意味深な4桁の数字
Title:flumina
Musician:fennesz+sakamoto
ラップトップミュージックの第一人者と言われる、オーストリアのギタリスト、クリスチャン・フェネスと、ご存知教授こと、坂本龍一によるユニットfennesz+sakamoto。以前リリースされた「cendre」に続くニューアルバムがリリースされました。
2枚組になった今回のアルバム。「0318」から続く、4桁の数字が並ぶ曲名は、まるで日付のよう。そして、3月18日といえば、そう、東日本大震災からちょうど1週間後にあたる日付。その「0318」は、水の中を漂うような、静かな雰囲気のノイズが、まるで津波で多くの犠牲が出た、あの震災の犠牲者への鎮魂歌のよう・・・
なんて知ったかをしたくもなってしまうのですが(^^;;実はこのアルバム、2009年に坂本教授が行ったライブツアーでの即興演奏を元に、フェネスが音を継ぎ足して完成したアルバムだとか。おそらく、日付は、その即興演奏のが披露された日なのかな?どうしても、3月下旬から4月に続く日付と、まるでレクイエムのような静かなピアノの演奏に、先の震災を彷彿とさせてしまうのですが、それは単なる偶然のようです。
ただ、ある意味、そういう解釈も出来てしまうくらい、自由度の高い演奏が楽しめる作品。特に、Disc1は、あくまでも静かで美しいピアノ演奏がメインなのですが、Disc2になると、より不協和音を攻撃的に聴かせる曲も増え、日付が即興演奏を披露した日だとすると、日にちを重ねるごとに、坂本教授の演奏が興に乗ってきたように感じられます。
時折攻撃性の混じるピアノの静かな演奏と、静かな中にも不気味さや、強烈なノイズを加えてくるフェネスの作り出す音の世界が、一歩先も読めない展開でリスナーを楽しませてくれます。ちょっと聴いた感じだと、静かなピアノの演奏が心地よさすら感じさせるのに、聴けば聴くほど深みにはまっていくような、癖になるアルバムでした。
評価:★★★★★
| 固定リンク
「アルバムレビュー(邦楽)2011年」カテゴリの記事
- これもくるりの最新作(2011.12.27)
- 牧歌的な暖かい作品(2011.12.24)
- 日常と非日常の間(2011.12.22)
- キリンジの意外な側面(2011.12.20)
- ソロアルバムらしいソロアルバム(2011.12.19)
コメント