いつもより明るく前向き
Title:トライアル
Musician:the pillows
ここ最近、いい意味で安定感のあるアルバムが続いているthe pillows。約1年ぶりとなるthe pillowsの新譜も、ある意味、ファンにとっては納得の、彼ららしいアルバムに仕上がっていたと思います。
特に序盤、「Revival」「Rescue」そして「Comic Sonic」と、彼ららしい、オルタナ系のポップなギターロックナンバーが並んでいて、ファンとしては否応なく、期待が高まってきます。
ただ、そんな中、このアルバム、比較的、前向きで希望を持ったような明るい歌詞が目立ったような印象を受けました。
たとえば、「Comic Sonic」では
「あの吊橋の先にある
宝物を掘り出したい
強い風が吹いてるけど
踏み出す価値は十分」
(「Comic Sonic」より 作詞 山中さわお)
と歌ったり、「Minority Whisper」では
「人類は完璧じゃないと
誰もがそれを知っている
けど努力はするべきだ
その誓いは必要なんだ」
(「Minority Whisper」訳詩より 作詞 山中さわお)
と歌っていたり。
内省的な歌詞は、山中さわおのソロで歌われていたりするので、バンドでは、もっとリスナーが共有できるような歌詞を書いてきた、という感じでしょうか?とはいえ、もっとも、
「最下位確定のランナーのスピード
人類の背後に僕だけ」
(「ポラリスの輝き 拾わなかった夢現」より 作詞 山中さわお)
「ほっとかれて
荒んだサボテンは
世界を敵に回すほど
トゲを伸ばしたんだ」
(「Rescue」より 作詞 山中さわお)
なんて歌詞には、いつものthe pillowsらしさはしっかり健在。明るい前向きといっても、流行のJ-POPのような、能天気な前向きソングではない点、強調しておきたいところです。
全体的には、彼らの中では、ポップな曲が多かったかな?最初と最後に英語詞の曲を入れてきたり、「Flashback Story」のようなスカ風の曲を入れてきたり、いつもながらもギターロック路線を主軸に、最後まで聴かせる工夫も感じられる構成になっています。
いつも通り、ポップなギターロックを楽しめる文句なしの傑作。ただ、前作同様、全曲ヒットではあるけども、一発ホームランがないんだよなぁ、というのがちょっと気にかかるところではあるのですが・・・。
評価:★★★★★
the pillows 過去の作品
LOSTMAN GO TO YESTERDAY
PIED PIPER
Once upon a time in the pillows
Rock stock&too smoking the pillows
OOPARTS
HORN AGAIN
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