今年は生誕100周年!
Title:THE COMPLETE RECORDINGS~The Centennial Collection
Musician:ROBERT JOHNSON
数々のロックミュージシャンにも大きな影響を与えた、伝説のブルースシンガー、ロバート・ジョンソン。今年は、そんな彼の生誕100周年ということで、関連する商品がいろいろと発売されているようですが、これもそんな商品のひとつ。ロバート・ジョンソンの楽曲を全て収録した「THE COMPLETE RECORDINGS」が全面リマスターされ、再発売されました。
私は、既に「THE COMPLETE RECORDINGS」を持っていただけに、このアルバムも、最初はスルーするつもりだったのですが・・・先に発売された輸入盤の評判では、以前のヴァージョンと全くの別物!という評価が多かったので、やはり買うことにしました。
で、あらためて、いままでの「THE COMPLETE RECORDINGS」と聴き比べてみたのですが・・・確かに、これは素人耳で聴いても、全然違います!
まず感じたのは、音の輪郭が、とてもはっきりした、という点。そのため、とてもリアリティーのある音になっています。例えて言えば、ヘッドフォンのすぐ向こうで、ロバート・ジョンソンが実際にギターを抱えて歌っているような、そんな感覚を抱くようなリアリティーあふれる音になっています。
その分、いままでの録音に比べて、レコードノイズが増えたというのがおもしろいところ。いままでのCDでは、ノイズ音を取ったために、ちょっと音がぼやけた感じになってしまった、というところなのでしょうか?そういう意味では、より、録音された時の状況に近い音に戻った、ということなのかな??
他に大きな特徴として、複数のテイクが残されている楽曲について、以前のCDでは、曲ごとにまとめて収録されていました。そのため、同じ曲を何曲も続けて聴かされることになり、ちょっととっつき難かった印象があったのですが、「Centennial Collection」では、別テイクについては、楽曲の最後にまとめて収録されているため、同じ曲が2曲続くことはなく、アルバムのような感覚で聴けるのが大きな特徴です。
さらには、「THE COMPLETE RECORDINGS」発売後に発見された「Travelling Riverside Blues」の別ヴァージョンも追加収録されたり、「Love In Vain Blues」のテイク1の冒頭に、ロバート・ジョンソンの話し声が入ったりと、文字通り、彼が残した録音を完全収録した内容になっています。
いままでスタンダードだった「THE COMPLETE RECORDINGS」に変わり、これからは、この「Centennial Collection」がロバート・ジョンソンのスタンダードになるんだろうなぁ~。音については、以前の音の方が愛着があっていい、という方もひょっとしたらいるかもしれませんが、個人的には、「Centennial Collection」の方がよりリアリティーを感じられてよかったと思います。以前の「THE COMPLETE RECORDINGS」を持っている方も、マストバイな1枚!だと思いますよ~絶対!!
評価:★★★★★
で、そのロバート・ジョンソンについて、詳しく研究し、まとめた本が発売されました。
RL-ロバート・ジョンスンを読む アメリカ南部が生んだブルース超人 (CD付) (P‐Vine BOOKs)
著者:日暮泰文 |
こちらも当然(?)買って読んだわけですが、読み応えのある一冊でした。ロバート・ジョンソンをめぐる当時のアメリカ南部の文化や、特に黒人文化の根底を流れる、民俗宗教のヴードゥーとの関連性など、実に興味深い内容になっていました。それ以上に、ロバート・ジョンソンが生きたデルタ地帯を実際に訪れ、紹介した第1章は、彼が過ごした世界を実感できて、自分もまるで、デルタ地帯を訪れたかのような感覚を味わえます。
まあ、「もしロバート・ジョンソンが生き延びていたら」という妄想小説は、個人的にはちょっと「・・・」と思ってしまったり、ちょっとロバート・ジョンソン贔屓が過ぎない??と思ってしまう部分もあったのですが、そこらへんを差し引いても、とても楽しめた、魅力的な1冊でした。
そして、さらに魅力的だったのが、この本の初回限定盤についてきたCD「64分デルタ世界一周」。SON HOUSEやBLIND LEMON JEFFERSONといった大物から、無名のシンガーまで、ロバート・ジョンソンと同時代のシンガーの曲を収録したオムニバス。当時デルタ世界で鳴っていて、ロバート・ジョンソンも影響を受けたであろう曲を集めたのでしょうが、ブルースに留まらず、ゴスペル、というよりも牧師の説教を録音したような曲があったり、ニューオリンズ・ジャズがあったり、ジャグバンドがあったり、さらには、カントリーの曲まで収録。ブルースにしても、王道のギターブルースの他、ピアノブルースや、明るいジャンプ・ブルースなどもあったり、あの時代、実に多彩な音があの地域には流れていたんだなぁ、ということを感じることが出来ました。
ほかに聴いたアルバム
This Is Happening/LCD Soundsystem
LCD Soundsystem名義ではラスト、ということを宣言しているこのアルバム。全体的にリズミカルでエレクトロな作品を主軸に、ギターを前に押し出した作品はロックリスナーにも親和性が高そう。また、今回はポップな曲が多く、いい意味で聴きやすいアルバムに仕上がっています。とても心地よく楽しめた1枚でした。
評価:★★★★★
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