下流社会のリアル
Title:Diggin' Anarchy
Musician:Anarchy
先日、Anarchyが、朝日新聞で取り上げられたそうです。
彼の歌詞はいわゆる「下流」のリアルな現実。ただ、正直なところ、彼の歌う世界が、どこまでリアルなのか、少々ピンと来ない部分もあったりします。
ただ、そんな中でも、強い印象に残ったのが「Broken Memory」。貧しい家庭に育った子供も、リアルな心境を痛いほどに綴った歌詞は、ストレートに胸をうつものがあります。
この曲に限らず、Anarchyの綴る歌詞の世界は、まさに底辺というべき社会。もともとアメリカのHIP HOPも、そんな社会の底辺に生きる若者たちの心の叫びを綴ったラップが少なくありません。その流れが日本にも来た、というのは、音楽的には興味深いのかもしれませんが、社会全体の流れとしては、決してうれしくない現象。そういう意味では、Anarchyの曲には、複雑な心境を抱いてしまいます。
ただ、決してカツゼツが言いわけでもない中、必死に、そして丁寧に綴るAnarchyのラップは非常に印象に残ります。ともすれば、リズムが重視される日本語ラップの中、ラップの中身をきちんと聴かせようとするスタイルは、やはり心に残るものがあります。
サウンドとしては、Anarchyのみが聴かせる真新しい音・・・というのは正直ありませんでした。とはいえ、PUSHIMのボーカルがメロウで印象的な「Magic Hour」や、歌詞の内容も含めて不気味な雰囲気と、OZROSAURUSとの力強い掛け合いが特徴的な「6 Feet Deep」など、思わず聴き入ってしまう曲も多く、プロデューサーとしてMUROを迎えた本作では、ぶっといビートが力強いサウンドも魅力的でした。
アルバムの内容としては、もちろん傑作。40分弱の短い内容も、主張をストレートに伝えるためには、ちょうどいい長さだったと思います。ただ、こういう内容のアルバムが「リアル」として出てきてしまう今の社会状況って・・・・・・と少々複雑な後味が残るアルバムでした。
評価:★★★★★
Anarchy 過去の作品
Dream and Drama
ほかに聴いたアルバム
MAGNETIC SOIL/SOIL&"PIMP"SESSIONS
いきなりアフリカ風のビートが飛び出す「Sexual Hungry」からスタートし、ファンク、R&B、ラテン、ディスコなど、様々な要素が展開し、最後まで飽きさせず、彼らの音楽の幅広さを感じさせる作品。ただ、その一方で、テーマとなるメロディーラインが少々平凡で、いまひとつ印象薄だったのが残念。評価:★★★★
SOIL&"PIMP"SESSIONS 過去の作品
PLANET PIMP
SOIL&"PIMP"SESSIONS presents STONED PIRATES RADIO
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