アメリカミュージシャンとのコラボも魅力!
Title:TASSILI
Musician:TINARIWEN
ちょっと嫌らしい言い方かもしれないんですが、日本でもTINARIWEN、売れているんだろうなぁ・・・なんてことを思ったり思わなかったり。今年のフジロックに出演するなど、話題になっていたりしますが、なんでそう思ったかというと、ひとつは、日本盤のライナーツノートを書いているのが、いつものワールドミュージック畑の評論家の方ではなく、ロック畑の大鷹俊一だったから(笑)。ある意味、明確にワールドミュージックリスナー以外にもターゲットを絞っているなぁ、という感じが、このライナーツノートからも感じられました。
マリ共和国の遊牧民族トゥアレグ人のミュージシャン、TINARIWEN。「砂漠のブルース」と呼ばれ、デビュー作「AMAN INAN」から大きな話題となり、欧米のミュージシャンにも数多く絶賛されました。
今回のアルバムのひとつの特徴は、アメリカのミュージシャンと多く共演している点。ニューヨークはブルックリンのシーンを代表するミュージシャン、TV on the RadioのKyp MaloneにTunde Adebimpeの2人、さらに同じくアメリカを代表するオルタナ系バンドWilcoのNels Clineが参加しています。
その影響か、いままでのアルバムに比べて、若干垢抜けた印象を受けた部分もありました。例えば「TENERE TAQHIM TOSSAM」のファンキーなギターや、これもアメリカ・ニューオリーンズの人気ブラスバンドTHE DIRTY DOZEN BRASS BANDが参加した「YA MESSINAGH」で聴かせてくれるホーンセッションなど、いままでにないインパクトを感じます。
ただ、それは決して彼らの音楽が西洋化したとか、商業音楽になった、という意味ではありません。
「砂漠のブルース」と呼ばれる所以になった、哀愁ただようギターの音色はそのまま。雄大なアフリカの大地を感じるような、独特のビートもそのまま。今回のアルバムは、彼らの生活の拠点に近い、アルジェリア南部の砂漠の町、タッシリで録音されたとか。それだけに、いつも以上にリラックスした雰囲気が楽曲からも出ていて、よりTINARIWENらしさも表にあらわれていたように感じました。
TINARIWENの奏でる音色と、垢抜けたアメリカのミュージシャンの奏でる音色が、絶妙なバランスで融合された傑作といった感じでしょうか?アフリカの音楽を普段聴かない方でも楽しめるアルバムだと思うので、是非!
評価:★★★★★
TINARIWEN 過去の作品
IMIDIWAN:COMPANIONS
で、今回アルバム購入特典として、こんなCDがついてきました。
「TUAREG MUSIC of the Southern Sahara」という、TINARIWENの出身部族である、トゥアレグ人の音楽を1960年にフィールド・レコーディングにより集めた作品。まさにTINARIWENの原点ともいうべき作品。TINARIWENにも通じるような、独特なうねりを聴かせてくれる力強いボーカルや、ミニマルテイストのリズムが魅力的。TINARIWENと比べて、確かにある種の「わかりやすさ」はないものの、じっくりと聴いていると、思わずトリップしてしまいそうで、中毒性が高い、と言えるかもしれません。これ、今でも買えばついてくるのかなぁ?機会があれば、TINARIWENのアルバムと一緒に、是非。TUAREG MUSIC of the Southern Sahara
評価:★★★★★
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