ドリカムからの力強いメッセージ
Title:THE SOUL FOR THE PEOPLE~東日本大震災支援ベストアルバム~
Musician:Dreams Come True
3月11日、突然の地震、そしてそれに続く津波により、あまりにも多くの尊い命が奪われた東日本大震災。いまなお、復興は道半ばで多くの被災者が苦しい生活を続けていますし、地震に起因する福島の原発事故も終わりが見えてきていません。
そんな中、日本に限らず、世界中のミュージシャンが、被災者のために活動をはじめました。一番大きな話題となったのは、海外の大物ミュージシャンたちが、レコード会社の壁を超えて発売されたチャリティーアルバム「Song For Japan」。日本のみならず、世界中でヒットを記録し、世界中のiTunes Storeのヒットチャートが、日の丸で埋まりました。
そして、日本からも。ミスチルの「かぞえうた」など、チャリティー楽曲が配信を中心にリリースされましたが、そんな中、ドリカムは、なんとチャリティーのために、ベスト盤をまるごとリリース!このアルバムから得られる、印税などを含めたすべての収益が、日本赤十字を通じて、東日本大震災被災者のために寄付されるそうです。
今回のベスト盤は、そんな明確な目的のためにリリースされたアルバムであるため、楽曲も、厳密には「ベスト盤」というよりも「コンセプトアルバム」といった感じで、前向きなメッセージソングばかりが収録されています。
今回収録されている曲は「a little prayer」をはじめ、震災後、地元ラジオ局に最もリクエストが寄せられたという「何度でも」や「その先へ」などなど。ドリカムというと、イメージ的には、「LOVE LOVE LOVE」をはじめとした「ラヴソング」というイメージが強くあるのですが、メッセージソングをこうやって集めてみると、実は彼女たち、たくさんのメッセージソングも歌っているんだなぁ、ということに気がつかされます。
彼女たちのメッセージソングは、実にシンプルでストレート。「朝がまた来る」など、タイトルそのままなのですが、その先に希望は必ずやってくると、リスナーを強く奮起させる、力強いメッセージが並んでいます。
ただ、それだけストレージなメッセージが並んでいるにも関わらず、聴いていて、陳腐な前向き応援歌になっていないのが不思議なところ。それはやはり吉田美和の力強いボーカルが、曲に説得力を持たせているのかなぁ・・・なんてことも思ったりして。
そんなことを思いながらも、あらためて彼女たちの曲の歌詞に耳を傾けると、ひとつ気がついたことがありました。それは、吉田美和の書く歌詞は、確かにシンプルでストレートながらも、「がんばれ」「負けるな」「あきらめないで」みたいな、この手の前向き応援歌でよくありがちな、だけど陳腐な言葉がほとんど登場しないという点でした。
手垢のついた単純な言葉で歌詞を綴るのではなく、しっかりと吉田美和の言葉で、リスナーの背中を押してくれる、そんな歌詞だからこそ、ストレートなメッセージソングでも、決して嫌味になっていたり、聞き飽きたような内容になっていないのでしょう。吉田美和の書く歌詞の力にも、あらためて気がつかされました。
発売された内容が内容なだけに、ドリカムが好きなら、曲がたとえすべてかぶっていようが、買うべし買うべし。これ、うれしいのは、この手のチャリティーソングにありがちな「期間限定」ではなく、永続的に発売されるらしいんですよね~。このアルバムが、多くの被災者の力になることを祈りたいです。
評価:★★★★★
Dreams Come True 過去の作品
AND I LOVE YOU
DO YOU DREAMS COME TRUE?
LOVE CENTRAL
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