名古屋が誇るバンドです。
Title:やっとかめ
Musician:センチメンタル・シティ・ロマンス
名古屋が誇るロックバンド、センチメンタル・シティ・ロマンスの、なんと25年ぶり(!)となるニューアルバムが発売されました。
センチメンタル・シティ・ロマンスは、1973年に名古屋で結成されたバンド。アメリカ西海岸のロックに強い影響を受けた楽曲が特徴的で、1975年にリリースしたセルフタイトルのアルバム「センチメンタル・シティ・ロマンス」は、日本ロックの名盤として取り上げられることも少なくありません。
加藤登紀子や竹内まりや、鈴木祥子といった数多くのミュージシャンのレコーディングやバックバンドもつとめ、実力派として知られる彼ら。今回のアルバムでも、竹内まりやに提供した「Natalie」を収録されており、竹内まりやがコーラスで参加しています。
25年ぶりというので、21世紀初というのはもちろん、平成に入ってはじめてのアルバム、ということになるのですが(笑)、時代は変わっても、彼らのスタイルは変わらないなぁ、というのが、このアルバムを聴いてまず感じた感想です。
ちょっと渇いた雰囲気の、アメリカンロックを体現化したサウンドは、70年代の空気をそのまま包み込んでいる感じ。ストレートな洋楽からの影響だけではなく、「旅の途中」のような、歌謡曲色が強く、そういう意味で、実に日本的なロックを聴かせてくれるというのも大きな特徴でしょう。
「Nonkey Tosan」ではSAKE ROCKなどで活躍している浜野謙がトロンボーンとラップで参加するなど、決して今の音楽と無縁な訳ではありませんが、70年代から変わらぬスタイルを貫いている姿勢は、やはりバックバンドやツアーバンドを多くこなした彼ららしい、職人肌といった感じでしょうか?
70年代から変わらない、というのはもちろんいい意味でも悪い意味でもある訳で、正直、ちょっと古臭さも感じられてしまったのも事実。いい曲が揃っているのは事実なのですが、例えば、前にもあげたデビューアルバム「センチメンタル・シティ・ロマンス」でアドバイザーとして参加した細野晴臣が、いまなお先駆的な音楽への挑戦を続けているのとは対照的にも感じられました。
とはいえ、ある種安心して聴ける佳作であるのは間違いないと思います。ちょっと懐かしさを感じながらも、暖かい雰囲気も感じられる作品。次のオリジナルは何年後でしょうか?ただ、このアルバムも、次のオリジナルまで長く楽しめそうな作品です。
評価:★★★★
ほかに聴いたアルバム
megaphonic/YUKI
ポップミュージシャンとして、いい意味での安定感と、あと、大物っぽいスケール感を感じられるようになってきましたね。YUKIのニューアルバム。ディスコ調の「揺れるスカート」、80年代風の「Wild Ladies」、ピアノとストリングスで重厚な曲に仕上げている「ひみつ」、ギターロック「2人のストーリー」など、様々なバリエーションから構成されていながら、アルバム全体、ハッピーな雰囲気であふれています。おそらく、明るい彼女のボーカルもまた、そんなハッピーな雰囲気と、アルバム全体を統一的にまとめあげる大きな役割を担っているのでしょう。文句なしに素敵なポップスアルバムでした。
評価:★★★★★
YUKI 過去の作品
five-star
うれしくって抱きあうよ
ジュビレーション/WEAVER
全12曲入りのニューアルバム・・・・・・なのですが、うち6曲はピアノインストという手の抜きよう。楽曲の方も、甘ったるい感じのメロディーは、正直なところ平凡で、はっきりいってつまらない曲が並んでいます。が、それでも「希望の灯」みたいに、キラリと光る作品が混じっていたりするので、ついつい聴いちゃうのですが。変に売り狙いじゃなくて、もうちょっと腰を落ち着けて、新作をつくってほしいなぁ~。
評価:★★★
WEAVER 過去の作品
Tapestry
新世界創造記・前編
新世界創造記・後編
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