牧歌的な暖かい作品
Title:羊どろぼう。
Musician:栗コーダーカルテット
栗コーダーカルテットの新作「羊どろぼう。」.。そのタイトル曲「羊どろぼう。」は、糸井重里の本「羊どろぼう。」のテーマ曲として書かれたそうです。え~その本自体は読んでいないのですが、その「羊どろぼう。」は、ちょっと牧歌的な雰囲気のする、暖かいポップソング。本のテーマ曲とはいっても、その本を読んでいないと楽しめない・・・という感じではもちろんありません。
今回の新作も、いつもと同様、笛を中心として、暖かいサウンドを奏でる曲たちが13曲。彼らの笛は、基本的にメロディーラインをなぞるカタチで演奏されるため、ボーカルのように歌っています。そのため、インストでありながらも、非常にうたごころを感じさせるアルバムになっています。
その「羊どろぼう。」もそうですが、「コカゲ鉄道」「コトバ写真館」「まどろみワルツ」・・・そのタイトルは、どこかファンタジックで、想像力がかきたてられます。シンプルなサウンドで、シンプルなメロディーラインを奏でる彼らの音は、その後ろに広がる世界を、リスナーにゆだねているよう。聴く人によって、想像する世界は違うのも、インストならでは。もっとも、おそらく誰が聴いても、思い描くのは、とても暖かく、やさしい世界でしょうが。
そんな中でも、ほっこりとしたポップな作品だけではなく、「リージェントパークの片隅で」のようなちょっとしんみりする作品があったり、「まどろみワルツ」みたいに、ちょっと不思議な感じの曲調を奏でたり。最後の「青空節」は、なんと民謡調。様々な「歌」を私たちに届けてくれます。
暖かい気持ちになる、実にステキなアルバムだと思います。それぞれの曲に特徴があって、どこかひねっている部分があるので、決してコンビニのBGMのようなイージーリスニングではありませんし、かといって、小難しくもないため、誰でもゆっくりと楽しめる音楽になっています。そういう意味では、広い方にお勧めできるバランスのとれた作品。これからの寒い季節にもピッタリです。
評価:★★★★★
栗コーダーカルテット 過去の作品
15周年ベスト
夏から秋へ渡る橋
渋栗(川口義之with栗コーダーカルテット&渋さ知らズオーケストラ)
遠くの友達
生渋栗(川口義之with栗コーダーカルテット&渋さ知らズオーケストラ)
ほかに聴いたアルバム
15年の日曜日/ホフディラン
またライブ盤ですか・・・・・・
15周年を記念して7月3日にSHIBUYA-AXで行われたライブの模様を収録したライブ盤。これで3作連続という訳ですが・・・まあ、全く何の活動もしなくなるよりはいいのでしょうが・・・。
ただ、今回、途中で、レーザーラモンRGがゲストとして登場して、あるあるネタを披露するのですが、これが鬼のようにつまらない!!つーか、はっきりいって、収録時間の無駄使いです(苦笑)。つまらないというよりも、どこが笑えるのかが、さっぱり不明・・・。CDの流れもぶちぎっているし、これをわざわざ収録した意図も不明。
それをのぞけば、あいかわらずのポップな曲の数々は、確かに魅力的なのですが。それよりも、早く新譜を!!
評価:★★★
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