誠実なアルバム
Title:Metals
Musician:Feist
昨年の紅白も久しぶりに紅組が買ったし、去年、アメリカで圧倒的な売上をあげたのもAdeleだし、最近、ミュージックシーンは女性が強いですね~・・・・・・・
というのは、半分冗談なのですが、女性シンガーではないのですが、昨年は、James BlakeやBon Iverといったシンガーが高い評価を受けたりして、全体的にはしんみりとメロディーを聴かせるタイプのミュージシャンが活躍しているような、そんな印象を受けます。日米やヨーロッパで、長い不況から抜け出せない、先行き不安定な社会情勢が反映された結果でしょうか?
今回紹介するFeistは、カナダ出身のシンガーソングライター。「1234」がiPod nanoのCMソングに起用されたり、前作「The Reminder」がグラミー賞4部門にノミネートされたりして、話題となった女性シンガーです。彼女もまた、メロディー主体に歌を聴かせるタイプのミュージシャン。このアルバムは、ビルボードチャートでも7位に入るなど、ヒットを記録しています。
Wikipediaによると、「ハスキーな声で歌うフィーキーな作品群はジョミ・ミッチェルと比較される」と記載されています。実は、前作「The Reminder」は聴いておらず、このアルバムではじめてFeistというシンガーに触れたのですが、確かに、アコースティックなサウンドをベースとした、フォーキーな作風がとても印象に残ります。また、静かでちょっとダークな雰囲気の作品も多く、「Caught A Long Wind」など、ちょっと神秘的な雰囲気のボーカルに、ビョークっぽさも感じてしまったりして。
ただ、全体的にはシンプルな作風が多く、彼女だけが持っているような、飛びぬけて個性的な特徴、というのは感じられません。そのため、アルバムとしては、ちょっと地味にすら感じられます。しかし、それは決してこのアルバムが駄作であることを意味しているのではなく、むしろ、シンプルにメロディーと歌詞で勝負している、そういう印象を受けました。
そして、彼女のボーカルも、決して声色に特徴があるわけではありませんが、歌詞を丁寧に歌い上げるボーカルに、楽曲に対しての確固たる自信を感じさせます。自分がつくった曲に対しての、すごく誠実さを感じさせるアルバムでした。
確かに、パッと耳をつかむような曲はないので、大ヒットというのは難しいかもしれません(・・・が、ビルボードでベスト10入りしているのですが)。ただ、これから末永く聴いていきたいアルバム、そう感じさせてくれる1枚でした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
5.0/Nelly
Nellyの最新作は、メロがいたってポップな、聴きやすいアルバム。楽曲は、いまどきの売れ線といった感じのR&Bの要素を多く入れており、いい意味でも悪い意味でも、売れそうな雰囲気を感じさせる1枚。HIP HOPをあまり聴かない層でも最後まで楽しめそう。
評価:★★★★
Nelly 過去の作品
BRASS KNUCKLES
NO MERCY(邦題 ノー・マーシー/非情のストリート)/T.I.
Nellyの最新作でも客演しているT.I.の最新作。こちらもメロディアスで聴きやすい雰囲気の作品。EMINEMが参加した「That's All She Wrote」や、DRAKEが参加した「Poppin Bottles」など、客演がいい味を出していて、バラエティーのとんだ作品になっています。
評価:★★★★★
T.I. 過去の作品
T.I. vs T.I.P.
PAPER TRAIL
THE BEGINNING/THE BLACK EYED PEAS
「THE END」というアルバムを最後に解散したバンドが、昨年、日本にいましたが、彼らは、この「THE BEGINNING」を最後に活動休止をしました・・・というユーモアさも彼ららしい感じ?前作「THE E.N.D.」に続き、エレクトロテイストの強い作品。メロはともすればベタと称されそうですが、ほどよく実験的なサウンドとあわせて、絶妙なバランスを保っているように感じます。前作にも書いたのですが、新しい音を追及しながらも、あくまでも(時としてベタなまで)ポップにまとめるという点で、m-floと似たようなスタンスを感じます。
評価:★★★★★
THE BLACK EYED PEAS 過去の作品
THE E.N.D.
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