強い芯を感じます。
Title:エピソード
Musician:星野源
先日、浜野謙太率いる在日ファンクのアルバムを紹介しましたが、こちらも浜野謙太と同じくSAKEROCKのメンバーで、俳優としても活躍している星野源のソロ2作目。オリコンチャートでもベスト10入りしてくるなど、高い支持を集めています。
基本的には前作「ばかのうた」と同様、暖かいアコースティックなサウンドが特徴的な作品。アコギだけではなく、ピアノやストリングスなどを取り入れていますが、至ってシンプルな曲調。派手さはないものの、そっと心に染み入るような音づくりが、とても魅力的な作品になっています。
そして、そこで歌われているのは、前作と同じく私たちの日常。暖かいサウンドなだけに、描かれているのもほっこりとした世界観・・・と言いたいところですが、そんな中に、強烈な毒が混じっていたりするのが非常にユニーク。確かに「布団」や「喧嘩」など、ふとした日常を描いた暖かい作品もあるのですが、例えば「バイト」では、いきなり
「殺してやりたい 人はいるけれど
君だって同じだろ 嘘つくなよ」
(「バイト」より 作詞 星野源)
なんて強烈な歌詞が飛び込んできますし、「変わらないまま」の
「さらば人気者の群れよ 僕は一人で行く
冷えた風があの校舎で
音を鳴らす 遠ざかる」
(「変わらないまま」より 作詞 星野源)
という、歌詞は、ある種「神聖かまってちゃん」的な世界とも共通しそう・・・。
そんな歌詞にひとつ流れてるメッセージは、やはり確固たる自分ということ。それが一番端的にあらわれたのが、「日常」という曲で
「みんなが嫌うものが好きでも それでもいいのよ
みんなが好きなものが好きでも それでもいいのよ」
(「日常」より 作詞 星野源)
は、ある意味、私たちに自分を持つようにという、力強いエールのようにも感じます。
そんな訳で、暖かいアコースティックでシンプルな楽曲と、ある種の力強さを秘めた歌詞のアンバランスが、ユニークな作品。非常に強い芯を感じた1枚でした。
評価:★★★★★
星野源 過去の作品
ばかのうた
ほかに聴いたアルバム
スーパースター/back number
最近、人気上昇中のバンド、back number。和風な切ないメロが特徴的なバンドで、このアルバムではオリコンチャートでもベスト10入りしてくるなど、人気を獲得しています。
そんな訳で、はじめて彼らの曲を聴いたのですが・・・哀愁あるメロが耳に残るのですが、似たタイプの曲が多く、曲も平凡。アレンジも、仰々しい感じの曲が多く、最後まで雰囲気で押していっているような。最初聴いた時は印象に残るのですが、2度3度聴くと、飽きてしまいそうに感じました。
評価:★★★
relight/androp
話題のバンドの新作。ちょっとシューゲイザーっぽさも感じる「Strobo」から、ダンスチューンの「ShowWindow」、幻想的な「HoshiDenwa」など、様々なバリエーションもあり、どの曲もバンドサウンドはなかなか凝っているのですが、どの曲も、既聴感があり、アルバム全体としては、このバンドだけが持っているような個性が薄く、普通のギターロックバンドに終わってしまっているのが残念。ポテンシャルはあるので、あとはandropだけが持っている何か、だけだとは思うのですが・・・。
評価:★★★★
androp 過去の作品
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