キラリと光る部分はあるものの。
Title:mitaina
Musician:たむらぱん
前々作「ノウニウノウン」、前作「ナクナイ」と傑作が続いてきたたむらぱん。個人的には、「天才」と称されるのにふさわしい、数少ないポップミュージシャンの一人・・・と思っています。
それだけに、最新作「mitaina」に対する期待も大きかったのですが・・・正直言ってしまうと、前2作に比べると、ちょっと勢いはペースダウンしてしまったかなぁ、というのが、一言で言う感想でした。
確かに、今回も、彼女の才能がキラリと光る作品も少なくありません。「ファイト」の、ミュージカル風に、次々と楽曲の雰囲気が変わっていく展開もおもしろいですし、「ノック」の独特な展開も、癖になりそうですし、「やっぱり今日も空はあって」の、次々と展開するメロディーも、どこか切ない雰囲気もとても独特で、耳に残ります。
楽曲のバリエーションでも、パンキッシュな「フォーカス」や、様々な音をサンプリングしたユーモラスに楽しい曲を聴かせる「ショータイム」など、バラエティー豊富。最後の「歩いてる動いてる」は、ストレートなギターロックですが、奇をてらわないメロディーラインでも、しっかりとした曲を書いてくるあたりはさすがです。
ただ、アルバム全体としての出来としては、いまひとつピンと来ない部分が。いままでのような、歌詞にユーモラスなウィットに聴いたものが少なかったのも大きな理由でしょう。メロディーも、上に書いた通り、彼女の才能が光る曲も少なくなかったものの、それ以外の曲については、インパクトこそあるものの、ちょっと平凡では?と思う曲がチラホラ。
なんとなく、前作「ナクナイ」がオリコンで21位を記録し、人気が出てきたので、色気を出して、「売り」に来た、という印象がぬぐえないんですよね。そのため、比較的、つかみのインパクトはある普通の曲、が目立った感もありますし・・・。
いや、ポップスのアルバムとして、決して悪い出来ではないと思います。ただ、「ノウニウノウン」「ナクナイ」を産み出した彼女としては・・・と思ってしまいます。ファンなら、それなりに楽しめるアルバムとは思うのですが、たむらぱんというミュージシャンのすごさを知るためには、「ノウニウノウン」「ナクナイ」から入るのがお勧めかな?次回作、これを超える傑作を、楽しみにしています!
評価:★★★★
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