理想的なソロアルバム
先日、ベスト盤を2枚同時に発売したクラムボンですが、メンバーのミトが、ソロアルバムと、自身の提供曲をまとめた企画アルバムを2枚同時に発売しました。いままでミトは、FOSSA MAGNA、dot i/o、micromicrophone名義でアルバムをリリースしていましたが、今回は、そのままmito名義によるアルバムになっています。
まず、オリジナルアルバムは・・・
Title:DAWNS
Musician:mito
一時期、かなりポストロック方面に大きく振れたクラムボンが、最近、再びポップ寄りにそのベクトルを変えています。実験的なクラムボンも悪くなかったけど、やはり初期からのファンとしては、ポップなクラムボンがいいなぁ、なんて思っていたのですが。
このアルバムを聴くと、ポップス寄りになったのは、やはりミト本人の志向も強かったのかなぁ、とも思ったりして。ソロアルバムなだけに、かなり好き勝手にやっているな、と感じる一方で、全体としては、決して、「実験的」に振り切れることなく、ポップスに立脚したアルバムになっています。
特に、前半「borderland」から「algorithm」までの流れが素晴らしい。テンポのよいリズムに、シンプルながらも耳を惹き付けられるバンドサウンド、美しいピアノにポップなメロ。クラムボンが好きから、必ず気に入るのではないでしょうか?
「parallel of delusion」のようなエレクトロニカ的なナンバーも交えつつ、後半は、ジャジーな「my dusk」や、クラッシックミュージックの影響も感じるような「one,four,eight」や「a pray」なども聴かせてくれるなど、幅広いmitoの音楽の嗜好を感じさせます。
実験性とポピュラリティーを絶妙なバランスで両立させつつ、彼の演りたい音楽にまとめあげた傑作。クラムボンが好きなら気に入る作品ですが、クラムボンの世界とはまた異なるという意味で、ある種理想的なソロアルバムだと思います。
評価:★★★★★
で、こちらは彼が提供した楽曲をまとめた企画盤。
Title:mito archive 1999-2010
Musician:mito
椎名法子から篠原ともえ、YUKIに木村カエラ、ともさかりえなどのメジャーな名前から、知る人ぞ知る的ミュージシャンまでズラリと揃っています。mitoが作曲をしていたり、あるいはアレンジをしていたり、プロデュースをしていたりする曲が並んでいるのですが、いろいろなタイプの曲が並んでいるのがおもしろい!
まあ、全てが本人作曲、ではないので、いろいろなタイプの曲があるのは、ある意味当たり前なのですが・・・。篠原ともえの「an Audio」や、コトリンゴの「デイジー」あたりは、まんまクラムボンって感じなのですが(笑)、YUKIに提供した「惑星に乗れ」は、楽曲自体はmitoらしいのに、YUKIが歌うことによって、完全にYUKIの曲になっているのはさすが。
全体的には、エレクトロ系のナンバーが目立ったかな?ただ、ポップな作品から、実験的な作品、ロックにポップスに、いろいろな作風の曲が並んでいて、バリエーション多彩な構成がとても楽しいアルバム。mitoのファンでなくても、参加しているミュージシャンが好きなら、とりあえず要チェックだと思います。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
ANOMARY/the HIATUS
全体的には、暗い雰囲気の曲が多い雰囲気。ダウナーな曲の後、ところどころで爆発するかのようなパンキッシュな曲がある構成は、一種のカタルシスなのですが。ただ、ちょっと音楽性の幅を広げようと、もがいているような印象もぬぐえない作品。評価:★★★★
the HIATUS 過去の作品
Trash We'd Love
Hi! How Are You?/のあのわ
5曲入りのミニアルバム。とにかく、1曲目「Have a Good Day!」のキラーチューンぶりが素晴らしい!モータウン風のリズムにのる軽快なポップナンバーがとにかくさわやか。モータウン風といえば、「Pee-Kaa-Boo」も、Jackson5みたいな、底抜けに楽しいポップナンバー。いままでも、祝祭色が強い楽曲が多かったのあのわですが、このアルバムで、いい意味で突き抜けた感じが。わずか5曲入りのミニアルバムでも、全て違った雰囲気の曲という、過剰感が相変わらず彼女たちらしいところ。正直、このペースでフルアルバムをやられると、最後はだれてしまうかも、とも思うのですが、ミニアルバムなので、だれることなく、最後までハイテンションでアルバムを聴けます。のあのわって、1曲勝負のシングル向けミュージシャンなのかも?
評価:★★★★★
のあのわ 過去のアルバム
ゆめの在りか
SPECTACLE
MAGICAL CIRCUS
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