アルバムレビュー(洋楽)2011年

2011年12月29日 (木)

歌ごころあるHIP HOPアルバム

Title:TAKE CARE
Musician:DRAKE

カナダ出身のラッパーによる2作目。前作「Thank Me Later」が大きな評判となり、また、私自身も聴いてみて、そのメランコリックな世界にはまってしまっただけに、この最新作も多いに期待していました。

そんな期待を背負ってリリースした最新作ですが、これが、前作に負けず劣らずの傑作!期待に見事応えるアルバムに仕上がっていました。

DRAKEの作品で、まず耳を惹くのが、そのトラック。エレクトロベースのトラックは、そのミニマルな構成が耳を惹きますし、なによりも音数を絞ったシンプルな内容が、逆に音に深みを与えています。

また、独特な電子音の柔らかい音感も彼の個性となっています。それがまた、楽曲の奏でるメランコリックなメロディーラインにもピッタリ来て・・・誰が聴いてもDRAKEとわかる個性を作り出しています。

そこらへんの音の世界とメロディーが実にマッチしているのが、「MARVINS ROOM」「DOING IT WRONG」あたりでしょうか?特に「DOING IT WRONG」は、包み込まれた優しい電子音の音色が、非常に印象的な作品。ちょっとレイハラカミの世界も彷彿とさせたりして??

そして、このメランコリックなメロディーも彼の大きな特徴。全体的にR&B色が強く、また、トラックとあわせて、ラップのアルバムでありながら、歌心にあふれた作品になっています。そこらへんが特に際立つのが冒頭。「OVER MY DEAD BODY」に、続く「SHOT FOR ME」も、美しくメロディアスな歌が、とにかく印象に強く残ります。

一方では、もちろん、NICKI MINAJが力強いラップを聴かせる「MAKE ME PROUD」をはじめ、聴かせるべきキレのあるラップももちろん抑えられており、日本の流行モノにありがちな、「ラップはお飾り」では決してありません。

R&B色が強い作品なので、HIP HOPは苦手・・・という方でも、十分楽しめる作品だと思います。やはりまだまだHIP HOPからはおもしろいミュージシャンがたくさん出てくるなぁ~。今年を代表する傑作。

評価:★★★★★

DRAKE 過去の作品
Thank Me Later


ほかに聴いたアルバム

B.O.B Presents THE ADVENTURES OF BOBBY RAY/B.O.B.

昨年、大ヒットしたアルバム。楽曲は、ポップなラップ。日本で言えば、ファンキーモンキーベイビーズやGReeeeNを想像させるような・・・もちろん、あそこまでポップに振り切れてはいないけど、いかにも売れ線といった感じの音は、即効性があるけど、飽きるのも早そうな。エミネムが参加しているのが、ちょっと意外な感じ。

評価:★★★

...FEATURING NORAH JONES(邦題:ノラ・ジョーンズの自由時間)/NORAH JONES

NORAH JONESと、様々なミュージシャンとのコラボ作を収録した企画盤。Foo FightersやらBelle&SebastianやらHerbie Hancockやら、バラエティーあふれるミュージシャンとコラボしていますが、そのため、楽曲もジャズからカントリー、ラップやポップスまで多種多様。ただ、どの曲も、NORAH JONESが歌うと、すぐにNORAH JONESの色になるのが、さすが。彼女のボーカリストとしての実力を実感します。また、様々な楽曲にもしっかりと順応できる彼女の包容力もさすが。NORAH JONESの魅力を様々な観点から知ることができる好企画でした。

評価:★★★★★

NORAH JONES 過去の作品
THE FALL

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2011年12月26日 (月)

まさかこれだけ続くとは・・・。

Title:The Singles Collection 2001-2011
Musician:GORILLAZ

2011年で、デビューから10年を迎えた、GORILLAZによるベスト盤。

ご存知のように、GORILLAZは実在のバンドではありません。blurのデーモン・アルバーンが、漫画家のジェイミー・ヒューレットと組んで立ち上げたプロジェクト。ギネスブックでも「最も成功した架空のバンド」に認定されたそうです。

既にオリジナルアルバムを4作もリリースしており、他にも編集盤なども多くリリースしている彼ら。正直、この「バンド」がスタートした時、企画モノ的な色合いが強く、これだけ長く続くなんて誰も思わなかったのではないでしょうか?

ただ、ひょっとしたらこの「企画モノ」的な、「お気軽」ともいえる見られ方が、「バンド」の寿命を長くしたのかもしれません。このシングルコレクションを聴いてみると、その時代によって、デーモン・アルバーンの実に反映されているように感じました。

デビュー以来、初期の作品は、HIP HOP色が強め。それが「Dare」あたりからエレクトロ色が強くなり、彼の興味がエレクトロに向かったことを感じさせます。もちろん、最近の作風にもHIP HOPの要素は強いのですが、彼の興味の向くまま、自由度の高い音楽性は、あくまでも「お気軽」な「架空のバンド」であるからこそ。また、だからこそ、GORILLAZの曲には、魅力的な曲が多く収録されています。

また、それだけ自由度も高く、ともすれば「実験的」にもなりがちな作品にも関わらず、しっかりと後に残る印象的なメロがあるのも大きな特徴。確かに、ブリット・ポップ全盛期のblurのような、インパクト満載の曲はないものの、例えば「CLINT EASTWOOD」のメロディーなど、一度聴いたら、ついつい口ずさんでしまいます。

今回のシングル集では、そんな楽曲が発売順に並んでいるだけに、GORILLAZの変遷がよくわかる内容。1枚にまとめられているだけに、入門盤としても最適な作品だったと思います。企画モノ的要素が強かった「彼ら」ですが、すっかりデーモンのライフワーク的になりつつあるGORILLAZ。これからも、数々の名曲で私たちを楽しませてくれそうです。

評価:★★★★★

GORILLAZ 過去の作品
D-Sides
Plastic Beach
THE FALL


ほかに聴いたアルバム

DEATH TO FALSE METAL/WEEZER

日本でも大人気のパワーポップバンド、WEEZERのレア音源集。アルバムからはずれた曲などを収録しているのですが、WEEZERらしい、メロディアスなパワーポップの連続。最後を締める「Unbreak My Heart」のカバーもなかなかユニーク。ファンにとっては、新譜感覚で聴けるアルバムだと思います。

評価:★★★★

WEEZER 過去の作品
WEEZER(Red Album)
RADITUDE
HURLEY

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2011年12月25日 (日)

Merry X'mas!!

また、お得な無料ダウンロード音源ネタを2作ほど。まさに、クリスマスプレゼントな2作です。

Title:Beirut In Concert
Musician:Beirut

まずは、アメリカのミュージシャン、ベイルートによるライブ音源が無料ダウンロードされています。

ベイルートのライヴ音源、全曲ダウンロード中

ダウンロードはこちらから。

ベイルートは、もともと、男性ミュージシャン、ザック・コンドンのソロプロジェクトとしてはじまったバンド。その後、最近では、バンド形態となり、活動しているそうです。

フォークやアイリッシュトラッドをベースとしたような、アコースティックなサウンドを聴かせてくれるバンドで、哀愁あるメロディーは、日本人の琴線にも触れそう。ちょっと泥臭さも感じさせるのは、基本、アメリカのバンドだから、でしょうか?

ライブや、アコーディオンやホーンセッションなどを取り込んだ、明るく、楽しいもの。雰囲気としては、まさにヨーロッパの昔の祭りを彷彿とさせます。ここらへんの雰囲気は、日本でいえば、ソウルフラワーユニオンあたりに通じるものも?ただ、ライブは完全に「バンド」があってこそという雰囲気になっており、ベイルートがソロプロジェクトからスタートした、というのは信じられないくらい。

CD音源よりもライブが楽しそうだなぁ~ということは、このライブ録音からも実感できます。来年には、初の来日公演があるみたいですが、残念ながら名古屋はやらず、さらに東京大阪も完売の模様。確かに、このライブ音源を聴けば、その理由は納得。ただ、来日公演はライブハウスのようなのですが、このバンド、フジロックとか野外が似合いそうだなぁ~。今年の夏に、再来日希望!

ちなみに、ダウンロードは、emailなどの登録なしに出来るのがうれしいのですが、1時間以上にも及ぶmp3ファイル1つだけがダウンロードされるのがちょっとビックリ。音も、さほどよくないのは残念なのですが・・・まあ、無料なので、文句はいえないですね(^^;;

評価:★★★★★

で、もう1作は、もはやクリスマス恒例になった・・・

world's end boyfriend今年も曲追加でXmas盤無料配信

Title:Xmas Song
Musician:world's end boyfriend

Web_xmassong

おととし、昨年と同じ時期に無料ダウンロードしていたworld's end boyfriendの、2001年にリリースされたアルバム。今年は、昨年版で収録されていなかった「Rotten Pig Parade」が収録(ただし、2009年度版には収録)。また、オリジナルで収録されていた「Rope Skip Loop」が未収録となっています(こちらは、2009年度版にも2010年度版にも未収録)。

一方、今回の目玉は未発表曲。「Merry Sun No He Two G」「Stardust Melody Fair」の2曲が追加で収録されています。

アルバムは、クリスマスらしい、祝祭色のある音色が目立つのですが、「Very Merry Happy」のように、定番のクリスマスソングを一度解体し、新しい曲に再構築しているように、上のジャケット写真同様、単純なクリスマスソングというよりも、どこかシニカルにクリスマスを扱っているような感じがします。

新曲2曲も、メロディアスな部分や、祝祭色を感じる部分があるのですが、それを一度解体し、再構築したようなサウンドは非常に独特。こちらもポップなはずなのに、どこかシニカルな視点や狂気を秘めたような視点を感じさせる、world's end boyfriendらしい作品になっています。

ちなみに無料配信はこちらから。12月30日までなので、急げ!!

評価:★★★★★

world's end girlfriend(world's end boyfriend)過去の作品
空気人形オリジナルサウンドトラック
Xmas Song(2009年)

SEVEN IDIOTS
Xmas Song(2010年)

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2011年11月29日 (火)

マニックスの歩み

Title:NATIONAL TREASURES-THE COMPLETE SINGLES
Musician:MANIC STREET PREACHERS

ナショナル・トレジャーズ

イギリスの人気ロックバンド、MANIC STREET PREACHERSの、シングルを集めたベストアルバム。もっとも、「THE COMPLETE SINGLES」と銘打っていますが、「MOTOWN JUNK」以前のインディーズでリリースしたシングルは未収録となっているようです。

マニックスといえば、デビュー当初、「30曲入りの2枚組みアルバムを発表し、それで世界ナンバーワンを獲得して解散する」と表明したり、インタビューに対して、リッチーが、腕に「4 REAL」と刻んで大怪我をしたりと、パンキッシュな話題が多いバンドでした。ただ、彼らも既にデビューから20年近くが経ち、リッチーの失踪など、悲しいニュースもあったものの、今なお、高い人気を得ながら、コンスタントに良作を発表しています。

このアルバムでは、彼らのシングルが発売順に並んでいて、そんな彼らの歩みを、概観的に知ることが出来ます。

デビュー時の彼らの曲を今から聴くと、そのパンキッシュで荒々しいバンドサウンドに、ちょっと驚かされます。いや、今でも確かに、ハードなギターロックを聴かせてくれるのですが、当時の曲は、もっとガレージテイストが強く、デビュー直後のパンキッシュなエピソードとも合致するような楽曲と言えるでしょう。

そこに、ストリングスやピアノの音が入ってきて、もっとやわらかく、曲のスケール感も増してきたのが「MOTORCYCLE EMPTINESS」頃からでしょうか。もっとも、この曲も発表されたのは1992年と、デビュー後1年程度あと。そういう意味では、マニックスの今のスタイルは、比較的早い段階で確立されていたんだなぁ、ということがわかりました。

さらに、最近の曲になれば、さらにスケール感も増して、彼らのスタイルが、さらに確立されるわけですが、ただもっとも、反骨心のある歌詞は、デビュー当初から一貫しています。

個人的には、デビューから10年後の作品ながらも、デビュー当初のようなパンキッシュな色合いが強く出た「FOUND THAT SOUL」あたりの曲が一番好きかなぁ。中堅バンドとしての安定感と、まだなお若々しさを感じさせる、勢いあるサウンドが、たまりません。

「NATIONAL TREASURES」=「国宝」というタイトルも、彼らなりの皮肉なのかもしれません。ただ、デビュー後20年近くたっても、いまだにイギリスでは、アルバムをベスト3入りさせてくる彼らは、まさにイギリスにとって国宝級、と言ってしまっても過言ではないかも。

ハードなギターロックサウンドながらも、ポップで耳なじみあるメロディーを聴かせてくれる楽曲は、日本人にとってもなじみやすいはず。日本での順位は、デビューアルバム「Generation Terrorists」の20位が最高のようですが、いまさらながら、もっと売れてもいいバンドだと思うのですが・・・。

ちなみに、「日本」といえば、「TSUNAMI」という曲があったり(今となっては「・・・」なのですが)、「OCEAN SPRAY」では、いきなり日本語からスタートしていたりと、日本人にとっても、妙に接点のある彼ら。これからも、まだまだ名曲をたくさん聴かせてくれそう。まだ、彼らの曲を聴いたことない方、とりあえず、このベスト盤からどうでしょうか?ギターロック好きには、手放しでお勧めできる1枚です。

評価:★★★★★

MANIC STREET PREACHERS 過去の作品
Journal For Plague Lovers
POSTCARDS FROM A YOUNG MAN


ほかに聴いたアルバム

Doo-Wops&Hooligans/Bruno Mars

Doo-Wops and Hooligans (Bonus Track)

シングル「Just The Way You Are」が、大ヒットを記録し、一躍注目を集めたアメリカの男性シンガーによるデビューアルバム。1曲目「Grenade」が、最近はやりのK-POPみたい?で、ちょっと平凡かなぁ、と思ったのですが、その後は、メロディアスなメロディーラインをベースに、「Runaway Baby」のようなミクスチャーロック風の曲や、「Talking To The Moon」のような、壮大なピアノバラードや、Damian Marleyを迎えた「Liquor Store Blues」のようなレゲエナンバーなど、意外な懐の深さも。ただ、全体的には、メロウなボーカルを聴かせるナンバーは、いかにも売れ線といった感じで、安心して聴ける反面、もう一歩の刺激が欲しかったかも。

評価:★★★★

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2011年11月28日 (月)

アフロビートの今

Title:FROM AFRICA WITH FURY:RISE
Musician:SEUN ANIKULAPO KUTI&EGYPT80

怒りのアフリカより:RISE

フェラ・クティの末息子、シェウン・クティによるニューアルバム。フェラ・クティは、アフロビートの創始者と言われるナイジェリアのミュージシャンで、数多くのミュージシャンに影響を与えました。最近では、彼の生涯を描いたミュージカル「FELA!」がアメリカで話題となり、あのビヨンセの最新アルバム「4」でも、フェラ・クティの影響を強く受けたそうです。

そんなフェラ・クティを支えたバンドEGYPT80を率いてのアルバム。シェウン・クティは2009年のフジロックに来日したほか、今年の朝霧JAMにも来日し、多くのリスナーを興奮の渦に巻き込んだそうです・・・いいなぁ・・・(笑)。

シェウン・クティのアルバムを聴くのは今回がはじめて。基本的に、テンポがよい、ミニマルテイストなアフロ・ビートを刻み、そこに、ロックやらジャズやらラテンやらの要素が入るというのは、大筋、父親、フェラ・クティの進んだ道を歩んでいるように感じます。

ただ、楽曲は、フェラ・クティより、いい意味で洗練されているなぁ、というか、現代的だなぁ、という印象を受けました。今回のアルバム、ブライアン・イーノがプロデュースについているそうなのですが、そのため、妙に垢抜けているのように感じます。特にギターの音。例えば「You Can Run」「Rise」で聴こえるギターの音はとても端整で、都会的にすら感じます。

メロディーもインパクトがあるし、パワフルなボーカルも、耳に残ります。いい意味で、人なつっこい感じがして、非常に聴きやすいアルバム、彼の作り出すリズムに、すぐにでもはまれるようなポップなアルバムになっていたように思いました。もちろん、だからといって軽くなった、とか、薄くなった、とかではなく、アフリカの大地を思わせる、熱狂的なリズムやサウンドは、このアルバムでもちゃんと、身体の奥に伝わってくるものがありました。

父親の残したものをちゃんと引き継ぎつつ、自分の音に仕上げている、ある意味、理想的な作品かもしれません。ただ、そんな難しいこと抜きにして、素直に熱烈なビートにはまれるアルバムだったと思います。朝霧、気持ちよかったんだろうなぁ~。

評価:★★★★★

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2011年11月22日 (火)

ちょっとトゥーマッチ

Title:MYLO XYLOTO
Musician:COLDPLAY

Mylo Xyloto

COLDPLAYといえば、前作「Viva La Vida」が彼らのキャリアを大きく前進させた傑作でした。

スケール感の大きなサウンドは、満員の観衆のスタジアムで演奏している彼らを彷彿とさせます。名実共に、イギリスを代表するバンドのアルバム、としてふさわしいアルバムだったと思います。

で、今回の作品も、基本的に「Viva La Vida」を踏襲したアルバムでした。

特に、音数も増えて、全体的にきらびやかさが増した感じのするアルバム。「CHARLIE BROWN」なんかは、まさにそんなスケール感を体現した、今のCOLDPLAYを象徴するような作品のように感じました。

その一方で、ロックバンド然とした「MAJOR MINUS」、アコースティックなサウンドを聴かせる「U.F.O.」、Rihannaをフューチャーした「PRINCESS OF CHINA」など、いままでよりも意欲的に様々なジャンルに挑戦しようとする姿勢も感じられました。

ただ、その結果、少々トゥーマッチな内容になってしまったかなぁ、ということも感じました。

分厚い音になり、スケール感の増した作品は、ちょっとまとまりのなさも感じましたし、全体的にやりたい方向性が多すぎて、アルバムとしてのまとまりも、前作に比べると少々不安定な感は否めません。

そう考えると、傑作だった「Viva La Vida」は、本当に奇跡的なバランス感覚で支えられたアルバムだったんだなぁ、ということをあらためて実感するわけですが・・・

もちろん、「UP WITH THE BIRDS」をはじめとして、美メロを聴かせる曲は本作も健在なわけで、COLDPLAYの魅力は本作も健在。そういう意味で、いいアルバムだとは思うのですが、「Viva La Vida」に続くアルバムとしては、ちょっと物足りなさも感じてしまいます。ちょっと突っ走りすぎちゃっているかなぁ?

評価:★★★★

COLDPLAY過去の作品
Viva La Vida or Death And All His Friends(美しき生命)
Prospekt's March
LeftRightLeftRightLeft


ほかに聴いたアルバム

Wreckorder/Fran Healy

Wreckorder

しんみりと美しいメロディーを聴かせるバンドとして一世を風靡したTRAVIS。以前は、COLDPLAYとよく並んで紹介されていたように思うのですが、いつの間にか、差がついてしまったような・・・。そんなTRAVISのボーカリストによるソロアルバムです。

哀愁たっぷりの美しいメロディーラインは、やはり本作でも健在。アコースティック主体の作風は、スケール感たっぷりのCOLDPLAYの作品と対比すると、あまりにシンプル。ある意味、TRAVISの延長線上ともいえるのですが、それだけに安心して聴ける作品になっているかも。TRAVISのファンなら素直に気に入りそうな作品です。

評価:★★★★

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2011年11月14日 (月)

気合の入ったプロジェクト

Title:biophilia
Musician:bjork

バイオフィリア

bjorkの最新作は、はっきりいって、気合がはいりまくっています。

自然と音楽の融合をテーマとした作品のようで、「曲ごとに音楽理論の要素をひとつ取り上げて、それに呼応する自然界の事象を、詞とサウンドのモチーフとしてセレクト」(ライナーツノートより)したそうで、「Moon」は、反復進行と月周期、「Thunderbolt」ではアルペジオと雷をモチーフとしているそうです。

また、単純にアルバムだけでこの作品を表現するのではなく、iPadでこの音楽の世界を体感できるアプリをリリースしたほか、ライブイベント、さらにはドキュメンタリーを作成し、それら一連のプロジェクトで「biophilia」の世界を表現したそうです。

今回、アルバムを聴いたほか、アプリをダウンロードして、遊んでみました。ただ、残念なことにiPadは持っていないので、代わりにiPhoneで。正直、iPadを前提としているアプリなので、少々遊びにくかったのですが、「biophilia」で表現しようとする世界観を感じることは出来ました。

ただ、アルバムを聴いて、アプリで遊んで、思ったのは、

ちょっとBjork、力入れすぎじゃない??

ということ。

このプロジェクトのため、新しい楽器までつくったという音は、ちょっと無機質な感じがして、アルバムで聴いた時には、少々抵抗感を覚えました。ただ、アプリで遊ぶと、音と世界観がマッチしていて、緻密な美しいフレーズを奏でていることに気がつくのですが・・・。

アルバムを聴いて、アプリで音の世界をより感じて、はじめてこのアルバムの楽曲の良さに触れたような気がします。こういうマルチメディア的な作り方も悪くはないと思うのですが・・・もうちょっとわかりやすさがあってもいいのでは?特にメロディーラインが少々インパクト薄な点が、この作品をちょっと難解にしてしまったような気がします。

あと、ちょっと残念なのは、iPadのアプリが、アプリ自体は無料なのですが、音楽を楽しむためには、楽曲のアドインを有料でダウンロードする必要がある点。まあ、有料なのは仕方ないのですが、アルバム購入者も、アドインを購入しなくてはいけないのがちょっと・・・。アルバムとリンクして、アルバム購入者はアドインをダウンロードしなくても曲を楽しめるなどの工夫が欲しかったなぁ。

そんな訳で、アルバムだけ聴いた人で、iPad/iPhoneを持っている方は、是非、アプリのダウンロードを。アプリには、楽曲の詳しい解説もあったのですが、そちらはまだ英語ということもあって(笑)読んでいません。この解説を読めば、もっとアルバムの意図が理解できるのかな?

ある意味、アルバムの世界を楽しむんだ、と意気込んで聴かないと、物足りなさを感じてしまうかも。そういうアルバムも「アリ」かもしれないのですが、やはりポップスは、気軽に聴いても最低限楽しめるような作りにしてほしいかなぁ。

評価:★★★★

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2011年11月13日 (日)

リアムにないもの ノエルにないもの

Title:NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS
Musician:NOEL GALLAGHER'S HIGH FLYING BIRDS

Noel Gallagher's High Flying Birds

来ました!!元oasisのギタリストにしてメインライターだった兄ちゃん、ノエル・ギャラガーの、oasis解散後、初となるオリジナルアルバムです。

解散後のoasisといえば、既にノエルを除くほかのメンバーは、リアム・ギャラガーをメインに、バンドBEADY EYEを結成し、今年2月にデビューアルバムをリリース。今年のサマソニで初来日も果たしています。

そのBEADY EYEのアルバム。確かに、oasis同様、スタジアム・バンドの様相を感じられるスケール感のあるロックナンバーは、とても魅力的な傑作でした。が、聴いていて、ちょっと気になったことがありました。それはメロディーライン。もちろん、しっかりと耳に残るインパクトのあるメロディーもありましたが、全体として、勢いを重視した曲が多く、oasisのように、メロディーライン自体をしっかりと聴かせる曲があったか、と言われると、物足りなさは否めませんでした。

oasisといえば、やはりその聴いていて胸をうつようなメロディーライン。そんな美メロを多く作り出したのがノエル・ギャラガー。そんな彼のニューアルバムを聴くと、BEADY EYEのアルバムで足りなかったパーツが、ピッタリとはまるように感じました。

勢い、という面では、確かにBEADY EYEに劣ってしまうかもしれません。ただ、何度も愛聴したくなるようなメロディーの曲が並んでいます。「AKA...What A Life!」はテンポのよいインパクトある曲で耳に残りますし、「AKA...Broken Arrow」は、心地よく突き抜けるようなサビが、どこかoasisらしさを彷彿とさせます。「(Stranded On)The Wrong Beach」も、サビへの展開には、思わずゾクゾクっとするものがあります。

派手さはないものの、しっかりと曲を聴かせようとするアルバムといった感じが好印象。メロディーメイカーとしてのノエルの実力がいかんなく発揮された傑作だと思います。

ただ一方・・・ちょっと気になったのが、ボーカリストとしてのノエル・ギャラガーのインパクトの薄さ・・・。弟リアムのように、手を後ろに組んで、マイクの前で歌っているだけで絵になるような・・・そんな姿は、残念ながら、ノエルからは想像できません・・・。正直、カリスマ性あるボーカリスト、リアム・ギャラガーと、稀代のメロディーメイカー、ノエル・ギャラガーが組んだことによって、oasisがあれだけ偉大なバンドとして絶大な人気を得ていた、と思います。

BEADY EYEで足りなかったものが、このアルバムからは感じられる一方、このアルバムで感じた物足りなさを、BEADY EYEでは感じられる・・・正直言ってしまって、やはりoasisというバンドの偉大さを再認識してしまったアルバムでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Guitar Heaven:The Greatest Guitar Classics Of All Time/Santana

Guitar Heaven: the Greatest Guitar Classics of All

サンタナの最新作は、歴代のギターロックの名曲をカバーしたカバーアルバム・・・なのですが、選曲が、はっきりいってめちゃくちゃベタ(^^;;ツェッペリンの「Whole Lotta Love」からはじまり、ビートルズの「While My Guitar Gently Weeps」やらクリームの「Sunshine Of Your Love」やら、果てにはDEEP PURPLEの「Smoke On The Water」まで・・・。カバーも、それなりにサンタナらしいラテン風味を織り交ぜているのですが、基本的には、原曲のイメージを大きく崩すことがありません。ただ、これだけの有名曲をあえて取り上げるあたりに、サンタナの自信と、さらにはロック・クラシックに対する素直な敬意を感じることが出来ます。ロックリスナーでなくても聴いたことある曲が並んでいるアルバムなだけに、そういう意味でも楽しめるアルバムでした。

評価:★★★★

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2011年11月 5日 (土)

「カーターシリーズ」最新作

Title:THA CARTER IV
Musician:LIL WAYNE

カーターIV

アメリカで大人気のラッパーによる最新作。「カーターシリーズ」と名づけられたシリーズの第4弾。前作「THA CARTER III」は、高い評価を受けましたが、続く4作目も、ビルボードチャートで初動96万枚を突破するなど大ヒット。多くのファンが待ちわびていたアルバムということがわかります。

そんな「カーターシリーズ」の最新作なのですが、いい意味で非常に聴きやすい、ポップでありながら力強いHIP HOPの楽曲が並んでいます。

先行シングルとなった「6 FOOT 7 FOOT」はどこかユーモラスですし、続く「NIGHTMARES OF THE BOTTOM」は、ピアノでしんみりと聴かせる作風。「HOW TO HATE」は、T-PAINがお得意のオートチューンを使いつつ、メロウな歌声を聴かせてくれます。

また、他にもJOHN LEGENDの哀愁あふれるボーカルと、LIL WAYNEの力強いラップが対照的な「HOW TO LOVE」や、エレクトロアレンジの「TWO SHOTS」など、最後までバラエティー豊富な作風で飽きさせません。

斬新さみたいなものはあまりないものの、その分、しっかりとラッパーとしての実力で勝負したように感じられるアルバム。そういう意味で、とても安心して楽しめた作品でした。

評価:★★★★★

LIL WAYNE 過去の作品
THA CARTER III


ほかに聴いたアルバム

Mean Old Man/Jerry Lee Lewis

Mean Old Man

1950年代後半、ロックンロール黎明期に活躍した、リビング・レジェンド、ジェリー・リー・ルイスの最新作。エリック・クラプトンやミック・ジャガー、キース・リチャードといった、豪華なメンバーがゲストとして参加している点からも、彼のロックに対する影響力の大きさを感じさせます。楽曲は、カントリー色の強い軽快なロックンロールがメイン。オールドスタイルといえばオールドスタイルなのですが、いまなお現役感もあり、御歳76歳になる彼ですが、いまだに音楽に対する意欲を感じさせる新作です。

評価:★★★★

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2011年11月 1日 (火)

ほどよいバランス

Title:THE WHOLE LOVE
Musician:WILCO

Whole Love

アメリカのレディオヘッド・・・・・・

そんな呼ばれ方もしているようですね。アメリカのオルタナティヴロックバンド、WILCOのニューアルバム。そういうイメージで、このアルバムを聴きはじめると、まず1曲目「Art Of Almost」で、そのスペーシーでサイケな、ポストロック色の強い作風に、確かにレディへっぽいかも!と思いました・・・1曲目、は。

ただ、それ以降は、RADIOHEAD的な音を求めてアルバムを聴くと、ちょっと肩透かしを食らうかもしれません。

個人的にノイジーなギターにポップなメロが壺な「I Might」やら、フォーキーなメロディーが心に染みる「Black Moon」やら(ただ、ライナーツノートによると、この曲、ヴォーカルのジェフによると「感じの悪い曲」だそうで、そういう面、彼らのひねくれた部分も感じます(笑))、基本的にはポップなメロディーを聴かせる曲がメインになっていて、いい意味で、「聴きやすい」アルバムになっています。

ま、もっともRADIOHEADにしても、メロディーを取り出せば、意外とポップで聴きやすい面が見え隠れする訳なんですが。ただ、RADIOHEADとの比較で言ってしまうと、もっと鬱で湿った感じの曲調が多いレディへに比べると、「Open Mind」なんが典型ですが、もっとカントリーで泥臭さも感じられる、ある意味アメリカらしい曲調が彼らの特徴のように感じました。

ただ、ポップで聴きやすいとはいえ、単純なギターロックとも違うのがまた、WILCOらしさなんでしょうか?曲を聴けば、ポップな楽曲の中に、ユニークな音、おもしろい構成が紛れ込んだりしているだけに、楽曲の展開がおもしろく、聴いていて、ついついはまり込んでしまいます。

アルバム自体の構成も、「Art Of Almost」という大曲ではじまって、ラストも12分にも及ぶ、しかし1曲目とは全く対極な「One Sunday Morning(Song For Jane Smiley's Boyfriend)」というのもユニークに感じます。いろいろなところに彼らのこだわりみたいなものを感じられる、非常によくできた名盤だと思います。

ポップス性にしろ、先駆性にしろ、いろいろな意味でバランスの良さを感じるなぁ。カントリーからバラード、ギターロックなど、様々な曲もバランスよく収録されているし。ある意味、バランスが良すぎる(=少々狙いすぎ?)という点が気になるといえば気になる部分かもしれませんが、そこを差し引いても、今年の年間ベストレベルの名盤だと思います。小難しいこと抜きに楽しめるし、聴き込めば聴き込むほどおもしろい、そんなアルバムでした。

評価:★★★★★

WILCO 過去の作品
Wilco(This Album)


ほかに聴いたアルバム

EPIC/R.Kelly

Epic

このアルバムは、新作ではなく、バラードナンバーを収録したコンピレーションベスト。R.Kellyといえば、「エロ」という側面と、ゴスペルやソウルの影響を強く受けたソウルシンガーという側面の両方があるのですが、このアルバムでは、これでもかというほどの心に響くバラードナンバーをソウルフルに聴かせてくれます。いろんな意味で、安心して聴ける作品。

評価:★★★★★

R.Kelly 過去の作品
Double Up
Untitled
Love Letter

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