間違いなく小西康陽のソロアルバムです。
Title:11のとても悲しい歌
Musician:PIZZICATO ONE
PIZZICATO FIVEの解散から約10年。小西康陽のソロアルバムがようやくリリースされました。その名もPIZZICATO ONE。やはり、PIZZICATO FIVEからの延長線上にあるソロプロジェクト、という意味なのでしょうか?
この並びは偶然なのですが、昨日紹介したのが中田ヤスタカのcapsule。今となっては考えられないかもしれないんですが、最初、capsuleを聴いた時の感想は、「なんだ、このPIZZICATO FIVEのパクリは?」だったんですよね(^^;;実際、初期のcapsuleは、まるっきりPIZZICATO FIVE風のユニット。でも、先日のcapsuleのアルバムとこの作品は、ある意味、似ても似つきません。お互いに、遠くまで歩みを進めたなぁ・・・・・・といった感じで。
とはいっても、個人的にはこのアルバム、とても小西康陽っぽいなぁ、ということを感じました。今回のアルバムでユニークなのは、彼は作詞も作曲もしていなければ、歌も歌っていません。今回のアルバムは、ゲストボーカリストによる全編英語詞のカバーアルバム。彼が行ったのは、選曲をし、歌うボーカリストを決め、アレンジを行ったこと。でも、紛れもない、小西康陽のソロアルバムに仕上がっています。
「11のとても悲しい歌」というタイトルの通り、基本的にダウナーな曲がベース。そして、どの曲も、ジャジー、あるいはソウルテイストなナンバーが並んでいます。音数は少なく、比較的シンプルに、しっとりとしたメロディーとボーカルを聴かせるアレンジ。そういう意味では、明るくダンサナブルだったPIZZICATO FIVEの曲調とは、パッと聴いた感じ、かなり違う雰囲気のアルバム、と言えるかもしれません。
それでも今回のアルバムは、あくまでもPIZZICATO FIVEの延長線上にあるように感じました。確かに、このアルバムに収録されている曲は、悲しい曲でした。しかし、そのサウンドは、あくまでもポップであることが貫かれています。ある意味、どこか祝祭色を帯びた・・・・・・というと、誤解を招きそうだなぁ。PIZZICATO FIVEの曲と共通するような、一種の非日常性を感じます。あくまでも音楽は、リスナーを非日常の世界にいざなうエンターテイメントである、というスタンスを感じました。
選曲にしても、彼らしいなぁ~といった印象が。「IMAGINE」みたいな、超有名曲や「I WANNA BE LOVED BY YOU」みたいに、一度は聴いたことあるようなナンバーもさりげなく配して、基本的には必要以上にマニアックにならずに、でも、センスの良さを感じさせる選曲はさすが。どの曲も、広いリスナー層に受け入れられそうな、ポピュラリティーある曲というのも大きなポイントでしょうか?
一度聴いただけでも楽しめ、聴けば聴くほど味が出てくるようなポピュラーミュージックの、ある種理想的なアルバムのように感じました。長く愛聴しそうな、今年を代表する名盤の1枚。お勧めです。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
BOYS&GIRLS/アルファ
シングルは比較的コンスタントにリリースしていたみたいですが、アルバムとしては、ミニアルバム「Going!Going!Gone!」から約4年2ヶ月ぶりのニューアルバム。テクノとHIP HOPを融合させるスタイルは維持しているものの、今風な泣きメロラップもあったり、バンドを入れた曲もあったりと、新しいスタイルも模索している感じ。ユーモラス満点だった以前と比べると、ユーモラスさは一歩後退で、聴かせる曲が目立ちました。悪くはないのですが、ちょっと迷走している印象も・・・。
評価:★★★
アルファ 過去の作品
パーティー野郎Aチーム
ЯAW/WAGDUG FUTURISTIC UNITY
爆音のデジタル・ハードコアサウンドを聴かせた1stアルバム「HAKAI」から一転、2ndアルバム「R.A.M.」ではバンドサウンド回帰を見せた彼ら。やはり興味はそちらの方向に向かっているのでしょうか?今回は「HAKAI」以前の作品をバンドサウンドで再構築したアルバムをリリースしてきました。
基本的には爆音の快感という意味では、「HAKAI」から大きな差は感じませんでした。文句なしにカッコいいのも同様。ただ、全体的に爆音一辺倒といった感じで、最後にはちょっと飽きが来てしまいます。THE MAD CAPSULE MARKETSのような、爆音の間にポップなメロが入る、みたいな「抜け」の部分がないのが、ちょっと辛いかも・・・。
評価:★★★★
WAGDUG FUTURISTIC UNITY 過去の作品
HAKAI
DESTROY THE DESTRUCTION-mash up&remixes-
R.A.M.
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