ある種の学生ノリ
Title:欲望
Musician:OKAMOTO'S
OKAMOTO'Sって、デビューアルバム「10'S」を聴いた時は、ルーツ・オリエンテッドな、ガレージロックバンド、というイメージを持っていました。
ただ、2作目「オカモトズに夢中」で、そのイメージは大きく崩れ、この新作を聴くと、ルーツ・オリエンテッドというよりも、広く、ロックという音楽を愛しているバンドなんだ、ということを強く感じます。
そう思ったのは、本作で多く収録しているカバー曲たち。それは、決してルーツ志向な選択でも、洋楽志向な選択でもありません。レッチリの「Give It Away」に、コステロの「Pump It Up」、さらには、なんと沢田研二の「カサブランカ・ダンディ」をカバー。他にもカバーではないし、曲調も全然違いますが、「あの娘ぼくが使ったらどんな音するんだろう」は、あきらかに岡村靖幸の「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」から取っていますしね。
確かに、「欲望を叫べ!!!!」や「アイのテーマ」など、ガレージロックがメインの構成にはなっているものの、昔ながらのロックンロールから、ミクスチャーロックや、歌謡ロックまで、幅広く取り入れている彼らのスタイルに、純粋なロック好きな青年たちという姿を見ることが出来ます。
ただその幅広さが、一方では、彼らのバンドとしての方向性をぼやけさせているようにも感じました。
そのカバーにしても、OKAMOTO'Sとしての色をしっかりと出せていたか、といわれると微妙なところ。「Give It Away」はレッチリそのまんまといった感じですし、「Pump It Up」にしても、コステロのイメージがどうしても重なります。
「ハマ・オカモトの自由時間」で魅せてくれる、タイトル通りのハマ・オカモトの演奏といい、バンドとしての実力は折り紙つきなのですが、OKAMOTO'Sらしい音というのが、まあいまひとつ確立されていないように感じます。結果、とてもレベルの高い学生バンドが、自分たちの好きな音楽を、自分たちの好きなように演っている・・・そんなイメージを受けてしまいました。
ある意味、この無邪気さは無邪気さで、彼らの大きな魅力だな、と思う反面、バンドとしての方向性がぼやけている点、物足りなさを感じてしまう大きな理由のようにも思います。ロックに対する純粋な愛情を感じさせてくれたまま、バンドとしての方向性を確立させたアルバムを作れば、バンドとしての実力は文句なしなだけに、とんでもない傑作を聴かせてくれる予感のするバンドではあるのですが・・・次回作以降に期待です。
評価:★★★★
ほかに聴いたアルバム
WOMAN/DOUBLE
韓国の男性グループ2PMのJunsuが参加した「Count 3」をはじめ、K-POPからの影響を受けた新作。そのため、全体的に、今風のエレクトロチューンが多く収録されています。ただ、DOUBLEって、大人の魅力というのか、もっとパンチ力のある曲が多かったと思うのですが・・・。今風のエレクトロチューンも悪くはなく、「Tattoo」みたいに、いままでにない哀愁たっぷりの楽曲も魅力的だったりするのですが、「大人の女性が歌うR&B」としては、ちょっと薄味に感じてしまいました。無機質なエレクトロナンバーだと、DOUBLEの魅力を十分に出し切れないのでは?
評価:★★★
DOUBLE 過去の作品
10 Years Best WE R&B
THE BEST COLLABORATION
Ballad Collection Mellow
SMG/SEX MACHINEGUNS
ある意味、完全に大いなるマンネリという感じのSEX MACHINEGUNSの新作。聴いていて、安心できますし、ファンにとっては期待通りの作品といった感じではないでしょうか?個人的に、今回特に印象に残ったのが、やはり埼玉への愛を訥々と歌った(?)「東京よりさいたま」でしょう。歌詞の馬鹿馬鹿しさと、それと反比例するかのような、ヘヴィーなメタルサウンドの対比は相変わらず。彼らのスタンスは、まったくゆるぎません。
評価:★★★★
SEX MACHINEGUNS 過去の作品
キャメロン
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