中毒性の高い親指ピアノのリズム
Title:オイ!リンバ
Musician:サカキマンゴー&リンバ・トレイン・サウンド・システム
サカキマンゴーは、日本では珍しい、親指ピアノの奏者。親指ピアノとは、アフリカの民族楽器で、板などの上に並んだ鉄や竹の棒を、指ではじいて音を出すシンプルな楽器。このアルバムタイトルである「リンバ」とは、その親指ピアノのことだそうです。
「ミュージックマガジン」誌でかなりプッシュされており、アフリカ音楽に興味があったため、彼の音楽も気になり聴いてみました。サカキマンゴーは列記とした日本人なのですが、アルバムのジャンルは「ワールドミュージック」としてCD屋では並んでいました。
アルバムでまず耳に入るのが、やはりアルバム全編に流れる親指ピアノの音色。透き通った丸みのある音色が独特。柔らかな暖かみのある音なのですが、同じフレーズを繰り返すミニマルなフレーズが多いので、聴いていると、ちょっとサイケちっくな、幻想的な感触を覚えてきます。
この親指ピアノの奏でるリズムが、最初は何気なく聴いているのですが、その独特なリズムに、聴いているうちに徐々にはまってきてしまいます。
というか、このリズム、かなり中毒性があります(笑)。
正直言って、このアルバムの曲は、聴いていて思わず身体が動き出すような、血が騒ぐようなものではありません。かといって、しんみりと聴かせるものではありません。そういう意味では、最初はちょっと地味に感じました。
しかし、このシンプルな親指ピアノのリズムは、アルバムを聴きすすめれば聴きすすめるほど耳から離れなくなってしまい、最後にはすっかりはまってしまいました。
また、彼の音楽は、「アフリカ音楽」「ワールドミュージック」のジャンルにカテゴライズされていますが、このアルバムを聴く限りだと、親指ピアノの音色とリズムは確かにアフリカ音楽なのですが、そのメロディーはむしろ日本人がすんなりとなじむような邦楽的な要素を強く感じました。
実際、「茶わんむしのクンビア」は、鹿児島県民なら誰もがしっている「茶わんむしのうた」をアレンジした曲だそうですし、そういう意味では、アフリカの音楽とはまた違う、独特の音楽性を感じますし、その独自性は、私たちにとっては、アフリカ音楽以上に馴染みやすいものを感じます。
そんな訳で、パッと聴きはちょっと地味にも感じるかもしれませんが、聴けば聴くほど、徐々にはまっていってしまう中毒性の高いアルバムでした。「ワールドミュージック」というと、ちょっと敷居が高く感じられるかもしれませんが、いい意味で、ポップスの延長で楽しめる作品だと思います。お勧めです。
評価:★★★★★
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