がズラリと並んでいます。

まず5位には、フジテレビ系アニメ「ギルティクラウン」のオープニングテーマで、作中に登場するミュージシャンEGOIST名義の「The Everlasting Guilty Crown」がランクイン。3月6日に発売したシングルからの先行配信で、いわゆるキャラソンが着うたチャートの上位に食い込むというのも、ちょっと珍しいかも。

6位は、韓国の人気女性アイドルグループKARA「ステップ」がランクイン。昨年9月、韓国で発売されたアルバム「STEP」のタイトルチューンの日本語版で、2月29日に配信オンリーでリリースされています。KARAらしいアップテンポなダンスチューンです。

7位には、「Baby,I Love You」が着うたで大ヒットしたロサンゼルスのR&BシンガーChe'nelle(シャネル)の「Story」がランクイン。もっとも、アメリカのシンガーとはいっても、活動しているのは日本に向けてのみ、みたいですが・・・。この曲も日本語詞のバラードナンバーで、特に特色もなく・・・。配信オンリーでのリリースとなっています。

8位は、EXILEの弟分のボーカルグループ三代目J Soul Brothers「Go my way」がランクイン。こちらも3月7日に発売されたシングル。

そして最後、9位には、今週のシングルチャートで2位となったAKB48の渡辺麻友「シンクロときめき」がこの位置にランクインしてきています。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

今週1位は、安定した人気を誇るポップスユニットが獲得。

今週1位は、いきものがかりのニューアルバム「NEWTRAL」が1位を獲得です。大ヒットしたベストアルバムを挟んで、オリジナルとしては2年3ヶ月ぶりとなる新作。ベスト盤「いきものばかり」の45万7千枚には大きく及びませんでしたが、初動売上19万2千枚は、オリジナルとしては前作の「ハジマリノウタ」の20万枚からほぼ横バイ。人気を固めつつある感じです。

2位3位はアニメ系。2位にはTBS系アニメ「鋼の錬金術師」で使用された主題歌などを集めた2枚組のベスト盤「鋼の錬金術師 THE BEST」が、3位には、人気声優茅原実里「D-Formation」が、それぞれランクインです。

「鋼の錬金術師 THE BEST」の収録曲はかなり豪華。ラルクの曲が一番多いのですが、その他にもアジカンやCHEMISTRY、YUI、スキマスイッチなどの曲がズラリと並んでいます。茅原実里は約2年ぶりのアルバム。順位こそ、前作「Sing All Love」の6位からあげ、シングルアルバムあわせてはじめてのベスト3入りとなりましたが、初動売上は、前作の1万9千枚から1万5千枚に落としてしまいました。

以下、4位以下の初登場ですが・・・4位に横山剣率いるロックバンドクレイジーケンバンド「ITALIAN GARDEN」がランクイン。こちらも順位的には前作「MINT CONDITION」の9位からランクアップしたものの、初動売上では1万3千枚と、前作の1万4千枚から若干のダウンとなってしまっています。

5位には、こちらは今週のシングルチャートでもランクインしてきた韓国の男性アイドルグループU-KISS「A Shared Dream」がランクインです。初動売上1万3千枚は、前作「Bran New KISS」から横バイ。

続く6位には、2週前のシングルチャートで、「あなたにしかできないこと」をベスト10入りさせてきた男性シンガーソングライターダイスケのメジャーデビューアルバム「ボクにできること」が入ってきています。

そして初登場最後は7位。ビーイング系の男女混成ユニットGARNET CROWの、いわゆるB面ベスト「GOODBYE LONELY ~Bside collection~」がランクインです。オリジナルとしての前作「メモリーズ」は最高位11位に終わったため、2作ぶりにベスト10返り咲き。ただし、初動売上は1万3千枚から1万1千枚にダウン。低水準のチャートに助けられた形となりました。

今週の初登場は以上。さて、先週、ロングヒットか?と取り上げた3枚のアルバムについては、残念ながら軒並みチャートダウン。由紀さおり&ピンク・マルティーニの「1969」は4位から11位にダウンし、売り上げも1万7千枚から9千枚と急落。Whitney Houstonの「THE ULTIMATE COLLECTION」も16位にダウンし、残念ながらベスト10入りは1週のみに留まりました。

唯一ベスト10に踏みとどまったのがAdele「21」。先週の5位から、今週は10位にランクダウンしましたが、なんとかベスト10入り。売り上げも1万6千枚から1万枚にダウン。もうちょっとみんなに聴かれてもいいアルバムだと思うんだけどなぁ~。

今週の着うた&アルバムチャートは以上。チャート評は、また来週の水曜日に!

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2012年3月 8日 (木)

カバー曲に要注目!

Title:おるたな
Musician:スピッツ

スピッツの今回のニューアルバムは「花鳥風月」「色色衣」に続く、いわゆる「B面ベスト」。シングルのカップリング曲や、カバー曲を中心に、いままでのアルバムに収録されなかった曲をまとめたアルバムになっています。

アルバムにはいらなかったカップリング曲・・・とはいえ、楽曲の出来は、アルバム収録曲どころか、シングルに比べても遜色ありません。「三日月ロック その3」のような、王道のオルタナ系ギターロックから、「らくがき王国」のような、ハードロック、郷愁感あふれる「夕焼け」、アコーディオンの音が、哀愁を誘う「テクテク」など、バリエーションは豊富。ただ、そんな曲は、どれもスピッツらしい美メロが流れていて、草野正宗が歌うと、しっかりとスピッツの曲になっちゃうのはさすが。カップリングとはいえども、どの曲もはずれなしなのはさすがです。

一方、このアルバムで注目なのは、やはりカバー曲でしょう。今回のアルバムでは、既発表と、このアルバムのためのカバーを含め、6曲のカバーが収録されています。その中で、初恋の嵐「初恋に捧ぐ」は、「これ、もともとスピッツの曲だったのでは?」と思うほど、ある意味、このアルバムの中で、一番王道のスピッツといった感じの曲調(笑)。花*花の「さよなら大好きな人」もそうでしたが、このアルバムのためにカバーされた2曲は、いずれも、他の人の曲なのに、非常にスピッツらしい曲を選んでカバーしていました。

逆に、草野正宗が歌っても、全く原作者の色が消えなかったのは、奥田民生の「さすらい」。もともと、奥田民生のトリビュートアルバムでカバーした曲を収録したのですが、草野正宗が歌っても、頭の中で奥田民生の声が流れてくるほど。これほど個性の強いミュージシャンも珍しいよなぁ・・・。

そんな訳で、カバーもオリジナルも、様々な曲が楽しめるアルバムで、スピッツのシングルまですべて網羅、という熱狂的なファン以外にとっては、これが新作のオリジナルアルバムのように楽しめる作品だと思います。いい意味で、カップリング曲まで含めて、スピッツの曲って、高水準で安定しているよなぁ。オリジナルじゃないから、と聴いていないのなら、もったいないですよ~。

評価:★★★★★

スピッツ 過去の作品
さざなみCD
とげまる


ほかに聴いたアルバム

SPECIAL OTHERS/SPECIAL OTHERS

スペアザの新作は、他のミュージシャンとのコラボレート作品をまとめた企画盤的ミニアルバム。セルフタイトルのアルバムを、こういう企画盤にするのかぁ・・・とちょっと意外に思ったのですが、SPECIAL OTHERSという名前は、要するに「特別な他人」。そういう意味では、このタイトルをつけるのにこれほどピッタリの作品はない、ということでしょう。

Dragon Ashのkjや、MONGOL 800のキヨサクなどが参加している楽曲は、それぞれのシンガーの個性を生かしつつ、SPECIAL OTHERSの色もいれつつ、折衷的な内容になっています。そんな中でおもしろかったのが、マレウレウという、女性グループ。アイヌの伝統的な歌の再生と継承をテーマに活動している女性ミュージシャンらしいのですが、民謡的な伸びやかで静かなボーカルと、SPECIAL OTHERSの演奏のマッチが絶妙で、独特の作品に仕上がっていました。

なかなかおもしろい企画なのですが、ギターロック系のボーカリストに関して、特に独特の面白みもなく、いまひとつに感じたのがちょっと残念・・・。ただ、いろいろなタイプのシンガーが参加していておもしろいですね。この企画、第2弾、第3弾も期待しています!

評価:★★★★

SPECIAL OTHERS 過去の作品
QUEST
PB
THE GUIDE

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2012年3月 7日 (水)

僅差ながらジャニーズ系の勝利

今週のシングルチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/js/w/

今週のシングルチャートは、ジャニーズ系山下智久と、AKB48渡辺麻友の一騎打ちとなりました。山下智久といえば、前作「はだかんぼー」で、こちらもAKB48系のフレンチ・キスのシングルと一騎打ち。僅差で1位を獲得したのですが、その過程で急遽握手会を設定するなど、なりふり構わない手法が批判もあびました。

ニューシングルの「愛、テキサス」は、前回1種類だったバージョンを5種類にアップ。万全な体制で臨み、結果、12万6千枚を売り上げ、2位渡辺麻友「シンクロときめき」の12万3千枚から約3千枚の僅差でなんとか1位を確保しました。

ちなみに、「愛、テキサス」というタイトル、かなりユニークなタイトルなのですが、作曲は、なんとあの相対性理論の永井聖一と、ティカαことやくしまるえつこ。作詞もやくしまるが手がけており、そういわれると、相対性理論らしいユーモラスなポップになっていることに気がつきます。

続く3位は韓国のアイドルグループT-ARA「Roly-Poly」。楽曲的には、同じ韓国系の女性アイドルグループのKARAや少女時代に比べてかわいいという側面を打ち出したアイドル色が強い感じでしょうか?初動売上4万1千枚は、前作「yayaya」の3万1千枚よりアップ。前作は前々作より大きく数値を落としていましたが、若干盛り返しました。

続いて、4位以下の初登場なのですが、今週は珍しく、ジャニーズ系の初登場があと1曲。5位にTOKIO「羽田空港の奇跡」がランクイン。テレビ朝日系ドラマ「13歳のハローワーク」主題歌。こちらは、なんとクレイジーケンバンドの横山剣が作詞作曲を担当。そのため、ロックというよりも、ソウルのテイストの強いナンバーになっています。初動売上2万5千枚は、前作「見上げた流星」からほぼ横バイです。

6位には、先週の着うたチャートで1位となったGReeeeN「ミセナイナミダハ、きっといつか」が入ってきました。フジテレビ系ドラマ「ストロベリーナイト」主題歌。あいかわらず抽象な、よくありがちな言葉が羅列されたGReeeeNらしい曲。初動売上2万2千枚は、ドラマタイアップの影響でしょうか、「恋文~ラブレター~」の1万7千枚よりアップ。2作連続初動がアップし、盛り返してきました。

9位にはビジュアル系バンドNIGHTMARE「mimic」がランクイン。初動売上1万5千枚は、前作「SLEEPER」の1万6千枚よりダウン。右肩下がり傾向が続いています。

そして韓流がもう1曲。男性アイドルグループU-KISS「Forbidden Love」が10位に入ってきています。本作が収録されたアルバム「A Shared Dream」が同日に発売された影響で、初動売上は、日本デビュー作だった前作「Tick Tack」の2万7千枚から1万1千枚に大幅ダウンしています。

今週のシングルチャートは以上。着うた&アルバムチャートは金曜日に~。

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2012年3月 6日 (火)

日本でもブレイクなるか?

Title:CEREMONIALS
Musician:Florence+the Machine

フローレンス・ウェルチを中心となるイギリス出身の5人組バンド。2009年にリリースしたデビューアルバム「Lungs」はグラミー賞の新人賞にノミネートされ、イギリスのアルバムチャートで2週連続1位を記録するなど大きな注目を集めました。2作目となる本作も、イギリスではもちろん1位を獲得したほか、アメリカビルボードチャートでもベスト10入りを記録。今、イギリスでもっとも注目を集める女性ミュージシャンとなっています。

力強い女性ボーカルで、ロックとソウルを融合させたミディアムテンポの楽曲を歌い上げる手法は、広い意味で、今話題とAdeleと近いタイプ、と言えるかもしれません。また、ケルト音楽の影響を感じさせる楽曲や、Adeleよりロック寄りのサウンドより、むしろビョークあたりに近い雰囲気を感じる方もいるかもしれません。実際、ミュージックマガジン誌の2月号では、ビョークや、最近話題のLANA DEL REYと並び、「魔女系シンガー」として紹介されていました。

ストリングスやピアノなども取り入れたダイナミックなサウンドと、彼女のパワフルなボーカルは、少々仰々しさすら感じさせますが、それ以上に、どこか神秘的で、呪術的ともいえる不思議な雰囲気を醸し出しています。それこそ「魔女系」なんてカテゴライズされる大きな理由なのでしょう。

もっとも、イギリス系のロックバンドの人気が高い日本ですが、なぜか彼女たちの人気はいまひとつ。おそらく、他のイギリスのギターロックバンドみたいな、いかにもなロックンロールではなく、様式美的な部分もあるダイナミックなサウンドが、イギリスロック好きの壺から若干はずれるのでしょう。かくいう私も、これが「壺」かと言われれば少々微妙。ただ、その力強く説得力のあるフローレンス・ウェルチに強く惹かれたのは間違いありません。

Adeleも日本でついにブレイクしたみたいですし、続いては、彼女たちも日本でもブレイクするか?これから先、彼女みたいな感じのソウルフルな女性ボーカリストのブームが日本でも来るかも・・・って話は、Adeleが「19」で話題になったころにも書いたような記憶が・・・(^^;;

評価:★★★★★

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2012年3月 5日 (月)

きっかけはツイッターでした。

Title:Antonio Loureiro
Musician:Antonio Loureiro

Antonio_loureiro

今回紹介するミュージシャンについて、私がはじめて知ったのは、ソウルフラワーユニオンの、下のツイートを見たことがきっかけでした。

全く初耳のミュージシャンだったのですが、気になったので、調べてみると、どうも次のようなことがわかってきました。

・ブラジルのミュージシャンということ。
・それも、インディーズであるため、amazonですら取り扱いがないこと。
・音楽評論家の高橋健太郎氏が絶賛したため、一部で話題になったこと。
・そのため、一時期、渋谷のタワレコでもパワープッシュしていたこと。

そんな訳で、こちらのサイトからダウンロード。おそらく、ポルトガル語だと思うので、何が書いてあるのかサッパリわからないのですが、下の方に、アルバムのジャケットと、英語で「Download」と書いてあったため、リンクをクリック。で、難なくダウンロードできたわけです。

そんでもって、さっそく聴いてみたのですが、これが、中川敬氏が「美味!」と叫びたくなるのも納得の、傑作でした。

楽曲全体に流れるのは、ブラジル音楽としてイメージされやすいような、ピアノをはじめとする、アコースティックなサウンドが爽やかで、ちょっとジャジーな雰囲気のあるポップス。パッと聴いた感じだと、爽やかなブラジリアンポップ、のようにも感じます。

しかし、そこで流れる、特にリズムがとてもユニーク。変幻自在なパーカッションやドラムの独特のリズムが流れます。そこに、ピアノやアコギ、あるいはフルートだったりアコーディオンだったり、エレクトロな打ち込みだったり、様々な音が自在に重なっていき、全く先の読めない展開。それが複雑にからみあい、最後まで様々なアイディアがつめこまれた、とてもユニークな作品に仕上がっています。

ラテン系の音楽をベースにしながらも、ポストロックやエレクトロニカ的な要素も詰め込まれた、実にユニークな作品。確かに、高橋健太郎氏が絶賛したり、一部で注目を集めているのも納得。フリーダウンロードはいつまで行われているか、不明なので、興味ある方は、いまのうちに是非!

評価:★★★★★

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2012年3月 4日 (日)

これからの氣志團は?

Title:蔑衆斗 呼麗苦衝音
Musican:氣志團

誤解をおそれずに言ってしまうと、氣志團というバンドは、「One Night Carnival」の一発屋だった、そう感じたベスト盤でした。

いや、もちろん売上という側面で言えば、彼らは決して一発屋ではありません。シングルはその後もコンスタントにヒットを飛ばしていますし、アルバムでも、ヒットを続けています。

ただ、氣志團というバンドのコンセプトは80年代のパロディー。暴走族風な田舎のヤンキースタイルも、80年代そのまんまですし、BOOWYや尾崎豊といったいかにも80年代的なミュージシャンをパロった曲こそが、氣志團というバンドの最大の持ち味であり、個性のはずです。

そして、そのコンセプトは、ある意味、「One Night Carnival」でひとつ集結しており、なおかつ完結しています。そのまんま尾崎豊な歌詞や、80年代風味をちりばめた歌詞は、その時代を知る人なら、聴きながら「ニヤニヤ」してしまうこと間違いなしの、これぞコミックソングの傑作といった名曲。氣志團の魅力が凝縮された1曲になっています。

そのため、それ以降の曲に関しては、正直、氣志團としての魅力を十分に出し切れているとはいえません。このアルバムに収録されている「結婚闘魂行進曲「マブダチ」」にしろ「愛 羅 武 勇」にしろ、彼らのヤンキーとしての側面だけ強調している作品であり、80年代のパロディーという側面は、ほとんど反映されていない、普通のポップスロックになってしまっています。

それでも氣志團というバンドは、それなりにいい曲を書いてしまっていたという点、かつボーカルの綾小路翔はもちろん、その他のメンバーも稀代のエンターテイナーだったという点から、その後も人気が持続していきます。しかし、彼らの本来の持ち味というのは、やはり「One Night Carnival」で、ある種、完結してしまっていたのではないかなぁ・・・ということを、このベスト盤を聴いてあらためて感じました。

ただ、だからその後の氣志團としての活躍はダメだ、とかいう訳ではありません。実際、その後の彼らの活躍についても非常に魅力的なものがあります。でも、それって、必ずしも、ヤンキースタイルの氣志團である必要性はないんですよね・・・。

実際、ここ最近の彼らに関しては、完全にマンネリ気味。最新作「木更津グラフィティ」は原点回帰的な作品になっていましたが、やはり二番煎じ気味な部分は否めません。それだけに、今後の彼らについて、どのような方向で活躍していくのか、注目していきたいところ。最高に楽しいステージを見せてくれる彼らだからこそ、このままで終わるとは思えないのですが・・・。

評価:★★★★

氣志團 過去の作品
房総魂~Song For Route 127
木更津グラフィティ


ほかに聴いたアルバム

それではみなさん良い旅を!/HiGE

HiGEの曲って、1曲1曲は結構カッコいいんだよなぁ。ヘヴィーでノイジーなギターリフにポップなメロディー。昔ながらもロックンロールを体現化したような作品はアルバムを聴いている時は魅力的・・・・なのですが、なぜかアルバムを聴き終わると、いまひとつ印象が薄い・・・(^^;;以前持っていた、HiGEらしい中毒性のある曲が皆無。個性の薄さが気になってしまったアルバムでした。

評価:★★★

HiGE 過去の作品
Chaos in Apple
テキーラ!テキーラ!the BEST
サンシャイン

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2012年3月 3日 (土)

切り口のおもしろさは感じつつも・・・。

ハルメルズ、パール兄弟で活躍し、その後は主に作詞家として、数多くのミュージシャンに詞を提供しているミュージシャン、サエキけんぞうが、メディアとの関わりから、ロック音楽を俯瞰的に捉えた著書「ロックとメディア社会」読了。

基本的に、ロックとメディアをテーマにしながらも、基本的なロック史から綴られており、初心者にも読みやすい内容でした。また、メディア社会から立脚したロックに対する切り口がとてもユニーク。特にGSとヴィジュアル系の共通点の指摘は、目からうろこが落ちた感じですし、また、ハードの進化にあわせてソフトも進化していく、という指摘には、非常に納得のいくものがありました。

また、ロック史の延長線上として、アイドルやアニメなどについて触れているのも、彼らしくとてもユニーク。ここらへんの視点にも、新しいものを感じます。

ただし、アニメに関しては、ちょっと疑問が。確かに、特に今の日本において、アニメ文化が、若者文化のひとつとして、欠かせないものになっているのは間違いないと思うものの、基本的にはメインは動画。アニソンみたいに音楽と深い関わりはもっているとはいえ、ロックを代替するものとは、ちょっと思えません。

「日本のアニメの影響力は英米のロックの影響を超えはじめているのではないか」という指摘もかなりまゆつばもので、例えば、村上隆氏が、「クールジャパン」という言葉に対しての疑問を呈した文脈で、日本のマンガやアニメの影響は、ごく一部のマニアにとどまっている、という指摘をしています。

アニメに限らず、日本のミュージシャンの海外進出に関しての記述でも同じことを感じたのですが、海外での日本の受け入れられ方について、少々過大評価的に感じられました。ただでさえ、日本人の海外進出のニュースは、バイアスがかかって伝えられるケースが多いため、もうちょっと説得力のある丁寧な分析をしてほしかったなぁ、ということを感じます。

ただ、この本で一番疑問に感じたのは、ロックとメディアの関わりをテーマにしていながら、インターネットという、今、いろいろな意味でもっとも重要なメディアとロックの関わりに関しては、ほとんどスルーしている点でした。

例えば、最近ではすたれてしまいましたが、一時期MySpace発で有名になるミュージシャンが話題となりましたし、神聖かまってちゃんみたいに、動画サイトを積極的に利用しているミュージシャンが出てきています。なにより、ニコニコ動画発の同人音楽のように、今、アニメやアイドルと同じくらいのレベルで活況のある分野であり、かつ、まさしく彼がこの本でテーマとしている、メディアの発達により、あらたな進化をとげようとしているジャンルであるにも関わらず、ほとんど触れられていないというのは疑問。このネットと音楽とのつながりについても、ロック史の観点から分析をしてほしかったのですが・・・とても残念です。

そんなわけで、ユニークな切り口が楽しめ、簡単なロック史を読むような感覚で、楽しくよめておもしろい反面、少々疑問が残る部分も多かった1冊でした。彼自身、獨協大学で「ロックとメディア社会」をテーマとした講義を行っているそうで、ひょっとしたら、ネットとロックの関係は、その講義では触れているのでしょうか?そうだとしたら、是非、第2弾で、そこらへんの分析を聴いてみたいです。

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2012年3月 2日 (金)

ロングヒットの予感がするアルバムチャート

今週の着うたチャート

2012年2月22日~2012年2月28日付チャート

とりあえず、今週の着うたチャートは、上位3曲は先週と同じだったのですが・・・

1位はGReeeeN「ミセナイナミダハ、きっといつか」が2位からワンランクアップ。2週目にして1位を獲得。先週1位だったAKB48「GIVE ME FIVE!」は、2位にランクダウンし、順位が入れ替わる形となりました。3位は、先週3位だったMs.OOJA「Be...」が、そのまま3位をキープです。

初登場最高位は4位。SCANDAL「HARUKAZE」がランクイン。アイドル色が強い女性4人組バンドで、本作はテレビ東京系アニメ「BLEACH」オープニングテーマ。シングルチャートでも6位に入ってきていますが、着うたチャートではシングルチャートを上回る結果になりました。

8位には、JAMOSA feat. ナオト・インティライミ「トリステーザ」がランクイン。タイトル通り、ナオト・インティライミを迎えた哀愁あるメロが印象的なナンバー。22日発売のシングルで、シングルチャートではギリギリ50位に入ってきましたが、着うたチャートではベスト10入り。なお、ナオト・インティライミは、自身の名義の「君に逢いたかった」も、今週9位にランクインしています。

他にベスト10返り咲きとしては、7位に、AI「ハピネス」が、先週の11位からランクアップ。今週のアルバムチャートにランクインしてきたアルバム発売の影響でしょうね。1月10日付チャート以来、7週ぶりのベスト10返り咲きとなっています。


今週のアルバムチャート
http://www.oricon.co.jp/rank/ja/

シングルチャートは、ジャニーズ系が1位を獲得しましたが、アルバムチャートもジャニーズ系。KAT-TUNの5枚目となるアルバム「CHAIN」が、今週は1位を獲得しています。ただし、初動売上は11万枚と、いささか寂しい数値。前作「NO MORE RAIN」が初動15万枚だったので、またしてもダウン。ここ数作のジリ貧傾向が止まりません。

2位には、なんとAI「INDEPENDENT」がランクイン!前作「THE LAST A.I.」が、初動売上1万4千枚で、最高位14位という残念な結果に終ったのですが、本作は、初動売上が2万枚にアップ。他にライバルがいなかったためとはいえ、初登場2位。2位は、オリジナルでは2006年の「What's goin' on A.I.」と並んで、自己最高位になります。昨年8月、EMIに移籍し、このアルバムが、移籍後初のアルバムとなりますが、レコード会社の移籍が功を奏したのでしょうか?

3位には、人気声優堀江由衣「秘密」が入ってきました。3位は、シングルアルバム含めて自己最高位。初動売上も、前作「HONEY JET!!」の1万5千枚から1万8千枚にアップしています。

以下、初登場は・・・6位に「ディズニー・デート~声の王子様」がランクイン。こちらは、ディズニーの名曲の数々を、人気男性声優がカバーしたという企画盤。声優人気を反映した企画で、見事ベスト10入りを果たしています。

5位には、LiSA「LOVER"S"MiLE」が入ってきています。LiSAは、テレビアニメ「Angel Beat」の劇中バンドGirls Dead Monsterのボーカル役で注目を集めた女性シンガー。LiSA名義では初となるアルバムですが、見事、ベスト10入りを果たしました。

今週は、新譜は以上ですが、他に注目のアルバムが3枚ほど。

まずは4位。由紀さおり&ピンク・マルティーニ「1969」が、先週の10位から再度ランクアップ!売上も、1万1千枚から1万7千枚にアップしています。先週のランクダウンで、もう厳しいかと思ったのですが、まだまだロングヒットは続きそう。

で、こちらもロングヒットになりそうなのがAdele「21」。先週の4位から5位にランクダウンし、売上も2万枚から1万6千枚に落ちたとはいえ、まだまだヒットは続きそう。遅ればせながら、日本でもブレイクとなっています。

そして、やはりあがってきました。先日、突然この世を去ったアメリカのR&BシンガーWhitney Houstonのベスト盤「THE ULTIMATE COLLECTION」(邦題「アルティメイト・ホイットニー」)が先週の24位から一気にランクアップし、ベスト10入りを果たしました。こちらも、今後、さらなるヒットが予想されます。

今週の着うた&アルバムチャートは以上。チャート評はまた来週の水曜日に~。

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2012年3月 1日 (木)

良質な短編映画のような1枚

Title:undun
Musician:THE ROOTS

HIP HOPユニットTHE ROOTSの今回の作品は、レッドフォード・スティーブンスという、生粋の悪ではないものの、犯罪に走ってしまった男の、わずか27年の生涯を描いた、コンセプチャルな作品。最初に流れるインストナンバー「DUN」から、彼の心臓がとまる音を模しており、コンセプチュアルなアルバムの内容をより印象づけています。

そんなコンセプチュアルなアルバムですが、アルバムは全編通じて40分という、HIP HOPのアルバムとしては非常に短く、くり返し聴きやすい内容になっています。リリックも、これでもか、というほど詰め込んだ感じではなく、比較的にシンプルに、彼の生涯が描かれているのが印象的。ただ、シンプルながらも、しっかりとブラック・コミュニティーの現実が描かれ(・・・って偉そうに書いていますが、事実はもちろん知らないわけで、もちろん、印象論ね。)、かつ、彼自信の心境も綴られた印象深いものになっています。

そして、わずか40分という短い内容ながらも、バラエティーあるトラックも、とても印象に残ります。ミニマル風のピアノが印象的な「One Time」や、ヘヴィーなドラムスやギターの音が迫力のある「Stomp」など、生音らしい、迫力のある演奏をベースに、曲ごとに、いろいろなアイディアを感じられます。

ただ、全体的には、メロディーを聴かせるナンバーが多く、それもどの曲もどこか悲しげなのが印象に残りました。それは、厳しい現実の中を生きるしかなかったレッドフォード・スティーブンスの哀しい心境が物語られているよう。そして、終盤「Redford」から先は、インストの曲が続き、アルバムは終わります。これもおもしろいのは、最初、ピアノとストリングスで優しいフレーズを奏でながらも、「Will To Power」で、それを壊すようなドラムの音が入り、ピアノも狂乱的に、そして最後は静かに終わるという、レッドフォードの生涯をなぞったのでしょうか?そうだとすれば、最後、不協和音で終わるというのは、あきらかに彼の「死」を象徴しているんでしょうね。

このアルバムの感想を読んでいると、「一編の短編映画のよう」という感想が多く見受けられましたが、バラエティーある展開に、凝った構成、そしてどこかしんみりとする物語の内容は、確かに、良質な映画を見ているようにも感じました。40分という短さもあり、また、音楽的にも凝っていることから、歌詞がダイレクトにわからない私たちでも、くり返し聴けて楽しめる作品。お勧めです。

評価:★★★★★

THE ROOTS 過去の作品
WAKE UP!(John Legend&The Roots)

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