アフロビートの今
Title:FROM AFRICA WITH FURY:RISE
Musician:SEUN ANIKULAPO KUTI&EGYPT80
フェラ・クティの末息子、シェウン・クティによるニューアルバム。フェラ・クティは、アフロビートの創始者と言われるナイジェリアのミュージシャンで、数多くのミュージシャンに影響を与えました。最近では、彼の生涯を描いたミュージカル「FELA!」がアメリカで話題となり、あのビヨンセの最新アルバム「4」でも、フェラ・クティの影響を強く受けたそうです。
そんなフェラ・クティを支えたバンドEGYPT80を率いてのアルバム。シェウン・クティは2009年のフジロックに来日したほか、今年の朝霧JAMにも来日し、多くのリスナーを興奮の渦に巻き込んだそうです・・・いいなぁ・・・(笑)。
シェウン・クティのアルバムを聴くのは今回がはじめて。基本的に、テンポがよい、ミニマルテイストなアフロ・ビートを刻み、そこに、ロックやらジャズやらラテンやらの要素が入るというのは、大筋、父親、フェラ・クティの進んだ道を歩んでいるように感じます。
ただ、楽曲は、フェラ・クティより、いい意味で洗練されているなぁ、というか、現代的だなぁ、という印象を受けました。今回のアルバム、ブライアン・イーノがプロデュースについているそうなのですが、そのため、妙に垢抜けているのように感じます。特にギターの音。例えば「You Can Run」や「Rise」で聴こえるギターの音はとても端整で、都会的にすら感じます。
メロディーもインパクトがあるし、パワフルなボーカルも、耳に残ります。いい意味で、人なつっこい感じがして、非常に聴きやすいアルバム、彼の作り出すリズムに、すぐにでもはまれるようなポップなアルバムになっていたように思いました。もちろん、だからといって軽くなった、とか、薄くなった、とかではなく、アフリカの大地を思わせる、熱狂的なリズムやサウンドは、このアルバムでもちゃんと、身体の奥に伝わってくるものがありました。
父親の残したものをちゃんと引き継ぎつつ、自分の音に仕上げている、ある意味、理想的な作品かもしれません。ただ、そんな難しいこと抜きにして、素直に熱烈なビートにはまれるアルバムだったと思います。朝霧、気持ちよかったんだろうなぁ~。
評価:★★★★★
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