ユニークな企画盤
以前、こちらでも紹介した、久保ミツロウ作「モテキ」のコンピレーションアルバム。今回は、その実写版が、映画化されたということで、3枚の企画盤がリリースされました。私自身は、原作漫画も、実写ドラマも映画も全く見ていないのですが(笑)、こちらのアルバムはとてもおもしろそうなので、3枚とも聴いてみたわけです。
Title:モテキ的音楽のススメ映画盤
まずは、映画の中で使われた曲や、「モテキ」のイメージにピッタリ来る楽曲を集めたコンピ盤。90年代のちょっと懐かしいナンバーから、最近話題の新人まで、「ちょっと情けない男」が主人公の曲が並んでいます。
個人的に壺だったのが90年代の懐かしの曲たちで、岡村ちゃんにジュディマリに大江千里に、そして、TM NETWORKの「Self Control」!!サブカル畑では、なにかと無視されているTMですが、30代半ばの人なら、一度ははまった人は多いはず!なんだかんだいっても名曲ですよ~特に「Self Control」は!
そして同じく懐かしかったのは、久しぶりに聴いた橘いずみの「失格」。この曲、はじめて聴いた時は衝撃的だったなぁ・・・。いまから聴くと、音が意外と軽かったんだ、と驚いたのですが、やはりインパクトはいまでも十分感じられます。
最近の曲だと、在日ファンクはもちろんなのですが、N'夙川BOYSの「物語はちと?不安定」がよかったですね。地元のFM局で、彼らの曲がよく流れているので、名前は知っていたのですが、耳に残るポップなメロと、男女ボーカルの対比がとてもユニーク。最近知ったのですが、KING BROTHERSのメンバーが参加しているバンドなんですね!一気に気になるバンドになりました。
評価:★★★★★
Title:モテキ的音楽のススメ Covers for MTK Lovers盤
個人的に、3枚の中で、企画として一番おもしろかったのがこのカバーアルバム。単純なカバーではなく、「この人がこの曲を歌うの??」みたいな、意外な組み合わせがユニーク。もちろん、成功しているのと、失敗しちゃっているのがありましたが・・・。
こちらでもN'夙川BOYSの「目を閉じておいでよ」がよかったですね。原曲そのままなのですが、N'夙川BOYSのイメージにもピッタリはまっています。ピッタリはまっているといえば、フラワーカンパニーズの「失格」。これ、もともとフラカンの曲だったのでは?と思うくらいのはまり方。この手の、主張がこれでもかとつまった歌って、フラカンのイメージにも合いそう。
原曲をおもいっきりぶっつぶしていておもしろかったのが、ミドリ解散後、ソロでの初の作品ということで話題となった後藤まりことクスノキリカによる「大スキ!」。歌詞の内容だけでかわいらしさがあふれている曲も、いまさらながら秀逸なのですが、後藤まりこのボーカルがとてもキュートで曲にマッチしている・・・と思えば、サビ意外の部分では曲をおもいっきり歪ませて、一気に狂気を感じさせる曲へと変貌させています。お見事。
また、さよならポニーテールの「SAY YES」も、あんな情感こめて歌われた曲が、一気に脱力ポップに変貌しているカバーで、これも非常にユニーク。ただ、その分、楽曲がもともと持っていた、ナルシスティックな部分が前に出てきてしまっていています・・・これはこれでおもしろいのですが(笑)。
これだけユニークな組み合わせが多い一方で、いまひとつな曲も少なくなかったのがこのアルバム。フジファブリックの「ぼくらが旅に出る理由」、ボーカルが淡白すぎるよなぁ・・・。OKAMOTO'Sの「どぉなっちゃってんだよ」、岡村ちゃんに比べると、力量不足が目立ってしまった感が・・・。HIROSHI II HIROSHI Feat.小泉今日子の「空洞です」・・・普通のポップスになっちゃっています・・・。
そんな訳で、当たり外れも大きいのですが、非常にユニークな企画盤になっています。ある意味、3枚の中では、最も一聴の価値あり、です。
評価:★★★★
Title:モテキ的音楽のススメ MTK PARTY MIX盤
最後の1枚は、「モテキ」をテーマとしたDJ MIX盤。J-POPで踊るクラブイベント「申し訳ないと」のDJ陣、申し訳ナイタズによる選曲になっています。ただ、曲の方は、他の2枚のような、いかにも「ちょっと情けない男」といった感じではなく、各メンバーの趣味が反映された感じで、いまひとつかな?と思ったのですが、最初の曲目から思った予想よりは、楽しめる選曲になっていました。
特に予想外におもしろかったのが、掟ポルシェ選曲による「モテキ出演者枠・アイドルMIX」で、単なるアイドルソングの選曲か・・・と思いきや、企画モノアイドルやB級アイドルソングの、ちょっとキワモノ的な曲のつめあわせで、ぶっとんじゃっていて、かなりユニーク。アイドルに興味のない方でも、要チェックです。
評価:★★★★
そんな訳で、いろいろと豪華で、ユニークな企画盤の数々。ただ、この中で、どれか1枚、といわれたら、やはりカバー盤が要チェックかなぁ。このカバーは、このアルバムでしか聴けませんしね。当たり外れもありますが、参加ミュージシャンや楽曲に興味がある方は、要チェックです。
「モテキ」コンピレーション 過去の作品
モテキ的音楽のススメ~土井亜紀・林田尚子盤
モテキ的音楽のススメ~中柴いつか・小宮山夏樹盤
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