昔も今も、変わらぬ名曲
SPITZ JAMBOREE TOUR 2011 "とげまリーナ"
会場:日本ガイシホール 日時:2011年6月25日(日) 18:00~
スピッツは、以前からライブに行きたいミュージシャンの一組でしたが、いままで、なかなかワンマンライブに足を運べませんでした。一番大きな理由は、チケットが取れなかったから。いままでのスピッツのライブは、主にホールクラスの会場のみでしか演らず、アリーナクラス以上でのライブは演ってくれませんでした。そのため、彼らのライブは、ロックフェスと、一度、石田ショーキチ主催のイベントのシークレットゲストとしてみたきり。しかし、ここ数年、ついにアリーナクラスでのワンマンも解禁となり、このたび、はじめてスピッツのワンマンライブに足を運ぶことが出来ました。
会場の日本ガイシホールについて、まず驚いたのは、その客層の広さでした。スピッツといえば、「ロビンソン」がヒットしたのが、ちょうど私が高校生の頃。そのため、30代半ばの私と同世代はもちろん多かったのですが、その一方、自分の親と同じくらいの歳の夫婦の姿もチラホラ。子供もつれた家族連れも多く見受けられ、逆に、中高生のみのグループもそこらかしこに。圧倒的に数の多い世代がない反面、どの世代も満遍なくファンがいるような印象。これだけ、幅広いファンを集めるミュージシャン、かなり珍しいのではないでしょうか?
日本ガイシホールはほぼ満員。ギッシリつまった会場で、定時を10分くらい過ぎると、会場が暗くなり、歓声の中、ライブがスタートしました。1曲目は、ちょっと意外だったのですが、最新アルバム「とげまる」から「聞かせてよ」。ファンをつかむためのアップテンポなキラーチューンより、美メロを聴かせるナンバーからスタート、というあたりが、彼ららしいなぁ、といった感じでしょうか?
この日は、アルバム「とげまる」のツアーということで、「とげまる」からのナンバーを軸に、過去のナンバーも織り込むようなセットリストに。序盤にいきなり「ロビンソン」を演ったのには、ちょっと驚いたのですが。その後も「メモリーズ」や「冷たい頬」などの代表曲もしっかりと演奏してくれました。
前半、MCでは、最初に名古屋に来た時のライブの思い出を語っていました。嘉門達夫がメインで、白井貴子、クライズラー&カンパニーとの対バンライブだったとか。印象に強く残っているライブみたいで、「また4組でやりたいですね」なんて冗談も飛び出しつつ、「その時も演った曲を」ということで、初期のナンバー「鳥になって」を演奏してくれました。
さて、スピッツのライブをみていて、ちょっと感じたのは、もうすっかりベテランバンドの彼らなのですが、過去のヒット曲を演奏する時と、最新アルバムの曲を演奏する時の温度差がほとんどないんですよね。普通、彼らくらいベテランのバンドになると、昔の曲をやるとファンが盛り上がるけど、最新曲はいまひとつ・・・となるケースがほとんどなのですが、彼らのファンは、今の曲も昔の曲も反応があまり変わらないように感じました。「ロビンソン」がはじまった時、個人的にはおもいっきり盛り上がったのに、周りの盛り上がりが思ったほどでもなく、ちょっと拍子抜けしてしまったくらい。逆に言えば、ベテランながらも、いい意味でベテランらしからぬ現役感を持続させている、という意味なんですよね。すごいです。
ステージは基本的にシンプル。メンバー4人+サポート1人のみ。特に派手な演出もなく、バックにメンバーの演奏している映像や、曲によっては、曲にあわせて作成された映像が映るくらい。ただ、基本的に演奏は非常に安定していて安心して聴いていられますし、また、アリーナというスケールでも違和感ないパワーも感じられました。
中盤には「新月」や「ジュテーム?」などでちょっと幻想的な雰囲気をかもしつつ、「シロクマ」や「どんどどん」など、最新アルバムからのナンバーで徐々に盛り上がっていきます。そしてライブは一気に後半へ。「探検隊」あたりから、終盤、アップテンポなナンバーに突入します。
「けもの道」から「トンガリ'95」「8823」と続き、ここらへんでステージの盛り上がりは最高潮に。特に田村明浩が、ステージ上を縦横無尽に動き回り、激しいパフォーマンスをみせてくれました。ベースとたたきつけ(よう)としたり。もともと、「メモリーズ」など、ロック色の強いナンバーも少なくない彼らですが、ここらへんの展開、ヘヴィーなバンドサウンドは、ロックバンドスピッツとしての面目躍如といった感じでしょうか?そして本編ラストは、最新アルバムのラストナンバー「君は太陽」で締めくくりました。
もちろん会場からはアンコールが鳴り響き、やがてふたたびメンバーが登場。メンバーの紹介では、個々のメンバー(サポートメンバーのクジヒロコも含め)によるMCが。妙に印象に残ったのが、ギターの三輪テツヤのMCで、髪型が特徴的な彼ですが、街角で気がつかれないことが多く、このライブの直前、名古屋で、スピッツのTシャツを着た、あきらかにスピッツのファンとわかる人にも気がつかれず、ちょっとショックを受けた話とか・・・(笑)。他にもよく見る夢の話で、ライブでみんなが演奏している曲を自分が全く知らずに、ギターが弾けなくなる夢とか話とか(ドラムスの崎山龍男も、既にお客さんが入場してきているのに、いまだにドラムセットが組み立てられない夢をよく見るのだとか)。
アンコールでは、懐かしいナンバー「スパイダー」、そして最後はこれまた大ヒットナンバーの「チェリー」で締めくくり。アンコールを含めて全2時間半のステージ。あっという間に終わった、とても夢のような時間でした。
今回のライブ、過去の曲と最新アルバムの曲が、ほぼ交互に演奏されたのですが、そこで感じたのは、昔の曲も今の曲も全く変わらないなぁ、ということ。普通、時代を経て、曲の雰囲気が変わったり、クオリティーが変化したりするのですが、彼らの場合、楽曲の雰囲気もクオリティーもほぼ一定しているように感じました。だから、今の曲と昔の曲を交互に演奏しても全く違和感がありません。また、ファンも、今の曲でも昔の曲でもおなじように盛り上がるのは、彼らのいつの時代の曲も、同じような輝きを放っているから、なのでしょう。
そして、今回のライブであらためて感じたのは、自分が、自分の思っている以上にスピッツが好きだった、という点(笑)。ミュージシャンによっては、2時間を越えるライブって、途中、だれたり、長く感じてしまうこともあるんですけどね。でも、気がついたら、2時間半、あっという間に終わっていました。それだけ、彼らの曲を聴き入っていた、ということ。あらためて、スピッツの魅力を満喫した、本当に楽しい2時間半でした!
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