バラバラのような、そうでないような。
Title:color bars
Musician:東京事変
2月29日に約8年におよぶ活動に幕を降ろす東京事変。ただ、正直言えば、東京事変の解散に関して、さほど残念とか、惜しいとかの感想は抱きませんでした。
もともと、東京事変というバンドが、椎名林檎をはじめ、それぞれ個々にミュージシャンとして活躍していたメンバーが集結したバンド。そういう意味では、バンド=かけがえのない仲間みたいなつながりは薄く、このメンバーだからこそ何か生み出せる、といったバンド幻想みたいなものも皆無。いい意味で、ほどよい関係性を持ったバンドのように感じていました。
それだけに、解散といっても、東京事変でやれることをやりつくしたから、それぞれの活動に戻るというイメージしかありません。また、椎名林檎というミュージシャンが、東京事変以降、どういう展開を見せるのか・・・むしろ、そちらの方が楽しみだったりします。
今回、最後にリリースされた東京事変としてのラストアルバム。5曲入りのミニアルバムなのですが、それぞれのメンバーが1曲ずつ作詞作曲を担当。さらには、うち2曲については、椎名林檎がボーカルにすら参加していません。
その5曲、メンバーそれぞれが書いただけあって、バラバラといえばバラバラ。歌謡曲風な椎名林檎作詞作曲の「今夜はから騒ぎ」からはじまり、「sa_i_ta」はちょっとニューウェーヴ風?ラストの「ほんとのところ」はメタリックな雰囲気と、楽曲を持ち寄ったメンバーそれぞれの個性が出ています・・・が、じゃあアルバム全体チグハグか、といわれればそうじゃなくて、それなりにまとまりを感じ、じゃあ、東京事変としての個性を発揮しているのか、といわれればそうじゃない・・・「color bars」というタイトル通り、楽曲がそれぞれ別々の色を放っているのに、全体で見ると、妙な統一感を持っているアルバムでした。
でも、よくよく考えると、東京事変のアルバムって、いままでも(特に最近のアルバムは)こんな感じで、バラバラのようでバラバラでなく、強烈な個性がありそうでなさそうで・・・という感じだったような。ある意味、昔からの仲間が集まって結成されたバンドのように、強い絆で結束されて、という感じではなく、どことなく緩いつながりで音楽を楽しんでいた彼らだからこそ、こういう絶妙な統一感を保てたのかもしれません。
東京事変としての最後の最後が、これが初の楽曲提供となる刄田綴色による、ちょっとへんてこな楽曲と言うのもまた、彼ららしくてユニーク。いい意味で、形に囚われないバンドだなぁ、という感じもしました。最後の最後まで、東京事変らしさを貫いた、そんなアルバムでした。
ただ、正直言ってしまうと、やはり椎名林檎作詞作曲の曲が、頭1つ飛びぬけていたように感じたのも事実なのですが・・・(^^;;
評価:★★★★
ほかに聴いたアルバム
Black World/White Heat/ZEEBRA
「Black World/White Heat」というタイトルのアルバム・・・ではなく、6th Album「Black World」と、7th Album「White Heat」を同時にパッケージしたアルバムというスタイルだそうです。「Black World」では、ハードコアテイストの曲が多く、「White Heat」では、アップテンポなダンスチューンなど、ポップであったり、クラブ志向だったり、明るい感じの曲が収録。ZEEBRAの2つの側面をあらわしたアルバム、であると同時に、「Black World」だと、ポップ指向のファンにそっぽ向かれ、「White Heat」だと、ハードコア指向のファンにそっぽ向かれるので、2枚同時に・・・という、戦略も見え隠れします。
ただ、それだけバラエティーの富んだ作風だっただけに、2枚組というボリュームながらも最後まで飽きない内容でした。「Black World」の相変わらずの「俺様」的な歌詞は、マンネリ的な部分を感じつつも、ヘヴィーなトラックは、やはりカッコいいなぁ、と聴き入ってしまいます。「White Heat」のポップスさも、ちょっとベタに感じつつも、耳にすんなり入り楽しめるポピュラリティーはさすが。なんだかんだいいつつも、ベテランとしての底力を感じたアルバムでした。
評価:★★★★
ZEEBRA 過去の作品
World Of Music
The Anthology
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