幻のユニット、復活!
Title:HELL:THE SEQUEL
Musician:BAD MEETS EVIL
あのEminemが始動させた新ユニット・・・ということで、今回聴いてみたこのアルバム。「The Slim Shady LP」の中にも「Bad Meets Evil」という曲がありましたが、もともと、このユニットは、Eminemが下積み時代にロイスことRoyce Da 5'9"と組んでいたユニットだそうです。
ブックレットによると、この「Bad Meets Evil」でも共演し、ロイスのデビューアルバムでも共演するなど、仲が良かった2人。しかし、2002年に、EminemのShady Recordとの契約を望んだロイズの申し出をEminemが断ったことから関係が悪化し、Eminemのグループ、D12をまきこんだビーフ(ラッパー同士の喧嘩)へと発展したそうです。
しかし、2006年に、両者の関係を修復しようとしていたD12のプルーフが銃殺されたことを機に、2008年に、両者がビーフの終結を宣言し、その後、両者は急接近。そして、このたび、Bad Meets Evilとしての活動を再開し、このアルバムがリリースされました。
ちなみに、「Bad」がロイス、「Evil」がEminemのことだそうです・・・って、ちょっと漫才コンビみたいだな、なんとなく(^^;;
今回の作品は、やはり「悪」と「邪悪」が出会ったユニットだけあって、特に前半、かなり攻撃的で自己主張の強いリリックが目立ちます。ロイズとEminemのマイクリレーが魅力的な反面、歌詞の内容がわからなくても、メロやトラックが妙に耳に残るEminemの作品と比べると、前半は、歌詞がわからないと、ちょっと印象薄めかも。
そんな中で話題となったのは、Lady Gagaをディスった(というよりもおちょくった)「A KISS」のフレーズでしょう。
"Lady Gaga she can quit her job at the post office she's a male lady"
(「A Kiss」より M.Mathers,R.Montgomery,S.Crawford,D.Brown)
「レディーガガは郵便局の仕事をやめていいんだぜ。彼女は『male lady』だからな」
という歌詞。かつて両性具有ではないか、と噂されたLady Gagaのことを、「male lady」(男女)と「mail lady」(=郵便配達員の女性)とかけておちょくっているこの曲。Eminem本人は、後に、ジョークでおちょくっただけで、彼女のことは嫌いではない、と述べていますが、今、もっとも話題の歌姫をネタにしちゃうあたり、彼らしいなぁ、と強く感じますし、ファンとしてはうれしくなってきたりすらします(笑)。Lady Gaga、好きですけどね~。
一方で、後半に関しては、ちょっと驚きのBRUNO MARSをフューチャーし、メロウな曲に仕上げている「LIGHTERS」や、妙にリズムが耳に残る「LIVING PROOF」など、歌詞の内容がダイレクトにわからない私たちにも楽しめる、ポップステイストの強い曲も並んでいて、正直、前半はサウンドの面で、ちょっと楽しみきれない部分があったのですが、後半は、十分に満足のいく内容に仕上がっていました。
ミニアルバムということもあって、46分程度の内容なのですが、それだけに、逆にサラッと聴けるという意味でも満足度の高いアルバムだったと思います。Eminemファンはもちろん要チェックのアルバム。今度は、このユニットでもコンスタントに活動を続けるのでしょうか?これからも楽しみです!
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
The Dark Side Of The Moon/The Flaming Lips
なんと、あのアメリカのサイケデリック・ロックバンド、The Flaming Lipsが、ピンク・フロイドの名盤「The Dark Side Of The Moon」をフルカバー!ちょっとビックリの企画です。
内容は、The Flaming Lipsらしい、ノイジーでキュートな夢の世界なカバー・・・・・・といった感じではなくて、かなりノイジーなギターが鳴りまくる、サイケデリックテイストだけど、狂気も感じられるようなカバー。「The Dark Side Of The Moon」の邦題、「狂気」のイメージにもピッタリ??ある意味、彼ららしい解釈がユニークな感じ。原曲も、あらためて聴いてみたくなりました。
評価:★★★★
The Flaming Lips 過去の作品
EMBRYONIC
Distant Relatives/Nas&Damian Marley
名盤「Illmatic」などでおなじみの、アメリカのヒップホップMCと、あのボブ・マーリーの末息子で、自信のレゲエ・ミュージシャンとして活躍を続けるDamian Marleyとのコラボアルバム。豪華なミュージシャン同士のコンビとして話題になりましたが、いわばHIP HOPとレゲエの融合・・・これが素晴らしかった!
レゲエの緩やかなリズムとメロディーに、Nasのエッジの効いたラップとリズムがからみます。オーガニックな雰囲気のサウンドと、現代的なラップのからみもまたとても魅力的。ある意味、全く違う雰囲気の両者ながらも、ルーツが同じアフリカだからか、どこか底辺に流れる共通点を感じられ、新しくも懐かしいような感覚すら覚えるアルバムでした。レゲエ好きにもHIP HOP好きにもお勧めの傑作です。
評価:★★★★★
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