« アルバムは新譜ラッシュ | トップページ | 下流社会のリアル »

2011年12月 3日 (土)

新生フジファブリックの第1歩

Title:STAR
Musician:フジファブリック

STAR

バンドのボーカリストであり、多くの曲の作詞作曲を手がけていた、志村正彦の急逝。バンドにとって存続の危機となる事態を乗り越え、残されたメンバーがとった道は、「フジファブリック」というバンドそのままで、残されたメンバーでバンド活動を続けていく、という道でした。

前作「MUSIC」は、基本的に志村正彦が残したデモ音源を、他のメンバーが完成させた内容でした。しかし、最新作は、残されたメンバーが作詞作曲から演奏、録音まですべて手がけたアルバム。まさに新生フジファブリックの第1歩と言うべき作品と言えるでしょう。

そして、このアルバムに対して、リスナーが抱く感想はそれぞれかもしれません。

「これなら、これからのフジファブリックも大丈夫だ!」

と積極的に評価する方や

「残されたメンバーで、これなら悪くないかも」

と評価しても消極的な方、あるいは

「やはり、志村正彦がいなければダメなんだ・・・」

と否定的な方、様々かと思います。

そういう私は、「思ったより悪くないじゃん」という消極的に評価しつつも、「やはり志村正彦の曲と比べてしまうと・・・」と思ってしまったのが正直な感想です。

残されたメンバーが、フジファブリックというバンドを次に繋げるため、必死にがんばった。その姿勢は痛いほど伝わってきます。「Splash!」など、あきらかに志村正彦の曲を模倣しようとしていますし、その一方で、アイリッシュテイストの「君は炎天下」や、80年代テイストの打ち込みが、逆に新鮮さを感じる「アンダルシア」など、バンドとしての可能性も広げようとがんばっています。

ただ、やはりシンプルながらも妙に耳に残る、志村正彦の書くメロディーラインと比べると、どうしても、「普通のポップス」という印象は否めません。パッと聴いた感じ、インパクトもあり悪くないな、と思うのですが、アルバムを聴き終わった後、どうも後に残る曲が少ないように感じました。

また、ボーカル山内総一郎の声も、どうも淡白で、癖がないというのも、ある種のマイナスポイントかも。メロディーの要素と相まって、爽やかさは増しているものの、さらりと聴き流せてしまう曲が多かったように感じました。

メインライターの突然の死から、メンバーががんばって書いた最初のアルバムなんだから!という意味では、厳しい見方なのかもしれないのですが・・・ただやはり、志村正彦不在の大きさを感じてしまったアルバムでした。もっとも、これから可能性は大きいバンド。次回作以降に期待したいです!

評価:★★★

フジファブリック 過去の作品
TEENAGER
CHRONICLE
MUSIC
SINGLES 2004-2009


ほかに聴いたアルバム

Crossover And Over/BBQ CHICKENS

Crossover And Over

Ken Yokoyama率いるパンクロックバンド、BBQ CHICKENSまさかの復活!そして約8年ぶりとなるニューアルバムリリース!ただ、そのスタイルは前作からほとんど変わりません。全18曲ながらも、19分強というアルバムの短さ!(1曲あたり平均1分にも満たない!)前作に比べて、もっとハードに、ややメタリックになったのですが、基本的な路線は以前と同じ。ある意味、非常にシンプルで、わかりやすく、割り切りの良さが魅力的です。

評価:★★★★

|

« アルバムは新譜ラッシュ | トップページ | 下流社会のリアル »

アルバムレビュー(邦楽)2011年」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 新生フジファブリックの第1歩:

« アルバムは新譜ラッシュ | トップページ | 下流社会のリアル »