伝説のアイドルグループ
Title:GOLDEN☆BEST コンプリートシングルコレクション
Musician:キャンディーズ
70年代に一世を風靡したアイドルグループ。今年4月、メンバーのスーこと田中好子がわずか55歳という若さで急逝し、ファンを嘆かせました。その後発売されたこのシングルコレクションは、オリコンチャートでも11位にランクインし、その絶大なる人気をうかがわせる結果となりました。
で、そのシングルコレクション、私も聴いてみました。話題にのろうというミーハーな気分半分。そして、「ハートのエースが出てこない」や「春一番」みたいに、リアルタイムに彼女たちのことを知らない私でも口ずさめる曲が多く、また、彼女たちの曲の音楽的な評価の高さも随所で聞いているだけに、純粋なポップアルバムとして楽しめるかも、という気持ち半分。
ただ・・・アルバムを通して聴いて、まず感じてしまったのが・・・
自分って、どうもやはり、アイドルって、いまひとつはまれないんだなぁ、ということ(苦笑)。
いや、別にアイドルがいい悪いの話をしている訳ではなく、偶像崇拝というか、テレビの向こうの芸能人を、無条件で好きになるっていうのが、どーも抵抗があるらしいです(^^;;
で、やはり彼女たちが歌う曲っていうのは、あくまでも彼女たちをアイドルたらんとするスタンスでつくられているんですよね。たまに、「彼女たちのファンではなく、彼女たちの曲が好きなだけだ」みたいなことを言う方がいますが、個人的には、やはりアイドルソングというのは、アイドル本人と切り離せないものだと思っています。そして、それがまた、アイドルソングの大きな魅力だとも思います。
ただ、それだけに、彼女たちの曲も、聴いていて、正直なところ、いまひとつはまれませんでした。確かに、彼女たちの事実上最後のシングルとなった「微笑がえし」など、サビにむけてどんどんと展開してく曲調や、明るい曲調なのに、サビ前に、ワンフレーズだけ、寂しげなフレーズが入る展開だとか、過去のシングルを歌詞に読み込んだ仕掛けだとか、それでいて、全体的にはどこか切なさを感じるメロディーとか、まさに文字通りの名曲だと思ったのですが・・・。
しかし、そんな私でも、キャンディーズというグループが、これだけ支持を集めている理由のひとつがわかる気がしたのが、同時期に発売された「レコードコレクターズ」の、キャンディーズの解散コンサートに関する記事を読んだ時でした。
リアルタイムに彼女たちの活動を知らない私にとってはちょっと意外だったのですが・・・
・ 解散発表前の彼女たちの人気は、「国民的」というにはほど遠い程度だったということ。
・ 突然の解散発表は、あくまでも彼女たちの意思で行われたということ。
・ 解散発表後、ファンの間で、有終の美を迎えさせようという意識が高まり、解散に向け、キャンディーズ熱がどんどん高まり、人気も高まっていったということ。
アイドルって、いわゆる一種の「フィクション」だと思うんですよ。いわばテレビや芸能事務所によって作られた「物語」。もちろん、そんなフィクションをフィクションとして楽しむのも、アイドルの大きな魅力なのでしょう。
ただ、キャンディーズは、そんな「フィクション」であるアイドルとしての活動に終わらず、自分たちの意思で解散を宣言し、そして解散に向けてファンたちが盛り上がるという、「ノンフィクション」の要素が最後に組み込まれました。それが、キャンディーズを伝説的な存在とし、今なお多くのファンに絶大な支持を得ている大きな理由なのかなぁ・・・なんてことを思い、なんとなく、彼女たちの魅力の片鱗に触れたような気がしました。
評価:★★★★
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