彼ららしさを出した「ホワイトアルバム」
Title:新呼吸
Musician:Base Ball Bear
3.5枚目という、2枚同時発売のミニアルバムを経てリリースされたBase Ball Bearの4枚目。今回のアルバムは、アルバム全体で、1日24時間を表現した内容になっているとか。壮大な雰囲気が、すべてのはじまりを感じる「深朝」からスタートし、最後を締めくくるタイトル曲「新呼吸」は、ゆっくりとスタートし、徐々に盛り上がるあたりは、新しい次の一日を彷彿させる、未来への希望を曲で体現した楽曲。新しいスタートから、次への一歩までを表現したアルバムになっていました。
ただ、楽曲全体としては、Base Ball Bearの王道路線ともいえるアルバム。「school zone」や「転校生」では、学生時代を描写した甘酸っぱい感じのする歌詞は、まさに彼ららしいといった感じ。「Tabibito In The Dark」なんてタイトルも、あいかわらずのナンバガあたりからの影響を彷彿とさせるタイトルなんですが・・・。
2枚同時発売となった前作では、比較的、幅広い音楽性に挑戦した彼らですが、今回は、原点に立ち返った感じでしょうか?なにもない真っ白なジャケット写真は、そんな原点に立ち返るという彼らのスタンスをあらわしているのかもしれません。
ただ、そんな最新作がおもしろかったか、といわれると、確かに、ファンにとっては素直に楽しめるアルバムだなぁ、と思う反面、ちょっとマンネリに片足を踏み入れていない?と思ってしまいました。まあ、原点回帰の王道路線を意図しているのなら、こういう見方はちょっと的外れなのかもしれませんが、よくある「原点回帰のアルバム」にありがちな「勢い」みたいなものがちょっと欠けているのが気がかりです。
そういう意味では、原点回帰した次の作品は、勝負作だよなぁ、と感じた作品。彼らが大きく飛躍するか、マンネリの沼に足をとられてしまうのか、次回作、注目したいところです。
評価:★★★★
Base Ball Bear 過去の作品
十七歳
完全版「バンドBについて」
(WHAT IS THE)LOVE&POP?
1235
CYPRESS GIRLS
DETECTIVE BOYS
ほかに聴いたアルバム
Driving in the silence/坂本真綾
坂本真綾の最新作は、9曲入り(最後はアウトロ的な曲なので、実質8曲入り)のミニアルバム。冬をテーマとしたアルバムで、暖かい雰囲気のメロディーやアレンジが印象的。ここ最近、菅野よう子からちょっと距離を置き、様々な有名ミュージシャンに楽曲を依頼してきました。結果、様々なおもしろい曲が生まれた一方、ちょっとアルバムとしてはチグハグな点も否めませんでした。
今回のアルバムに関しては、作曲も基本的に柴草玲や江口亮など、何組かに限定。また、アレンジも一貫して河野伸が手がけています。そのため、アルバム全体としてまとまりのある内容に仕上がっていました。また、つつみ込むような雰囲気のポップスナンバーは、彼女の声質にもピッタリ。ボーカリスト坂本真綾の良さがよく出ているアルバムに思います。
ただ、一方で、1曲1曲を取ると、これといったキラーチューンもなく、全体的には地味な印象も否めない点がちょっと残念。そういう意味では、あっちを取れば、こっちが引っ込むのような・・・もうちょっとで、かなりの傑作が生み出されそうなのですが・・・。
しかし、ここ最近、菅野よう子後の道を模索してきた彼女ですが、このアルバムでひとつの方向性を示したような感じもします。また、いままでのアルバムで数曲あった、「いかにもアニソン」的な曲もないため、ポップスアルバムとして、誰にも抵抗なく聴けそうなアルバム。そういう意味で、ミュージシャンとして大きく一歩前進したようにも思えた作品でした。このアルバムも決して悪くないのですが、それ以上に次回作に期待したくなる、そんなアルバムでした。
評価:★★★★
坂本真綾 過去の作品
かぜよみ
everywhere
You can't catch me
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