PVが大きな話題に
Title:GOBLIN
Musician:TYLER,THE CREATOR
アメリカで、大きな話題となっているTYLER,THE CREATOR。OFWGKTAというHIP HOP集団の中心人物で、いままで、ネットでの無料配信で曲を発表してきたみたいですが、このアルバムは、初のCDでのリリースとなり、ビルボードチャートでも5位に入るヒットとなりました。
その中でも話題となったのが、このアルバムに収録されている「YONKERS」のPV。カニエ・ウエストも絶賛したとか。内容は、「ゴキブリを食べて、その後自殺する」というとんでもない内容で、正直、ちょっとグロも入っているので、閲覧注意なのですが・・・日本語の字幕入りがYou Tubeにアップされていましたので、興味ある方は・・・↓
さて、そんな話題の人、TYLER,THE CREATORですが、基本的に、内向きで、暗い内容のリリックが、とにかく印象的。PVのようにグロテスクな内容も含まれていますが、犯罪行為を鼓舞するような、ギャングスタのそれとはまた違う、若者の日常をリアリティー豊かに描いています。
ちょっと病んでいるようにも感じる内容は、ともすれば鬱屈した日常をおくっている、今の日本の若者にも通じる部分すらあるのでは?歪んでいながらも、物語性のある内容は、どこかEMINEMを彷彿とさせますし、EMINEMが好きなら、気に入りそうなリリックもチラホラ。
リリックの中で印象的だったのが「HER」で、家にとじこもりきりのオタッキーな青年が、好きな女性を妄想するような内容は、結局どこの世界の若者も、似たようなもんなんだなぁ、と思ったり思わなかったり(^^;;
そして、そんなリリックがのるトラックも、印象的。基本的に低音のエッジの効いたリズムがゆっくり奏でられており、音数は少なめ。ある意味、空間の多い音づくりながらも、ダークな雰囲気の音が、楽曲のある種の「ヤバさ」を増長しています。
アメリカで話題になったのも納得の作品で、歌詞カード片手に聴き入ってしまったのですが、ちょっと残念な点が。それは、全体的に、バリエーションが少なかったかなぁ、という点。似たような曲が多く、最初はトラックも含めて衝撃が走ったのですが、後半、徐々にだれはじめたのも事実で・・・。
あと、EMINEMと似た精神性を感じる反面、EMINEMは、悪意のかたまりのような楽曲にもユーモアセンスを入れて、エンタテイメントとしてまとめているのに対して、このアルバムではそんなユーモア性はあまりありません。そういう意味では、聴いていてちょっと疲れてくるような内容だったかも。ここらへん、もうちょっとユーモア性が曲に加わればおもしろいと思うのですが・・・。
そこらへんの気になる点はあったものの、傑作アルバムには間違いないと思います。日本盤は対訳もついているので、こちらがお勧めかも。
評価:★★★★★
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