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2011年10月 4日 (火)

ちょっと切なくなるタイトルも秀逸

Title:8月32日へ
Musician:神聖かまってちゃん

8月32日へ

神聖かまってちゃんといえば、8月に生出演した、TBS系音楽番組「カミスン!」でのパフォーマンスがネット上で大きな話題となりました。演奏の最中に、の子が暴走し、最後は司会の中居正広に絡みだしたりして、「放送事故か?」と賛否両論、話題となりました。

ただ、これに関しては、あくまでも自らの土俵の上で、期待されたパフォーマンスを行っただけ、という意見があり、個人的にもその意見に賛同です。暴走したふりをしながらも、どこかブレーキとバランサーが働いている、それは、神聖かまってちゃんの曲にしても同様に思えます。

実際、いままでのアルバムにしても今回のアルバムにしても、最初、聴いた感じでは、パンキッシュで、狂った雰囲気のアルバム・・・に感じます。ただ、2度3度聴くと、実はしっかりとバランスの取れた、楽曲であることに気がつかされます。

メロディーは至ってポップですし、シンセの音がちりばめられて、ちょっと聴いた感じだと、めちゃくちゃな感じのするアレンジも、実は精密に組み立てられたものですし、時にはエフェクターを使ったボーカルも、最初はとっかかりにくいものの、歌詞をしっかりと歌い上げています。

そういう意味では、狂気という観点では、実は薄いのかもしれません。そして、この絶妙なバランスの良さが、彼らの大きな魅力であると同時に、彼らの限界なのかもしれません。ただ、今の段階では、彼らの魅力が、限界を大きく上回っているのは間違いないでしょう。

基本的に、本作も根本にあるのは、ネットスラングで言うところの「非リア充の叫び」。ただ、前作までは、視点が学生であるという曲が多かったのに対して、新作に関しては、もっと普遍性を持った視点が加わったような印象を受けました。

今回の曲の中で、一番印象的だったのは、やはり「僕は頑張るよっ」でしょう。東日本大震災の後に書かれた曲なのですが、被災者に対するエールではなく、徹底的に内省的な内容なのは彼ららしいところ。ただ、「死」を現実のものと見つめた上に、さらにそこから一歩踏み出すという、深く切り込んだ歌詞は、の子の書く歌詞が、単なるインパクトだけのものではないということを再認識させられます。

ちなみに、東日本大震災を受けての曲は、いろいろなミュージシャンがそれぞれの立場から書いていますが、ミュージシャンの考えやスタンスが如実に出ていておもしろいですね。そういう意味では、この「僕は頑張るよっ」は、実にかまってちゃんらしい1曲と言えるかもしれません。

正直、彼ら、「友だちを殺してまで。」の一発屋に近いのかなぁ、と思っていたのですが、どうもそういう単純なバンドではなかったみたい・・・。まだまだ傑作を聴かせてくれそうです。

評価:★★★★★

神聖かまってちゃん 過去の作品
友だちを殺してまで。
つまんね
みんな死ね

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