椎名林檎のバンド、されど。
Title:大発見
Musician:東京事変
東京事変のアルバムを聴いていて、どうしても感じてしまうのは、椎名林檎という一人のボーカリストの強い個性です。
今回のアルバムでも、椎名林檎は何曲か、作曲に参加しているものの、基本的に他のメンバーと組んでの作曲で、純粋に「作曲 椎名林檎」なのは、「天国へようこそ」と「女の子は誰でも」の2曲のみ。ただし、一方では、「海底に巣くう男」の1曲を除いて、すべての曲は、作詞は椎名林檎のみが担っています。
その一方では、バンド東京事変としての側面を、いままで以上に押し出しているのも事実。バンドサウンドを積極的に前面に出しているのに加えて、ジャジーなサウンドを聴かせる「ドーパミント!」や、ファンキーなリズムが魅力的な「恐るべき大人達」、ミュージカル風の「女の子は誰でも」など、様々なバリエーションの曲も並んでおり、東京事変のバンドとしての実力も再認識できます。
しかし、その上で、やはりアルバム全体を通してみると、結局は、椎名林檎の個性が、一番際立っているのは否定できません。ただ、その点に関しては、前作「スポーツ」から、決して椎名林檎のバンドというのを否定せずに、彼女の個性を生かしながらも、ポップという枠組みに収めていく、というスタンスを取っているんじゃないかなぁ?という印象を受けました。
そういう意味では、前作「スポーツ」の延長線上に位置し、かつ、東京事変としてのこれからの方向性を、示唆するアルバム、とも言える作品かもしれません。
「椎名林檎のアルバムに比べると・・・」という意見は、東京事変としての活動を開始した当初からついてまわる意見ですが、そこらへんはもう、椎名林檎のバンド、として開き直った上に、自由にバンドとしての活動を進めている、そんな感じを受けるアルバムでした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
湘南乃風 Single Best/湘南乃風
いわゆる「ヤンキー系」の代名詞みたいになった湘南乃風ですが、「不良」っぽい割りには、仲間を大切にしろ、みたいに語ったり、純愛を説いたり、妙に保守的というか優等生的というか。メロディーはポップで耳に残るし、サウンドもそこそこカッコいい音を出しているけど、優等生的な割りには、妙に男らしさを強調する歌詞に、共感できない部分も。「Live Set Best」という、裏ベスト的な、ライブで盛り上がる曲を集めたアルバムと同時発売ですが、こちらは未聴。評価:★★★★
湘南乃風 過去のアルバム
湘南乃風~JOKER~
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