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2011年10月25日 (火)

歌詞にインパクトあるけど・・・。

Title:愛にのぼせろ
Musician:ミドリカワ書房

愛にのぼせろ

緑川伸一のソロプロジェクト、ミドリカワ書房の、フルアルバムとしては5作目となるニューアルバム。

ミドリカワ書房の曲は、メロディーがやけに耳に残るインパクトがあります。歌詞にしても、その題材の選び方といい、一度聴いたら忘れられない内容になっています。しかし、正直言えば、決してブレイクしている、とは言い難いミュージシャンです。

ただ、正直言えば、その理由は明確だと思うんですよね。それは、

歌詞にいまひとつ、共感できる部分が薄い

上にも書いた通り、彼の題材は非常にユニークです。いままでも、死刑囚の最後の手紙を歌詞にして話題となった「母さん」や、主夫を素材にした「だまって俺がついて行く」などといったユニークな曲を書いてきました。

今回のアルバムもそう。「I am a mother」では、若い女の子の妊娠をテーマにしてますし、「片想われ」は、後輩に好かれた男子が、身体目当てでならつきあってもいい、と歌う、ある意味、身も蓋もない内容。他にもレズをテーマとした「はじめての合コン」など、かなりインパクトはあります。

ただ、インパクトは強いのですが、題材の選び方ばかりが個性的で、そこからリスナーに共感を呼ぶ内容にまでテーマを発展できていないのが、彼の大きな弱点に思われます。

そういう意味で、聴いていておもしろく感じられるし、聴き終わった後、歌詞も含めて頭には残るのですが、何度もじっくり聴きなおしたいと思える曲があまりない、というのが彼の曲が、これだけインパクトがあっても、いまひとつヒットできない理由なんじゃないかなぁ~と思ったりします。

とはいうものの、今回の曲では、昔の彼女を映したビデオを見ながら、当時のことを思い出す、切ない失恋の曲「君は僕のものだった」みたいな、広く共感が出来そうな曲もあったり(ただし、落ちは・・・)、題材の違和感については、以前の曲よりは薄め。それだけに、いままでのアルバムに比べれば、取っ付きやすい内容になっているかもしれません。

メロディーにしても、「魔法にかけて!」では、GOING UNDER GROUNDの松本素生が楽曲を提供していたりして、これはこれで、まんまゴーイングらしい曲になっているのですが(^^;;アルバムの中では、違った雰囲気の作風が大きなインパクトとなっています。

個人的には、やはり入り口としてユニークな題材を用いても、もっと普遍性のあるテーマまで落とし込めれば、一気にブレイクすると思うんですが・・・どうもユーモアな題材ばかりが目立ってしまっている感が否めない・・・。それでも、とてもユニークな曲が多いので、アルバムは、最後まで楽しめる作品ばかりなのですが。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

think/AOEQ

think

think twice/AOEQ

think twice

藤原ヒロシと、真心プラザーズのYO-KINGによるユニット、AOEQが、2枚同時にリリースしたアルバム。フォーキーな作風の楽曲は、基本的にはYO-KINGの楽曲のイメージ。若干、ジャジーな雰囲気が加わったりして、ちょっと垢抜けた感じが、ある種泥臭いYO-KINGのソロとはちょっと異なる雰囲気もあるのですが。どちらも悪くはないのですが、これなら真心でいいのでは?とも思ってしまったりして。

評価:
think ★★★★
think twice ★★★★

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